志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

演説・あいさつ

2014年11月4日(火)

この党を大きくすることに日本の未来はかかっている

第41回赤旗まつり 志位委員長の記念演説


 日本共産党の志位和夫委員長が2日に行った、「この党を大きくすることに日本の未来はかかっている」と題する「第41回赤旗まつり記念演説」の全文は次の通りです。


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(写真)記念演説をする志位和夫委員長=2日、東京・夢の島公園

 みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声、拍手)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。今日は、「赤旗まつり」にようこそお越しくださいました。在日大使館から参加された大使・外交官のみなさんにも、心からの歓迎のあいさつを送ります。(拍手)

民主主義と相いれない体質 ――国民の力で安倍政権打倒に追い込もう

 私は、7月15日に行った日本共産党創立92周年の記念講演で、安倍政権の政治は、日本の国を亡ぼし、日本国民を亡ぼす「亡国の政治」だと批判しました。それから3カ月半がたちましたが、臨時国会の論戦などを通じても、この政権の「亡国」ぶりは、いよいよはっきりしたのではないでしょうか。(拍手)

 とりわけ、安倍政権が、二つの点で、民主主義と相いれない体質をもつことが、あらわになってきたことは重大であります。

国民の批判に一切耳を貸さない強権体質――これにつける薬はない

 第一は、国民の批判に一切耳を貸さない強権体質であります。

 安倍政権の暴走は、どれも国民多数の声に背くものです。集団的自衛権、消費税大増税、原発再稼働、沖縄新基地建設――どれも国民の5割、6割、7割が反対です。ところが、安倍首相には、こうした国民の批判に謙虚に耳を傾ける姿勢がまったくありません。「謙虚」という2文字は、安倍首相の辞書にはないようです(笑い)。私が、この間、とくにそれを強く感じた出来事が二つあります。

 一つは、8月の広島・長崎の平和式典に際しての出来事です。被爆者代表から集団的自衛権行使容認への強い批判が出されました。長崎の被爆者代表は「私たちは納得していません」と首相に訴えました。ところが首相は、この訴えを「見解の相違だ」と切り捨てたのです。私が、国会やテレビで論戦をやってきた実感は、この首相には、異論に対して、噛(か)み合わせて議論する能力がないし、その気もないということです。彼の頭の中にはいつも壊れたレコードが回っていて(笑い)、何を言われても同じことを繰り返すだけです。しかし、異論を「見解の相違」の一言で切り捨てたら、およそ民主政治は成り立たなくなるではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 いま一つは、沖縄の米軍基地問題です。首相は、「沖縄県民に心を寄せる」といいます。ところが現実にやっていることはどうでしょう。名護市辺野古(へのこ)の新基地建設には県民の8割以上が反対です。名護市民は4回も「ノー」の審判を下しています。ところが菅官房長官は、県知事選挙について、「知事が承認し、粛々と工事しており、過去の問題だ。争点にはならない」と言い放ちました。私は、先日、沖縄にうかがいましたが、この発言に怒りが沸騰していました。8割以上の県民が反対しても、県知事選挙で県民がどんな審判を下そうとも、それに関係なく新基地建設を強行する。これで民主主義の国といえるか。このことがきびしく問われているのです。

 原爆被爆者と沖縄県民――戦後の長きにわたって、苦しみのもとに置かれてきた人々です。一国の首相が、最も心を寄せるべき人々ではないでしょうか(拍手)。ところが、その訴えを「見解の相違だ」「過去の問題だ」と切り捨ててはばからない。こういう問答無用の強権政治にはつける薬はありません(「そうだ」の声、拍手)。国民みんなの力で打倒に追い込もうではありませんか。(大きな拍手)

カネの力で政治をゆがめる古い金権体質――政党助成金撤廃の国民的運動を

 第二は、カネの力で政治をゆがめる古い金権体質であります。

 小渕経済産業大臣と、松島法務大臣が、かたや「観劇会」、かたや「うちわ」――「政治とカネ」の問題で、そろって辞任に追い込まれるという異常事態が起こりました。その後も、後任の宮沢経産大臣の東京電力株保有や外国人企業からの献金問題、西川農水大臣の違法企業からの献金問題など、閣僚の「政治とカネ」の疑惑がとめどもなく広がりつつあります。それぞれの疑惑の真相を究明し、政治責任を追及し、安倍首相の任命責任をただすために、日本共産党は全力をあげる決意を表明するものです。(拍手)

 同時に、一連の疑惑の原資――元手となっているのは、企業・団体献金と政党助成金です。ここにこそ政治を腐らせる元凶があり、その禁止・撤廃こそ急務であるということを、私は、訴えたいのであります。(拍手)

 わけても、来年は、政党助成金が導入されてからちょうど20年の、大きな節目の年になります。今年までの19年間に、各党が分け取りした政党助成金の総額は、何と6316億円。自民党本部の収入の64%は政党助成金、民主党本部の収入の84%は政党助成金となっています。自民党や民主党の宣伝カーが街を走っていたら、四つの車輪のうちおよそ三つは国民の税金だということになります(笑い、拍手)。“国営政党”そのものではありませんか。何の苦労もなしに、毎年、国から巨額の助成金がころがりこむ。何に使おうと自由勝手。「民主主義のコスト」という名目で導入されたこの制度が、カネに対する感覚を麻痺(まひ)させ、政治腐敗を加速させ、日本の民主主義を破壊していることは、いまや明らかではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。私は、政党助成金20年の節目の年に向けて、憲法違反のこの制度を撤廃する国民的運動を起こすことを、この場をかりて、心から呼びかけるものです。(「がんばれ」の声、拍手)

 みなさん。強権体質、金権体質――民主主義と根本から相いれない体質をあらわにした安倍政権を、これ以上続けさせるわけにはいきません。(「そうだ」の声、拍手)

 みんなの力で、安倍政権を退陣に追い込み、平和・暮らし・民主主義を大切にする新しい政治に切り替えようではありませんか。(大きな拍手)

「海外で戦争する国」づくりか、外交力で平和と安定を築く道か

 みなさん。国政の根本問題のどれをとっても、安倍政権は行き詰まりを深め、これと対決する日本共産党の値打ちが光っています。

国会論戦の到達点――自衛隊が米軍と肩を並べてたたかうことが正体

 まず集団的自衛権の問題です。

 集団的自衛権行使の現実的な危険がどこにあるか。私たちは、5月と7月の国会質疑で、2001年のアフガニスタン報復戦争、2003年のイラク侵略戦争のような戦争を、アメリカが起こしたさいに、従来の海外派兵法にあった「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」という二つの歯止めを外し、自衛隊が従来の「戦闘地域」まで行って軍事活動を行うことになることを、明らかにしてきました。

 そうなれば自衛隊は攻撃対象となります。攻撃されたらどうするのか。わが党の追及に対して、安倍首相は「逃げます」(笑い)と文字通りの“逃げ”の答弁を行いました。しかし、逃げきれなくなって「武器の使用をする」と認めたのであります。

 そこで、私は、さらに、10月初めの衆院本会議の代表質問で、「武器の使用をするということは、自衛隊が戦闘に参加することになるではないか」とただしました。首相は「戦闘に参加することは決してない」とごまかしました。しかし、自衛隊が「武器の使用」をすれば、相手はさらに攻撃し、自衛隊はさらに反撃することになります。それは「戦闘に参加する」ことそのものではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 首相がどうごまかそうとも、集団的自衛権行使とは、アフガン・イラク戦争のような戦争で、自衛隊が米軍と肩を並べて戦争を行う――「海外で戦争する国」づくりこそ、その正体だということがはっきりしたというのが、国会論戦の到達点であることを、みなさんにご報告しておきたいと思います。(拍手)

ガイドライン再改定――「地球の裏側」「戦闘地域」まで行って米軍と一緒に戦争

 日本共産党の追及が的を射たものであったことは、10月8日に発表された日米軍事協力の指針(ガイドライン)の再改定にむけた「中間報告」で示されました。

 「中間報告」は、集団的自衛権行使の「閣議決定」を「適切に反映」するとしたうえで、従来のガイドラインにあった「二つの制約」を取り払うものとなっています。

 第一に、従来のガイドラインは、「周辺事態」のさいに日米軍事協力をするという建前でした。ところが「中間報告」には「周辺事態」という言葉がなくなりました。これは、地理的な制約を一切なくして、「地球の裏側」まで行って米軍と一緒に戦争をするということに他なりません。

 第二は、従来のガイドラインは、米軍への支援は、「後方地域」――「非戦闘地域」に限るとしていました。ところが「中間報告」では「後方地域」という言葉がなくなりました。従来の「戦闘地域」まで行って米軍と一緒に戦争するということであります。

 つまり、「地球の裏側」「戦闘地域」まで行って、米軍と一緒に戦争する――これがガイドライン再改定の正体であります。こんな重大な戦争計画を、国会での審議もせずに、米国との協議を先行させて、勝手に決めてしまうというのは、国民不在、国会不在、民主主義否定の最たるものではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 みなさん。日本を「殺し、殺される国」につくりかえる憲法違反の「閣議決定」は撤回せよ、「閣議決定」を具体化する一切の作業を中止せよ――この声で安倍政権を大包囲しようではありませんか。(拍手)

「北東アジア平和協力構想」――韓国・高麗大学での講演にふれて

 それでは、私たちのすむ北東アジアの平和と安定をどうやってはかるか。北東アジアにはさまざまな緊張や紛争の火種が存在します。しかし、それに対して、もっぱら軍事で構えたらどうなるでしょう。「軍事対軍事」の悪循環に陥ってしまいます。いま何よりも大切なのは、憲法9条の精神に立った平和の外交戦略を確立することではないでしょうか。

 日本共産党は、1月の第26回党大会で、次の四つの目標と原則からなる「北東アジア平和協力構想」を提唱しました。

 第一に、紛争の平和解決のルールを定めた北東アジア規模の「友好協力条約」を締結しよう。

 第二に、北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させよう。

 第三に、領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぼう。

 第四に、日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は、不可欠の土台となる。

 この4点ですが、東南アジア諸国連合(ASEAN)がつくっている東南アジア友好協力条約(TAC)のような地域の平和協力の枠組みを、北東アジアにも構築しよう。これが日本共産党の提案であります。(拍手)

 10月27日、私は、招待を受け、韓国・ソウルの高麗大学で「北東アジア平和協力構想を語る」と題して講演をする機会がありました。主催者によると、100年以上の歴史をもつ高麗大学で、日本の政党代表が講演するのは、私が初めてとのことでした。(拍手)

 大学のキャンパスに入ると、横断幕がかかっています。私が、主催者に「これは何の横断幕ですか」と聞くと、「志位さんの講演会の告知の横断幕です」とのことです。さらにあちこちに告知の看板も出されています。ここに1枚、記念にいただいてきましたが、こちらは写真が入っているので、何の講演会かわかります。ちょっと広げてみたいと思います。(「オーッ」「いいぞ」の声、拍手)

 このように大学としてたいへん重視し、歓迎していただいたわけですが、会場となった国際会議場には、立ち見も出る200人以上の研究者、学生、市民、日韓の記者が集まり熱気に包まれました。

 私が1時間余り講演したのち、質疑応答は予定の30分の2倍以上となり、温かい拍手や笑いが何度も起こる、心の通うものとなりました。

 韓国での私の話には、たくさんの感想が寄せられましたが、共通していたのはある若い女性が語った次のような感想でした。

 「新しい希望を持つことができました。私が知っていた日本は安倍首相のことばかり。でも、今日の話を聞いてそれとは別の日本がある、良心的・進歩的な考え方を持っている政党があることを知って、希望を持つことができました」(拍手)

 韓国のみなさんにとって、日本というと安倍首相ということになる。そして安倍政権からは韓国国民の心の傷をえぐるような悪いニュースばかり流れてくる。日本とは永久に仲良くなれないのではないかという絶望感すらあったと聞きました。そういうなかで、日本共産党の存在と、私たちの提唱する「北東アジア平和協力構想」に初めて接した韓国の若いみなさんが、そこに「別の日本」「新しい希望」を見いだしてくれたのは、たいへんにうれしいことでありました。(拍手)

 みなさん。「海外で戦争する国」づくりの道か、憲法9条の精神に立った外交力で平和と安定を築く道か――どちらに未来があるかは明らかではないでしょうか。(拍手)

 私たちは、この「構想」が実るよう、引き続き国内外であらゆる知恵と力をつくす決意ですが、私たちのこの方針が、日本政府の方針になる日が、一日も早く訪れるようにがんばりますので、どうか大きなお力ぞえをよろしくお願いいたします。(「がんばるぞ」の声、大きな拍手)

暮らしと経済――企業から家計へ軸足を移す経済政策の転換を

賃金が下がっているのに「上がっている」――日本経済のかじ取りの資格なし

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(写真)記念演説を聞く人たち=2日、東京・夢の島公園

 暮らしと経済の問題はどうでしょう。

 消費税増税によって日本経済はたいへんな危機に落ち込んでいます。4~6月期のGDP(国内総生産)は年率マイナス7・1%の落ち込みとなりました。とくに家計消費はマイナス19・5%と、20年来で最大の落ち込みとなりました。なぜこれだけ消費が冷え込んだか。働く人の実質賃金が、前年比で14カ月連続マイナスになっているからです。円安による物価上昇に加えて、消費税大増税によって、給料の目減りが続いているのです。「アベノミクス」が好循環どころか悪循環の大失敗に陥っていることは、いまや明らかではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 私は、代表質問で、首相に、この事実を示して、「実質賃金の低下が、家計消費落ち込みの根本的要因であることを認めるか」とただしました。ところが首相は、賃金が下がっていることを頑迷に認めようとしません。首相の答弁は、「1人当たりの名目賃金に雇用者数を乗じた国民全体の賃金である雇用者所得は昨年4月以降、上昇基調にある」というものでした。「総雇用者所得」という新しい数字を持ち出して、増えていると言い張るのです。

 しかしこれはあくまで名目の値です。たしかに名目総雇用者所得は、昨年4月から今年8月までの合計で4・1兆円増えています。しかし物価上昇を考慮に入れた実質はどうか。実質総雇用者所得は同じ時期の合計で1・9兆円も減っています。どういう計算をしようと、働く人の実質賃金が下がっていることは動かしがたい事実なのです。

 ところが下がっているものを「上がっている」と言い張る。経済の見方からして「逆立ち」しているではありませんか。「逆立ち」しているから下が上に見える(笑い)。こういう経済の見方をして、まともな政策が出てくるでしょうか。これ一つとっても、安倍政権には、もはや日本経済のかじ取りをする資格はなしと言わなければなりません。(「そうだ」の声、拍手)

「暮らしと経済を立て直す四つの緊急提案」――派遣法大改悪を許すな

 私は、代表質問で、「暮らしと経済を立て直す四つの緊急提案」を行いました。

 第一は、消費税10%への増税はきっぱり中止することであります(拍手)。この経済情勢で、増税を強行することは自殺行為となります。「中止せよ」の声を突きつけようではありませんか(拍手)。そして、いっせい地方選挙では、消費税増税を強行した自民、公明、民主の“増税3兄弟”に、日本共産党の躍進で怒りの審判を下そうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 第二は、285兆円にまで膨れ上がった大企業の内部留保の一部を活用して、大幅賃上げと安定した雇用を増やすことであります。そのために非正規から正社員への流れをつくる雇用のルールの強化、中小企業への抜本的支援と一体での最低賃金の大幅引き上げなど、政治の責任で国民の所得を増やす政策をとるべきではないでしょうか。(拍手)

 第三に、医療、介護、年金――社会保障の切り捨て政策が目白押しです。「社会保障のため」と言って消費税を増税しながら、切り捨て政策とは、国家的詐欺そのものではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。社会保障の切り捨てから充実へと抜本的転換を求めるものであります。

 第四は、大企業への減税ばらまき、中小企業への増税をやめ、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革によって財源を確保することであります。

 企業から家計へ軸足を移す経済政策の転換を――これが日本共産党の提案であります。

 私がここで訴えたいのは、この国会にかかっている労働者派遣法大改悪法案の問題です。

 ショッキングなデータがあります。OECD(経済協力開発機構)のデータでは、日本の場合、就労していないひとり親世帯の貧困率は50・4%となっています。ところが就労しているひとり親世帯の貧困率は50・9%と逆に上昇してしまうのです。他の国はどの国も、就労すれば所得が増え、貧困から抜け出すという流れになっています。ところが日本では働くと逆に貧困率が高くなる。こんな国は世界で日本一つしかありません。なぜそうなっているか。母子世帯の5割以上が非正規雇用で働いているのがその原因です。この上、派遣法改悪で、非正規雇用をもっと増やして、何が「女性が輝く社会」でしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 みなさん。「生涯ハケン」「正社員ゼロ」社会をつくる労働者派遣法大改悪を許すな――この一点で力をあわせ、この悪法を必ず廃案に追い込もうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

川内原発再稼働の無謀――「原発ゼロの日本」をめざそう

 原発の問題はどうでしょう。安倍政権が、全国の原発再稼働の突破口にしようとしているのが九州電力川内(せんだい)原発です。この原発の再稼働がどんなに無謀か。私たちは、国会で二つの大問題を追及しました。

 一つは、巨大噴火への備えについてです。川内原発は、いくつもの巨大噴火をおこす危険のある火山地帯の上に建っています。巨大噴火が原発を襲ったら、想像を絶する大惨事になります。ところが原発というのは困った施設で、すぐには避難できない。避難に数年かかるのです。原子力規制委員会は、巨大噴火を数年単位で予知し、予知された時点で、原子炉を止めて燃料棒を運び出すといっています。

 しかし、規制委員会の検討会合でも、専門家から「噴火予知は無理」という声が噴出しました。火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣東大名誉教授も、「前兆現象を数年前に把握できた例は世界にない」と断言しています。私は、安倍首相にただしました。「巨大噴火が数年単位で予知できるという科学的知見がどこにあるのか。具体的に提示していただきたい」。首相の答弁はこうです。「火山による影響についても、安全性は確保されています」。科学的知見は一つも示せない。根拠も示せず「安全」という。破たんした「安全神話」そのものではありませんか。(拍手)

 もう一つは、住民の避難体制の問題です。九州電力は、川内原発で過酷事故が起きれば、19分後にメルトダウンが起こり、1時間半で格納容器が壊れると認めています。ところが内閣府がまとめ、安倍首相が了承した避難計画には、緊急時のあれこれの対応策が書かれていますが、肝心の避難に要する時間は、一切書かれていません。事故から1時間半後には、放射能が住民を襲う。その時間内に避難が間に合うか。この肝心のことがわからないのです。私は、安倍首相に、こんな避難計画がどうして「具体的かつ合理的」かとただしました。首相はこの質問にも答えられない。「全体として具体的かつ合理的な内容となっています」(笑い)。こう力なく言うだけです。

 みなさん。集団的自衛権問題で「国民の命を守る」と連呼する首相が、原発の危険から国民の命を守ることには何という無責任な姿勢でしょうか。「噴火は予知できる」という新たな「安全神話」と、無責任な避難計画で、再稼働を強行するなど、断じて許してはなりません。(大きな拍手)

 この間、原発推進の政治に痛打を与える判決が相次ぎました。大飯(おおい)原発の運転差し止めを命じた5月の福井地裁判決、避難生活中に自殺に追い込まれた女性への損害賠償を命じた8月の福島地裁判決――二つの判決が示したのは、大きくいえば、「人類と原発は共存できない」ことではないでしょうか(拍手)。これらの判決もみんなの確信にして、「原発ゼロの日本」をめざそうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

沖縄知事選挙の勝利のために、全国から支援を集中することを訴える

 沖縄のたたかいについて訴えたい。11月16日投票の沖縄知事選挙は、文字通り、沖縄の未来、日本の進路がかかった歴史的たたかいになっています。昨日開催されたオナガ陣営の11・1政談演説会には、1万5千人もの人々が集い、オナガ雄志(たけし)さん勝利に向けた熱気にあふれかえりました。(拍手)

 対決の構図ははっきりしています。沖縄県民は、2013年1月に、オスプレイ配備撤回、普天間基地閉鎖・撤去、県内移設断念を求める「建白書」を政府に提出しています。「建白書」には、文字通り「オール沖縄」の意思が込められています。今度の選挙の対決の構図は、「建白書」実現をめざす保守と革新の枠組みを超えた「オール沖縄」の勢力と、県民を裏切って新基地建設を進める勢力との対決であります。

 私は、先日、沖縄にうかがい、保守と革新の枠組みを超え、「オール沖縄」で大同団結したたたかいが発展している姿を目のあたりにして、胸が熱くなる思いでした。

 候補者のオナガ雄志さんは、那覇市長として「建白書」とりまとめの要としてがんばってこられた政治家です。オナガさんはこの数年来、「基地問題で保守と革新が敵であってはならない。保守と革新の垣根を越えて、『オール沖縄』で団結してこそ、沖縄の未来は開ける」と一貫して主張してきました。

 私は、2年前のオスプレイ反対の県民大会でお会いした時のことを思い出します。この県民大会のシンボルカラーは「赤」でした。そこで私は真っ赤なシャツを着て参加しました。オナガさんも赤のかりゆしです。私とがっちり握手を交わし、熱いエールを交換し、保守の立場の政治家であっても、私たちと心の通じるところがある政治家だと感じたものでした。そのオナガさんが、先日の日本共産党主催の演説会で、私と並んで訴え、次のように語りました。「今いろいろな活動を一緒にして、本当に違和感がありません。なぜもっと前から一緒にならなかったのかという話もするぐらいです」。とてもうれしく心強い話であります(拍手)。沖縄では今、「建白書」を旗印に、保守と革新の枠組みを超え、新しい沖縄をつくろうという歴史的な動きが起こっているのです。(拍手)

 オナガさんは、「あらゆる手段を駆使して辺野古に新基地を造らせない」「どんなに強権が発動されても私たちは絶対にここで屈してはならない」と訴えています。「沖縄は屈しない」という沖縄県民の決意に、本土がこたえようではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 選挙戦は、激烈な総力戦となっており、情勢はまったく予断を許さない状況となっています。絶対に負けられないたたかいです。基地のない平和な沖縄への願いを託せる、最良・最善の候補者――オナガ雄志さんを必ず知事に押し上げるために、全国から支援を集中することを、心から訴えるものです。(「そうだ」「がんばろう」の声、大きな拍手)

二つの国際会議での活動――道理ある主張は必ず生きる

 ここで、世界とアジアに目を広げてみたいと思います。私たちがこの間参加した、二つの国際会議についての報告をさせていただきます。

アジア政党国際会議――「コロンボ宣言」に取り入れられた二つの画期的な内容

 一つは、9月18日から20日まで、スリランカのコロンボで開催されたアジア政党国際会議(ICAPP)第8回総会での活動です。

 この国際会議は、アジアで活動するすべての政党に、与野党の区別なく開かれたフォーラムとして、アジアと世界の平和と友好のために重要な役割を発揮してきました。コロンボの総会は29カ国から75政党が参加し、全会一致で「コロンボ宣言」が採択されましたが、二つの重要な課題について画期的な内容が盛り込まれました。

 第一は、「ASEANのような地域の平和協力の枠組みを北東アジアなど全アジア規模に広げる」ということです。日本共産党が提唱している「北東アジア平和協力構想」の方向が、アジアの諸政党全体の賛同を得たことはたいへんにうれしいことです。(拍手)

 第二は、「核兵器禁止条約の速やかな交渉開始を呼びかける」ということです。被爆者を先頭にした日本の反核平和運動の中心要求が、「コロンボ宣言」に明記され、アジア政党国際会議の呼びかけとなったのであります。(拍手)

 実は、この二つは、日本共産党が事前に文書で提案していたものでした。それが「コロンボ宣言」にしっかり取り入れられ、アジアの政党の共同要求になったということを、ご報告しておきたいと思います。(拍手)

 この国際会議への日本からの参加は、日本共産党と民主党でした。驚いたのは、この総会を運営していた事務局から、「日本の自民党から脱退通告があった」と伝えられたことです(どよめきの声)。会議の中心でがんばっている人たちから、「志位さん、何とかなりませんか」といわれましたが(笑い)、脱退するといっているものを、どうすることもできません。アジア政党国際会議からの脱退通告をした党など、アジアの政党の中でも自民党ただ一つでしょう。アジアで起こっている平和の流れを理解しようともせず、それに背を向け、断絶するとは、何という了見の狭い、惨めな姿でしょうか(拍手)。こうした自民党の姿と対比しても、日本共産党こそ世界とアジアの本流に立つ党であることを実感したということを、ここでご報告しておきたいと思います。(拍手)

日韓・韓日議員連盟総会――歴史的意義をもつ「共同声明」を採択

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(写真)記念演説を聞く人たち=2日、東京・夢の島公園

 いま一つは、韓国の首都ソウルで、10月24日から25日に開かれた日韓・韓日議員連盟合同総会での活動です。

 今回の合同総会では、日本軍「慰安婦」問題が正式議題として初めてとりあげられ、最大の焦点となりました。この議員連盟には、日韓ともにすべての政党が超党派で参加しています。私たちは、そうした議員連盟の性格を踏まえつつ、今回の合同総会が、日韓両国の友好にとって、前向きの結果が出るようにと願って活動しました。

 議連総会に先立つ24日午後、日韓議連代表団が、青瓦台を訪問し、朴槿恵(パク・クネ)大統領と会談しました。この会談には、私と笠井亮議員も参加しました。朴大統領は、「日韓国交正常化50周年になる来年に向けて両国間の理解と友情を深めたい」とのべ、「両国間の象徴的懸案が慰安婦問題であり、被害者の方々が生存しておられる間に、名誉を完全に回復できるような納得できる措置を期待します。韓国国民の心に傷を与える歴史に逆行する言動が繰り返されないことが大切です」と語りました。

 額賀(ぬかが)日韓議連会長と朴大統領のやりとりのあと、私は、次のように発言しました。「国交正常化50周年となる来年に向けて、両国の友好関係発展のために私たちも努力したい。両国の友好を考えたさいに、過去の歴史に正面から向き合い、誤りを真摯(しんし)に認め、未来への教訓とすることが大切だと考えます。『村山談話』『河野談話』を継承するとともに、それにふさわしい行動を取ることが必要です。日本軍『慰安婦』問題では、被害者の女性の方々の人間としての尊厳が回復される解決が必要です。そういう方向に両国が向かうよう、そして北東アジアの平和・協力の枠組みをつくっていくために努力していきたい」。これに対して、朴大統領は、「ありがとうございます」と応じました。

 それに続いて、24日の夜、日韓双方の議員約60人が集まって、合同総会の歓迎夕食会が開かれました。双方の議連会長があいさつし、夕食の歓談が続いた最後に、夕食会の司会を務めた韓国与党・セヌリ党の吉(キル)ジョンウ議員(韓日議連運営副委員長)が、「きょうの夕食会で特別にあいさつをいただきたい方がいます」と、私を指名したのです(拍手)。私が、議連の合同総会で、このような形でスピーチすることは初めてでしたので、参加者は静まり返りました。私が、「歴史を書き直すことはできないが、向き合うことはできます。真の日韓友好を築くためには、『河野談話』を継承することはもちろんですが、それにふさわしい行動が必要です。日本軍『慰安婦』問題では被害者の方々の人間の尊厳が回復される解決が必要です」と話すと、参加者から「ブラボー」の声と大きな拍手が起こりました(「ブラボー」の声、拍手)。短いスピーチでしたが、心が通いあったことを実感した瞬間でした。

 さらに、翌日、25日の合同総会では、「慰安婦」問題が議論された社会文化委員会には、日本共産党から笠井亮議員と紙智子議員が出席しました。笠井議員は、「慰安婦」被害者が住む「ナヌムの家」を訪問したことにも触れ、被害女性の尊厳の回復と、「河野談話」の継承というなら、それにふさわしい行動をとるべきだと訴えました。

 その後、全会一致で採択された日韓・韓日議員連盟総会の「共同声明」には、二つの大事な内容が明記されました。

 一つは、日本側が「河野談話」「村山談話」を継承することを再確認するとともに、両国議連として「談話の精神にふさわしい行動をとることにした」と明記されたことであります。(拍手)

 いま一つは、「慰安婦」被害者の「名誉回復と心の痛みを癒すことが出来るような措置が早急に取られるように日韓双方が共に努力する」ということが明記されたことであります。(拍手)

 この二つの内容は、私たちが一貫して主張したことでしたが、両国議員の努力によって、そうした内容が「共同声明」に全会一致で盛り込まれたことは、問題解決への一歩として歴史的意義をもつものだと考えます。(大きな拍手)

 この間、安倍首相は、「河野談話」の継承をいう一方で、「性奴隷というのはいわれなき中傷」と述べたり、菅官房長官も「強制連行はなかったと世界に発信する」と述べるなど、「談話」を事実上否定する不誠実な態度をとっています。そういう事態があるだけに、今回の議連総会で、被害者の名誉回復と「談話」継承にふさわしい行動をという2点をうたった「共同声明」が全会一致で採択されたことは、重要な意義をもつものとなったということを、重ねて強調したいと思うのであります。(大きな拍手)

韓国メディアの注目――「安倍政権の審判者として脚光をあびている党」

 この間、日本共産党は、歴史を偽造して「河野談話」を葬ろうという勢力に対して、徹底的に批判する論陣を張ってきました。この論陣は、韓国でも反響を呼んでいます。私たちの訪韓に際して、多数の韓国メディアが日本共産党の立場を紹介しました。

 これは韓国で最大部数を誇る朝鮮日報ですが、私のインタビューをほぼ1ページを使って掲載しています(拍手)。写真も大きいです(笑い、拍手)。「反安倍の先鋒(せんぽう)に立つ日本共産党 『歴史捏造(ねつぞう)勢力に未来はない』」の大見出しです。こう述べています。

 「安倍政権の暴走に対する周辺国の懸念にもかかわらず、民主党などは失政と内紛でその役割が果たせずにいる。こうした状況で安倍政権の審判者として脚光をあびているのが日本共産党だ(拍手)。…昨年の参院選では議席数を倍増、東京都議選では民主党を上回り、第1野党に躍進した」(拍手)。よく見てくれていますね。(笑い、拍手)

 そして、わが党の日本軍「慰安婦」問題での見解を詳しく紹介しています。さらに、「戦前から一貫して侵略戦争を批判してきた日本共産党」として、つぎのように日本共産党を紹介しています。

 「今年で結党から92年になる日本共産党は戦前から現在に至るまで、侵略戦争、植民地支配を一貫して批判し、抵抗してきたと自負している。日本の政党の中で最も長い歴史を持つ。…共産党は暴力的で独裁的だというイメージとは異なる。…旧ソ連や中国の干渉を拒み、自主独立路線を維持したことを強調し、自らを『自由と民主主義を標榜(ひょうぼう)する政党』だと説明する。…92年間ずっと大企業からの支援は全く受けていない。(『しんぶん赤旗』は)日本で最も進歩的で良心的なメディアだという評価も聞かれる」(拍手)

 「河野談話」を攻撃する一部右派勢力は、「日本の名誉を回復する」といいます。しかし、私は問いたい。「日本の名誉」を傷つけているものは誰か。歴史を偽造する勢力の側ではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 日本共産党は、侵略戦争と植民地支配に命がけで反対を貫いた党として、歴史を偽造する勢力の根を断ち、日本をほんとうに世界とアジアから信頼され、尊敬される国にしていくために、ありとあらゆる知恵と力を傾けてたたかう決意を、ここに表明するものです。(「そうだ」「がんばれ」の声、大きな拍手)

 二つの国際会議での私たちの活動を報告しました。二つの国際会議は性格も構成も異なりますが、私たちが共通して実感したことがあります。それは、道理ある主張は必ず生きるということです。(拍手)

 みなさん。そのことに深い確信を持ち、アジアと世界の平和と友好のために、そして日本社会の民主的改革のために、がんばりぬこうではありませんか。(大きな拍手)

この党を大きくすることに日本の未来はかかっている

 みなさん。安倍政権の「亡国の政治」に、どの問題でも正面から対決し、国民とともにたたかう党が日本共産党です。

 さらに、外交でも経済でも抜本的対案を示し、その実現のために、地域でも、国政でも、さらには国際舞台でも、行動している党が日本共産党です。

 この党を大きくすることに、日本の未来はかかっているのではないでしょうか。(大きな拍手)

 昨年は、都議選、参院選で、日本共産党の新たな躍進が開始された年となりました。5カ月後にせまったいっせい地方選挙で、そして国政選挙で、この躍進を本格的な流れに発展させ、日本の政治の希望ある未来を開こうではありませんか。

 第41回赤旗まつり万歳!(「万歳」の声、歓声と大きな拍手)