2009年1月21日(水)「しんぶん赤旗」

農民連が勇気をもって掲げ続けた旗が輝きを増している

志位委員長のあいさつ


 二十日、農民運動全国連合会第十八回定期大会での志位和夫委員長のあいさつ(大要)を紹介します。


農民連運動の明るさ、たくましさ、誇り

写真

(写真)農民連第18回定期大会であいさつする志位和夫委員長=20日、東京都大田区

 みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます。農民連の第十八回大会、そして二十周年に心からお祝いを申し上げます。

 私が、長年、農民連のみなさんとともにたたかうなかで実感しておりますのは、日本農業のたいへんな苦境のなかでも、農民連のみなさんがいつも明るく元気なことであります。

 「年越し派遣村」でも元気いっぱいの農民連のみなさんの活動が、職を失った多くの仲間をどれだけ励ましたかわかりません。危機に際しては食料を生産していることがどんなに大切かということが痛いほどわかります。

 文字通り大地に根をはった農業従事者のみなさんのたくましさ、そして食料という人間生活の一番の基本を担っておられることへの誇りを、いつもみなさんの姿から感じて、いっしょにたたかってまいりました。私は、日本共産党を代表して、みなさんに対する心からの敬意をこめて、熱い連帯のあいさつを送るものであります。(拍手)

 さて、今日の情勢を大きな視野で眺めてみますと、世界でも日本でもこれまでの古い枠組みが破たんし、それに代わる新しい枠組みを求める歴史的な転換点に私たちが立っているということをつくづく感じます。

 そのなかで私は、農民連のみなさんが二十年前の結成時に勇気をもって掲げた旗が、どれも今日の情勢のもとで輝きを増しているということをいいたいと思います。いろいろな旗がありますが、とくに二つの旗に私は注目してみております。

「安全な食料は日本の大地から」の旗

 一つは、「安全・安心の食料は日本の大地から」という旗であります(拍手)。農民連のみなさんが一貫して歯止めない輸入自由化ストップのたたかいの先頭にたってこられた。

 一時は、何かそれが保護主義であるとか、時流に遅れているかのように攻撃されたこともありましたが、今の世界を見てください。農民連の主張は、世界の本流となっているではありませんか。(拍手)

 この間、アメリカを中心とした「カジノ資本主義」が大破たんに陥り、世界金融危機を引き起こしました。それはアメリカが、世界に押し付けてきた新自由主義、市場原理主義の大破たんともなりました。そしてそれは、この路線を金融面で担ったIMF(国際通貨基金)、世界銀行とともに、貿易面でこれを担ったWTO(世界貿易機関)の根本的見直しを世界に迫るものとなりました。

 昨年十二月、国連人権理事会に、注目すべき報告書が提出されました。デシュッター特別報告官の報告書です。この報告書では、現行のWTOの農業協定が、世界の飢餓を減らすどころか逆にそれを増加させた事実を指摘し、次のように勧告しました。「持続可能な食料安全保障を目指すためには、各国とも世界貿易に依存すべきではない」「食料への権利を順守しないWTO協定は拒否すべきだ」。この報告書は、今年三月の国連人権委員会で正式に公表されるといいますが、「WTO協定から食料主権へ」という農民連の主張は、まさに世界の大勢となりつつあるといってまちがいないと、私は思います。(拍手)

 日本国民の中でも、食料を外国頼みにすることがいかに危険かが、穀物と食糧の世界的高騰や汚染米問題などをつうじて、共通の認識となりつつあります。農民連が一貫して主張しつづけてきた、あの憎っくきミニマム・アクセス米(笑い)の「義務」輸入問題でも、JA全中が見直しを言い出し、農水省も「いったん枠を決めたら、それに達しないといけないのかどうか、考えてみる」などと、ともかく見直しを言わなければならなくなったではありませんか。

 歯止めない輸入自由化ストップ、「食料主権」にたって国境措置の維持・強化を――この農民連の主張が、世界でも日本でも当たり前の流れになりつつあります。ここに確信をもってがんばろうではありませんか。(拍手)

「農業を国の基幹産業に」の旗

 いま一つは、「国の産業政策のなかで、農業を基幹的な生産部門として位置づけ、自主的発展をはかる」という、農民連のみなさんの一貫した旗です。

 世界金融危機のもとでの日本の景気悪化は、これまでにない特徴があります。それは悪化のスピードが異常に速い、墜落するように景気悪化がすすんでいるということであります。その大きな原因は、「構造改革」の掛け声で、一部の輸出大企業のもうけの応援にだけ熱中してきた結果、異常な外需頼み、内需ないがしろのぜい弱な経済になってしまったことにあります。外需頼みですから、アメリカ経済が悪くなると、いっぺんにぺしゃんこになった。外需頼みから内需主導へ、大企業応援から家計応援に――経済政策の軸足を抜本的に転換すべきだと私は強調したいと思うのであります。(拍手)

 どうやって内需を活発にするか。四つの柱があると思います。一つは、「非正規切り」をやめさせ、安定した雇用を保障すること。二つは、社会保障を削減から充実に転換すること。三つは、中小零細企業の資金繰りと仕事を保障し経営を安定させること。そして四つめは、日本農業の再生だと私はいいたいと思います。(拍手)

 地方に出かけますと、農業の衰退が地域社会全体の衰退につながっている、この立て直しなくして内需主導の経済はつくれないと痛感させられます。農業生産を拡大することは、生産部門において、農業機械、肥料、生産資材などの消費を増やします。農家の所得向上は、その多くが地域に還元され、食品、サービス業、製造業などを活発にします。もちろんお米屋さんも営業がしっかりしてまいります。

 逆に、それを壊したらそのマイナスの波及効果は計り知れません。たとえばオーストラリアとのEPA(経済連携協定)をやれば、関税が撤廃された場合の北海道への影響として、農業の崩壊四千四百五十六億円とともに、関連製造業、地域経済の崩壊を合わせると一兆三千七百十六億円に達するという試算が道によってなされました。農業を壊せば、三倍もの規模で地域経済が壊れる。逆に農業を再生すれば、三倍もの規模で地域経済が活性化するということになるではありませんか。(拍手)

 農業再生こそ地域経済再生の要であり、日本経済再建の土台になる。そのためには農産物の価格保障・所得補償によって、安心して再生産ができる農業にしていくことがどうしても必要であります。その旗印を、いよいよ高く掲げて、ともにすすもうではありませんか。(拍手)

ともに手を携えて日本農業の再生を

 農民連のみなさんが二十年来掲げてきた旗は、世界でも、日本でも、いよいよ輝きを増しております。日本共産党は、みなさんの運動に固く連帯してたたかうとともに、来るべき総選挙で必ず前進・躍進を果たし、日本農業再生にむけた政治の責任を果たしていく決意を申し上げたいと思います。大会の成功を心から願いつつ、また、みなさんの組織の発展を心から願いつつ、そしてともに手をたずさえ日本農業の再生をかちとることを誓い合って、私のあいさつとさせていただきます。ともにがんばりましょう。(長く続く拍手)