2012年6月17日付「しんぶん赤旗」

「二つの害悪」断ち切る改革を

京都・奈良で演説会 志位委員長が訴え


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(写真)壇上で、聴衆の声援にこたえる志位和夫委員長(左から3人目)と衆院候補=16日、奈良市

 民主・自民・公明3党が消費税増税と社会保障改悪の談合で合意、野田佳彦首相が大飯(おおい)原発の再稼働を決定して国民の怒りが沸騰するもとで、日本共産党京都府委員会と同奈良県委員会は16日、志位和夫委員長を迎えて、京都市と奈良市で演説会を開きました。

京都

 時折降る雨をついて開かれた京都市の演説会。衆院近畿比例候補の穀田恵二国対委員長は「今ほど政党の本質が鮮明な時はありません。民主・自民・公明3党が財界の手先であることがはっきりした。共産党が示す提言が閉塞(へいそく)感を打破し、日本の政治を変えます」と力を込めました。衆院小選挙区候補がこもごも決意表明しました。

 官邸を包囲した国民の大きな怒りとエネルギーを受けとめて、国会からかけつけた志位氏が登壇すると、会場いっぱいに集まった参加者から大きな拍手がわきあがりました。

 志位氏は「自民党政治を変えてほしい」という国民の願いを受けて政権についた民主党政権は「裏切りの連続ではありませんか」と切り出しました。14日の「消費税大増税採決に反対する超党派国民集会」に国会議員152人が参加し、民主党議員も多かったことを紹介。集会で志位氏が「野田内閣は消費税(増税)、TPP(環太平洋連携協定)、原発(再稼働)と、自民党とまったく同じになってしまった」と述べ、大勢の民主党議員から「そうだ」のかけ声と拍手が起こったことを語ると、会場は「おーっ」とどよめきました。

 志位氏は、民主党政権が国民を裏切って自民党とまったく同じになったのは、“アメリカ・財界中心”という「二つの害悪」を抜け出せなかったからだと強調。これらを断ち切る大改革を行えば、すばらしい展望が開けると力説しました。

 志位氏は、野田内閣が大飯原発再稼働を決定したことについて、前夜に1万1千人の怒りの声が首相官邸を包囲したことにふれ、「この無謀な決定に、みなさんとともに抗議したい」と表明。「安全神話」の復活と国民への恫喝(どうかつ)で再稼働に突き進むのは断じて許されないと述べ、「『いまからでも再稼働はやめよ』と一緒に声をあげようではありませんか」と呼びかけると、大きな拍手がわき起こりました。

 府板金工業組合の田原茂理事長が来賓あいさつし、「建築の業界はいま本当に大変です。共産党が示すように、内需を拡大し景気をよくしてほしい」と党への期待を語りました。

 入党2カ月の市田里佳さんが党と「しんぶん赤旗」の魅力を生き生きと語りました。

 パン屋で顔見知りになったおじさんの誘いで初めて演説会に参加した同志社大学1年の女子学生(19)は、「共産党は反対するだけでなくて、経済や外交問題で対案を持ち展望を語れる党だと知りました。教育に政治が介入してはいけないことを新鮮に聞き、憲法や政治の問題をもっと勉強したいと思った」と話していました。

奈良

 奈良市内での演説会では、強い雨のなか、県内各地から39台のバスや自家用車、電車を利用して聴衆が詰めかけ、会場3階まで埋めました。

 志位氏は、“アメリカ・財界中心”という「二つの害悪」を断ち切る大改革をすすめれば、行き詰まりを打開して、すばらしい展望が開けてくると強調。日本共産党が党をつくって90年、「国民の苦難を軽減する」を立党の精神に掲げるこの党を躍進させ、「国民が主人公」の新しい日本をつくろうと心から呼びかけると、会場から大きな拍手と歓声がわきあがりました。

 志位氏の高校時代の後輩で、泉鏡花賞を受賞した作家の寮美千子さんが来賓あいさつ。野田内閣の再稼働決定に怒りをあらわにし、「原発、消費税、TPP(環太平洋連携協定)と、日本は大きな岐路に立っています。共産党にぜひ頑張ってもらいたい。地球規模で丸ごと世界を見据えた政治をお願いします」と述べ、激励しました。

 永田正利JAなら会長、仲川げん奈良市長、上田清大和郡山市長、太田好紀五条市長のメッセージが紹介されました。

 清水忠史衆院近畿比例候補は、民主党が後期高齢者医療制度廃止などの公約を投げ捨てたことを批判。「前期でも後期でもない“元気”高齢者として頑張っていける社会をつくろうではありませんか」と訴え、会場をわかせました。

 1区から4区の衆院小選挙区候補が勢ぞろいし決意を表明。会場から「頑張れ」の声が飛び交いました。

 最近入党したという向高憲昭さん(73)=奈良市=は「志位さんの話に何度もその通りやと思いました。活発にはいかないかもしれないけれど、党の躍進のために頑張りたい」と話していました。