2008年2月11日(月)「しんぶん赤旗」

京都市長選

「市民が主人公」の民主市政中村さんでとりもどそう

志位委員長の応援演説(要旨)


 日本共産党の志位和夫委員長が九日行った京都市長選での中村和雄候補応援演説の要旨は以下の通りです。


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(写真)応援演説をする志位和夫委員長=9日、京都市

 京都市民のみなさんの選択を全国が注目しています。中村さんは、弁護士として、水俣病の被害者救済、雇用問題、同和問題、市職員不祥事問題など、命と暮らし、民主主義のために大きな仕事をしてきた方です。見識、実績、実力、人格―古都・京都の顔にもっともふさわしい(拍手)。どうか市長におしあげてください。(大きな拍手)

「オール与党」の相乗り候補と、市民と日本共産党が共同で推す中村さんとの対決

 対決の構図は、広い市民と日本共産党が共同で推す中村さんと、自民、公明、民主が「相乗り」で推す前教育長との事実上の一騎打ちです。

 相手は「相乗り」です。市民の中から「国会では自民と民主は対決しているのに、京都ではなぜ相乗りか」と疑問が出ているとうかがいました。しかしこれは不思議でも何でもないんです。

 まず国政でも、自民党と民主党は「対決」しているようにみえるけれど、それはうわべだけ。根っこのところではつながっているんです。「大連立」騒動がありましたでしょう。あれがいつ繰り返されるかわかりません。自衛隊の海外派兵の恒久法、消費税の値上げでも両党には接点があります。よく「ねじれ」といいますが、自民と民主の間にはたいした「ねじれ」はありません。「ねじれ」ているのは、「二大政党」と国民のみなさんの利益なのです。(拍手)

 京都市政にくると、もっとはっきりしていて、共産党以外の政党は、自民も、公明も、民主も、すべて与党―「オール与党」になっています。民主党は、国政では政府の予算案に反対する点ではいちおう野党ですが、市政では市長の予算案はじめあらゆる議案に賛成する与党です。

 全国の首長選挙では、「オール与党」の勢力が選挙のときだけ二つに割れて、形だけでも「にわか対決」をとることがあります。それを京都ではなぜできないか。京都の民主勢力、市民の力が強いからです。共産党の力も強いからです(拍手)。「相乗り」でなければ勝ち目はない。そこまで相手から“評価”されているなら、その“評価”に応える結果をだそうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

「三つの災難」をもたらす市内高速道路――中村さんできっぱり中止を

 これまでの論戦で、争点ははっきりしました。

 第一は、市内高速道路の問題です。完成した二路線につづき、計画中の三路線を許すのかどうかが、一大争点に浮上してきました。高速道路の市内への引き入れは、京都市民に「三つの災難」をもたらします。

 一つは、税金の無駄づかいです。だいたいこの計画は、京都市民がのぞんだものではありません。今後十年間で五十九兆円の道路をつくるという国がつくった「道路中期計画」にもとづいて、京都に押し付けられたものです。いったいいくら使うのか。計画されている三路線は総額二千九百億円、京都市の負担だけで千四百五十億円。こんな莫大(ばくだい)なお金があるなら、福祉と暮らしにこそ使うべきではないでしょうか。(「その通り」の声、拍手)

 二つは、京都の景観を壊すことです。高速道路は地下につくりますが、排気のために高さ三十メートルの煙突を四本もたてるといいます。「煙突は景観にマッチしたものにする」(笑い)などといっているそうですが、どんなお化粧をしようと煙突は煙突ですよ。四本もの三十メートルの煙突は、京都の景観をさらに壊すことは、あまりにも明らかではないですか。(拍手)

 三つは、「京都議定書」を採択した都市の名を汚す計画だということです。高速道路は、都心部に大量の車を導入することになります。交通渋滞と大気汚染をひどくし、地球温暖化をすすめます。この間、日本政府は、「京都議定書」の精神を投げ捨てたと批判されています。そういうときには、京都の市長こそ、環境保全の先頭にたち、国にはっきりものをいう人でなければつとまりません。(「そうだ」の声、拍手)

 「オール与党」の候補者は、「あり方を検討」するとしかいいません。批判が強いから「いまは凍結」ともいいだしました。しかし「凍結」というのはいつかはとけてくるということですね(笑い)。高速道路計画は「中止・撤回」ときっぱり主張する中村さんで、京都の景観をまもり、地球環境保全のための京都の責任をはたしましょう。(拍手)

国政の「悪い風」から、市民の暮らしを守る自治体を

 第二は、福祉と教育をよくする候補者はだれかという問題です。

 いま国政からは、「構造改革」の名で貧困と格差を広げる「悪い風」が京都にふきつけてきています。私は昨日、国会で、貧困の根源にある雇用の破壊の問題、派遣労働の問題をただしました。人間を使い捨てる、あまりに非人間的な働かせ方が横行している。さすがに福田首相も「決して好ましいものではない」と、首相にしては「殊勝」な(笑い)答弁をせざるをえませんでした。

 こういう国民の暮らしを壊す「悪い風」から、市民の暮らしをまもることこそ、自治体の本来のあり方のはずです。ところが「オール与党」の候補者は、「乾いたタオルをしぼるように行革をやる」といったそうです。「乾いたタオルをしぼる」という悪名高い言葉を使ったのは、長時間過密労働で労働者をしぼりあげ、下請けをしぼりあげて、大もうけをしてきたトヨタですよ。こともあろうに金もうけ第一の大企業の論理を、自治体にもちこむ。これは福祉と暮らしをまもるべき市長候補がいうべき言葉ではありません。(「そうだ」の声、拍手)

 高すぎる国保料と保険証の取り上げに反対する署名が十八万人を超えたと聞きました。これはあまりにひどいと思うのは、「オール与党」の市政が、乳幼児や重度障害者のいる世帯からも、保険証の取り上げをやっていることです。全国の政令市・県庁所在地・東京二十三区の半数以上は、こんな取り上げをやっていません。それなのに国の方針どおり取り上げている。

 保険証を取り上げられ、資格証を交付されたご家庭のお母さんからこういう訴えがあったそうです。「激しい下痢の二歳の長女を診療所に連れていった。三歳未満なら外来一回二百円ですむと思ったら、資格証によって『子どもの医療費無料制度』の対象からはずされており、六千六百円請求された」。保険料が高すぎて払えず保険証を取り上げられたお母さんに責任はない。ましてや二歳の子どもさんに何の責任があるというのでしょう。

 「オール与党」の候補者は、「財源」を理由に引き下げを拒否しています。しかし、自治体というのは命と健康にかかわることには、最優先でお金を使うべきなのです(拍手)。中村さんがいうように、二十八億円あれば、国保料を一世帯一万円引き下げることができます。高速道路をやめれば千四百五十億円のお金が出てくる。五十年分ですよ。どちらが市民にとって大切かは、明らかです(拍手)。中村さんで命と健康をまもるという自治体の当たり前の姿をとりもどしましょう。(大きな拍手)

教育に格差と差別を持ち込むことは許せない――一人ひとりの子どもを大切にする教育を

 教育の問題も争点です。「オール与党」の候補者は市の教育長だったことを売り物にしていますが、何をやってきたのか。教育基本法改悪が強行されたさいに、国会にまできて改悪の旗振りをした人です。京都でも学校の予算を二割も削って、夏に子どもたちがプールに入れないような事態も生まれました。

 さらに悪いのは学校教育に格差を押し付けてきたことです。高校では、市立高校に「受験専門学科」を設置しデラックスな校舎をつくる一方、夜間定時制は百三十人の募集人員を削減しました。小学校でも、一部の学校を「構造改革特区」に指定し、校舎から給食の食器までデラックスにし、先生の数も手厚くした。その一方で、従来校では校舎、体育館の雨漏り、壁にあいた穴が放置されています。

 ここには一部の子どもたちができればいい、弱肉強食の競争原理を学校教育に持ち込もうという考えがあります。しかも大阪市で開かれた侵略戦争を正当化・賛美し、憲法を否定する団体の催しに提言者として出席した人物です。私は、教育で一番悪いことは、競争で序列をつけること、格差と差別を押し付けること、権力が中身に介入すること、歴史の真実をゆがめることだと思いますが、相手候補者には、それらのすべてがそろっているではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 蜷川さん(元府知事)は「十五の春は泣かせない」の名文句を残しました。中村さんで、一人ひとりの子どもを大切にする教育をとりもどそうではありませんか。(大きな拍手)

中村さんで、不公正な同和行政を根絶しよう

 第三に、不公正な同和行政を根絶できるのはだれか。どの新聞、テレビも同和問題を争点としてあげるようになりました。この不正を根絶できるのが、中村さんをおいてほかにないことは明らかです。(拍手)

 「学習会」として「解同」(部落解放同盟)に不正に補助金を支出し、温泉旅行で宴会をやっていた。実際に宿泊もしていないのに税金をだまし取っていた。中村さんが先頭にたって追及し、合計八千万円を返還させました。同和奨学金の返済を市が肩代わりしている問題でも、相次いで「違法な支出」と判決が下りました。これらの告発とたたかいでも先頭にたったのが中村さんでした。

 「オール与党」の候補者は、「解同」の温泉旅行への補助金の支出にハンコを押し、裁判で被告として裁かれ、百十七万円の返還を命じられ、懲戒処分を受けた人です。そもそもこんな人が選挙に出る資格があるでしょうか。市民はあきれているのではないですか(「そうだ」の声、拍手)。中村さんで、不公正な同和行政を根絶しましょう。(大きな拍手)

 「日本の夜明けは京都から」。京都の良識を一つにあつめて、「市民が主人公」の民主市政を必ずとりもどそうではありませんか。(大きな拍手)