2011年8月28日(日)「しんぶん赤旗」

たたかいはこれからが正念場――TPP参加断念までがんばりぬこう

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長は27日、東京都内で開かれた「TPPはいらない緊急集会」であいさつしました。紹介します。


写真

(写真)あいさつをする志位和夫委員長=27日、東京・日比谷公会堂

シナリオ狂わせた国民の世論とたたかいに確信もって前進を

 みなさん、こんにちは。日本共産党の志位和夫でございます。(拍手)

 昨日、菅首相がついに、やっと(笑い)、退陣を表明しました。これは、TPP推進をはじめ、「自民党政治を変えてほしい」という国民の願いをことごとく裏切りつづけた結果であります。民主党は、新しい代表選びを始めていますが、事実上、新しい総理大臣を選ぶというのに、「この日本をどうするのか」というビジョンを掲げている人は誰もいないじゃないですか。もっぱら党内事情をどうするかが「争点」というのは、世界にも恥ずかしいことです。私は、後継の首相に誰がなったとしても、国民への裏切りをつづけるかぎり、その政権に未来はないということを、いいたいと思います。(拍手)

 この間、国民の中で広がったTPP参加阻止のたたかいは、推進勢力を大きく追い詰めてきました。JA全中のみなさんがとりくんだ反対署名は、1120万人に達したとうかがいました。国民の世論とたたかいが、6月には参加に舵(かじ)を切ろうとしていた政府のシナリオを狂わせている。このことにまず確信をもって前進しようではありませんか。(拍手)

農林水産業に壊滅的打撃、大震災からの復興に大きな障害もたらす

 同時に、TPP推進勢力の執念は根深く、たたかいはこれからが正念場であります。日本経団連は、7月に発表した政策提言で、“大震災を乗り越えるためにもTPP交渉に早く参加しろ”と号令をかけました。とんでもない話ではないですか。まさに火事場泥棒とはこのことだといいたい。(拍手)

 なぜTPP反対か。私は、ここで三つの点を訴えたいと思います。

 第一に、TPP参加は、日本の農林水産業に壊滅的な打撃を与え、大震災からの復興に大きな障害をもたらすということです。(拍手)

 TPP参加による関税撤廃は、日本のコメの90%を破壊するなど、農業に壊滅的な打撃を加えるだけではありません。ワカメ、コンブ、サケ・マスなど水産業にも壊滅的な被害が及びます。

 いま被災地にうかがいますと、大地震と津波で破壊された農地を復旧し、破壊された漁港を立て直すことこそ急務であり、政治の責任だと痛感します。政府は、その仕事をやっていますか。やっていないではないですか。やるべきことをやらないで、苦しんでいる被災地に追い打ちをかけるTPP参加など、絶対に許すわけにはいきません。(拍手)

食品安全、医療、雇用―国民生活のあらゆる分野に被害

 第二に、TPP参加で被害をこうむるのは、農林水産業だけではありません。国民生活のあらゆる分野にその被害が及ぶことが、広く明らかになってきました。

 TPPに参加しますと、関税とともに、非関税障壁とよばれる関税以外の貿易の障壁もすべて撤廃されることになります。

 食品安全では、BSE対策から冷凍フライドポテトに付着した大腸菌まで、アメリカの基準が押し付けられます。

 混合医療の導入で、お金持ちしか医療にかかれない仕組みが持ち込まれ、国民皆保険が破壊されようとしています。

 雇用では、ただ働き残業の合法化、確定拠出型年金など年金制度の大改悪、解雇の自由化など、労働法制の大改悪をすすめるということが、アメリカの要求です。

 みなさん。国民生活のあらゆる分野をアメリカに売り渡す「売国の政治」を、国民的連帯の力で打ち破ろうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

TPP参加は、異常円高で苦しむ日本経済に大被害をもたらす

 第三に、TPP参加は、日本経済に大被害をもたらすということを訴えたい。

 いま、異常円高が、多くの国民を苦しめています。いま起こっている異常円高は、世界経済危機の深まりを背景にしたものですが、私は、日本としてやるべき大切なことが二つあると思います。

 一つは、一握りの輸出大企業が、労働者と中小企業の犠牲のうえに、突出した「国際競争力」を強め、輸出頼みの経済にしてきたことが、「円高体質」をつくってきました。これを国民生活応援・内需主導の政治へと切り替えるべきではないでしょうか。(拍手)

 そして、もう一つ。国際的な投機マネーが暴れまわっていることが異常円高の直接の原因となっていますが、これまで日本政府は国際的な投機規制に背を向けてきました。この態度をあらためるべきではないでしょうか。(拍手)

 ところが、TPP参加は、まったく逆の方向に日本経済を導くことになります。それは、国民生活・内需を犠牲にして一握りの輸出大企業だけを応援し、「円高体質」をいっそうひどくします。投機マネーがもっと自由勝手に動き回れるようになり、たいへんな被害を拡大することになります。財界は「TPPで経済成長を」といいますが、これでもうかるのは一握りの巨大企業にすぎません。異常円高をさらに悪化させ、日本経済の危機をいよいよひどくするのがTPP参加にほかなりません。国民の暮らしを犠牲に、こんな道に日本経済を引き込むことは、絶対に認められません。(拍手)

国民のたたかいの大義、たたかいの力に確信をもって

 みなさん。国民のたたかいの大義、たたかいの力に確信をもって、相手がTPP参加をあきらめるまで力をあわせて頑張り抜こうではありませんか。公正で民主的な貿易ルール、自国の食料は自国で生産するという「食料主権」にたった貿易ルールを確立しようではありませんか。みなさんとともに最後までたたかいぬく決意を申し上げて、私のあいさつといたします。(大きな拍手)