志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

主な活動

2013年8月13日(火)

日本共産党創立91周年記念講演会

“第3の躍進”を本格的な流れに

志位委員長の講演


 10日に開かれた日本共産党創立91周年記念講演会で志位和夫委員長がおこなった記念講演の全文は以下の通りです。


写真

(写真)講演する志位和夫委員長

 参加されたみなさん、インターネット中継をご覧の全国のみなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。ご紹介いただきました、日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。きょうは猛暑の中、ようこそお越しくださいました。

 私たちは、今年の党創立91周年記念講演会を、参議院選挙の躍進のもとで迎えることができました。(拍手)

 まず、私は、参議院選挙で日本共産党を支持してくださった有権者のみなさん、猛暑のなか大奮闘してくださった党支持者、後援会員、党員のみなさんに、心からのお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。(大きな拍手)

 きょうは、私は、「“第3の躍進”を本格的な流れに」と題して、お話をさせていただきます。

選挙結果――「自共対決」の政党地図がいよいよ鮮明になった

みんなの力が一つにあわさって勝ち取った選挙結果

 7月21日の参議院選挙で、日本共産党は、改選前の3議席から8議席へと躍進し、非改選とあわせて参議院で11議席となり、議案提案権を得ることができました(拍手)。わが党が推薦した沖縄選挙区の糸数慶子さんは、自民党に打ち勝って当選を果たしました(拍手)。この結果には、いくつかの大切な特徴があります。

 一つは、選挙戦の軸にすえた比例代表選挙で515万票(9・7%)を獲得し、「5議席絶対確保」の目標を実現したことであります(拍手)。515万票という得票は、前回参院選の356万票を159万票、昨年の衆議院選挙の369万票を146万票、それぞれ大きく上回る成果であります。「比例5議席」という目標を、「全国は一つ」の立場でやりきった、当選をめざした5人のうち、1人も落とすことなく全員当選を勝ち取ったことは、とりわけ大きな喜びであります(拍手)。このことによって、全国47都道府県のすべてが勝利者となることができました(拍手)。全国どこでも胸を張って「祝勝会」をもてる結果を勝ち取ったことは、本当にうれしいことであります。(笑い、拍手)

 二つは、それにくわえて、東京、大阪、京都の三つの選挙区――首都と商都と古都、日本の三つの「都」で、議席を獲得することができたことであります。選挙区での議席獲得は12年ぶり、複数の議席獲得は15年ぶりになります。その最大の教訓は、どこでも、比例代表選挙で日本共産党躍進の波をつくりだすことを土台にしてがんばったことが、選挙区選挙においても勝利への道を開いたということであります。この土台のうえに、それぞれの候補者のみなさんの魅力があわさって、大激戦を制し、勝利を勝ち取ることができました。(拍手)

 三つは、6月23日の東京都議選で、日本共産党が8議席から17議席への倍増、民主党を追い抜き都議会第3党への躍進をかちとったことが、全国の情勢を激変させ、参議院選挙の躍進に連動したことであります(拍手)。「都議選の躍進なくして、参院選の躍進はなかった」。これはともにたたかった全国のすべてのみなさんの共通の思いではないでしょうか(拍手)。そして都議選での躍進は、東京の党と後援会のみなさんの大奮闘のたまものであることはいうまでもありませんが、全国の党と後援会のみなさんが、都議選を「自らのたたかい」としてたたかったことのたまものでもありました(拍手)。ここには、日本共産党ならではの熱い全国的連帯の精神の発揮があったことを、私は強調したいと思うしだいであります。(拍手)

 勝利への貢献という点では、当選にはいたりませんでしたが大奮闘した、全国43道県の選挙区候補者のみなさん、文字通りの「縁の下の力持ち」として「比例5議席」の勝利を支えてくれた12人の第2次比例代表候補者のみなさんの大奮闘にたいしても、私は、心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。(大きな拍手)

 文字通りみんなの力が一つにあわさっての選挙結果であります。

「自共対決」を鮮明に打ち出した日本共産党の政治姿勢が評価をいただいた

 参議院選挙の政治論戦では、私たちは、「自民党と対決、抜本的対案示す」を掲げて、日本の政治の「四つの転換」――国民の所得を増やして景気回復、原発ゼロの日本、憲法を守り生かす、「アメリカいいなり」をただす――を訴えぬきました。

 いま安倍内閣の政治にたいして、消費税増税、原発再稼働、憲法改定など、「どうも危ないぞ」と、不安感、危機感を感じておられる国民のみなさんが広がりつつあります。そのときに、日本共産党が「自共対決」――安倍政権の暴走に正面から対決する政治姿勢を鮮明に打ち出したことが、評価をいただけたと考えています。(拍手)

 実際に、メディアが行った「出口調査」を見ましても、アベノミクスを「評価しない」と答えた有権者の比例投票先の第1党は日本共産党という結果が出ています。「原発などエネルギー政策」や「憲法改正」を重視したと答えた有権者の比例投票先の第1党も日本共産党という結果が出ています。これらは、私たち日本共産党が、アベノミクス、原発、憲法などの問題で、安倍政権の暴走に批判を持つ方々のよりどころとなったことを示しているのではないでしょうか。(拍手)

 同時に、私たちは、どんな問題でも抜本的対案を示すという立場を貫きました。たとえば、アベノミクスに反対するとともに、「大企業の内部留保の一部を活用して、賃上げと安定した雇用を増やして景気回復を」という対案を示しました。消費税大増税に反対するとともに、「富裕層や大企業に応分の負担を求める税制改革など、消費税に頼らない別の道がある」ということを訴えました。

 日本共産党が、安倍政権の暴走と正面から対決できるのは、どんな問題でも国民の立場に立った対案をしっかりもっているからにほかなりません(拍手)。多くの国民が、政治の行き詰まりの打開の道を求めているもとで、「対決」とともに「対案」を示した政治姿勢も、評価をいただけたのではないでしょうか。

 先日、テレビ東京(系)の「週刊ニュース新書」という番組に出演する機会がありました。「まーご」というマスコット猫が出てくる番組なんですが(笑い)、番組ホストの田勢康弘さんが、冒頭に、こういう質問をぶつけてこられました。

 「共産党の躍進を、私なりにその理由を分析しますと、いろんな政党、野党が『われわれは何でも反対の政党ではないんだ』と言い続けていたんですね。それで、本当に自民党に反対してくれる政党は共産党以外いなくなったんじゃないか(笑い)という思いがかなりの人に広がっていったと。そういうことが非常に大きな理由だったかなと思いますがどうですか」(笑い)

 私は、「その通りだと思います」とお答えしました。日本共産党以外の野党が、安倍政権に正面から「対決」もできず「対案」ももたない、自民党の亜流のような政党になってしまっています。そのもとで、「自共対決」を鮮明に打ち出した日本共産党の立場が光ったのではないでしょうか。(大きな拍手)

 日本共産党は、選挙戦で訴えた「自民党と対決、抜本的対案を示す」という政治姿勢を揺るがず貫き、掲げた公約実現のために、国会で得た新しい地歩も活用し、さまざまな国民運動との共同を強め、全力をあげて奮闘する決意を表明するものであります。(大きな拍手)

自民党と共産党との間の自民批判票の「受け皿政党」が消滅した

 私たちは、選挙戦で「自共対決」を訴えてたたかいましたが、選挙の結果生まれた政党地図は独特のものとなりました。選挙結果は、まさに「自共対決」の政党地図をいよいよ鮮明とするものになりました。

 選挙の結果つくられた政党地図の最大の特徴は、自民党と共産党との間の自民批判票の「受け皿政党」が消滅してしまったことにあります。

 これまでの最大の自民批判の「受け皿政党」は民主党でありました。しかしこの党は、3年4カ月の政権時代に、「政治を変えてほしい」という国民のみなさんの期待をことごとく裏切って、自民党と、うり二つの政党となり、得票をピーク時の4分の1まで激減させて大敗し、「受け皿政党」としての地位を喪失しました。選挙中の党首討論で、民主党の海江田代表は、フリップに「安倍政権の暴走ストップ」と書いたんですよ(どよめき)。私は、「よくそれを言うな」と驚きました(笑い)。“暴走”というならば、消費税大増税法案を自民・公明とともに強行し、一緒に“暴走”してきたのが民主党ではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。それへの反省抜きに「暴走ストップ」と語っても、もはや国民から信用されないことは明らかではないでしょうか。(拍手)

 昨年の総選挙時で、一時的に、自民批判の「受け皿政党」となった「第三極」とよばれる勢力――日本維新の会やみんなの党も、弱肉強食の「構造改革」の推進、TPP(環太平洋連携協定)の推進、憲法改定の推進など、自民党よりさらに「右翼」の立場にたつ政党であることが明らかになるもとで、得票を大きく減らし、「受け皿政党」としての地位を失いました。

 こうしたもとでいま日本共産党は、自民党への批判を託せる唯一の党、国民の願いを託せる唯一の党となっているのであります。(拍手)

 戦後日本の政治史を見ても、こうした政党地図はかつてないものであります。1960年代の終わりから70年代に日本共産党が国政選挙で躍進した時代には、自民党と共産党の間に、社会党、公明党、民社党など「中間政党」が存在していました。今では懐かしい名前もありますが(笑い)、いくつかの政党があったのです。やがて支配勢力は、1980年の「社公合意」によって社会党を右転落させ、「中間政党」を反共の立場で一本にまとめて、日本共産党を封じ込める体制をとっていきました。

 1990年代後半に日本共産党が躍進した時代には、自民党と共産党との間に、民主党や自由党という「受け皿政党」が存在していました。やがて支配勢力は、民主党と自由党を合併させて、新民主党をつくり、「自民か、民主か」という「二大政党による政権選択」という、日本共産党を封じ込める最強の反共体制をつくっていきました。

 ところが、今回の選挙の結果、そうした「受け皿政党」が消滅してしまっているではありませんか。霧がさーっと晴れたように見晴らしがよくなっているではありませんか(笑い、拍手)。「自共対決」という政党地図が、くっきりと浮かびあがってきたではありませんか。(拍手)

 私たちは、こうした新しい政党地図のもと、自民党政治への唯一の対決者、変革者の党の姿を鮮明にして、さらなる躍進を勝ち取る決意であります。(拍手)

現実の力のうえでも、「自共対決」に一歩近づいた

 いま一つ、今回の選挙戦の結果、現実の力のうえでも、「自共対決」に一歩近づいたことは重要であります。

 比例代表選挙の得票でみて、東京都と京都府では、日本共産党は自民党につぐ第2党になりました(拍手)。全国64の市区町村でも日本共産党は第2党となりました。(拍手)

 第2党というのは、小選挙区選挙でも議席を争いうる地位を得たということになります(「ほーっ」の声)。ですから、つぎの総選挙では、比例を軸にしながら、小選挙区でも風穴をあけるたたかいに、大いに意気高く挑戦したいと思います。(「がんばろう」の声、大きな拍手)

 日本共産党は、2010年の第25回党大会で、綱領実現――民主連合政府樹立をめざし、中期的展望にたった「成長・発展目標」として、どの都道府県、どの自治体・行政区でも国政選挙で「10%以上の得票率」を獲得できる党をめざし、2010年代にこの目標をやりとげることを決めています。

 この目標にてらして、今回の選挙の結果、比例代表で全国平均で9・7%を記録し、得票率で10%を超えたのが10都道府県、高い順に――京都、高知、長野、東京、大阪、埼玉、北海道、滋賀、和歌山、神奈川となったことは重要であります。(拍手)

 市区町村でみますと550市区町村――全自治体の29%が、得票率で10%を超えました。(拍手)

 この流れが、文字通り全国すべての地域に広がり、全国どの自治体・行政区でも「10%以上の得票率」を実現するならば、全国平均では20%に迫る得票率、1000万票を超える票を獲得することになるでしょう。「自共対決」は、政治的・政策的対決にとどまらず、現実の力のうえでの対決となるでしょう。そして、その峰まで前進するならば、次の峰――民主連合政府の樹立という大目標への展望が開かれてくるでしょう。

 そこに向かっての第一歩ですが、たしかな前進の歩みを記録したという点でも、今回の選挙結果は、未来を開く希望ある結果となったということを、私は言いたいと思います。(大きな拍手)

歴史的意義――“第3の躍進”の始まり、十数年の不屈のたたかいが実った

15年ぶりの勝利――“第3の躍進”の始まりともいうべき歴史的意義

 つぎに私は、今回の参議院選挙の意義を、もう少し長い歴史的視野のなかで考えてみたいと思います。

 日本共産党が国政選挙で前進したのは、1998年の参議院選挙以来、15年ぶりのことであります。それだけに、全国でともにたたかった仲間から寄せられる声は、沸き立つような喜びにあふれています。

 若い党員のみなさんにとっては、今回の結果は文字通りの初勝利です。15年間といいますと、30歳の吉良(よし子参議院議員)さんが15歳だったときですから(笑い)。ある20代の党員からはこんな声が寄せられました。

 「日本共産党に入って初めて勝った。本当にうれしくて、うれしくて、涙があふれて、みんなと抱き合い、大声をあげて走りまわりました。どう表現していいかわかりません。これからもがんばろうという勇気がわいてきました」

 ベテランの党員のみなさんからは、長い苦労がむくわれたという感動が寄せられております(拍手)。ある84歳の党員からはこんな声が寄せられました。

 「苦節15年の努力が実った。1948年に青年共産同盟に加盟し、翌年入党し、党とともに歩んできました。たくさんの苦労がありましたが、今度の参院選の躍進が、冥土の旅へのお土産になってうれしい限りです。余生ある限り党員としてがんばりぬきます」(拍手)

 ぜひお元気で長生きしていただいて(笑い)、お土産は一つでなくて、たくさんもっていただきたいと願うばかりですが(笑い、拍手)、同じような思いの党員や支持者のみなさんもたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。(拍手)

 日本共産党は、1961年に綱領路線を確立して以来、1960年代の終わりから70年代にかけて国政選挙での“第1の躍進”、1990年代後半には“第2の躍進”を経験してきましたが、今回の参議院選挙の結果は、それにつづく“第3の躍進”の始まりともいうべき歴史的意義をもつものとなりました。(拍手)

 この躍進は自然に起こったものではありません。どこかから「風」が吹いてきて起こったものでもありません。それは、この十数年の全党と後援会員のみなさんの不屈の活動の積み重ねが実ったものにほかならないと考えるものであります。(拍手)

 とりわけ、2003年に本格的に始まる「自民か、民主か」という「二大政党による政権選択論」の大キャンペーンは、日本共産党を有権者の選択肢の外に追いやる「最強・最悪」の反共作戦であり、この反共作戦による逆風によって、わが党は国政選挙で繰り返しの悔しい後退・停滞を余儀なくされました。

 私たちは、選挙のたびに、内外の批判や意見に学び、自己分析を深め、教訓を引き出し、次のたたかいに挑みました。十数年にわたる反共作戦に立ち向かい、敗北から学び、党が鍛えられるもとで、みんなの力でつかんだ勝利として、今回の結果はとりわけ意義深いのではないでしょうか。(拍手)

 ふりかえってみますと、そこには今後に生かすべき重要な教訓がたくさんあります。きょうは、とくに三つの教訓について話したいと思います。

綱領を土台に、政治的・理論的に大きな成長・発展をとげた

 第一の教訓は、日本共産党がこの時期に、政治的・理論的に大きな成長・発展をとげたということであります。

 その最大の成果は、2004年の第23回党大会で新しい綱領を決定したことであります。この10年間、私たちが、反共作戦の逆風が吹いている苦しい情勢のもとでも、表面のあれこれの動きに左右されず、つねに情勢を根底からとらえ、明日への希望と展望をもってがんばりぬくことができた根底には、新しい綱領の力があったということを、私は強調したいと思うのであります。(拍手)

 また、綱領が、当面する日本の民主的改革の内容を21項目にわたって具体的に明らかにしたことは、わが党の政策活動を発展させる科学的指針となりました。たとえば、綱領には「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」と明記されていますが、これは、憲法を守り生かすたたかいの確固とした土台となりました。綱領に「国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』をつくる」と明記したことは、弱肉強食の規制緩和万能論への根本的対案を示すものともなりました。

 さらに、綱領は、帝国主義陣営と反帝国主義陣営の対決が世界情勢を決めていくという、いわゆる「二つの陣営論」を清算して、20世紀の人類史の巨大な変化の分析にたって21世紀の世界をとらえるという、新しい世界論をまとまって明らかにしました。このことは、この間の日本共産党の野党外交の豊かな発展の大きな力となりました。

 綱領を土台とした政策活動には試行錯誤もありました。その点でふりかえってみて重要だったと痛感するのは、2010年7月の参議院選挙――比例代表選挙で356万票、3議席まで後退した選挙から教訓を引き出した、同年9月の第2回中央委員会総会であります。2中総では、選挙戦の政治論戦の弱点に深くメスを入れ、「どんな問題でも、批判と同時に、国民の探求にこたえ、打開の展望をしめす、変革者の党ならではの建設的メッセージが伝わってこそ、国民の心に響く訴えとなる」ことを、教訓として引き出しました。

 2中総決定が明らかにしたこの教訓は、その後の党の政策活動の発展の大きな力となったと思います。消費税に頼らない別の道を示した「経済提言」、日米安保条約をなくしたらどういう展望が開かれるのかを示した「外交ビジョン」、原発をすみやかになくし再生可能エネルギーへの転換の道を示した「即時原発ゼロ提言」、国民の所得を増やして景気回復をはかる道を示した「賃上げ・雇用提言」など、この間明らかにしてきた一連の政策提起は、どれもが綱領を土台に、「変革者の党ならではの建設的メッセージ」が伝わるものとして、今回の参議院選挙で大きな威力を発揮したといえるのではないでしょうか。(拍手)

 私たちは、これらの教訓を生かして、今後も、綱領を指針に、国民の要求に根ざした政策活動を、あらゆる分野で豊かに発展させ、「国民の心に響く訴え」を発展させるために、知恵と力をつくす決意を表明するものであります。(拍手)

「一点共闘」がさまざまな分野で画期的に発展し、日本共産党への信頼と支持が広がる

 第二の教訓は、この数年来、政治的立場の違いを超えた一致点にもとづく共同――「一点共闘」が、憲法問題、原発問題、TPP問題、基地問題など、さまざまな分野で画期的な広がりをみせるとともに、そのなかで日本共産党への信頼と支持が広がる状況が生まれていることであります。

 今回の参議院選挙では、これまで保守の立場にあった方々が、「一点共闘」をつうじて日本共産党に信頼を寄せ、公然と支持やエールを送ってくれるということが、全国いたるところで生まれました。

 TPP反対のたたかいなどを通じて、JAのみなさんとの共同が着実に前進しています。群馬県のJAにったみどりの橋場正和代表理事組合長は、日本共産党の街頭演説で、つぎのような応援演説をしてくださいました。

 「私どもは日本共産党支持を決めました。TPPを含めていろいろな問題、いろいろな政策がいつもぶれて、国民受けするような選挙のための政策をうちだしている民主党には、つくづく嫌気がさしました。自分たちの生活を守ってくれる日本共産党に、これからの政治をお任せしたいという気持ちでいっぱいであります。……40年間にわたって、自民党の役員、あるいは今まで県議会の幹事長をしている方の後援会長もしてきました。しかしながら自民党も先日脱退しました。……私はいわば自民党の異端者かもしれません。それで結構であります。自分の生活を自分で守るために、日本共産党を、命の続く限り、これからも組織をあげて支持いたします」(大きな拍手)。感動的な訴えであります。

 憲法の問題では、自民党の元幹部もふくめた保守の方々との共同が広がりました。

 古賀誠自民党元幹事長が、「しんぶん赤旗」日曜版のインタビューに応じ、「憲法96条改定に大反対」と表明したことは、大きな反響を呼びました。古賀さんが、インタビューの最後に、「戦後の長い期間、国政の場で、自由民主党と日本共産党は、立場や政策は違っても、それぞれが自負も誇りも持って活動してきた、と私は思っています。……私にいわせると自民党と共産党こそが『二大政党』だと思っています」(拍手)、と語ったのは、私たちへの温かいエールをいただいたと、かつて幹事長・書記局長会談などで古賀さんと激しくやりあったことも懐かしく思い出しながら、感じたものでありました。(笑い、拍手)

 古賀さんに続き、千葉県議会議員を長くつとめ、自民党千葉県連の幹事長などを歴任された金子和夫さんが、「しんぶん赤旗」日曜版のインタビューで、つぎのように日本共産党への期待を語ったのもうれしいことでした。

 「私は、自民党公認で千葉県議を30年つとめました。しかし、今回の参院選比例代表で日本共産党に躍進してほしいと思っています。自民党の私がなぜ?と思われるでしょうが、憲法9条を変えてはならないという信念からなのです。……私のような戦争体験者からみると、今の自民党は危うい。総選挙に勝って、おごり、『暴走』していて、“ブレーキ役”が必要です。憲法9条を守るという一点で、日本共産党にその“ブレーキ”になってほしい。期待しています」(拍手)

 毎週金曜日の首相官邸前行動など、原発ゼロの運動をともにたたかってきた人々のなかから、「この党と候補ならば信頼できる」、「この人たちを何としても当選させなくてはならない」、「原発ゼロを願う市民はこぞって日本共産党へ」とよびかける状況も生まれました。その中からはこうした声も寄せられました。

 「共産党は独善的だ、かたくなだと言われるけれども、そうは思わない。少なくとも、おいらが3・11後に知り合った共産党の人たちは、話し合って一緒になっていける方ばかりだった。自己を強く押し出すことなく、縁の下の力持ちで尽力してくださることが多かった。思い込みからは抜け出した方がいいと思うよ」(拍手)

 私たちは、さまざまな「一点共闘」に参加するさいに、つねに運動の一致点を大切にして、運動の発展のために誠実に力をつくす、必要なときには「縁の下の力持ち」としてがんばるという姿勢をつらぬいてきました。そのことが、日本共産党への信頼を広げていることは、たいへんにうれしいことではないでしょうか。(拍手)

 日本共産党は、単独政権ではなく、民主連合政府という連合政権をめざしています。その場合の連合の相手は、どこから出てくるでしょうか。革新懇型の共同――日本共産党と無党派の方々との共同が、いよいよ本流となってくることは、まちがいありません。同時に、いま「一点共闘」をともにたたかっている、これまでの保守の立場にあった人々や、さまざまな自発的な運動にとりくんでいる人々のなかからも、連合の相手が生まれてくるという展望をもってもよいのではないでしょうか。(拍手)

 そして、そうした動きともあいまって、私たちは、政党戦線においても、一定の時間はかかっても、日本共産党との連合の相手が必ず出てくるという確信をもっています(拍手)。みなさん、そういう展望をもって、さまざまな国民運動の発展のために、さらに力をつくそうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

強く大きな党づくり――若い世代の大奮闘とインターネット選挙での健闘について

 第三の教訓として、草の根で国民と結びついた強く大きな党づくりへの努力をあげたいと思います。

 率直にいって、この分野のとりくみは、私たちの活動のなかでも最も遅れた分野となっています。同時に、そのなかでも、この数年来とりくんできた党員拡大を根幹とする党勢拡大の運動、「綱領・古典の連続教室」、職場支部や青年・学生分野での活動強化のためのとりくみなどが、この選挙戦のなかでさまざまな形で力を発揮し、新しい分野を開拓する力となっていることは、注目すべきだと思います。

 私は、きょうは、選挙戦のなかで大きな力を発揮した二つの分野についてのべさせていただきたいと思います。

 一つは、若い世代がこんなに輝いた選挙はなかったということであります。(「そのとおりだ」の声、大きな拍手)

 日本共産党の参議院選挙の候補者は、比例代表と選挙区で合計63人でしたが、そのうち30代の候補者が16人と25%を占めています(拍手)。都議選でも候補者の42人のうち、20代、30代の候補者が12人と28%を占めています。参議院選挙では、被選挙権ぎりぎりの30歳の吉良よし子さんが当選し、都議選でも、被選挙権ぎりぎりの25歳の米倉春奈さんが当選を勝ち取った(拍手)。これ以上若い議員はありえないわけであります。(笑い、拍手)

 もちろん、ベテランの候補者のみなさんもふくめて、世代をこえてわが党の候補者は魅力と実力のある候補者ばかりでありますが、そのなかでも若い候補者のみなさんが、自らの体験や思いと重ねて、有権者に党の姿を訴えぬいた奮闘は、多くの有権者のみなさんに日本共産党の未来が洋々と開けていることを感じさせるものとなったのではないでしょうか。(大きな拍手)

 青年への訴えのなかで、とくに強い共感が寄せられたのは、原発問題や憲法問題とともに、雇用の問題でした。若者を使い捨てにする「ブラック企業」をなくせという訴えは、選挙の一大争点となり、若者の党への期待と関心を大きく広げました。東京など各地で作成された「ブラック企業」追及のビラ、中央で作成した「ブラック企業にお仕置きよ」のビラは(笑い)、大反響をよび、多くの若者に吸い込まれるように受け取られ、よく読まれました。

 私は、この選挙で素晴らしい活躍をした若い世代が、一人ひとりの個性をのびのびと発揮して成長することを心から願うとともに、日本共産党が党をあげて若者たちの悩みや苦しみに心をよせ、その解決のために若者とともにたたかう決意をのべるものであります。(大きな拍手)

 いま一つは、解禁となったインターネット選挙での日本共産党の健闘であります。

 毎日新聞と立命館大学が選挙後おこなった共同研究によりますと、選挙期間中、各党候補者が短文投稿サイト「ツイッター」で投稿=ツイートした件数――すなわち「発信」した件数を政党別に集計すると、共産党が1万100件と、2位の維新の会の6600件を大きく引き離し、群を抜いてトップとなっています(拍手)。さらに、これらのオリジナルのツイートがツイッター利用者によってリツイート=引用や転送された件数――いわゆる「拡散」された件数も、共産党が23万2200件と、2位の自民党の7万1100件を大きく引き離し、群を抜いてトップとなっています(拍手)。ツイッターでは「発信力」も、「拡散力」も、日本共産党が第1党だったのであります。(拍手)

 ネット選挙での日本共産党の健闘には、私は二つの要因があったと思います。

 一つは、党の持つ草の根の力がここでも発揮されたということです。ネット選挙の解禁をうけて、党員と支持者のなかで、若い世代も、高齢の世代も、これへのとりくみが急速に広がり、党や候補者の発信するツイートを、積極的にリツイートし、広い有権者のなかに拡散するとりくみがおこなわれました。苦労して築いてきた草の根の力が、ここでも威力を発揮したのではないでしょうか。(拍手)

 いま一つは、日本共産党が、インターネットで発信するに足る内容のある政策をもっているということであります(拍手)。自民党もかなり大掛かりにネット対策をやったようでありますが、内容のある政策がなくては(笑い)、いくらツイッターなどで「発信」しても、共感や関心がもたれず、リツイート=「拡散」していきません。

 今回の選挙では、日本共産党は、「カクサン部!」という特設サイトをネット上に立ち上げ、「ただしい政策、たのしい政治」を発信いたしました。「ブラック企業」の根絶を訴える「雇用のヨーコ」、経済問題を縦横に語る「がまぐっちゃん」、沖縄問題で怒りを語る「しいさあ」――私と血縁関係はないとのことであります(笑い)、などのキャラクター8人が、ネット上で党の政策や情報を発信して注目をあびました。「雇用のヨーコ」にふんする人が全国各地に現れました。私も池袋で遭遇してビックリしました(笑い)。アメリカの新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」が、この話題を1面に載せて(紙面を示しながら)、「雇用のヨーコ」が載っています――、「共産党ほど徹底したネット戦略を繰り広げている政党はどこもない」と報じました。「カクサン部!」が、一気にアメリカにまで「拡散」した(場内爆笑)のは、うれしいことではないでしょうか。(笑い、拍手)

 今回の取り組みは、第一歩のものでありますが、インターネットという媒体が、日本共産党にとって大いなる可能性をもった媒体であることが明らかになったことは大切だと思います。みなさん、ここにも日本共産党のもつ草の根の力と、政策の力が示されていることに確信をもって、この新しい分野での活動をさらに開拓し発展させていこうではありませんか。(拍手)

“第3の躍進”を本格的な流れにするために

 みなさん。今回の参議院選挙の結果をどうみるか、その歴史的意義と三つの教訓についてお話ししてまいりましたが、開始された“第3の躍進”を一過性のものに終わらせず、いかにして本格的な流れに発展させていくか。それは新たな探求と挑戦がもとめられる大事業であります。

 これまでは、日本共産党が躍進を勝ち取るたびに、反動勢力の側は、日本共産党を封じ込める反共作戦を発動し、私たちは後退・停滞を余儀なくされてきました。今回の躍進にさいしても、反動勢力は必ずや新しい反共作戦をもってこたえるでしょう。そうでなければ反動勢力とはいえません(場内爆笑)。私たちは、そのことも覚悟して、どんな攻撃があっても、それを突破して前途を開く決意をもってのぞみたいと思います。(大きな拍手)

 私たちは、この成果にいささかも安住せず、躍進を持続・発展させ、“第3の躍進”を本格的な流れにするために、つぎの三つの努力方向を堅持して奮闘したいと思います。

抜本的対案を掲げ、安倍政権の暴走と正面から対決する

 第一の努力方向は、抜本的対案を掲げ、安倍自公政権の暴走と正面から対決する野党としての役割をしっかりと果たすことであります。

あらゆる分野で「暴走リスト」が目白押し

 参議院選挙の結果、自公両党で参議院の過半数を確保した安倍政権は、さっそくあらゆる分野で暴走の姿勢をあらわにしています。今年の秋から、来年の通常国会を展望しますと、つぎのような「暴走リスト」が目白押しであります。

 消費税の大増税について、安倍政権は、来年4月からの消費税増税について、今年4~6月期の経済指標が出そろう臨時国会前の9月にも判断するとしています。総額13・5兆円という史上空前の大増税とのたたかいは、待ったなしの課題となっています。

 雇用の問題では、解雇が自由になる「限定正社員」の導入、残業代ゼロの「裁量労働」の拡大、労働者派遣法の改悪などについて、秋から審議会での議論を開始し、来年の通常国会への法案提出をねらっています。

 社会保障の問題では、生活保護の引き下げが強行され、さらなる法改悪がたくらまれるとともに、政府の社会保障制度改革国民会議が8月にとりまとめた最終報告書にそって、医療費の窓口負担増、年金支給額の削減と支給開始年齢の引き上げ、介護の要支援者の切り捨てと利用料のアップなど、手あたり次第の切り捨てが強行されようとしています。

 原発の問題では、福島第1原発で放射能汚染水が海にどんどん漏れ出すという深刻な危機的事態が起こっているにもかかわらず、原発再稼働への暴走が始まっていることは許すわけにはまいりません。(「そうだ」「許すな」の声、大きな拍手)

 TPP問題は、日本政府が交渉会合に公式に参加し、守秘義務の契約書に署名させられる一方、農産物の重要品目を関税撤廃の例外にすることを主張もしないなど、秘密のうちに売国的交渉がすすめられるもとで、重大なヤマ場を迎えています。

 憲法の問題では、まずは集団的自衛権の行使をできるように政府解釈の変更をおこなうところから、憲法改悪への駒をすすめようという動きが、選挙後、急浮上しています。

 米軍基地問題では、沖縄で米軍機の墜落事故が起こり、米軍基地との共存は不可能だということが目の前で実証されたにもかかわらず、政府は、県民の総意を踏みつけにして、オスプレイの配備、辺野古への新基地建設をゴリ押しする態度を変えておりません。

国民多数の世論と運動で、安倍政権の暴走を包囲、孤立、破綻に追い込もう

 みなさん、主要なものだけでも、これだけの「暴走リスト」が並びます。

 私が強調したいのは、これらのすべてが国民多数の声に逆らうものとなっていることであります(大きな拍手)。どんな世論調査でも、消費税増税、原発再稼働、憲法9条改定には、国民の5割から6割が反対の声を突きつけています。TPPの問題では、「オール北海道」で反対の声があがるなど、全国各地で地域ぐるみの反対運動が広がっています。沖縄へのオスプレイ配備と新基地建設には、「オール沖縄」で揺るがぬ反対の意思が突き付けられているではありませんか。国民多数が「ノー」といっているものをゴリ押しすることは民主主義の国で許されるものではありません。(「その通り」の声、大きな拍手)

 いま一つは、この「暴走リスト」のどれ一つをとっても、国民の信任を得ていないということであります。安倍首相が、参院選で語ったのは、もっぱらアベノミクスについて、あれこれの都合のよい数字を並べ立てて自慢話をすることばかりでした。党首討論でも毎回同じことをいうものですから、私もすっかり覚えてしまったものです(笑い)。首相は、消費税も、原発も、TPPも、憲法も、基地も、すべて自らは語らず、隠したまま選挙をやり過ごしたというのが実態だったではありませんか。国民は、安倍政権に「白紙委任状」を与えたわけでは決してない――私は、このことをはっきりと強調しておきたいと思います。(大きな拍手)

 私は、心からよびかけたい。

 安倍内閣による空前の規模での暮らしと平和、民主主義を破壊する暴走を阻止するために、あらゆる分野で空前の規模での壮大な国民運動をおこそうではありませんか。(歓声、大きな拍手)

 国民多数の世論と運動によって、安倍政権の暴走を包囲し、孤立させ、破たんに追い込もうではありませんか。(歓声、大きな拍手)

 日本共産党は、どの問題でも抜本的対案を示しつつ、暴走と正面から対決し、国民運動と連帯して最後までたたかいぬく決意をこの場で表明したいと思います。(大きな拍手)

消費税大増税――わずか3カ月の経済動向で空前の大増税を判断する無謀と無責任

 ここで「暴走リスト」の個々の問題のすべてに立ち入って言及することはできません。それをやっていると時間が果てしなくのびてしまいます(笑い)。私は、とくに二つの問題について、さらにのべておきたいと思います。

 一つは、消費税大増税の問題であります。

 安倍政権は、来年からの消費税増税の実施について、4~6月期の経済指標を踏まえて判断するとしています。しかし、そもそも、13・5兆円という史上最大の増税を、わずか3カ月間、今年1月から数えても半年間程度の経済動向で判断すること自体が、責任ある政治のすることでしょうか。

 1997年に消費税を5%に増税したさいには、国民の所得は実は着実に増えていました。増税前の4年間に平均年収は21万円増えていた。それでも、消費税増税を含む9兆円の負担増によって、家計の底が抜け、大不況の引き金を引く結果となりました。

 今回はどうか。日本経済は、長期にわたる「デフレ不況」に陥っています。1997年をピークに国民の所得はずっと減り続け、平均給与は年収で約70万円も減少しました。これだけ大きな痛手を長期間にわたって受けている国民のみなさんの懐から、史上最大の大増税で所得を奪い取る。その結果がどうなるかは、すでに火を見るよりも明らかではないでしょうか。それは、国民の暮らしと経営を破壊するだけでなく、日本経済を奈落の底に突き落とし、財政危機もいっそうひどくすることになることは、誰が考えても明らかではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 どのような経済政策をとるか、その立場は別にしても、「失われた20年」と言われるほどの長期の後退、低迷に陥っている日本経済で、わずか3カ月程度の足もとの経済動向で、大増税を判断すること自体がどんなに無謀で無責任であるかは、あまりにも明瞭ではないでしょうか。

 みなさん、ただちにたたかいに立ち上がろうではありませんか。暮らしも、経済も、財政も壊す消費税大増税を中止せよ――この世論と運動を日本列島の津々浦々からただちにおこし、増税の実施を何としてもくいとめようではありませんか。(大きな拍手)

集団的自衛権――現実の政治の土俵で議論するうえでの三つの視点

 いま一つは、選挙後、急浮上した集団的自衛権の問題です。

 安倍政権が、集団的自衛権をめぐるこれまでの政府の憲法解釈を無理やり変えるとともに、そのための立法措置をとろうとしていることは、きわめて重大です。

 首相が、そのために、内閣法制局長官の首を切って、集団的自衛権行使容認派に強制的にすげ替えるという乱暴きわまるクーデター的やり方を強行したことは、法治国家を土台から揺るがすもので、断じて許されません。(拍手)

 集団的自衛権の問題は、あれこれの架空のシミュレーションの議論でなく、現実の政治の土俵で議論することが重要であります。私は、そのために次の三つの視点が大切だと考えます。

 第一は、「集団的自衛権」といいますが、ここで問題になっているのは、日本の「防衛」のためでも、アメリカ本国の「防衛」でもないということであります。

 これまでの世界の歴史で、国連憲章第51条にもとづく「集団的自衛権」が発動されたのは、アメリカのベトナム侵略戦争、旧ソ連によるチェコスロバキアとアフガニスタンへの侵略、アメリカとNATO(北大西洋条約機構)による2001年のアフガニスタンへの報復戦争などであります。

 どれも「自衛」とはまったく関係がないではないですか。「集団的自衛権」は、いかなる意味でも「自衛」とは無関係の、大国による無法な侵略戦争、軍事介入の口実に使われてきたというのが、世界の歴史の事実であることを、私は、まず強調したいと思うのであります。(拍手)

 第二は、日本の政治の歴史でも、「集団的自衛権」は、アメリカの海外の戦争への日本の派兵との関係でもっぱら問題になってきました。

 日本の現実の政治を見れば、「集団的自衛権」が現実に問題になったのは、2000年10月にアーミテージ元国務副長官らが、“集団的自衛権の行使に踏み切れ”と迫ったのが出発点でした。

 その後、米国が、2001年にアフガニスタンへの報復戦争を始めると、ブッシュ政権の強い圧力で、インド洋・アラビア海に自衛艦が派遣されることになりました。2003年にイラク侵略戦争を始めると、再び米国の強い圧力で、イラクのサマワに自衛隊派兵がおこなわれました。

 アフガンやイラクへの日本の派兵が問題になるたびごとに、「集団的自衛権」が問題にされてきたということが、日本の政治の実際の動きでありました。日本の自衛隊の海外派兵と一体に論じられてきたのがこの問題なのです。

 第三に、それでは、「集団的自衛権」の現実の狙いは何か。一連の海外派兵立法の「歯止め」をはずして、自衛隊が、アメリカの対外戦争で戦闘地域まで行って米軍とともに戦争行動を行うこと――ここにこそ現実の狙いがあります。

 日本は、アメリカの圧力で、インド洋・アラビア海やイラクに自衛隊を派兵しましたが、アフガニスタン戦争を支援するための「テロ特措法」でも、イラク戦争を支援するための「イラク特措法」でも、条文第2条には、共通してこう書かれていました。「(活動は)武力の行使にあたるものであってはならない」、「(活動地域は)戦闘地域であってはならない」。このように明記されていました。ですから、イラクに自衛隊を出したときも、時の小泉首相は「戦闘地域には行かない」、「後ろで水をまいているだけです」(笑い)と言っていました。そういう「歯止め」があったのです。

 政府が、「集団的自衛権」の行使は憲法9条に照らして許されないと言明してきたために「歯止め」がかかっていたのです。「集団的自衛権」の現実の狙いは、この「歯止め」をはずして、日本が米国とともに海外で何の制約もなく戦争をおこなうことにあります。みなさん、これが本当の狙いです。

 日本を海外で戦争をする国につくりかえる――ここにこそ「集団的自衛権」問題の本質があることを広く明らかにし、この企てを打ち砕くために全力をあげようではありませんか。頑張りましょう。(「頑張ろう」の声、拍手)

日本共産党の路線、理念、歴史を丸ごと理解していただく活動を

 第二の努力方向は、日本共産党の路線、理念、歴史を丸ごと理解していただく活動を、日常不断の活動として強めることであります。

「綱領を語り、日本の前途を語り合う集い」を日本列島のすみずみで

 さきほど、テレビ東京の番組に出演した話をいたしましたが、この番組では共産党に投票した有権者に、その理由を聞いたVTRが流されました。「一番まとも。頑張ってほしい」という声から、「(主張が)通る、通らないは別として、(自民党に)強く言ってくれるといったらここしかない」という声から、さらに、「共産党は好きではないけれども、こちら(自民党)が勝ち過ぎたらいけないから」という声までありました。

 番組ホストの田勢さんから、「『共産党は好きじゃない。でも他に期待できるところがないから入れた』という方も、相当、いるような気がしますよね」と問われて、私は、「たくさんいらっしゃると思います。そういう方々には、今度は共産党を丸ごと好きになってもらうような努力をしたい」とお答えをいたしました。(笑い、拍手)

 「共産党を丸ごと好きになってもらう」といった場合に、その一番の土台になるのは、私たちの綱領がさししめす日本改革の方針――異常な「アメリカいいなり」と大企業・財界の横暴な支配を打破して、日本の本当の独立と、政治・経済・社会の民主主義的な改革を求める声を、国民多数の声にしていくための努力であります。

 そのために、私たちは、新しい情勢のもとで「綱領を語り、日本の前途を語り合う集い」を大中小の規模で、日本列島のすみずみで網の目のように開いて、私たちも直接それに参加いたしまして、多くの国民のみなさんとひざを突き合わせて語り合っていくとりくみを、大いに発展させていく決意であります。(拍手)

「日本共産党は、旧ソ連、中国と同じではないか」という疑問にたいして

 私たちは、このとりくみのなかで、国民のみなさんのさまざまな疑問にこたえて、党の丸ごとの姿――全体像を縦横に語っていきたいと思います。きょうは、よく出される二つの疑問について、お話しさせていただきたいと思います。

 一つは、「日本共産党は、旧ソ連、中国と同じではないか」という疑問であります。

 旧ソ連については、スターリン以来の横暴な覇権主義――日本の運動への干渉、チェコスロバキアやアフガニスタン侵略などに対して、日本共産党は、「こんなやり方は社会主義とは縁もゆかりもない」と頑強にたたかい続けた自主独立の党であります(拍手)。スターリン以後の旧ソ連のような、「社会主義」の看板を掲げながら、人間の自由を抑圧し、他民族の自由を抑圧する暴圧の再現は、絶対に許さないというのが、日本共産党の確固とした立場であります。(拍手)

 それでは中国はどうか。私たちは、いまの中国を“社会主義に到達した国”とは見ておりません。中国では、「社会主義をめざす新しい探究」がおこなわれていますが、そこには「政治上・経済上の未解決の問題」がたくさんあります。私たちは、それらの問題については、節度を守りながら、節々で、いうべきことを率直に先方に伝えてきました。

 たとえば1998年7月、日中両党関係を回復した最初の会談で、当時の不破委員長は、「言論による体制批判にたいしては、これを禁止することなく、言論で対応するという政治制度への発展を展望することが、重要だと考えます」と表明しています。中国指導部に対して、将来の政治制度の問題について、率直に意見を伝えた党というのは、私は、日本共産党以外にないと思います。(拍手)

 最近では、尖閣諸島問題で、2012年9月、私は、駐日中国大使と会談し、日本の領有の正当性を主張するとともに、日中双方が、物理的対応の強化や、軍事的対応をきびしく自制し、冷静な外交交渉によって解決することが重要だという立場を伝えました。この問題でも、こうした理性的で冷静な活動をおこなっているのは、日本共産党だけだと考えております。

 日中両国、日中両国民の友好関係を願いつつ、節度を守りながら、いうべきことは先方に率直にいう――これが日本共産党の立場であるということを強調したいと思います。(拍手)

 日本の未来の問題についていえば、私たちは、綱領のなかに、「社会主義・共産主義の日本では、民主主義と自由の成果をはじめ、資本主義時代の価値ある成果のすべてが、受けつがれ、いっそう発展させられる」という確固とした方針を明記しています。

 さらに、綱領では、「『社会主義』の名のもとに、特定の政党に『指導』政党としての特権を与えたり、特定の世界観を『国定の哲学』と意義づけたりすることは、日本における社会主義の道とは無縁であり、きびしくしりぞけられる」ことも明記しています。

 いま、中国・ベトナム・キューバなどでは、旧ソ連型の政治体制――すなわち共産党に特別の指導的地位を認めるという体制をとっておりますが、日本では未来にわたってそのような体制は絶対にとらないことを、日本共産党は、綱領できっぱりと宣言しているのであります。(拍手)

「日本共産党が、党名を変えないわけはなぜか」という疑問にたいして

 さてみなさん、いま一つは、「日本共産党が、党名を変えないわけはなぜか」。よくだされる疑問であります。

 私は、選挙後、TBSテレビの「情報7days」という番組に出演する機会がありました。「○」と「×」の札で一連の質問に答えるというインタビューを受けました。

 その一つに、「共産党という名前で損をしていると思っていますか」という質問があったのです。私は、もちろん「×」の札をあげました。理由を問われまして、「私たちの名前は、ぶれない、筋を通すということの象徴なのです。ころころ変える政党では信頼できないでしょう」とお答えいたしました。そうしますと、スタジオでコメンテーターをやっていた教育学者の斎藤孝さんが、「名前はやっぱりアイデンティティーだから、ころころ変えると危険な面もありますね。社会党が名前を変えて社民党になってしまうと、どこか一貫性が欠けていると思われてしまう。老舗というのは名前を変えないほうが成功するといえますね」(拍手)というコメントをのべていました。どうやら納得していただけたようであります。(笑い)

 いま多くの党が、党をつくったり壊したり、くっついたり離れたりというなかで、名前を変えないことが日本共産党の一貫した姿を象徴するものとなっているのではないでしょうか。(大きな拍手)

 そのうえで私は、さらに二つの点を強調したいと思います。

 第一は、日本共産党という名前は、党をつくって91年、「反戦平和」「国民主権」の旗を命がけで守り抜いてきた、不屈の歴史と固くむすびついているということであります(拍手)。私は、今日の情勢のもとで、この歴史は輝きを増していると思います。

 この間、安倍首相による「村山談話」見直し発言、麻生副総理によるナチズム肯定発言など、過去のファシズムや侵略戦争を肯定する歴史逆行の動きがあいついでいます。安倍首相は、「価値観外交」なるものを標ぼうしておりますが、国際政治のうえで「価値観」を問題にするならば、何よりも過去の日本とドイツとイタリアによるファシズムと侵略戦争を断罪し、二度と繰り返してはならないとする「価値観」こそが、体制のいかんを問わず人類共通の「価値観」ではないでしょうか(拍手)。この「価値観」を覆そうという歴史逆行の立場にたつものは、国際政治に参加する資格はないということを強調しなければなりません。(大きな拍手)

 こうした流れとは対照的に、日本共産党は、戦前の暗い時代から、この人類共通の「価値観」の側にたって不屈にたたかい続けてきた党であり、日本共産党という党名は、多くの先人の不屈のたたかいが刻み込まれた名前であるということを、私は心から訴えたいと思うのであります。(大きな拍手)

 第二に、私たちは、人類が将来、資本主義のさまざまな矛盾をのりこえて、未来社会――社会主義・共産主義社会にすすむことを展望しています。

 新しい綱領を決めた2004年の第23回党大会の結語で、当時の不破議長は、未来社会について次のようにのべました。

 「この未来像の特質はなにか。一口に言えば、人間の自由、人間の解放であります。人間が、社会の主人公として、人間の外にあるどんな外力にも従属することなく、どんな搾取も、どんな抑圧も、どんな差別もなしに、たがいに協力しあいながら、人間社会と私たち人間そのものの躍進を実現してゆく社会。そこで人類の限りなき前進という、未来が開けてゆく社会、これが私たちのめざす未来像であります。この社会を描きだすさいに、大先輩であるマルクス、エンゲルスは、人間の『自由』という言葉を、いく度くりかえしたことでしょう」

 私たちの綱領は、2003年6月の中央委員会総会で、改定案の提案がされ、それにもとづく全党討論がおこなわれ、さらに大会での報告と討論によって、マルクスとエンゲルスが本来めざしていた未来社会像が明らかにされ、深められていきました。そして、すべての討論をふまえた結語で、綱領が照らし出す人類社会の未来像とは、「一口にいえば、人間の自由、人間の解放であります」ということがズバリ表明されたことを、私は強い印象と大きな感動をもって受け止めたことを思い出します。

 日本共産党という名前には、91年の不屈の歴史とともに、未来社会の理想がこめられております。

 みなさん、この旗を高く掲げて、さらなる前進・躍進をかちとろうではありませんか。(大きな拍手)

希望ある未来を開く強く大きな党を――入党を心から訴えます

強く大きな党をつくることこそ“第3の躍進”を本格的な流れにする最大の保障

 第三の努力方向は、希望ある未来を開く強く大きな党をつくるということであります。

 この点で、私が、率直に訴えたいのは、参議院選挙でつくりだされた党の政治的影響力の広がりと、私たちの党のもっている自力――党員や「しんぶん赤旗」の読者などの党勢との間には、大きなギャップがあるということであります。

 さきにもお話ししたように、今回の参議院選挙の結果、私たちは、得票の面では、綱領実現――民主連合政府樹立をめざす「成長・発展目標」で、「10%以上の得票率」の獲得にむけて大切な一歩前進をかちとりました。10の都道府県、550の市区町村が、得票率で10%を超えたというのは、みんなの力でかちとった重要な成果であります。

 同時に、私たちは、「10%以上の得票率」を獲得するために、全国どこでも「有権者比で0・5%以上の党員と日刊紙読者、2%以上の日曜版読者」という党勢をきずくことを目標としています。この目標にてらしますと、この水準を上回っているのは、党員では京都と高知だけ、日刊紙読者では京都だけであり、日曜版読者では2%をこえた県は一つもありません。選挙でえた得票と党勢との間には大きなギャップがあるのであります。

 このギャップを埋めて、どんな情勢が展開しようと、自力で前途を切り開く強く大きな党をつくることこそ、開始された“第3の躍進”を一過性のものに終わらせず、大きな流れにしていくための最大の保障があります。このことを、私たちは肝に銘じて、知恵と力をつくしてこの大事業に挑戦する決意を申し上げたいと思います。(拍手)

 今回の選挙をともにたたかってくださった後援会員、「しんぶん赤旗」の読者、党支持者のみなさん。今回の選挙で支持を寄せてくださった515万人の有権者のみなさん。さらに、今回の選挙の結果をみて日本共産党に新たな関心や期待を寄せてくださっているみなさん。日本共産党を強く大きくすることこそ、自民党政治のゆきづまりを打開し、国民だれもが希望をもって生きることができる新しい日本をつくる最大の力であります。開始された“第3の躍進”を本格的な大きな流れにし、2010年代に「成長・発展目標」という第一の峰をのぼりきり、さらに民主連合政府の樹立という大目標の実現をはかる――この歴史的大事業をともに手を携えてすすもうではありませんか。(大きな拍手)

 そのために、日本共産党に入党し、また「しんぶん赤旗」のご購読をしていただくことを、私は、心から訴えるものであります。(大きな拍手)

韓国から届いた熱烈な「お祝いのメッセージ」

 みなさん。日本共産党の躍進は、日本だけの問題ではありません。アジアと世界の平和と進歩にとっても、大きな意義のあることです。

 この間、私の本で『日本共産党とはどんな党か』(2007年、新日本出版社)が韓国語に訳されまして、(本を掲げて)これですが、『いま、日本共産党』というタイトルで出版されました。きれいな朱色の装丁に仕上げていただきました。

 韓国のさまざまな識者から書評が寄せられましたが、著名な映画監督として知られる鄭胤澈(チョン・ユンチョル)さんの書評は、とりわけ感銘深いものでありました。鄭監督は、6月に寄せてくれた書評のなかでこうのべていました。

 「この本を読んで、今年でなんと結成91周年を迎える日本共産党は、その恐ろしい(?)名前とは異なり、日本社会の真の良心であり、希望であり、大きな祝福であることを悟ることになった」、「真の友達とは最も厳しい時代に、手を差し伸べてくれるものであろう。韓国人たちが一番大変だった過去の帝国主義の日本の植民地時代、ひたすら日本共産党だけがこれに反対し朝鮮の解放を主張したという事実は、日本共産党が韓国人たちと一番親しい友達であり、強固な連帯勢力であることを感じさせられた」、「あなたたちの毅然(きぜん)とした勝利は日本だけではなく、アジアの真の平和と幸福をもたらすもの」。こうのべて、「くれぐれも、7月の選挙で同志たちのうれしいニュースが聞こえてくることを、心から祈っている」と躍進への期待を語ってくれていました。(拍手)

 その鄭監督から、3日前に、参院選躍進について熱烈な「お祝いのメッセージ」が届けられたことを、最後に、ご報告させていただきたいと思います(拍手)。鄭監督は、「万歳! 参議院選挙大躍進、万歳!」と喜びを語りながら、つぎのようなメッセージを寄せてくれました。

 「日本共産党が参議院選挙で見せてくれた驚くべき跳躍は、韓国の進歩政治に勇気を与える一大快挙です。韓国の進歩政治が、日本共産党は一体どのように国民の心を動かすことができたのか、どのように政党交付金を一銭も受けとらずに自力でここまで驚くべき成果をあげられたのか、一体何が90年間彼らを強く生き抜けるようにしてくれたのか、彼らがどんなに大きい夢を見ているのかを学べば、それは韓国の進歩勢力にとって大きな力となることは間違いありません。……私は、夢見ています。10年後、結成100周年を迎える年に皆様が日本政治の新たな主役として登場する感激的な瞬間を!(大きな拍手)……私はその夢が必ずかなうと確信しています」(大きな拍手)

 海を隔てた韓国からも、日本共産党の躍進は、「韓国の進歩政治に勇気を与える一大快挙」、日本共産党が「日本政治の新たな主役」になってほしい、早く政権を担ってほしいという熱いエールが送られてきたことは、本当にうれしいことではないでしょうか。(拍手)

日本国民の希望と幸福、アジアと世界の平和と社会進歩をめざして

 みなさん。開始された日本共産党の“第3の躍進”を、日本の政治を変える大河のような大きな流れにすることができるかどうか。変革者の党としての私たちの真価が試されております。この事業を成功させることは、日本国民に希望と幸福をもたらすことはもとより、アジアと世界の平和と社会進歩への貢献ともなるものであります。

 みなさん。そのことを胸に刻んで、日本共産党のさらなる前進・躍進のためにともに力をつくそうではありませんか。(「よし」の声、大きな拍手)

 私もその先頭に立ちがんばりぬく決意を表明して講演を終わります。(大きな拍手)

 日本共産党創立91周年万歳!(会場から「万歳」の声)

 ありがとうございました。(鳴りやまぬ大きな拍手)