2010年7月25日(日)「しんぶん赤旗」

全国革新懇 志位委員長の発言


 日本共産党の志位和夫委員長が24日、全国革新懇総会でおこなった発言は次の通りです。


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(写真)全国革新懇第30回総会で発言する志位和夫委員長=24日、東京都千代田区

国民の探求を「後押しし、促進する」という点でどうだったか

 全国で奮闘されている仲間のみなさん、こんにちは。まず私は、参議院選挙で日本共産党によせられたご支持とご支援に心からの感謝を申し上げるとともに、得票と議席を後退させたことにおわびを申し上げます。

 いま私たちは、この参議院選挙について、政治論戦、組織活動などあらゆる面で、どこに問題点があり、どうすれば前進できるかについて、自己検討をすすめている最中です。多くの党内外の方々から、連日、多くのご意見が寄せられていますが、そのなかには私たちが気づかなかった多くの問題点の指摘、前進のための提言もたくさんあり、一つひとつのご意見を真摯(しんし)に受け止めて自己検討に生かしたいと考えています。

 とくに、この間、日本の政治では、多くの国民が自民党政治に代わる新しい政治を探求している、この探求のプロセスを「後押しし、促進する」という点で、私たちの政治論戦、選挙活動がどうであったか、これは総括の重要な一つの角度だと考えています。こうした点もふくめて、参院選から教訓を引き出し、国政選挙での本格的な巻き返しのための態勢構築を必ずはかる決意をまず申し上げたいと思います。

「二大政党づくり」のくわだては早くも行き詰まった

 いま日本の政治はどこまできているでしょうか。昨年の総選挙では、国民は自公政権にたいしてきびしい退場の審判をくだしました。それからわずか1年たらずの今回の参院選では、民主党政権にたいしてきびしい審判をくだしました。同時に、国民が、自民党政権に戻ることをもとめているものではないことも、選挙結果から明らかです。

 NHKが、参院選直後に放映した「時事公論」は、選挙結果を分析して、「二大政党による政権交代という政治のあり方そのものに、重大な疑問がつきつけられたと考えるべきではないか」とのべました。その通りだと思います。

 この間、財界が主導して、国民を「二大政党」の枠組みにはめこみ、この枠組みのなかでの政権「交替」によって、国民の暮らしや平和を壊す政治を強行しようというくわだてがすすめられてきました。しかし、この枠組みに国民を閉じ込めることはできないことが、二つの国政選挙をつうじてはっきりと示された。「二大政党づくり」というくわだてそのものが、早くも深刻な行き詰まりにつきあたっている。財界の思惑通りに事が運ばなくなっているのです。

古い政治の枠組みでは、世界と日本の現実に対応できない

 もちろん、自民党政治に代わる新しい政治をどうするかの国民的な合意はまだつくられていません。国民は探求の途上にあり、その一局面が示されたのが参院選の結果です。

 私は、こうした情勢のもとで、革新懇運動の果たす役割は、ほんとうに大きいと思います。

 なぜ「二大政党づくり」というくわだてが、つくられたと思ったそのはなから行き詰まりをきたしているか。それは、この二つの党が共通の土俵としている古い政治の枠組み――「『日米同盟』絶対、財界・大企業中心」の政治では、世界と日本の現実にもはや対応できないからです。

 この古い政治の枠組みのなかでは、誰が政権の担い手になろうとも、米軍基地問題でも、消費税・財政問題でも、日本が直面している問題を解決することはできません。誰が首相になろうとも、短時日のうちに政権の没落と投げ出しがつづく。その根本には、この数十年来つづいた古い政治の枠組みそのものの行き詰まりがあります。

 みんなの党など新党とよばれる勢力も、「政界再編」――古い政治の担い手のなかで組み合わせを変えることを党の目的にしていることによって自ら証明しているように、古い政治の枠組みから抜け出す立場があるわけではありません。

革新懇運動の存在と発展は、日本政治の大きな希望

 革新懇運動の活力と魅力の源泉は、草の根から国民の要求にもとづく多彩な共同のとりくみをすすめると同時に、日本の政治を変える「三つの共同目標」を堂々と掲げて、国民多数の合意形成を一貫して追求していることにあります。

 新しい政治への国民の探求が、ジグザグや複雑さをともないながらも、一歩一歩、日本政治に新たな局面をつくりだしつつある激動のもとで、革新懇運動が存在し、発展していることは、大きな希望です。

 革新懇運動が、国民の切実な暮らしと平和、民主主義の要求実現の運動と、「三つの共同目標」に示された将来の日本社会のビジョンとをしっかりむすびつけて、さらに発展することを願い、私たち日本共産党も、この運動の提唱者の党として、みなさんとともに奮闘する決意をのべ、発言とします。(大きな拍手)