2010年6月27日(日)「しんぶん赤旗」

沖縄県民と日本共産党の共同こそ未来を開く力

――沖縄の候補者を選ぶ“三つのモノサシ”

志位委員長の訴えから


 日本共産党の志位和夫委員長が25日に沖縄でおこなった、参院選で県民共同候補の勝利と比例での日本共産党躍進に向けた演説のうち、米軍・普天間基地問題部分(要旨)を紹介します。


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(写真)街頭演説する志位和夫委員長=25日、沖縄県豊見城市

許されない菅首相の沖縄での発言

 6月23日、沖縄戦での組織的な戦闘の終結から65年目の「慰霊の日」の式典が行われました。菅直人首相は、沖縄に来て、その日になんと言ったか。「『日米合意』を踏まえてすすめていく方針に変わりはない」「沖縄のみなさんとの話し合いは追悼式への出席をスタートとしたい」と言ったのです。これほど心ない首相がいるでしょうか。(「いない」の声)

 県民のみなさんにとって、「慰霊の日」とは、戦争の犠牲者の方々を追悼するとともに、基地のない平和な沖縄を願い、その誓いを新たにする日ではないでしょうか。その日を、辺野古への新たな基地押しつけの「スタートにする」といってはばからない首相。これは許すわけにはいきません。基地押しつけの民主党政権に、きびしい審判を下そうではありませんか。(大きな拍手)

 4月25日、9万人が参加した県民大会で確認された「普天間基地の閉鎖・撤去」「県内移設絶対反対」、これこそ県民の総意であります。

 沖縄選挙区(定数1)では3人が有力候補と言われていますが、どの候補者がこの県民の総意を代表するか、ぜひ見極めて選んでいただきたいと思います。私は、“三つのモノサシ”ではかるとそれがよくわかると思います。

第一のモノサシ――

普天間問題の解決の展望を示しているのはだれか

 “第一のモノサシ”は、普天間基地問題の解決の展望を示している候補者はだれかということです。

 自民党公認の候補も、社民党推薦の候補も、「県外移設」といってます。しかし、「移設先探し」をやっても、結局、辺野古に戻ってきてしまう、これを証明したのが、鳩山政権の8カ月だったのではないですか(拍手)。破綻(はたん)した「移設先探し」にしがみつく候補者では、普天間問題を解決することは絶対にできないのではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 普天間基地の苦しみは、県内はもとより、県外のどこに移しても同じ苦しみです。だいたい、苦しみというのは「移す」ものではなくて「なくす」ものではないでしょうか。(「その通り」の声、大きな拍手)

 無条件撤去は県民多数の声になりつつあります。先日、琉球新報などが行った調査では、84%の県民が「辺野古移設」に反対と答え、反対理由の第一が「無条件撤去すべき」です。とくに普天間基地を抱える宜野湾市では、「辺野古移設」に反対の市民が96%、そのうち75%が「無条件撤去すべき」と答えている。基地の苦しみを日々、身をもって体験しているがゆえに、「この苦しみはどこにも移すことはできない。撤去しかない」という声があがっているのです。

 普天間基地問題は移設条件なしの撤去――無条件撤去を掲げるイジュ唯行さんと日本共産党が勝利してこそ、解決の展望が示されるということを私は心から訴えたいと思います。(大きな拍手)

第二のモノサシ――

「基地押しつけの政権・政党にくみしない」 立場を貫いているのはだれか

 “第二のモノサシ”は、基地を押しつける政権や政党にくみしない、この当たり前のことを貫いている候補者はだれかということです。「県内移設絶対反対」という県民の総意を代表しようとすれば、基地押しつけ勢力ときっぱり対決してこそ、それができるのではないでしょうか。(「その通り」の声、拍手)

 自民党の公認候補は「県内移設反対」といいますが、もともと辺野古への「県内移設」をすすめてきたのはだれですか。自民・公明政権ではありませんか。自民党は今度の参院選挙の公約でも、「米軍再編を着実に進めます」といっている。こういう党から公認をもらって、どうして沖縄の声を国政に届けることができるでしょうか。(「できない」の声)

 社民党の推薦候補には、私は率直に、二つ問いたい。一つは、社民党は全国十数の選挙区で民主党と選挙協力していますが、それをどう説明しますか。もう一つは、社民党推薦の候補者自身が、民主党県連の支持を「期待する」「呼びかける」といっていることを、どう説明しますか。基地押しつけの民主党を全国各地で応援し、沖縄でも民主党の応援を求める。これは「県内移設反対」という県民の総意にまっこうから矛盾する態度ではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 イジュさんが共同している私たち日本共産党は、1996年にSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意で「県内移設」の方針が出された当初から、「こういうやり方では問題は絶対に解決しない」ときっぱり反対し、無条件撤去を求め続けてきた政党であります。

 私は、5月上旬にアメリカを訪問し、アメリカ政府と会談しました。その場で、沖縄県民のみなさんの総意がどこにあるのかをしっかりと伝えました。県民のみなさんが被ってきた苦難の歴史がどんなものだったか、凄惨(せいさん)な地上戦を体験し、占領下で土地を強奪され、戦後65年、基地の重圧に苦しんできたことを話し、だから普天間問題の解決は、無条件撤去しかないということを、はっきりアメリカ政府に伝えてきました。(大きな拍手)

 保守、革新を問わず、「基地のない平和な沖縄」を願う県民のみなさんと日本共産党の共同でこそ、明るい未来が開けます。どうかご一緒に頑張ろうではありませんか。(大きな拍手)

第三のモノサシ――

将来的に安保なくす立場を掲げているのはだれか

 “第三のモノサシ”は、将来的に日米安保条約をなくし、基地のない平和で豊かな沖縄をめざす立場を、堂々と掲げている候補者はだれかということです。それはイジュさんだけであります。(拍手)

 基地押しつけ勢力の言い分は、「海兵隊は平和のための抑止力だ」の一点張りです。しかし、沖縄の海兵隊が平和を守っているだなんてとんでもない。出撃している先は、イラクやアフガニスタンではないですか。沖縄の海兵隊は、決して平和の守り手なんかじゃない。「抑止力」なんかじゃない。戦争のための「侵略力」だというのがその正体ではありませんか(拍手)。海兵隊は沖縄から出て行け、ここまで言い切る立場があってこそ、普天間問題は解決できると、私たちは考えるものであります。(大きな拍手)

 実は菅さんは、首相になる前は、「海兵隊は抑止力ではない」「地球の裏側まで行って攻める部隊だ」「アメリカ国内に戻ってもらう」と言っていました。そこで私はこの前の国会で、どうして立場を変えたのかと聞きましたが、定かな答えは返ってきません。22日の日本記者クラブの党首討論会でも、同じことを聞きましたが、モゴモゴと言うだけです。

 ようするに、アメリカから言われたから変えたんです。アメリカいいなりに、自分の主張を平気で変える、みなさんへの約束を平気で反故(ほご)にする。私は、こんな恥ずかしく卑屈な従属の政治はないということを言いたいと思うのであります。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 みなさん。相手はこうやってアメリカいいなりの「抑止力」を振りかざして基地を押しつけてくるわけですから、日本と沖縄の未来に本当に責任を持つ政党、政治家でないとこれを打ち破れません。イジュさんと日本共産党は、アメリカいいなりの大本にある日米安保条約は、国民多数の合意でゆくゆくはなくしていこう、それにかえて日米友好条約を結ぼうと主張していますが、そうした立場に立ってこそ、基地押しつけ勢力を打ち破ることができます。(拍手)

 そしてみなさん。この声もいまや県民多数の声になっているではありませんか。

 先ほど紹介した県内世論調査で、日米安保条約について「維持すべき」はたった7%になりました。68%の方が「日米友好条約」にするか、「破棄」すべき、です。安保なくせの声が多数の声になっているのです。(拍手)

 みなさん、この“三つのモノサシ”に合格するのはイジュ唯行さんただ一人ではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。政党では日本共産党だけであります。この選挙で、平和を願う「沖縄の心」を一つに集めて、イジュさんを必ず国会に押し上げてください(拍手)。日本共産党の躍進を必ず勝ち取らせてください。よろしくお願いいたします。(「よーし」の声、指笛、大きな拍手)