2008年3月27日(木)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療制度廃止求める4野党集会

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が二十六日、後期高齢者医療制度の廃止を求める四野党の共同集会でおこなったあいさつは以下の通りです。


日本列島で怒り噴きあがる

写真

(写真)あいさつをする志位和夫委員長=26日

 後期高齢者医療制度の四月実施を前に、日本列島で怒りが噴きあがっております。反対署名は五百万をこえ、中止・撤回などを求める意見書・決議をあげた自治体は五百三十をこえ、自治体総数の三割に近づいています。医師会も、老人会も、市民団体も、労働組合も、政治的立場の違いをこえて、これまでにない広い方々が反対の声をあげています。

 ここに持ってまいりましたのは、岐阜県大垣市議会のさる会派が出した会報です。「後期高齢者医療制度に断固反対」「高齢者にやさしい施策」。これは、自民党の会派が出しているものです(笑い)。まさにここまで火の手が広がっているわけでありまして、福田自公政権にたいして、国民の怒りの声を正面から受け止めて、いまからでも撤回せよということをいいたいと思います。(「そうだ」の声、拍手)

文明国では許されない差別制度

 国民のみなさんが、いったいこの制度のどこに怒っているのか。私たちに寄せられている多くの高齢者の声は、「国から棄(す)てられようとしている」という訴えです。

 すなわち、怒りは負担が増えるということだけではありません。七十五歳という年齢を重ねただけで、健保や国保というこれまでの医療保険から追い出され、別枠の保険制度に囲い込まれ、保険料は年金から天引きされ、払えない人は保険証をとりあげられて、診療報酬もまったく別枠のものにされ、必要な医療を制限される。これまでやられていた健康診断についても七十五歳以上は義務ではなくなる。つまり、年齢を重ねただけで、人間としての尊厳、存在を否定される。このことへの怒りのあらわれだと思います。

 およそ国民皆保険が施行している国で、年齢による差別医療をやろうとしている国は、ありません(「そうだ」の声)。こんな反文明的なやり方は、断じて許すわけにはいかないということをいいたいと思います。(拍手)

75歳で区切る本音はどこに

 この制度の最大の理不尽さは、いったい人間を七十五歳で区切る根拠がどこにあるのかという問題です。

 この問題について、わが党の小池議員が、先日の参議院の予算委員会で聞きますと、「後期高齢者には心身の特性がある。だからそれにふさわしく医療もきめ細かく」ということを政府側はいいます。では「心身の特性」とは何か。ここに持ってまいりましたが、厚生労働省の社会保障審議会が出した「後期高齢者医療のあり方に関する基本的考え方」なる文書です。ここに三つの「心身の特性」なるものが出てまいります。そのまま読み上げますと「第一。老化に伴う治療の長期化、複数の慢性疾患が見られる」「第二。多くの高齢者に、認知症の問題が見られる」「第三。新制度の被保険者である後期高齢者は、この制度の中で、いずれ避けることのできない死を迎える」(どよめきの声)。みなさん、ここに本音が表れているではありませんか。

 いずれ死ぬとばかりに、医療費の節約のためとして、お年寄りを差別する思想がはっきりここに表れているのではないでしょうか。つらい戦争を体験された世代です。戦後の復興を担ってきた世代です。そういうお年寄りに「国から棄てられようとしている」といわせるような政治には、未来はないといわなければなりません(「そうだ」の声、拍手)。高齢をむかえたらみんなでお祝いし、医療費は無料にしていく方向が、私はまっとうな政治のあり方であると思います。お年寄りの医療費の無料制度は、かつて地方自治体に広がり、一時は国の制度にもなったわけであります。お年寄りを敬い、そのご苦労に報いる政治であってこそ、若い人々をふくめて国民すべてが大切にされる政治になると、私は信じております。そのためにもこんな制度は絶対に許すわけにいきません。

世代こえ国民の団結で撤回を

 私が、最後に訴えたいのは、この制度の矛先は、後期高齢者だけに向けられているのではないということです。すべての国民に向けられているということです。

 この制度によって、二〇一五年には二兆円の医療費が削減されるという。二〇二五年には五兆円の医療費が削減されるという。二〇二五年に後期高齢者になるのがどういう世代かといったら、「団塊」の世代です。ターゲットは「団塊」の世代です。「団塊」の世代の方々が、そういう年齢を迎えたときに、医療費をうんと減らしてやろうじゃないか。そのためにいまから仕掛けをつくっていこうというのです。

 すべての国民が、七十五歳になったら「国から棄てられる」というのがこの制度であります。こんな間違った制度はぜひ政治的立場の違いをこえ、そして世代をこえて、国民が団結してやめさせたいと思います。四野党が力を合わせて撤回法案を出しておりますが、この制度を撤廃するためにがんばりぬく決意を申し上げてあいさつといたします。(拍手)