2010年10月22日(金)「しんぶん赤旗」

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定) 交渉参加に断固反対

日本農業に壊滅的打撃、志位委員長表明


 日本共産党の志位和夫委員長は21日、国会内で記者会見し、農業者などから悲鳴と怒りの声があがっている米価暴落と、政府によるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加検討問題について次のようにのべました。


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(写真)記者会見する志位和夫委員長=21日、国会内

 いま日本の農業と米をいっそうの苦境に追い込む二つの大問題が起こっています。

 第一は、深刻な生産者米価の暴落です。わが党は、緊急に過剰米の買い上げによる米価の下支えを行うべきだということを強く求めています。

 政府は、いわゆる「棚上げ備蓄方式」―保管期間を過ぎた米を主食用米以外に転用する方式―を実施する方針を決めており、それを前倒しすれば、過剰米の買い上げはすぐにでも実行できるはずです。このことを先日、参院決算委員会での紙智子議員の追及でも求めました。ところが、政府の答弁は、暴落を止める責任を果たすという立場がないものでした。政府の責任で米の需給と価格の安定をはかり、価格保障と所得補償を組み合わせて再生産を保障する政策をとるべきです。なかでも過剰米の買い入れは一刻の猶予もならないということを重ねて要求したい。

 第二は、TPP交渉への参加検討問題です。首相は所信表明演説でふれ、その後、11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議までに、TPPなどに対する政府基本方針を作成するように関係閣僚に指示しました。

 TPPは、アメリカやオーストラリアなど9カ国で行っているものですが、関税撤廃の例外を認めない完全な貿易自由化を目指した交渉です。それにもし、日本も参加すればどうなるか。関税は全面撤廃となり、農水省の試算でも、米は90%減、小麦は99%減、牛肉は79%減、豚肉は70%減と、日本の農業はあらゆる分野で壊滅的な打撃を受け、現在40%まで落ち込んでいる食料自給率が12%まで落ち込むことになります。

 すでに日本の農産物の平均関税率は、12%まで下がっています。よく「日本は農業鎖国だ」とかいうまったくの事実歪曲(わいきょく)がありますが、“農業がもっとも開かれた国”になってしまっているのが現状です。

 諸外国の平均関税率は、EU(欧州連合)20%、アルゼンチン33%、ブラジル35%、メキシコ43%。世界の多くの国が、とりわけ自国にとって重要な品目については、しっかりした関税をかけ、国境措置で守っているわけです。

 すでにここまで関税が下がっているのに、このうえ、関税ゼロというのは、本当に「亡国の政治」以外のなにものでもありません。地球的規模で食料不足が大問題になっているときに、豊かな発展の潜在力をもっている日本農業を無理やりつぶすことは絶対に認められません。

 わが党は、日本農業を破壊し、食料自給率向上とは絶対に両立しえないTPP交渉への参加には絶対に反対です。そして、各国の「食料主権」を尊重した貿易ルールをつくることを求めていきたい。

 この問題については、JA全中、農協、農業者のみなさん、自治体のみなさんから怒りの声が起こっています。そして、日本のお米がなくなってしまったら一番困るのは消費者のみなさんですから、ぜひそうした多くの方々との協力、共同を広げ、日本農業の再生のために力をつくしたい。