志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

党の会議での報告

2015年1月22日(木)

第3回中央委員会総会

志位委員長の結語


 第3回中央委員会総会(20日)で志位和夫委員長がおこなった討論の結語は次のとおりです。


 幹部会を代表して討論の結語をおこないます。

 この中央委員会総会は、会期は1日でしたが、たいへんに重要な内容を提起し、討論でそれが深められ、充実した会議になりました。

 22人の同志が発言しました。インターネット中継で、全国で1万611人がリアルタイムで視聴しています。743通の感想が寄せられています。討論でも、感想でも、幹部会報告の中心点がきわめて積極的に受け止められ、深められたと思います。

日本の政治史の流れのなかで、躍進の政治的意義を深くつかむ

写真

(写真)結語を述べる志位和夫委員長=20日、党本部

 幹部会報告では、総選挙の躍進の政治的意義について、つっこんだ解明をおこないました。報告では、今回の総選挙の躍進が、支配勢力によるこれまでの反共戦略の全体を打ち破って、かちとったものだということをのべました。半世紀近い日本の政治史を概括して、「二大政党づくり」という最強・最悪の反共戦略を打ち破って躍進をかちとったことは、特別に大きな政治的意義を持つとのべました。さらに報告では、「本格的な『自共対決』の時代を開いた」ということの意味について、つっこんで解明しました。これらの幹部会報告の解明が、討論でも、感想でも、深い確信をもって受け止められています。

 1961年に綱領路線を確立して以来、わが党は、国政選挙で、何回かの躍進を経験し、また、その後の反共戦略による後退を経験しています。これは決して同じことの繰り返しではありません。大局的に見ますと、党が新たな躍進をかちとるたびに、支配勢力は一歩一歩追いつめられている。これが大局的なプロセスであります。

 幹部会報告でのべたように、1960年代の終わりから70年代に日本共産党の“第1の躍進”が起きた時には、支配勢力の側にはまともな「備え」がありませんでした。「備え」のないもとでの躍進でした。1990年代後半に日本共産党の“第2の躍進”が起きた時には、支配勢力の側は「二大政党づくり」の最初の作戦という「備え」をつくったのですが、これが弱かった。「備え」が弱いもとでの躍進でした。ところが、いま起こっている“第3の躍進”は、本格的な「二大政党づくり」による日本共産党締め出しという、最強・最悪の「備え」を支配勢力はつくったが、それを全党の10年余の苦闘によって、ついに打ち破ってかちとったものです。これは同じことの繰り返しではない。その政治的意義はたいへんに大きなものがあります。

 それから、「本格的な『自共対決』の時代を開いた」ということの意味について、報告では解明したわけですが、「自共対決」というのは、実は、党の躍進のたびごとに言われてきたことです。“第1の躍進”の時にも、“第2の躍進”の時にも、「自共対決」ということが言われたものでした。

 しかし、これも同じことの繰り返しではありません。幹部会報告では、「今回の総選挙が、日本の政治の新しい段階――本格的な『自共対決』の時代の到来を告げるものとなった」とのべるとともに、どういう意味で「本格的」と言えるのかについて解明しました。「本格的な」と私たちが言っている意味は、自民党政治に代わる新しい日本の進路を示している政党は、日本共産党以外には一つもないということです。そういう点で、これまでの時期に言われた「自共対決」とも異なる新しい特徴をもつものであり、これはまさに日本の政治が「新しい段階」に入ったことを意味するものにほかなりません。

 それにくわえて、大局的にみれば、「自共対決」の一方の極にある自民党の国民的基盤は、この半世紀ぐらいをみましても長期にわたって衰退傾向にあり、その根底には、「アメリカいいなり」「財界中心」という「二つの異常」を特徴とする古い政治が、崩壊的危機におちいっているという、大問題が横たわっています。

 国民的基盤を衰退させ、その土台が崩壊的危機におちいっている自民党と、この行き詰まった政治を根本から転換しようと訴えている日本共産党との対決が、いま展開されている「自共対決」の中身であります。それは、未来のない勢力と、未来ある勢力との対決にほかなりません。

 日本の政治史の大局的な流れのなかで、今回の躍進の政治的意義を深くつかむことが大切であります。そのことを通じて、21世紀の早い時期に民主連合政府を樹立するという私たちの綱領的目標を実現する大局的展望をつかむことができると思います。

「850万票、15%以上」という目標の意義を深くつかみ、正面から挑もう

 幹部会報告では、次期国政選挙での目標について、比例代表選挙で「850万票、得票率15%以上」とし、これに正面から挑むという提案をしました。この提案にたいして、歓迎の声、やり抜くぞという決意の声がたくさん寄せられました。発言を聞いておりましても、多くの党組織や党員のみなさんが考えていたことと、だいたい一致する目標が、今度の提起だと言えると思います。

 幹部会報告では、この目標について、「綱領実現をめざす『成長・発展目標』の達成を現実的視野にとらえる目標」と意義づけました。ここが大切なところであります。

 私たちは、2010年1月の第25回党大会で、「成長・発展目標」を決めました。「成長・発展目標」の基本というのは、「国政選挙で、どの都道府県、どの自治体・行政区でも『10%以上の得票率』を獲得できる党をめざす」ことにあります。この「成長・発展目標」を決めた第25回党大会の前におこなわれた2009年の総選挙で「10%以上」を得たのは、3府県――京都・高知・大阪しかありませんでした。全自治体・行政区のわずか7・87%にすぎませんでした。ですから2010年の第25回党大会の時点では、「成長・発展目標」と言っても、“雲の上の目標”というふうに見えたかもしれません。しかし、民主連合政府という綱領的目標の実現をはかるためには、それにいたる中期的展望にたった大志ある目標が必要だということで、私たちはこの目標を決めたのです。

 党大会で「成長・発展目標」を決めた後の道のりも、坦々(たんたん)としたものではありませんでした。第25回党大会の直後の、2010年7月におこなわれた参議院選挙で、わが党は苦い後退を喫しました。それに続く2012年12月の総選挙でも、9議席から8議席に議席を後退させました。さまざまな試練と困難が続きました。

 しかし、それらの試練や困難を乗り越えて、一昨年の都議選・参院選、昨年の総選挙で躍進をかちとり、今回の総選挙では、「10%以上の得票率」を獲得したのは、22の都道府県、自治体・行政区の45・2%まで広がりました。「成長・発展目標」という綱領実現をめざす中期的展望にたった目標にむけて、重要な前進の一歩をきずく結果を、私たちは今度の総選挙で得たのであります。

 次期国政選挙の「850万票、得票率15%以上」という目標は、この到達点にたっての提起であります。これをやりきるならば、いよいよ「成長・発展目標」の実現――全国的には1000万票を超える得票、20%に迫る得票率の実現が「現実的視野」に入ってきます。手がとどくところに近づいてきます。

 そして、2010年代に「成長・発展目標」をやりきろうというのが、私たちの党大会での決意ですが、「成長・発展目標」をやりきるならば、いよいよ民主連合政府をうかがうような政治状況をつくることができるでしょう。

 「850万票、15%以上」という新たな目標のもつ意義を、「成長・発展目標」の達成、民主連合政府の樹立という綱領的目標とのかかわりで深くつかみ、これを必ずやり抜こうではありませんか。まずは、いっせい地方選挙を、この目標達成に向かう第一歩として、必ず躍進をかちとろうではありませんか。そして1年半後にせまった参議院選挙、次の衆議院選挙でこれに正面から挑戦し、達成しようではありませんか。

 あらゆる党活動の水準を、「850万票、15%以上」という水準にふさわしいものに、引き上げようではありませんか。国民運動のさまざまなとりくみも、党建設のとりくみも、さまざまな選挙活動も、国政選挙のこの新しい目標を達成するための水準にふさわしいものに抜本的に引き上げ、必ずみんなの力でこの新たな目標を達成する。その決意を中央委員会の総意として固めようではありませんか。

総選挙がつくった大きな変化――いっせい地方選挙の躍進に実らせよう

 討論を通じて、いっせい地方選挙で日本共産党が躍進しうる大きな可能性と条件が存在することが明らかになったことも、きわめて重要であります。

 総選挙での日本共産党の躍進が、情勢の大きな変化をつくりだしている。このことが討論で生きいきと語られました。

 討論を聞いて感じたことを3点ほどのべたいのですが、第一は、党と国民との関係が大きく変化しているということです。総選挙後、新しい国会議員を先頭に、さまざまな懇談・対話の活動にとりくんでいることが報告されました。経済界、農業団体、労働団体、自治体関係者など、これまで党との接点がなかった新しい団体・個人も含めて、躍進への祝意とともに、新たな期待が寄せられていることが、こもごも語られました。

 党の躍進が、若い世代に影響をあたえ、「党に入れてほしい」「政治を変える先頭に立ちたい」などの強い思いをもって、日本共産党への入党を決意する若者が生まれていることが報告されたことは、たいへんにうれしいことであります。

 第二は、総選挙の結果が、党内の情勢――支部と党員のみなさんの気持ちも大きく変えているということが語られました。

 各地の同志の発言で、総選挙での日本共産党の躍進に勇気を得て、いっせい地方選挙を候補者としてたたかうことを決意した同志が生まれているということが報告されました。支部と党員のみなさんが、どこでも喜びに包まれ、元気になっています。ある同志の発言では、“援助の手が届き、声がかかりさえすれば、これまで党活動に参加できていなかった支部や党員も含めて、立ち上がってくれる。そういう方向に党が大きく変わっている”。そういう変化が起こっていることも語られました。

 幹部会報告では、「支部が主役」の選挙戦にとりくもう、そこに躍進の最大のカギがあるということを訴えましたけれども、「支部が主役」で文字通りの全党決起をかちとる条件が大きく広がっています。党の力を余さずくみつくし、さらに党勢拡大の上げ潮をつくりながら、いっせい地方選挙での躍進を必ずかちとろうではありませんか。

 第三に、総選挙での躍進は、政党間の力関係を変えるものとなりましたが、この力関係も固定的なものでないということを強調したいと思います。奮闘いかんでは、政党間の力関係のさらなる前向きの変化をつくれるということが発言で語られたことは、たいへんに重要であります。

 京都府長岡京市でおこなわれた今年1月11日の市議補選の経験が報告されました。長岡京市では、総選挙では、自民党が第1党、民主党が第2党、維新の党が第3党、日本共産党は第4党でした。ところが市議補選では、自民系、共産、民主系、維新の4勢力の激戦になり、自民党系と共産党が議席を分け合って当選しました。短期間のうちに政党間の力関係の変動が起こった。郡部での定数2の府議会議員選挙での議席獲得の展望が開けたという発言でありました。短期間でもさらなる前向きの変化をつくりうるわけです。

 総選挙で獲得した得票を、「既得の陣地」とみることはできませんが、同時に、総選挙での力関係を固定的なものとみて、「これ以上は望めない」とみるのもまた間違っています。総選挙での日本共産党の躍進という結果を見て、「共産党は勢いがある」「期待してみようか」と、少なくない国民のわが党を見る目が、また一段と変わりつつあることも事実ではないでしょうか。そうした新しい条件をくみつくした積極果敢なたたかいをおこなえば、さらなる前向きの変化をつくりうる。そういう激動的情勢のもとでのたたかいになるということをつかみ、いっせい地方選挙での躍進を必ずかちとろうではありませんか。

 総選挙での躍進は、全党の苦闘が実った画期的躍進となりました。昨年1月の第26回党大会で選出された中央役員の最初の大仕事として、総選挙の躍進をみんなの力でかちとった。全党の同志と心を一つにしてかちとった。中央役員のみなさんが、先頭にたってこの躍進を切り開いたことに、心からの敬意を申し上げたいと思います。

 つぎの大仕事はいっせい地方選挙です。いっせい地方選挙で躍進をかちとってはじめて、「“第3の躍進”を本格的流れにした」と言えるということは、報告でも強調した点であります。いっせい地方選挙での躍進を必ず実現し、次の国政選挙では「850万票、15%以上」という峰に挑戦し、達成する。そして2010年代には「成長・発展目標」を達成し、民主連合政府への道を切り開く。この一大事業を、この中央委員会が先頭に立ってやりぬくという決意を固めあって結語とします。

 以上です。ともにがんばりましょう。