2013年2月1日(金)

志位委員長代表質問

日本軍「慰安婦」問題  “文書がないから強制ない” 成り立たない議論

首相否定できず


 志位委員長は31日の代表質問で、日本軍「慰安婦」問題で、軍の関与と強制性を認めた「河野談話」の見直しを安倍首相が主張していることについて、「『河野談話』は強制性を立証する文書を見つけることはできなかったことを前提に、『慰安婦』とされた人たちの証言の真実性にもとづいて、政府として強制性を認めたものです」と指摘し、政府が「談話」を継承する限り、“文書がないことをもって事実がなかった”という議論を「肯定する余地はまったくない」と主張しました。

 このなかで志位氏は、「談話」作成に直接かかわった石原信雄元官房副長官が強制性を立証できる物的証拠はみつけられなかったとしつつも、聞き取り調査を踏まえ「意に反して『慰安婦』とされたことは間違いない」と証言している事実を示しました。

 安倍首相は志位氏の指摘を否定できず、「この問題を政治問題、外交問題化させるべきではない」と述べたものの、「官房長官による対応が適当だ」としました。

 志位氏は「談話」の見直しは、日本の戦争が「不正・不義の侵略戦争だった」という戦後世界秩序の土台を覆し、「日本が世界とアジアで生きていく立場を失うことになる」と厳しく警告しました。


 (資 料)

河野談話

 慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。

石原信雄元官房副長官の証言

 「オーラルヒストリー アジア女性基金」で「慰安婦」問題の強制性について語った石原信雄元官房副長官の証言

 「結局私どもは、通達とか指令とかという文書的なもの、強制性を立証できるような物的証拠は見つけられなかったのですが、実際に慰安婦とされた人たち一六人のヒヤリングの結果は、どう考えても、これは作り話じゃない、本人がその意に反して慰安婦とされたことは間違いないということになりましたので、そういうことを念頭において、あの『河野談話』になったわけです。その調査団の報告をベースにして政府として強制性があったと認定したわけです」


韓国紙、ロイターが報道

 日本共産党の志位和夫委員長が31日に行った旧日本軍「慰安婦」問題での国会質問が、国際的な反響をよびつつあります。

 韓国の主要紙東亜日報と朝鮮日報(共に電子版)は、日本の全国紙を引用する形で、「慰安婦」となった人々への思いは「歴代の総理大臣と変わらない」「(「慰安婦」問題を)政治問題や外交問題にするべきではない」などの安倍晋三首相の答弁を掲載しました。

 ロイター通信は、共産党の志位委員長の質問としたうえで、安倍首相が「筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む」と答え、「首相である私がこれ以上申し上げることは差し控えるのが適当」との考えを示したと報じました。

 「慰安婦」をめぐっては、安倍首相自身が「産経」インタビュー(昨年12月31日付)で、「河野談話」の見直しを表明したことから国際問題となっていました。志位氏から、“文書がないから強制の事実はない”との議論が成り立たないとの追及を受け、自らの発言を封印する形となりました。