2011年8月23日(火)「しんぶん赤旗」

岩手・前陸前高田市長

中里長門氏の葬儀

志位委員長の弔辞


 日本共産党員で、岩手県陸前高田市長を2期8年務め、今月16日に逝去した中里長門氏(享年64)の葬儀が22日、同市内で開かれました。参列した市民ら約300人が故人をしのび、追悼しました。

 葬儀委員長の戸羽太市長が式辞に立ち、「中里さんは温厚、誠実の人。震災後、自分の体調が悪いなかで私や職員を励ましてくれた。中里さんの精神を心に刻み、市民一丸となって復興に向け努力したい」と述べました。

 志位和夫日本共産党委員長の弔辞を菅原則勝岩手県委員長が代読しました。(別項)

 伊藤明彦陸前高田市議会議長、菅野隆介「あたらしい陸前高田市をつくる市民の声」会長、佐藤吉郎陸前高田民主商工会会長が弔辞を述べました。

 日本共産党の穀田恵二衆院議員・国対委員長、柳浦敏彦中央委員会自治体局長、斉藤信岩手県議が参列しました。

 中里氏は同市議を4期務めた後、市民に推されて2003年2月の市長選に立候補し、初当選しました。


志位委員長の弔辞

 中里長門前陸前高田市長の葬儀での、志位和夫委員長の弔辞は以下の通りです。

 中里長門さんのご逝去の報に接し、深い悲しみにうたれています。ご家族、関係者のみなさまに、心からのお悔やみを申し上げます。

 今年2月まで、2期8年間にわたって中里さんは、陸前高田市長として、「市民が主人公」のまちづくりに大きな業績を残されました。豊かな資源に恵まれた第1次産業を地域振興の柱にされたこと、他の自治体の模範ともなった福祉・保健・医療でのネットワークづくり、市財政の再建による自立のまちづくりなどは、全国にも伝えられました。

 今回の大震災によって、市民のみなさんは言葉に尽くせぬ甚大な犠牲と被害を受け、陸前高田市の根本からの復興という誰も体験したことのない大きな課題に直面されています。しかし、中里市政の8年間に培われ、戸羽市政に引き継がれた、市民の要求を原点に、市民の合意と参加を大切に、「市民が主人公」ですすめるまちづくりの到達点は、この最も困難な復興の事業のなかで、大きな財産となって力を発揮するものと確信します。

 中里さんは、市長を退かれてからも、あの大災害のなかで、被災した市民の救援のために奮闘されていました。私たちが、5月上旬、陸前高田市を訪問したさい、市政を引き継がれた戸羽太市長から詳しく状況をお聞きすることができましたが、その機会にご自宅に寄らせていただきました。中里さんが、真っ黒に日焼けした顔で、被災した市民のことを案じ、「8年間市民の力でつくってきた市政です。市民の力で復旧・再生させたい」と、語っておられた姿を思い起こしています。

 私は、あなたが日本共産党員として、長年、陸前高田市と市民のみなさんのために、力を尽くされてきたことを誇りに思うとともに、勇気と信念につらぬかれたお人柄をしのび、お別れの言葉といたします。