2011年12月4日(日)

日本共産党が第4回中央委員会総会

総選挙勝利で綱領実現にむけ新たなスタートを 志位委員長が幹部会報告

歴史的岐路に立つ日本の政治

変革者の党の真価発揮を


 日本共産党は3日、党本部で第4回中央委員会総会を開きました。会期は4日までの2日間の予定です。幹部会報告に立った志位和夫委員長は、4中総の任務として(1)日本の政治の現状とたたかいの課題を明らかにする(2)総選挙で本格的な反転攻勢に転じるための方針を提起する(3)総選挙を正面にすえた「党勢拡大大運動」の飛躍をかちとる―ことを提起。きたるべき総選挙を、「二大政党づくり」の策動を乗り越え、党綱領実現に向けた本格的スタートを切る選挙にしようと呼びかけました。総会では、衆参の比例代表予定候補が勢ぞろいして紹介され、討論に入りました。報告と候補者紹介はインターネット中継によって全国で視聴されました。


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(写真)報告する志位和夫委員長=3日、党本部

政治情勢と日本共産党の役割

 志位氏は第一の主題として、「政権交代」から2年余の政治情勢と日本共産党の役割について報告しました。この中で志位氏は、裏切りと転落の末に国民からも支配勢力からも見放された鳩山・菅政権の失敗が示したものを明らかにしたうえで、後を受けた野田政権が支配勢力の忠実なしもべに徹して延命をはかる道を選んだと指摘。同政権が(1)米国と財界の「使い走り」政権(2)民主・自民・公明の「3党体制」による悪政の推進―を特徴としながら、自民党政権時代にもやれなかった悪政を強行しようとしていると告発し、これと正面から対決してたたかう決意を表明しました。

 同時に、民自公「3党体制」の動きは「二大政党づくり」の破綻を意味していると指摘。「3党体制」による政治的同一化は「二大政党による政権選択」の仕組みの自己否定となり、「『民自公』対日本共産党」という真の「対決軸」が見えやすくなる新しい情勢が生まれていると強調しました。

日本共産党との新たな共同の広がり

 また、自民党政治に代わる新しい政治への国民の探求は止まったわけではなく、それは民主党政権が期待を裏切るたびに前進し、日本共産党との新たな共同が広がっていることを報告。その変化の特徴を、環太平洋連携協定(TPP)問題、大震災・原発事故対応、沖縄・普天間基地問題などで詳しく語りました。

 志位氏は、こうした「二大政党づくり」の破綻の根底に、米国・財界いいなりの「二つの異常」を特徴とする古い政治の耐用年数が尽きているという大問題があると指摘。党綱領の示す日本改革の方針こそが閉塞(へいそく)打開の道だという政治の真実を国民が見きわめる条件が急速に進展していると力説しました。

 同時に、政治的閉塞感や政治不信につけこんだ情勢の反動的打開の危険性もあると述べ、選挙制度改悪や明文改憲の動き、橋下徹大阪市長と「大阪維新の会」の策動を批判。ファッショ的な独裁政治を許さず、暗黒政治への逆行を許さないために力を尽くそうと呼びかけました。

 志位氏は、日本の政治は大きな歴史的岐路にあり、奮闘しだいで党の前進・躍進をかちとりうる一方、反動的逆流の危険もあると述べ、「変革者の党としての日本共産党の真価を発揮して奮闘しよう」と呼びかけました。

各分野での政治的対決

 第二の主題は、各分野の国民運動です。志位氏は▽大震災と原発災害からの復興、「原発ゼロ」をめざすたたかい▽対米従属の焦点としてのTPPと普天間基地問題▽「消費税増税と社会保障の一体改悪」▽貧困と格差、経済問題▽選挙制度改革―の各分野で、政治的対決点とたたかいの方向を詳しく明らかにしました。

 この中で、防衛省・前沖縄防衛局長の暴言問題に関連して、一川保夫防衛相の更迭と新基地建設の中止を要求。また、消費税増税と社会保障の一体改悪に反対するとともに対案が重要だとして、「聖域」を設けないムダの削減や応能負担にもとづく税制改革などを柱とする3段階の財源確保策を提案し、段階的・連続的に社会保障の拡充に踏み出す方向を打ち出しました。

総選挙方針について

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(写真)4中総で紹介される衆院(上)参院(下)の各比例代表予定候補者=3日、党本部

 第三の主題として総選挙方針について述べた志位氏は、「二大政党づくり」が破綻に直面している新しい情勢のもとで、閉塞状況を打開する展望は「二つの異常」を特徴とする日本の政治のゆがみに根本からメスを入れる改革の道にあること、その担い手は日本共産党であることを広く国民に訴えてたたかうと力を込めました。そして綱領実現への反転攻勢に転じ、本格的スタートを切る選挙にする決意を述べました。

すべての小選挙区で候補者擁立めざす

 政治目標としては「比例を軸に」を貫き、650万票以上の得票と10%以上の得票率の獲得、すべての比例代表ブロックでの議席獲得・議席増をめざすことを提起。候補者擁立については前回総選挙の方針を変更して、比例代表の候補者はブロック全域で活動し、すべての小選挙区で候補者擁立をめざすことを提案しました。

 その理由として、「自公政治ノー」の流れがわきおこった前回総選挙と異なり、今回は民主・自民両党に国民が怒りと批判をつのらせており、新しい選択肢を探求する動きが広がるもとでの選挙になるという情勢の大きな変化を指摘。小選挙区に候補者を最大限に擁立し、閉塞打開と日本改革の展望を示してたたかうことは党の責務だと強調し、候補者づくり、財政措置で中央と地方が一体で努力することを呼びかけました。

 全党が「国政選挙に力が入らない」などの弱点を払しょくし、とりわけ比例代表選挙を「自らの選挙」として取り組む一大画期の選挙にしようと呼びかけました。そのための力点として(1)11の比例ブロックごとに得票目標を自覚化し、政治・組織戦略をもつ(2)「支部を主役」に一人ひとりの党員の結びつきを生かした本来の選挙活動を展開する―ことを提起しました。また、1年7カ月後の参議院選挙、東京都議選を総選挙と一体にたたかい、相乗的に党躍進の波をつくりだそうと述べました。

「大運動」の目標の明確化と発展を提案

 第四の主題である「党員拡大を中心とした党勢拡大大運動」の発展・飛躍にむけた方針に話をすすめた志位氏は、「大運動」の到達点を明らかにするとともに、総選挙勝利を正面にすえた運動へ思い切って発展させる見地から、目標の明確化と発展を提案しました。

 党員拡大では全国の支部、地区、都道府県がすでに自ら決めた合計約5万人の目標を「必ずやりきることを確認したい」と提起。「赤旗」読者拡大では、(1)日刊紙も、日曜版も、09年の前回総選挙時の陣地を上回る到達点を、「大運動」期間中に必ず築き、総選挙にむけてさらに前進の波を発展させる(2)「党員拡大運動と一体に」という見地をふまえ、日刊紙読者拡大については、党員拡大目標に匹敵するか上回る日刊紙読者の拡大目標をすべての支部、地区、都道府県が決め、達成する―ことを提案しました。

 志位氏は、「5万人の党員、5万人の日刊紙読者、17万人の日曜版読者を、全党が力をあわせて増やし、党勢拡大の高揚を必ずつくりだし、総選挙勝利の土台となる自力をつけよう―これを合言葉に、奮闘しようではありませんか」と訴えました。

 そのうえで、「大運動」の発展・飛躍をどうかちとるかを提起。情勢の劇的変化、党躍進の条件を、中央委員会決定と日々の「赤旗」にそくしてつかむこと、「支部が主役」で要求活動と党勢拡大を党活動の「車の両輪」として取り組むことなど5点の強化方向を示しました。また、職場支部と若い世代の中での変化を詳しく述べ、活動の発展方向を明らかにしました。

資本主義の矛盾の深まりと科学的社会主義の生命力

 「最後に、世界に目を転じてみたい」と述べた志位氏は、資本主義の矛盾の深まりと科学的社会主義の生命力について報告しました。リーマン・ショックから3年余、過剰生産恐慌が危機全体の土台にあることがますます明瞭になったと指摘。金融的対応を中心とし、実体経済と国民生活の安定のための手を打たなかった国々では、失業者が増大し、貧困と格差が広がったと指摘し、ニューヨーク・ウォール街から世界に広がった運動の背景になっていると述べました。

 こうしたもとで、マルクスへの注目が世界的に広がっていることを、著名なエコノミストや経済学者の言葉を引用して紹介。今日の世界経済危機は、巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の矛盾の深まりのあらわれであり、「資本主義という体制の存続の是非そのものを根本から問うもの」となっていると力説しました。

 そして、未来社会論でも豊かな内容をもった党綱領と科学的社会主義の示す変革の展望を大いに学び、語り合い、「大運動」の成功と総選挙での躍進をかちとろうと呼びかけました。