2008年10月31日(金)「しんぶん赤旗」

政府・与党の「追加経済対策」について

暮らし応援する政治こそ

志位委員長が会見


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(写真)記者会見する志位和夫委員長=30日、国会内

 日本共産党の志位和夫委員長は三十日、国会内での定例の記者会見のなかで、政府・与党の「追加経済対策」について、「政治の責任で誰を応援するのかが問われている」と強調し、「三つの大きな問題点」を明らかにしました。

 第一は、景気悪化から国民の暮らしを本気で守る姿勢がまったくないということです。

 志位氏は「いま雇用破壊がたいへんな勢いで列島各地に襲いかかっている」として、トヨタ、日産、三洋電機など大手製造企業が不安定雇用の労働者の首切りを進めていることを告発。政府の対策には、「大企業が『リストラの嵐』の引き金を引くことを食い止める姿勢はどこにもない」と批判しました。

 三大メガバンク(巨大銀行)が中小企業向け貸し出しを、この一年で二兆七千六百億円も減らし、大企業による単価の買いたたきで中小企業の倒産が激増していることを指摘。「大企業、大銀行の社会的責任を放棄した行動を止める必要があるが、政府の対策には、こうした措置がまったくみられない」と強調しました。

 第二は、大企業、大銀行、大資産家応援が中心の対策だという点です。

 志位氏は、大企業にたいして、設備投資減税、海外子会社の利益の課税免除など、新たな減税のばらまきをやろうとしていることを批判。「大企業には、法人税の引き下げなどで、すでに五兆円ものゆきすぎた減税のばらまきをやっている。そのうえ、追加の減税ばらまきなど許せるものではない」と述べました。

 大資産家には、株式の売却益や、配当に対する軽減措置の延長が盛り込まれています。

 さらに、銀行への公的資金の投入枠を拡大したうえ、中小企業への貸し出し目標もはずしていることを指摘。「年間二兆数千億円もの利益をあげながら、ほとんど税金を納めていないメガバンクに、十兆円規模の公的資金を投入するというのも許せる話ではない」「中小企業への貸し渋り対策にもならない」ときびしく批判しました。

 第三は、「生活者の暮らしの不安をとりのぞく」といいながら、そのメニューの中心は、まじめな景気対策といえるものではなく、「選挙対策」といわれても仕方ないものになっている点です。

 志位氏は、政府が「対策」の「目玉」としている二兆円の給付金について、「小泉内閣以来、庶民への増税と社会保障の切り捨てで十三兆円もの負担増を押し付けておきながら、たった一年きりの減税で許してくれといっても通る話ではない」と指摘。さらに、減税が三年後の消費税増税とセットになっていることをあげ、「三年後に消費税増税を予告しておいて減税しても、とても『暮らしの安心』にはつながらないし、『景気回復』にもならない」「これでは公金を使った『選挙買収』と言われても仕方がない」と述べました。

 志位氏は、「景気対策というなら、国民の暮らしを土台から応援する政治が必要だ」と強調。なかでも、年金、介護、医療改悪の元凶になっている二千二百億円の社会保障費の抑制路線を中止することは、「暮らしを良くするかどうかの試金石だ」と述べ、「社会保障費の抑制路線の中止なくして暮らしの安心なし、暮らしの安心なくして景気回復なしだ」と述べました。

 最後に志位氏は、「私たちは、土台から家計を応援する対案を示して、論戦で麻生政権を追い詰めていきたい」と決意を表明しました。