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日本共産党の勝利で希望ある新しい日本への道開こう

3月14日宮城・多賀城(演説大要)


 3月14日(土)宮城県多賀城市文化センターで、志位委員長が行なった演説(大要)をご紹介します。


 宮城県民のみなさん、多賀城市民のみなさん、こんばんは。(「こんばんは」の声、拍手)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。

 今日は会場いっぱいの、さらに第二会場までたくさんの方々がお運びくださいましてまことにありがとうございます。まず心からお礼を申し上げさせていただきます。(拍手)

「自民か、民主か」と言われてもどちらも選びようがない

 いまの政治状況を言いますと、政府予算案、関連法案が一段落ついた後は、いつでも解散・総選挙になりうるたいへん緊迫した状況になっています。

 日本共産党は、今度の選挙では必ず前進を勝ち取りたい、躍進を勝ち取りたいと強く決意しておりますが、わけてもこの東北ブロックでの高橋ちづ子さんの宝の議席をなんとしても守りぬかせていただきたいと、まず春の遊説のスタートは多賀城市でお話させていただくことにいたしました。どうか今日は最後までよろしくお願いします。(拍手)

 このところ、ずっと続いてきたキャンペーンに、「自民か、民主かのどちらかを選べ」というものがありましたでしょう。しかしここに来ましてどちらも選びようがない。これが国民のみなさんの気持ちではないでしょうか。

 一方の麻生政権をみますと、政治的に行き詰まってしまったことにくわえて、漢字が読めなかったり(笑い)、酔っ払いの大臣が出てきたりして(笑い)、もうこの政権には日本の統治能力がないとみんなが見離しています。では他方の民主党はというと、小沢代表が西松マネーの問題で、厳しい批判を受けています。

 私は、数日前にFMのラジオ番組に出る機会があったのですが、そこでも司会の方が、「志位さん、もういまはどっちにも問題がありますね」「二者択一にはならない」ということを言っておられた。私も、「その通りですね」となります。「自民か、民主か」という狭い枠組みの中で、どちらが政権を取ったって政治は変わらない。日本共産党を伸ばしてこそ国民のみなさんの希望の持てる新しい日本への道が開かれるということを、私は訴えたいと思うのであります。(拍手)

政治とカネ――日本共産党を伸ばして日本の政治の大掃除を 

 まずお話したいのは、政治とカネの問題です。

 このところ西松建設の違法献金疑惑が大問題になっています。この疑惑の全体の構図は、十年あまりの間に、西松建設から二つのダミー団体を通じて四億七千八百万円ものお金が自民党と民主党の多数の政治家に渡っていたというものです。そして西松は、年間で公共事業を約一千億円ぐらい受注している。公共事業というのは、みなさんの税金でやる仕事ですから、みなさんが払った税金の一部がめぐり巡って自民党と民主党の政治家のポケットに入っていた。これが全体の構図です。 

構図も同じ、言い訳も同じ

 なかでも民主党の小沢代表と二階大臣の疑惑が焦点となっています。三年間だけで小沢さんの方には三千三百万円のお金が流れていた。二階さんの方はパーティー券という形で八百六十八万円が流れていた。小沢さんの疑惑というのは、西松から流れていた献金を、ダミー団体からの献金であるかのように偽装した、この偽装を公設第一秘書は知っていた、あるいは西松と共謀してやっていたのではないかという疑惑で逮捕されたわけです。二階さんの場合も構図はまったく一緒です。西松からの献金を、ダミー団体からのものであるかのように偽装してパーティー券という形で受け取っていたのではないかという疑惑です。

 構図はまったく同じ。言い訳も同じです。小沢さんはこの疑惑について聞かれて、二つのダミー団体の実態について「知りません」、「詮索致しません」、「善意だと信じています」。こういうふうに答えました。二階さんは、わが党の小池政策委員長が国会で追及したら、同じこと言いました。「知りません」「詮索しません」。言葉まで一緒なんですよ(笑い)。

 「足長おじさん」という話があります。貧しい少女を陰から奨学金を渡して成長を見守るという話でありますが、いったい小沢さんや二階さんに、こんな巨額の献金を黙々と出し続け、ひたすら陰から善意で成長を見守るという「足長おじさん」がいるなどと誰が信じられましょう。かたや三千三百万円、かたや八百六十八万円、これだけのお金をもらいながら知らぬ存ぜぬでは、私は通用しないということをはっきり言いたいと思います。(拍手)

政党としての自浄能力が問われている

 ことは小沢さんや二階さんなど政治家個人の問題にとどまりません。こういう問題が出てきたら、まともな政党だったら自分で調査すべきじゃないですか。ところが民主党はどうかというと、小沢さんが「なんらやましいことはない」 と言ったら、みんなが、「小沢さんの言うことを信じる」「一致団結していこう」。こればっかりでしょう。しかし、政党の党首に疑惑がかけられている、そして小沢さんが明らかにしないんだったら、党内でちゃんと調査委員会などを何か作って、きちんと調べたらいい。これを自浄作用というのですが、これやるべきじゃないでしょうか。(拍手)

 自民党だってそうですよ。二階さんの疑惑を小池さんが追及したら、麻生総理大臣は何と答えたか。「個別の事案にはコメントできません」(どよめき、苦笑)。ちょっとそれはひどいんじゃないの、という答弁でしょう。だって「個別の事案」というけど二階大臣を任命したのは麻生首相自身じゃないですか。(拍手)その人が疑惑を受けていたら、自ら究明する責任が麻生さんにあるはずなのに、そうやって疑惑に蓋をし続けている。

 これは、自民党も民主党も自浄能力が問われているわけですね。きちんと自分たちで究明することができなかったら、両党とも疑惑隠しの政党と言われても仕方がないということを私は言わなければなりません。(拍手)

ゼネコンと政治家との癒着の疑惑が浮き彫りに

  さらに、だんだん疑惑の中身が深刻になってまいりました。ゼネコンと政治家の癒着の疑惑が浮かび上がりつつあります。「しんぶん赤旗」編集部(日曜版)が、西松建設で違法献金に関わっていた元幹部の証言を得ました。今週号(日曜版)のトップにスクープがありますから、ぜひご覧いただきたいと思いますが、そこで元幹部が証言しています。「小沢さんも二階さんも西松マネーだったということを知らないわけはない」。そして二階さんについては献金を渡した理由は、「空港工事などを受注するためだった」。小沢さんについては、「胆沢ダムをとりたかった」。公共事業をめぐるゼネコンと政治家の癒着が見えてくるじゃありませんか。

 実は今から十六年前、先日亡くなった共産党の吉岡吉典参議院議員が、このゼネコン問題を追及しておりまして「岩手県内の建設業者のほとんどを網羅した小沢支援の組織が作られ、小沢の選挙をやれば仕事がとれるとゼネコン選挙をやっている」と追及したことがあるんです。それに続いて吉井議員が追及して、「ゼネコン選挙っていうのはまあすさまじいものだ、リスト持ってきて、思うとおりのものが来ないと、そのリストを床にバーンと叩き付けて、こんなものじゃだめだとやっている」と、すさまじいゼネコン選挙の実態を国会で明らかにして、こんな選挙はおかしいと言ったのは十六年年前です。これはウヤムヤのままにされたのですが、そういう構図が今でも続いているんじゃないかということが言われても仕方がないような疑惑がかけられているわけであります。

 だいたい会社名を隠した目的はなにか。よほどやましいことがなかったら、会社名を隠すようなことしないでしょう。見返りに何を求めたのか。これの徹底的な真相究明が必要だということを申し上げたいし、共産党はその先頭に立って頑張りぬく決意を申し上げたいと思います。(拍手)

企業団体献金禁止・政党助成金の撤廃を

 そして腐敗の根源は企業・団代献金です。企業というのは営利団体です。慈善団体じゃない。ですから献金するということは必ず見返りを求める。企業献金そのものがどんな形であっても、本質的には賄賂だとみなして、きっぱり禁止に踏み込むべきだということ言いたいと思います。(拍手)

 そしてこのさいもう一つ、政党助成金というものがあります。十六年前に導入された時に、どういう理屈でみなさんの税金を政党が山分けするしかけを作ったかというと、「これから先は、企業献金は禁止する方向にします。だから税金でお願いします」ということで入れた制度なんですよ。ところが企業献金の方は花盛りでしょう。そうやっておいて、みなさんの税金ももらうっていうのは、こんな厚かましい話は、私はないと思う。政党助成金制度もこの際、きっぱりやめさせようじゃありませんか。(拍手)

 どうか企業・団体献金を受け取らない、政党助成金もきっぱり返上している日本共産党を伸ばしていただいて、日本の政治の大掃除をしようではありませんか。(拍手)

 

経済危機から国民の暮らしをまもり、経済をたてなおす

外需頼みから、内需主導への根本的切り替えを

 暮らしの問題について、話を進めたいと思います。

 いま日本の景気が墜落するように悪化しています。去年の10〜12月期の経済の指標を年間換算にしますと、12・7%もGDPが落ち込みました。経済危機が起こったアメリカが6・2%、ヨーロッパが5・7%の落ち込みですから、日本がケタ違いに悪いでしょう。どうして日本の景気はこんなに墜落するように悪くなっているのか。それは一言で言いますと、日本の経済があまりに外需頼み、輸出頼みだったからです。

 景気の底と言われる2002年と景気の山と言われる2007年、この間に輸出は1・6倍増えています。ものすごい勢いで輸出は増えました。ところが、働く人の給料――雇用者報酬は同じ時期に二兆円も減っています。家計を犠牲にし、庶民の暮らしを犠牲にして、輸出で稼いだ。正社員を非正規社員に置き換え、庶民に重い税金をかけ、社会保障を悪くして、家計を犠牲にしながら、一部の輸出大企業だけを応援する政策をやって、輸出でもっぱら稼いできた。ところが輸出で稼いできた相手だったアメリカで経済破たんが起こったために、日本はぺっちゃんこになった。

 これが現状ですが、それならば、日本経済の体質を根本から変える必要がありますね。外需輸出頼みから内需主導の経済にしていく必要があります。なかでも内需の一番の中心は家計の消費です。つまりみなさんの懐ぐあいです。みなさんの懐ぐあいを良くして、消費を活発にして、内需が豊かに発展していくような方向に抜本的に経済を切りかえようじゃないかというのが、日本共産党の主張でございます。(拍手)

 いくつか大事な柱があるのですが、三つほどお話させていただきたい。 

人間らしく働ける労働のルールをつくる

 第一は、雇用の問題です。雇用破壊を止めて、人間らしく働ける労働のルールをつくろうというのが、私たちの大きな主張です。

 景気悪化とともに、トヨタ、キャノン、パナソニック、ソニーなどの巨大企業が、先を争って「派遣切り」「期間工切り」を始めました。そうしますと、もう社会全体が明日は我が身かとなってますでしょう。雇用不安と景気悪化の悪循環が始まってしまっています。

 どうしてこんな急速な「首切り」が起こったかというと、労働法制をどんどん規制緩和してしまった結果です。とくに一九九九年に派遣労働を原則自由化し、派遣という「使い捨て」の労働をここまで増やしてしまって、日本の労働者の四割近くが、派遣・請負・パート・アルバイトなど不安定な非正規雇用を強いられているという、こういう状況を作ってしまった政治の責任が問われている。いま起こっていることはまぎれもない「政治災害」だということを、私は言いたいと思うのであります。(拍手)

 私は、去年の2月と10月、今年の2月、三回にわたって予算委員会で派遣問題を取り上げてきました。質問に先立って全国の働く労働者のみなさんからたくさんの聞き取りを行いました。それから経済界とも直談判ずいぶんやりました。日本経団連とも会談やりましたし、トヨタ自動車とも「非正規切りはやめるべきだ」というかなり突っ込んだ会談をやりました。トヨタ自動車は、私が本社に伺うといいましたら、「私たちの方から出向く」というのです。そこで党本部にお迎えしました。会談している最中にトヨタの重役に対して私が、「大企業の重役が共産党の本部を訪れたのは、党を作って八六年になるけれどあなたが初めてですよ」(笑い)と言ったら、「そうだったのですか」(笑い)とびっくりしておられましたけれども、私たちも全力をあげてこの問題に取り組んできましたが、いくつか感じていることをみなさんに報告したいと思います。

 一つは、派遣労働という労働の実態なのです。私はお話を伺いますと、本当にこれは現代の奴隷労働というほかない、非人間的なものだと憤りをおさえることができません。具体的な例をお話しましょう。愛知にトヨタ車体という会社があります。トヨタ自動車のグループの中核企業の一つです。そこは派遣労働者をどんどん増やして稼いでいた。そこの派遣労働者と会って訴えを聞きますと、「私たちは二重に搾取されている」という訴えです。つまりまず派遣会社にマージンという形で給料をピンはねされます。ですから正社員に比べて半分以下の給料しかもらえない。必死に働いても20万円です。それともう一つ、派遣会社が用意したアパートに住まわされる。寮は3DKに三人、2DKに二人、共同生活させられるんです。お風呂もトイレもキッチンも共用です。隣にいるのはまったく見ず知らずの他人ですよ。自分の部屋に行くにも、他人の部屋を通らないといけない。こんなところに押し込められて、20万円の中から寮費などを引かれる。手元には十数万円しか残らない。こういう労働をさせられているという訴えがありました。生きている人間を絞れるだけ絞る。そして、いらなくなったら捨てる。

 私が、今年に入って国会での質問やった時に、私の質問を傍聴に来てくれた方と終わった後に懇談をしました。そこに参加してくれたトヨタ車体で「派遣切り」にあったある労働者が私に切々とこういう訴えをしました。この方は去年の春に「派遣切り」にあっていた。「派遣切り」にあったために、一家三人奥さんと子どももいたんですが食べていけなくなった。奥さんは中国人だった。やむなくいったん中国に避難しようということで戻ったんですよ。ところが、運の悪いことにその実家が四川省だったんです。それであの大地震で奥さんも子どもも亡くなってしまったんです。自分は職を失う。奥さんと子どもは亡くなってしまう。それでも彼は必死に仕事を探したけれども、もうありません。最後にポケットに残ったのは6000円だった。そのお金で最後に東京見物でもして首をつって死のうということで愛知から東京に出てきて、東京の代々木公園で自殺をしようとしたが、幸い助かって、そこで民青同盟のみなさんが取り組んでいた街頭労働相談に出会って、生活を立て直しているという話をされていました。

 景気のいいときにはそれこそ絞れるだけ絞って稼ぐ。悪くなったら部品のように、物のようにポイッと捨てる。家族がどうなろうと知ったこっちゃない。これを世界のトヨタといわれる企業がやっていいでしょうか。キャノンやパナソニックやソニーがやっていいでしょうか。やっぱりそういうやり方は、いくら資本主義、儲け第一の社会といったって許されるもんじゃないということを私は強く言いたいと思います。(拍手)

 ただみなさん、嬉しいこともありまして、そういうひどい動きに対して社会の側から反撃が起っています。大企業のそういう横暴勝手に対して国民が怒って包囲しつつあります。たとえば私たち共産党は、大企業は「赤字」というけど、黒字の金はどこへ行った。去年まであんなに黒字を誇っていたじゃないですか。内部留保、溜め込んだお金は、製造業の大企業だけで百二十兆円もあるじゃないですか。そのわずか1%を取り崩せば40万人の雇用を守れるじゃないですか。内部留保を取り崩して雇用を守りなさい。それも土地や機械を売れっていっているんじゃない。たった1%だから、株をちょっと売ればそのぐらいのもの出てくるでしょう。こう言ってまいりましたら、政府からもメディアからも経済界からも「共産党の言うのももっともだ」だという声が広がってきたじゃありませんか。

 今日、私はここに持ってまいりましたが、経済界の方々が読んでらっしゃるという月刊誌で『BOSS』という雑誌があるんです。この月刊誌を発行しているという「経営塾」がやっているセミナーに去年呼ばれたことがありまして、演題は「蟹工船と格差社会について」ということで話してほしいとのことでした。それで聴衆のみなさんは大企業の社長さんや、重役さんなどもぞろりといらっしゃる。私の話に真剣に聞いてくれて、たいへん好評だったそうです。なかには、共産党の委員長とはどんな風なのかと「怖いもの見たさ」(笑い)で来た社長さんもいたそうですが、案外怖くないことが分かったようで、そんなことでこの雑誌に私の講演を載せたっていう経過がありました。そうしましたら今年に入って3月号に今度は派遣切り批判の大特集をやっています。「派遣切りへの怒りの一喝」という特集なんです。まず出てくるのは、東レの名誉会長の前田さん。「派遣をクビにする大企業はけしからん。ビンタだ」(笑い)。それから次に出てくるのは、私もよくお付き合いさせていただいている経済同友会の終身幹事の品川正治さん。「経団連に存在感なし」。痛烈な経団連批判です。そしてレポートで「トヨタ首脳が代々木へ 財界の共産党詣でが始まった」(笑い)。さっきお話したのが経過で「共産党詣で」というものではないんですが。その後に私のインタビューを4ページにわたって出して、「人間使い捨ては資本主義の堕落です」と題して載せている。こういった大特集です。「派遣切り」は許せないと、経済界の人も、私も登場する。このぐらい世論になってきつつあるのです。

 そういう中で、若い方々が、労働者が、労働組合を作り、労働組合に結集して立ち上がっているじゃないですか(拍手)。晴らしいですね(大きな拍手)。私たち数えてみたら、全国で130もの企業や職場で新しい労組結成や新しい労組への結集が起こっている。一人でも入れる労働組合、ユニオンに結集しています。それから労働組合というのは2人でも作れるんです。2人いたら労働組合を作れる。そして会社と対等に団体交渉する権利が生まれるのです。憲法で保障されている権利です。それを行使し始めている。

 私は、そういう立ち上がりつつある労働者にもたくさん出会いました。みんな共通しているのは、労働に対して誇りを持ち、まじめに懸命に働いてきた労働者です。私が国会で取り上げたいすゞで5年10ヶ月も派遣労働をずっと続けさせられたあげくに首を切られた佐藤さんという労働者に会ってお話を聞きますと、始業時間の一時間前には出社して工具の手入れをやり、仕事の準備をやって、ミスの無いように万全の仕事をやって、5年10ヶ月休みなく働いてきた。「正社員になれば北海道の家族を呼び寄せられる」。この一心で懸命に働いてきた。それが「首切り」とは納得がいかないという思いで立ち上がっているんですね。その方に、言いたいことがあったら言ってくださいと私が言いましたら、最後にこう言いました。「私はモノ作りが好きです。いすゞが好きです。もっと人間を大事にする会社になってほしい」。いすゞにああいうひどい仕打ちを受けながら、なお「いすゞが好きです」という、そんな宝のような労働者を放り出してしまったら、これはいすゞにとっても大損失だと私は言いたいと思います。そういう方々が立ち上がっている。これは、日本の未来にとってたいへん大きな意味のある流れではないでしょうか(拍手)。共産党はぜひ労働者のたたかいに連帯して、雇用破壊やめさせるために頑張りぬく決意を申し上げたいと思います。(大きな拍手)

 みなさん、政党の真価がここで問われております。結局、「大企業にモノが言える党か、それとも大企業からモノを言われている党か」。これで日本の政党は二つに分けられるんじゃないでしょうか。共産党は相手がトヨタだろうがキャノンだろうが経団連だろうが、道理を尽くして間違ったことをあらためなさい、と言っています。ほんらいなら政府がやるべき仕事を私たちがやっています(拍手)。麻生首相がやらないから私たちがやっている(拍手)。ところが、そういうことをやっているのは、共産党しかないじゃないですか。自民党も民主党も経団連に「通信簿」を付けてもらって、ABCDEと5段階評価を付けてもらって、献金をあっせんしてもらっているでしょう。ゼネコン献金だってもらっているでしょう。やっぱりこういう政党では大企業にモノを言えないどころか、大企業に「アレやれ、コレやれ」と言われてハイハイとなってしまいます。これでは、暮らしを守れません。日本共産党を伸ばしてこそ、暮らしを守る一番の道になるということを訴えたいし、人間らしく働ける労働のルールを作ろうということを呼びかけたいと思います。(拍手) 

社会保障の改革――三つの転換を提案する

 暮らしの問題の第二の柱は、社会保障の問題です。これを切り捨てから拡充に転換するのも大きな仕事です。憲法25条には、生存権の保障が書いてありますでしょう。「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と書いてありますね。そして、「社会保障を増進することは国の責任だ」と書いてあります。この立場から今の社会保障には三つの転換が必要だと訴えたい。

 一つは、社会保障から社会的弱者を排除してはならない、いちばん社会保障を必要としている弱い立場にある方を社会保障から排除したら、それは社会保障とは言えないということを訴えたいと思います。(拍手)

 医療を見ても、高すぎる国民健康保険料を払えない、滞納されている世帯が457万世帯に達しています。全体の20・9%です。払えないと、保険証を無理矢理取り上げて資格証明証に置き換える。資格証明証に置き換えられましたら、お医者さんの窓口で10割全額負担になります。そんなお金があるんだったら保険料を払っていますよ。払えないから困っているんじゃないですか。そういう人から保険証を取り上げるという政治を許しておいていいでしょうか。

 NHKが特集番組をこの前やっていました。2年間でなんと475人の方が、保険証の取り上げで命を落とした。NHKの番組の中では、配管工としてまじめに働き、国保料もずっと完納してきたけれども、不況で収入ががた減りになって、滞納になってしまった。そうしたら保険証を取り上げられて大腸がんを発症しながら受診できず亡くなったという痛ましい事態が放映されていました。私は、保険証と取り上げというのはすぐやめるべきだと訴えたい。中学生以下のお子さんのいる家庭は取り上げないという一歩前進を勝ち取ったけれども、全世帯で取り上げはやめるというのが当たり前の政治だと思います。(拍手)

 生活保護という最後のセーフティネットも危なくなっています。日本では生活保護の受給資格があっても保護を実際に受けている方は、1、2割といわれています。ヨーロッパは7、8割です。多くの人びとが資格はあっても受給していないのです。どうしてそういうことが起こるかというと、受給させないからです。「水際作戦」といいまして、役所の窓口に行っても申請さえ受け付けない。「水際」で追い返す。まるで「ばい菌」かのように追い返す。これは違法です。申請は受理しなければならない。受理した上で審査して受給を決めるというのが生活保護法で決まっていることなのですが、違法な「水際作戦」をやっています。それから「硫黄島作戦」というものもあるんですよ。どういうものかというと、一旦受給はさせる。ところが難癖つけて打ち切るんです。これは残酷ですよ。北九州市で、「おにぎりが食べたい」というメモを残して亡くなられた方がいらっしゃったでしょう。あの方も一旦受給はしたんだけど、「あなたはまだ働けるでしょう」と、保護を打ち切ったんです。重い肝硬変の方です。そういう方の受給を打ち切った。どうして「硫黄島作戦」というかというと、太平洋戦争で硫黄島では一旦米軍を上陸させて迎え撃ったでしょう。それと同じで一旦受給はさせるけど切るっていうものなのです。ここでも、この間のたたかいの中で、住居が無い方にも生活保護の即日決定ができるような改善を勝ち取ったけれども、本気でこんな「水際作戦」だの「硫黄島作戦」などというものはやめさせて、国民の権利として、きちんと国民に等しく保障すべきだということを私は言いたいと思います。(拍手)

 二つ目の転換は、社会保障の原則を「応益負担」から「応能負担」に変えることです。ほんらい社会保障というのは、一人ひとりの負担能力に応じて負担する。つまり、お金持ちの方はたくさん負担する、所得の少ない方は負担がなくていい。この「応能負担」が当たり前です。ところがこの間、この考え方をすてて、「応益負担」といって、受けたサービス、受益に応じた負担というものに変えてしまいました。

 こういう流れのなかで日本の社会保障には、世界の主要国では他に一つもないような異常な三つのことがある。

 一つは、医療費の窓口負担が3割にもなっている。お年寄りでも1割から2割、3割です。窓口負担3割なんて国は主要国の中に一つもありません。ほとんどが無料なんです。だって考えてみれば、医療保険というのは、万が一の病気のために高い保険料をかけているわけでしょう。だから病気の時は無料になるのが当たり前なんです。3割なんて国はない。この3割は、2割、1割に軽減していくのが当たり前だと私たちは訴えたいと思います。(拍手)

 二つ目は、後期高齢者医療制度といってひどい制度をつくりましたね。75歳以上のお年寄りを別枠の制度に囲い込んで差別医療を押し付ける。これも世界でやっている国があるかと国会で聞きましたら、「ございません」と政府はしぶしぶ答えた。これも日本だけです。

 そして三つ目、障害者の方々に「応益負担」を強いる「自立支援法」というのがあるでしょう。障害の重い方ほど負担が重くなる。こんなひどい制度はないですよね。これも「もうやめよ」という声が障害者の方々から噴き出していますけれども、こんな制度を入れてるのも世界で日本だけです。

 医療費の3割負担、後期高齢者医療制度、障害者自立支援法、日本だけです。こんなやり方は、きれいさっぱりやめさせようではないかということを私は訴えたいと思います。(拍手)

 「応益負担」から「応能負担」へといいましたけれども、社会保障というのは、“国の施し”ではない。国民の権利であります。憲法で定められた権利であります。その権利をきちんと保障する政治に切り換えていこうではありませんか。(拍手)

 そして三つ目の転換は、毎年二千二百億円もの社会保障費の自然増を削減するということをずっとやってきた。これを転換する。このおかげで介護、医療、年金、障害者福祉、生活保護、ありとあらゆる分野で社会保障が切り刻まれ削減される“自転車操業”が続きました。もうこれは破綻しているのだけど、まだやめるといわない。二千二百億円の削減は、小泉内閣のときから始まって、積みあがった削減額は一兆六千二百億円です。日本共産党はまずこの一兆六千二百億円を復活させようじゃないか。復活させて、医療、介護、福祉に充てようじゃないかと提案をしておりますが、ぜひこれもやりたい。

 社会保障を応援しますと、家計への直接応援になりますでしょう。将来不安がなくなって財布の紐もちょっと緩みますよ。それから福祉の分野の雇用が増えますね。私たちは“一石三鳥”といっているんですが、そういう経済効果もありますから、ぜひ本当の社会保障といえる制度を日本に打ち立てるために力を合わせようじゃありませんか。(拍手)

「財源問題」で政党の真価が試される

 この問題でみなさん、政党の真価がどこで問われるかといいますと、財源問題なんです。自公政権は2011年度、再来年までに消費税を値上げする法案を通すということを附則に書き込んだ法案を強行してしまいました。民主党も時期ははっきり言いませんけれども将来は引き上げだという。

 「社会保障のためだ」といつもいいますね。しかしこれはウソです。だって政府の計画を見てください。消費税の値上げとセットで打ち出されているのは法人税の減税じゃないですか。この穴埋めのために消費税を値上げしようというのが魂胆なんだということを私は言いたいと思います。思い出してください。1989年に消費税が最初に導入されたときも、「福祉のためだ」とあれほど言ったでしょう。しかしそれからもう20年になりますけれども福祉がよくなったでしょうか。悪くなる一方じゃないですか。みなさんが払った消費税が、どこに消えたのかといったら、同じ規模での法人税減税に消えました。こんなでたらめなやり方は絶対に私たちは許すわけにいかない。今度の選挙でどうか消費税増税は絶対反対、食料品を非課税にという声を日本共産党に託してください。お願いいたします。(拍手)

 そうは言っても財源はどうするのか、ということになると思いますけれど、まず無駄使いをなくします。無駄使いっていったら、最大・最悪で一番物騒な無駄使いは軍事費です。年間5兆円、これにばっさりメスを入れる。とくに2800億円もの米軍への「思いやり予算」は条約上も出す義務がないわけですから、ただちにやめようではありませんか。320億円の政党助成金も撤廃する。自民党と民主党のこの前の政治資金収支報告書を見て驚きました。自民党の支出の6割は税金です。民主党の支出の8割は税金です。これでは“国営政党”じゃないですか。「官から民」へといいながら、自分たちは“国営政党”になっている。恥ずかしいと思わないのか、と私は言いたいと思う。これはやめさせましょう。(拍手)

 同時に、取るべきところからは、税金を取らなければならない。取るべきところといったら儲けているところです。この不況の中でも大金持ちはやっぱり大もうけしています。大金持ちに所得税で分相応の負担を求める。それから、日本では株式の売買、株の配当にかかる税金が何%かご存知でしょうか。たった10%しかかからないんです。10億円を株で儲けても1億円の税金を払えばいい。こんな国はありませんよ。この前、外国人特派員協会でこの話をしましたら、横に座っていた司会者が「フランスでは29%だ」と言いました。隣に座っていた司会者が「アメリカでは25%だ」と言いました。フランスやアメリカに比べても10%など、まったく異常、株の売買で儲けているところにこんな優遇税制をしている国はないんです。これを20%にしたら1兆円が入ってきます。フランス並に30%にしたら2兆円が入ってきます。やっぱり大金持ちにはちゃんと負担を求めていくというのが税制の民主主義だと私たちは考えております。(拍手)

 それと大企業です。日本の大企業の税と社会保険料の負担というのは、とくに社会保険料の負担が低いために、たとえば自動車産業で比べますと、ドイツの8割しか負担していません。フランスの7割です。日本は大企業の税金天国になっているのです。これも儲け相応の負担を求める。

 こうやって、負担する力のあるところに税金を払いなさいというのが日本共産党の立場でありますが、これも、これを言おうと思ったら企業献金をもらっていない党でないと言えませんね。献金をもらっている党では、大企業に税金を出せとは言えません。やっぱりここも共産党の頑張りどころではないでしょうか。(拍手) 

農林漁業の再生の願いをたくせる党は

 暮らしの問題で、第三に訴えたいのは、農林漁業の再生です。地方に伺いますと農林漁業が衰退していることが、地域経済全体の衰退の根っこにあります。シャッター通りになっている。やっぱり農業がさびれてくるとどうしても経済が元気になりません。

 「限界集落」といわれるところが広がっています。65歳以上の方が5割以上という集落で冠婚葬祭や地域の協同作業などもなかなかできない状態になっている。いま集落人口の15%が「限界集落」で先が見えない暮らしを強いられています。このまま放置したら地域経済はいよいよ疲弊し、日本の国土も荒れ果ててしまう。ここで農業を再生することはどうしても必要です。

 農業を再生しますと、何倍もの波及効果があります。農業生産高が拡大しますと、食品産業がまず活発になるでしょう。サービス業も繁盛しますよね。地元商店街も元気になる。それから製造業だってそれを機会に起こってくる。だいたい3倍の地域経済を元気にする効果があるといわれています。ですから、農業再生から地域経済を元気にしようじゃないかということを私は心から訴えたいと思うのであります。(拍手)

 そのためにどうするか。日本共産党は「農業再生プラン」を出しておりますが、なかでも2つ大きな柱があります。一つは、農産物の価格保障、農家への所得補償によって安心して再生産ができる、農業に打ち込める農政にするということです。いまだいたいお米は、一俵、2007年産米で1万2千円くらいまで下がってますでしょう。ひどいところでは1万円というところもあります。しかし、再生産には1万8千円位は必要ですよね。とてもこれは続けられるような水準ではありません。1万2千円というと、稲作農家の方々の収入は、時給に直しますとたったの179円です。これでどうやって農業を続けろというのか。ミネラルウォーターが入っている500ccのペットボトルってあるでしょう。あのミネラルウォーターの平均価格は128円だそうです。あそこにお米をぎっしりつめるといくらか。生産者ベースでいくらになるのかご存知でしょうか。私が計算してみましたらたったの57円です。水の半分ですよ。しかし、500ccといったら二合半ですが、それだけのお米があれば5〜6杯のおいしいふっくらしたご飯が食べられますでしょう。それが水の半分以下というのは、どんな理屈をつけたって自民党農政の大失政だというほかない(拍手)。こう私は言いたいと思います(拍手)。日本共産党は、政治の責任で農産物の価格保障、所得補償で、米でいうんだったら1俵1万8千円は保障する。アメリカだってヨーロッパだって、どこだってやっているんですから、日本でもやろうじゃないかというのが共産党の提案でございます。(拍手)

 そしてもう一つ、歯止めのない輸入自由化はストップをかけなければなりません。一方で輸入自由化をどんどん進めながら、一方で所得補償というのが民主党の提案ですけれども、これでは穴の空いたバケツに水を入れているようなもので、どんなに税金を入れたって農家は立ち行きません。やっぱりその国の食料はその国が作る。これは世界の流れになっているじゃありませんか。工業製品と同じように外国から安いものを買えばいいんだと、これでは危なくなっているというのが、あの汚染米の問題とかいろいろな問題が証明しているじゃありませんか。「安全、安心な食料は日本の大地から」、この立場で、歯止めのない輸入自由化はストップをかける。WTO農業協定は根本から見直すという立場で共産党は頑張りたいと決意しております。(拍手)

 みなさん、労働、社会保障、農業と話してまいりましたけれども、これくくりますと、日本の資本主義というのは「ルールなき資本主義」と言われていまして、同じ資本主義でも暮らしを守るまともなルールがありません。あまりにも大企業の横暴勝手が野放しになっている。この「ルールなき資本主義」を正していく。みなさんの暮らしや権利を守る、せめてヨーロッパ並みの「ルールのある経済社会」に大きく改革しようというのが私たちのプランでございます。この方向こそ今の景気悪化を打開し、日本経済の健全な発展をはかる大きな大道があるということを私は訴えたいし、その願いをどうか日本共産党に託していただきますことを心からお願いします。(拍手)

アメリカ覇権主義が通用しない時代――日本の進路をどうするか 

アメリカ覇権主義の終わりが始まっている

 外交の問題もお話しなければなりません。日本の政治のもう一つの大きなゆがみは「あまりにひどいアメリカいいなり」というところにあります。しかしみなさん、世界を見ますと、もうすっかり大きな変化が起こっています。もうアメリカの覇権主義が大手をふって通用する時代ではなくなってきた。

 アメリカは、イラク戦争で大失敗しましたでしょう。

 そしてもう一つ、経済でも、アメリカは失敗したじゃないですか。

 資本主義の総本山といわれるアメリカで、経済危機が起こりました。何がアメリカで破綻したかというと、2つが破たんしました。

 1つは、私たちは「カジノ資本主義」と呼んでいますが、“バクチ経済”の破綻です。金融の自由化、規制緩和で、サブプライムローンのようなイカサマ商法をおこない、それをさらに膨らませるいろいろな「金融デリバティブ」というイカサマ商品を作り、金融バブルを作って、とうとうその大元であるリーマンブラザーズが破綻した。

 2つは、消費バブルの破たんです。アメリカという国は世界で唯一の特権のうえにあぐらをかいていました。ドルというのは基軸通貨とされている。この特権のうえにあぐらをかいて借金で過剰消費をしていた。自分の金で消費するんじゃない。借金で実力以上の過剰な消費をしてきた。この消費バブルをずっとやってきた。国も家計もこれでやってきた。しかしそれが立ち行かなくなって、消費バブルが破たんした。

 金融バブルが破たんし、消費バブルが破たんし、そしてそこから危機が起こったんですね。ところが日本は金融でもアメリカの物真似をしてきた。輸出では消費バブルに頼った輸出をやってきた。両面で、経済の面でもアメリカいいなりが成り立たなくなっています。

 アメリカはイラクで失敗し、経済で失敗し、軍事でも経済でも、失敗しましたから、アメリカの覇権主義の時代というのは終わりが始まっているのです。

日米安保条約をなくし、日米友好条約を結ぼう

 これが世界の状況なのに、いまだに世界一の“スーパースター”はアメリカだと、アメリカについていけば心配ないとばかり、アメリカのいいなりに、「日米同盟」を絶対化し、米軍基地を強化し、沖縄のあの美しい辺野古に海にまで海兵隊の基地を造り、アフガンの戦争に応援に行き、イラクの戦争にも応援に行き、今日はソマリア沖にも自衛艦を出す。アメリカに言われるままに海外派兵をやっている。そして、日本の誇る憲法9条までアメリカに売り渡そうとする。こんな情けないやり方は、大元から変えるべきときに来ているのではないでしょうか。(拍手)

 私は、先日、外国人特派員協会で講演しまして、「私は決して反米主義者ではありません」と言ったのです。アメリカの国民や、アメリカという国とは本当の仲良しの関係をつくりたい。そして本当の友好というのは、支配、従属の関係では出来ませんよね。対等・平等でこそ本当の友情が生まれるんじゃないでしょうか。(拍手)

 特派員協会の講演で紹介したのですが、私たちの大先輩のマルクスが、リンカーン大統領が再選したときにお祝いの手紙を送っているのです。その手紙の中でアメリカをこう言っているのです。「偉大な民主共和国の思想が初めて生まれた土地」。共和制が初めて生まれたのはアメリカです。「最初の人権宣言が発せられた土地」。人権というのを高々と謳(うた)ったのがアメリカです。「18世紀のヨーロッパ革命に最初の衝撃を与えた土地」。アメリカの独立革命は1776年、フランス革命は1789年、アメリカ革命が導火線になってフランス革命が起こったのです。「偉大な土地」とマルクスは言っていますけれど、そういうアメリカの民主主義と自由の偉大な伝統には、私は尊敬を持っています、という話をしました。

 私はアメリカがやっている安保や基地の政策は批判するけれど、偉大な歴史には尊敬の念を持っています。私たちは日米安保条約はなくして、基地のない日本をつくる、そして安保条約に替えて、日米友好条約を結びたいというのが日本共産党の提案です。(拍手)

日本共産党の元気の“源”は何か

 今日はいろいろと話をさせていただきましたけれど、私たちは最近、内外のメディアからずいぶん取材が多いのです。そこで聞かれることは、「どうして共産党員が増えているのですか」「どうしてそんなに元気なのですか」ということが多い。先日、外国人特派員協会で、「日本共産党の元気の“源”は何か」という題名で話をさせていただきました。そこで今日お話した、経済改革では「ルールある経済社会」を目指すこと、外交路線では「アメリカから独立した日本」を目指すことをお話したうえで、さらにもっといくつか元気の“源”があるのですという話をしたのです。

国民の苦難の軽減が立党の精神

 一つは、日本共産党は草の根の自前の組織を持っている唯一の政党だということです。他の政党は業界団体を足場にしたり、宗教団体を足場にしたり、労働組合を足場にしたりしている。自前の組織はないですね。日本共産党は40万人の党員のみなさん、2万2千の支部のみなさん。3000人を超える地方議員のみなさんが、全国で生活相談や労働相談やいろいろな地域、職場の要求実現など、国民の利益を守って日夜頑張っています。共産党をつくったそもそもの立党の精神は、その時々の国民のみなさんの苦難を軽減し、平和と安全を守ることです。この立党の原点に立った取り組みを、日本列島のいたるところで展開しているのは、私たちが一番誇りにするところです。

 その活動が、社会的にずいぶん認知されてきて、最近は「困ったことがあったら共産党へ」というのが社会でもだいぶ浸透してきました。私たちのところに相談に来られる方も、「生活に困って役所に行ったんだけれども、役所に行ったら『そういう事は共産党に行ってください』」(笑い)。「サラ金の多重債務で困って警察に行ったんだけど、『サラ金問題は共産党に行ってください』と言われた」(笑い)。こういうケースすらあります。

 朝日新聞が特集記事を書きまして、「ルポ日本 解雇そこに共産党」。解雇にあった、そうしたら共産党が相談にのった、それで生活の道が開かれたという話がずっと書かれています。「山の高齢者も次々」 という話も載っています。奈良の山の奥の川上村の「限界集落」の話です。住民95人のうち67人が65歳以上という「限界集落」だと。そのうち10人が新たに共産党員になった。ここから、私が奈良県に行ったときに演説会に来て下さったんですね。山奥からバスでずっと来てくださいまして、こんな会話をした。「この間の志位さんの話は、思わず身を乗り出すほどええ話やったね。」「ほんまやな。まぁ家に帰ったら全部忘れてしもうたけどな」(笑い声)。たいへん親しい交流が広がっていることはうれしいことです。

 もう一つ、韓国にハンギョレという新聞がありまして、韓国でも大きな新聞です。私にインタビューしたいというので、インタビューに応じましたらびっくりです。一面全部とって、写真がこんな大きな写真でありまして、書いてあるんですね。「しんぶん赤旗」でもこんな大きな写真は出しません(笑い)。韓国・ハンギョレ紙がどこに一番注目しているかというと、「日本社会の社会安全網が新自由主義の構造改革でおろそかになり、共産党が構築している全国組織網が社会的弱者のための安全網の役割を果たしている」。ここに注目してくれているのです。

 この草の根の力をますます強めて、国民のみなさんの「困ったときは共産党」という期待に応えられるような党にもっと成長していく決意を申し上げたいと思います。(拍手)

党名に込められた未来社会への展望

 もう一つは、私たち共産党が理想を持っているということなのです。つまり当面は日本共産党は、資本主義の枠内で財界・アメリカ中心から国民中心に政治を大きく転換することが目標ですけれど、それをやり終えて本当の民主主義の日本をつくったら、次の目標として資本主義を乗り越える未来社会――社会主義・共産主義に進むという理想を持っております。

 いま資本主義が世界中で経済危機でしょう。こういう中でTVなどメディアから「資本主義は限界か」ということでよく聞かれるようになりました。私は去年、「サンデープロジェクト」という番組にも出ましたし、今年は「カンブリア宮殿」という番組にも呼ばれまして、いろいろと話す機会があったけれども、やっぱりそこで必ず「資本主義でやっていけるか」ということになる。そして必ず言われるのが「マルクスはどう考えていたのか」「『資本論』を紹介してくれないか」と、両方の番組で共通して言われました。『資本論』というのはこんなに厚い本で、ちょっとTVで一節を読み上げて分かるようなものではありません。難しい本ですけれども、しかし読み直してみると分かりやすいピタッとくるところもたくさんあります。私は、TVでこの一節を読み上げたのです。

 「“大洪水よ我が亡き後に来たれ”。これがすべての資本のスローガンである。それゆえ資本は社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命に対しなんらの顧慮も払わない」。

 フランスの王様ルイ15世の愛人が贅沢三昧をやっていた。“そんな贅沢ばかりしていては大洪水(国家財政の破たん)が来ますよ”と諭されたら、「大洪水が来るなら私が死んでからにしてよ」というふうに言ったといいます。日本の諺でいいますと「後は野となれ山となれ」ということになります。資本はあくなき利潤追求のためにはどんなものでも犠牲にしてはばからない。労働者の寿命も健康も犠牲にしてはばからないというのは、今の派遣労働の奴隷的実態に表れているじゃありませんか。あるいは投機マネー、いま起こっている恐慌、環境破壊、世界的貧困と飢餓、これも資本というものが、自分の儲けのためにはあらゆるものを犠牲にしてはばからない、この法則が働いているものです。

 これにたいして私たちはまず、資本主義の枠内でも「社会による強制」という言葉がありましたが、社会的な規制、ルールを作ってこれを抑えて、「ルールある経済社会」をつくるということを日本でも目指すし、世界的な規模でも目指します。しかしこれをギリギリまでやったとしても、いま言ったような貧困とか、格差とか、投機とか、恐慌とか、環境の問題は、この資本主義という儲け第一主義のもとでは根本からは解決できない。そうしたもとで人類がそれを乗り越える社会主義・共産主義への道を進むであろうという展望を私たちは持っております。

 私は、一昨日、ニコニコ動画というインターネットの動画サイトの生放送に出る機会がありまして、6万人もの方のアンケートが返ってきました。このアンケートは若い方々中心のアンケートなのですけれども、「共産党という党名についてどう思いますか」に対して「現状のままがいい」と答えた方が56%。多数派なんですよ(拍手)。女性は「現状のままがいい」という方が多くて63%がそう答えております。それから10代以下の若い方も60%以上が「現状のままがいい」。共産党という名前がシンパシーをもって若い方に受け止められているということをご紹介したいと思います。

 もう一つ、ニコニコ動画のアンケートで印象深かったのは、「共産党に今後政権について期待することは何ですか」に対して、57%の方が「今後も野党として与党を追及してほしい」(笑い、拍手)。これは、いいですよね。当面はこれで行きます。しかし、26%の方が「他党と連立して与党を目指してほしい」。17%の方が「共産党単独で政権樹立を目指してほしい」(拍手)。あわせて43%ですよ。共産党は野党にとどまらないで政権についてほしい。

 ここまで若い方にも期待されているわけですから、今度の総選挙ではぜひ大きく議席を伸ばしていただいて、次の選挙のすぐ後に政権というわけにはちょっといかないかもしれないけど、近い将来に私たちも政権に参加できるような民主的政権の第一歩への躍進を歴史的にも刻む選挙としていただきますようどうかよろしくお願いいたします。(拍手)

「最大多数の人々を幸福にした人が最も幸せな人」(マルクス)

 今日おいでの方の中には共産党に入られている方もいらっしゃると思いますが、入られていない方もいらっしゃると思います。ぜひ、ここでお会いしたのも何かのご縁と(笑い)ということで、今日私の話したことは裏も表もございません、ありのままの日本共産党について話させていただきましたので、共鳴していただけましたら、私たちと一緒に歩んでいただけないかということを訴えたいと思います。

 私は、大学生のときに入って30数年やっておりますが「いいところですよ」ということを申しております。私たちの大先輩のマルクスが、「本当の幸せとは何か」ということを高校生のときに作文で書いているのです。格調が高いんですよ。人間の幸せとは何か。恋愛なども幸せですよね。それから良い仕事が見つかって働き甲斐があるのも幸せだと思います。若きマルクスはこういっている。「最大多数の人々を幸福にした人が最も幸せな人だ」と。(拍手)これはいい言葉ですよね(拍手)。私たちはこういう立場で頑張っておりますので、最も幸福をつかめる道が共産党であるということをご理解いただいて、日本共産党への入党をお勧めいたしまして、私の話を終わらせていただきます。ありがとうございました。(大きな拍手)