2011年7月3日(日)「しんぶん赤旗」

原発依存から自然エネに大転換

「原発ゼロの日本」へともに

7・2緊急行動での志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が2日、東京・明治公園で開かれた「原発ゼロをめざす7・2緊急行動」で行ったあいさつは次の通りです。


写真

(写真)あいさつをする志位和夫委員長

 みなさん。こんにちは(「こんにちは」の声、拍手)。日本共産党の志位和夫です。「緊急行動」にお集まりのみなさんに、日本共産党を代表して心からの熱い連帯のあいさつをおくります。(拍手)

 私はまず、東日本大震災、福島原発事故によって犠牲になられた方々に深い哀悼の気持ちをのべるとともに、被災した方々に心からのお見舞いを申し上げます。

歴代政府と東電による「人災」収束に全力あげ、全面賠償を

 みなさん、福島原発事故は、いまだに収束の見通しさえたたず、被害を拡大しつづけています。地震と津波は自然災害です。しかし、原発事故は違います(「そうだ」の声)。「安全神話」にどっぷりとつかり、警告を無視して何の対策もとらなかった、歴代政府と東京電力が引き起こした「人災」であるということを、まずいわなければなりません。(「そうだ」の声、拍手)

 私は、政府に要求したい。

 この事故をはっきりと「人災」と認め、そのことへの深い反省にたって、まずあらゆる力を総結集してすみやかな原発事故の収束をはかり、避難されている方々を故郷に戻せ。このことを求めます。(拍手)

 放射能被害から住民の方々の健康を守るためにあらゆる対策を講じることを求めます。

 原発事故によるすべての被害にたいしてすみやかな全面賠償をおこなえ。このことを強く求めていこうではありませんか。(拍手)

 そして、もう一つ、根拠のない「安全宣言」にもとづく無責任な原発再稼働要請は撤回せよということを、私は求めたいと思います。(「そうだ」の声、大きな拍手)

空間的・時間的・社会的に限定できない「異質な危険」

 みなさん、いま多くの国民のみなさんは、この原発事故のなかに、他の事故にはみられない、ある「異質」な恐ろしさを見ているのではないでしょうか。飛行機事故とも、自動車事故とも違う、「異質の危険」を見いだしているのではないでしょうか。

 すなわち、原発事故というのは、ひとたび重大事故が起こり、放射性物質が放出されてしまうと、もはやそれを完全に抑える手段はありません。

 被害は「空間的」に、どこまでも広がり、日本列島のどこまで、さらには太平洋のどこまで、被害が広がるかはわかりません。

 被害は「時間的」にも、いつまで続くかわかりません。福島県では、県民のみなさん全員の健康調査を30年間行うことになりました。数十年にわたって恐怖と不安をあたえる。「マスクをして。外で遊んじゃだめ」といって子どもさんを送り出すお父さん、お母さんのご心配はいかばかりかと思います。

 さらに、被害は、「社会的」にも、地域社会そのものをまるごと破壊する危険をもつものです。村がまるごと避難を余儀なくされた福島県飯舘(いいたて)村に、被災後、私も2度、訪れました。美しい花が咲き、緑豊かな自然がそこにはありました。しかし、上空を吹いた放射能の風によって、長年にわたる村づくりの努力が壊された。住民のみなさんの無念はどんなであろうかと私は思います。

 ひとたび重大事故を起こしたら、「空間的」にも「時間的」にも「社会的」にも、被害がどこまで広がるかわからない。こんな恐ろしい被害をもたらす事故が他にあるでしょうか。他に類のない危険な事故をもたらす原発という技術を私たちの社会は許容していいのでしょうか(「だめだー!」の声)。この危険から国民のみなさんの命と安全を守ろうとすれば、原発をなくす以外には、ない(「そうだ」の声、大きな拍手)。私は、そのことを強く訴えたいと思うのです。(拍手)

原発が出す莫大な「死の灰」人類はコントロールできない

 「事故を起こさないようにすればいいではないか」。この期に及んで原発を推進しようとする勢力はいっています。菅首相も、原発の「安全基準」を高めれば「安全な原発」がつくれるかのようにいって、原発推進にしがみついています。

 しかし、みなさん。そもそも現在の人類のもつ科学と技術において、事故のない「安全な原発」などというものはつくれるでしょうか。(「つくれない!」の声)

 いま開発されているどんな形の原子炉も、核燃料を燃やす過程で、莫大(ばくだい)な「死の灰」を生みだします。100万キロワットの原発が1年間稼働しますと、広島型原爆のなんと1000発分の「死の灰」がたまります。この「死の灰」をコントロールする手段を人類はもっているでしょうか。「死の灰」をなくすような科学や技術は、もとよりありません。そしてこの莫大な「死の灰」を、安全に閉じ込めておく手段を人類はもっているでしょうか(「もってない!」の声)。もっていないことは、「スリーマイル」、「チェルノブイリ」、そして「フクシマ」と、人類が3回も経験したことではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 核燃料を燃やしますと「使用済み核燃料」という「死の灰」の塊ができます。それを安全に処理する技術は、これも人類はもっていません。だいたい「死の灰」がもつ放射能の危険は、10万年もたたないとなくならないというんですね。10万年ですよ、みなさん。そんなものを10万年にわたって安全に管理する方法など、あるはずがないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 安全な原発などありえません(「そうだ」の声、拍手)。世界有数の地震・津波国日本においては、ますますもってそんな原発はありえません。危険をなくす方法は、ただ一つ。原発をなくすしかない(「そうだ」の声、大きな拍手)。私は、重ねて訴えたいのであります。

日本で利用可能な自然エネ量は原発発電能力の40倍にも

 「エネルギーは大丈夫か」というご心配もあるかもしれません。しかし、自然エネルギーは素晴らしい可能性をもっています。環境省のデータでも、日本で実際に利用可能な自然エネルギーの量は、現在の原発の発電能力のなんと40倍もあるんですね。日本は、自然エネルギー大国ですよ。

 みなさん。「原発からの撤退」の一点で力をあわせ、それを強く政府に迫っていこうではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。原発依存から自然エネルギー中心への大転換と同時並行で、「原発ゼロの日本」をご一緒につくろうではありませんか(拍手)。世界を見てもドイツやイタリアで原発撤退の大きな流れが起きていますね。日本もこの流れに合流しようじゃありませんか(拍手)。ともに力をあわせ、みんなが安心して暮らせる日本をつくるためにがんばりましょう。(大きな拍手)