2011年3月28日(月)「しんぶん赤旗」

志位委員長 被災地を訪問

福島・南相馬市長、飯舘村長が要望


「生きた情報と体制を」「原発事故収束を」

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 日本共産党の志位和夫委員長は27日、東日本大震災の被災地を訪問しました。福島第1原発による被害が報じられた福島県飯舘村では菅野典雄村長と、原発から半径20〜30キロの「屋内退避」地域に政府が出した「自主避難」の要請に揺れる同県南相馬市では桜井勝延市長と面談。その後、県内各地からの被災者が身を寄せる福島市内の避難所を訪問し、被災者の要望に耳を傾けました。高橋ちづ子衆院議員・党大震災現地対策本部長らが同行。各地で義援金や支援物資を届けました。



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(写真)避難所の被災住民を見舞い、要望を聞く志位和夫委員長(左から2人目)、高橋ちづ子衆院議員(その右)ら=27日、福島市・あづま総合運動公園体育館

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(写真)菅野典雄村長(右)を激励、懇談する志位和夫委員長=27日、福島県飯舘村役場

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(写真)桜井勝延市長(左)を激励、懇談する志位和夫委員長=27日、福島県南相馬市役所

 水や土壌の汚染で農業が大打撃を受けている飯舘村では菅野村長が「(放射能という)目に見えない災害とのたたかいは本当につらい」と心中を語り、「みな不安でいっぱいですが、助け合って生きています」「合併せずに守ってきた村を何とか残したい。世界のすべての英知を結集して原発を抑えてほしい」と涙ながらに訴えました。

 現在、同村の農産物は出荷停止。原発事故以来、水道水から高濃度の放射性物質が検出されたこともあり、深刻な風評被害も予想される事態となっています。村長は放射能汚染の数値など情報公開については、断片で済まさず、「“心ある情報”を出してほしい」と述べました。

 志位氏は、「“心ある情報”という要望をしっかり受け止めました。良い情報も悪い情報も出し、面的継続的な変化のデータも出すよう求めていきます。まず自治体に出さないと冷静な対応などできません」と応じました。同村が物資不足にも苦しんでいることについては「原子力災害は国の責任です。政府が責任を持って各自治体にスタッフを常駐させ、原発問題にかかわる対策にあたるように求めていきます」と述べました。

 国の職員の配置については志位氏の前にちょうど村役場を訪れていた松下忠洋経産副大臣と会い、強く要請したところ、松下氏が「明日から配置します」と応じたことを伝えました。

 志位氏は原発の事故については、「日本の専門家や技術者の力を総結集し、原子力安全委員会も動かして総力をあげて収束をはかるよう主張してきました。この点をさらに強く求めていきたい」と述べました。

 市内の大半が20キロ圏内の「退避指示」と20〜30キロの「屋内退避」の地域にあたる南相馬市。市役所で志位氏と面談した桜井市長は、政府が市に連絡もなく「屋内退避」地域に「自主避難」を要請すると発表したことに対する怒りを語り、「われわれは30キロ圏外からも物資が来るように頑張っているのに、自由往来や避難の保障もなく、『自主避難』に変更する理由もはっきりしないまま発表するので、市民には不安と怒りが募ります。国は責任をもって対応してほしい」と話しました。同市では7万人の市民のうち2万人が市内にとどまっています。

 志位氏は、「いわれる通りです。国に被災地の苦しみに心を寄せた責任ある対応を求めます」と表明しました。

 市長は、さらに同日、東電に指示してようやく六つの放射性物質の観測のデータが公表されたことにもふれながら、「東電や国は、自治体が状況を判断できるための情報を出すべきだ」「市の注文を受ける内閣官房の職員も市に張り付けてほしい」と述べました。

 志位氏は、「データの公表はまったく不十分ですね」と強調するとともに、「政府の責任ある職員をとの要望は国にしっかり伝え、実行させるよう力をつくしたい」と話しました。

 神山悦子、藤川淑子両福島県議、宮本しづえ県議予定候補・党県副委員長、久保田仁党県委員長、斎藤泰党県自治体部長、藤倉英一福島相馬地区委員長、最上清治党現地対策本部員らが同行しました。