2013年5月19日(日)

革新共同の3目標の実現をめざす日本共産党躍進こそ

全国革新懇総会 志位委員長の発言


 18日の全国革新懇総会で、日本共産党の志位和夫委員長(代表世話人)がおこなった発言は次の通りです。


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(写真)発言する志位和夫委員長=18日、東京都千代田区

 みなさん、こんにちは。共産党の志位和夫でございます。

 総会の議案書は、参議院選挙について、「全国革新懇は特定政党の支持をしませんが、3目標の実現をめざす政治勢力の躍進を強く期待します」とのべています。さきほども、(報告者の)三上満さんから、その部分を力強く読みあげていただきました。ここで「強く期待」されているのは、政党としては私たち日本共産党だと考えておりますので(笑い、拍手)、参議院選挙にむけて、いまの情勢をどうとらえ、どうたたかうかについて、議案書を深める立場で発言したいと思います。

アベノミクス――貧困と格差を拡大する経済政策

 この8日に、私たちは第7回中央委員会総会を開きまして、安倍政権発足から5カ月たって、この政権の特徴は「暴走と破たん」にあるという分析をいたしました。すなわち、あらゆる分野で暴走を始めたけれど、走り出すはなからボロボロとボロが出て、破たんが起こっているという分析をいたしました。

 最大の「売り物」にしているアベノミクスはどうでしょう。一昨日、1〜3月の経済指標が発表されました。しかしよく見てみますと、雇用者報酬は前年比0・3%の減少です。三大銀行グループの中小企業への貸出比率は最低まで落ち込みました。企業の設備投資は5期連続減少です。つまり、日銀が一万円札をどんどん刷って、お金をジャブジャブ供給するといったけれども、回るべきところにお金が回っていないではないですか。給料と中小企業と企業の設備投資という、回るべきところにお金が回っていない。実体経済は冷え込んだままだというのが、はっきりしました。

 そのうえ、急激な円安で、食料品、日用品、燃油などが高騰し、庶民生活をじわじわと痛めつけております。大もうけしているのは、内外の投資家と富裕層です。結局、アベノミクスというのは、貧困と格差を拡大する、そういう方向に働く経済政策だということがはっきりしてきたのではないでしょうか。「大企業の内部留保の一部を使って、賃金を引き上げて、景気回復をはかれ」という抜本的対案を大いに掲げて、頑張りぬく決意を申し上げたいと思います。(拍手)

安倍首相の改憲戦略に矛盾と動揺――ここで破たんに追い込もう

 憲法改定の問題で安倍首相は、9条改憲を目的にしながら、「憲法96条だったらハードルが低いだろう」「形式論だから、国民の賛成を得られるだろう」という浅はかなもくろみで、ことを進めてみたわけですが、そうはいかなかった。

 96条改定は、「立憲主義を根本から壊す」「憲法が憲法でなくなってしまう」「これは邪道だ」というような厳しい批判が、9条改憲派の人たちからもだされて、彼らはこの問題で動揺のさなかにあります。

 まずここで、9条改定への道を突破しようとでてみたけど、たいへんな反対に出合って、動揺するというところまで追い込んだわけですから、この出ばなを徹底的にたたいて破たんに追い込めば、憲法9条などとても手をつけられなくなります。ですから、ここは大いに、「96条改悪許すな」という一点で力をあわせ、同時に、憲法9条を守り、生かすたたかいを発展させていきたいと考えています。

歴史問題――安倍発言の二つの重大問題を引き続き追及する

 そして、歴史問題です。4人の閣僚の靖国参拝、安倍首相が「村山談話」の見直しの動きに内外の批判がたかまり、にっちもさっちもいかなくなっています。

 一部メディアが、首相の「村山談話」見直し問題について、「首相は村山談話の継承へと立場を修正した」と伝えていますが、これはミスリードであります。国会論戦のなかで、二つ事実としてはっきりしていることがありますので、みなさんにご報告しておきたいと思います。

 第一に、首相は、「侵略の定義は定まっていない」という発言については、いっさい撤回していません。

 第二に、「村山談話」の一番の核心部分はどこかといえば、「国策を誤り」「植民地支配と侵略」をおこなったという部分にあるわけですが、この核心部分を引き継ぐかと国会論戦で何度ただしても、それを明示的に引き継ぐとはかたくなに言おうとしていないことです。官房長官などが「全体を引き継ぐ」などと、曖昧なことを会見で言ったりもしますが、首相は、「村山談話」の核心部分を明示的に引き継ぐとは絶対に言わないのです。

 ですから、この問題はまったく決着がついておりません。「侵略の定義が定まっていない」ということになったら、日本の戦争を「世界征服」の戦争――侵略戦争だとした「ポツダム宣言を認めないのか」ということになり、戦後の国際秩序の全体の否定になる。だいたい戦争の善悪の区別もつかないような政府では、国際政治に参加する資格はないということを、はっきり言わなければいけないと思います。(拍手)

 この問題は、私たちは絶対にあいまいにしてはならないと決意しています。「侵略の定義は定まっていない」という発言を撤回すること、「村山談話」の一番の核心部分である「国策を誤り」「植民地支配と侵略」をおこなったという部分を明示的に「引き継ぐ」ということ――この2点を、私たちは引き続き厳しく求めていくものであります。

「自共対決」の構図――党躍進が統一戦線のうえでもどうしても必要

 なぜこのように走り出すはなから破たんが起こるのか。やはり土台が腐りきっているからです。「アメリカいいなり」「財界中心」「歴史逆行」――三つのゆがみをもつ古い自民党政治が土台から腐って、いよいよ立ち行かなくなったというのが現状です。古い自民党政治はもはや寿命が尽きているのです。

 ただ、いまの国会では、そういう状況にあるにもかかわらず、日本共産党以外のあらゆる主要な政党が、「自民へ、安倍へ」と、草木がなびくというように、追従する状況となっています。

 民主党は、せっかく野党になったのですから(笑い)、対決したらいいのに、消費税増税を決めた自公民「3党合意」で首根っこをおさえられているために、身動きがとれない状況です。

 維新の会は、さんざん「第三極だ」「既成政党の打破だ」といっておきながら、憲法改定のお先棒をかつぎ、自民党の補完勢力の姿をさらけだしました。そういうもとで、橋下共同代表が「慰安婦は必要」という口にだすのもおぞましいような暴言をする。それから、今日つたえられているところでは、石原共同代表が「(日本がおこなった戦争は)侵略ではない」という暴言をおこなう。内外の激しい批判が集中して、2人そろって“火だるま状態”となっています。

 先日、石原共同代表が自ら「賞味期限を迎えつつある」と言いました(笑い)。そのあと、橋下共同代表が自ら「今年中に消滅するかもしれない」と言いました(笑い)。自ら言ったことが現実になりつつある。この反動集団には、絶対に負けるわけにはいきません。(拍手)

 こういうもとで、安倍内閣の暴走と正面から対決して、抜本的対案を掲げて奮闘しているのは日本共産党であります。自民党対共産党――「自共対決」の構図がはっきりしてまいりました。先ほど、品川正治さんから、「まさに自共対決だ」「対決というより激突だ」という力強い励ましのメッセージが寄せられたというご紹介もありましたが、議案書に書かれている「躍進を強く期待する」という言葉に必ずこたえ、都議選・参院選で躍進を勝ち取る決意であります。革新の三つの共同目標の実現をめざす私たちがいま躍進することが、日本の統一戦線をつくりあげていくうえでも、どうしても必要です。それを心に刻んで奮闘したいと思います。

 政党支持の自由という大原則を守りながら、可能な範囲で、さまざまな協力・共同をお願いしたいということを最後に訴えまして、私の発言といたします。ありがとうございました。(大きな拍手)