志位和夫 日本共産党

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2015年6月19日(金)

海外派兵「合憲」論 世界に通用しない

志位委員長追及 二つの「根拠」総崩れ

徹底批判! 戦争法案


 戦争法案は、自衛隊の活動地域を従来の「戦闘地域」にまで広げ、これまでできなかった弾薬の提供や武器の輸送など、米軍への軍事支援―「後方支援」を可能にしています。この「後方支援」について、政府は、海外での武力行使を禁止した憲法9条1項に違反しない、合憲だと強弁してきました。その「根拠」にしていた二つの柱が、(1)「自己保存型の武器使用は武力の行使にあたらない」(2)「自衛隊の活動は他国の武力行使と一体化しないから憲法違反ではない」というものでした。この二つの「根拠」が、党首討論や衆院安保特別委での日本共産党・志位和夫委員長の追及で総崩れになりました。


「武器の使用」

国際的定義なし

 第一の「武器の使用」問題はどういうことでしょうか。5月27日の衆院安保特別委で、志位氏の追及に対し、安倍首相は、活動地域を従来の「戦闘地域」まで広げたこと、弾薬の提供や武器の輸送などを行うように変更したことを「そのとおり」と認めました。その際に、自衛隊が攻撃される可能性についても「100%ないと申し上げたことはない」と認めました。

 それでも、首相がこだわったのが、「武器の使用は、自己保存型で、正当防衛か緊急避難に限られる」という一線でした。この一線を越えたら、憲法9条が禁じる武力行使にあたることになり、法案が違憲立法だと認めることになるからです。

 「武器の使用」と「武力行使」を区別する立場は、PKO(国連平和維持活動)協力法の審議(1991年)で政府が持ち出したものでした。

 志位氏は、この「根拠」について、外務省自身が「国際法上、自己保存のための自然権的権利というべき武器の使用という特別な概念や定義があるわけではございません」と回答していることを明らかにし、「武力の行使じゃないという理屈は国際社会では通用しない」と批判しました。

 いま問題になっているのは、建前上、停戦合意があり、当事国の受け入れ同意があるPKOでの活動でも、まして国内の駐屯地で攻撃を受けた場合の武器使用でもありません。海外で武力行使をしている米軍を「戦闘現場」の近くまでいって支援している、そのときに攻撃された場合の反撃です。それが武力行使でないという議論はおよそ通用しません。

「一体化」論

首相は“白旗”

 第二の「根拠」、米軍への「後方支援」が「武力行使と一体化しないから憲法違反ではない」という議論はどうか。

 この議論も、1990年代はじめの海外派兵法論議で政府が持ち出してきたものです。5月26日の衆院本会議の代表質問で、志位氏が「政府の言う『武力行使と一体でない後方支援』など、世界ではおよそ通用するものではない」とただしたのに対し、首相は「(一体化論が)世界で通用しないといったご指摘は当たりません」と答弁、“世界で通用する”と豪語していました。

 ところが、17日の党首討論では、「『他国の武力行使と一体でない後方支援ならば武力の行使とみなされない』という国際法上の概念が存在するのか」という志位氏の追及に、安倍首相は「国際法上の概念ではない」「国際法上、『一体化』論が通ると言ったことは一回もない」と“白旗”をあげ、事実上、自らの答弁を撤回しました。

 それもそのはずで、外務省自身、「(一体化論は)日本国憲法との関係で用いられている概念でございます。…国際法上はこのような…概念が存在するわけではございません…、英訳についても確定したものがあるわけではない」(1999年2月の衆院外務委員会、東郷和彦条約局長)と答弁していました。また、集団的自衛権行使を容認するよう答申した首相の私的諮問機関・安保法制懇で唯一の憲法学者だった西修氏も「政府自身が国際的には説明できないと告白している」と指摘していたのです。

 首相が自らの答弁を撤回したことで、「武力行使と一体でない後方支援」という議論が国際的に通用しないことが明らかとなり、戦地派兵による米軍への戦闘支援の違憲性が明確となりました。

兵たんは戦闘と一体不可分

 そもそも、政府が「後方支援」と呼んでいる活動は、弾薬や燃料の補給、武器、弾薬、兵員の輸送、武器の整備、傷病兵の医療、通信情報などで、もともと国際的には「兵たん」と呼ばれているものです。

 志位氏は5月27日の特別委での質問で、米海兵隊教本(教科書)で「兵たんは戦闘と一体不可分である。兵たん活動は軍事活動の不可欠の一部である。兵たんは全ての戦争行動の中心要素である」と記されていることも示しました。

 志位氏の追及におされたのか、17日の党首討論では、安倍首相自身、「後方支援」という造語を忘れたようで、「必ず兵たんは狙われるという議論のなかにおいて…」「兵たんというのは極めて重要であり」などと、3回も「兵たん」という言葉を使いました。

 同日の報道ステーションでも、中島岳志北海道大准教授が「志位さんが兵たんという言葉を使ったのはただしい」とコメントしていました。

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