2007年11月5日(月)「しんぶん赤旗」

民主・小沢代表が辞意

「大連立」推進で孤立

志位委員長が会見


 民主党の小沢一郎代表は四日午後四時半すぎ、党本部で記者会見し、福田康夫首相との党首会談(十月三十日と十一月二日)で持ち上がった「大連立」構想で「政治的混乱が生じた」とし、「民主党内外に対するけじめとして代表を辞する決意をした」と表明しました。鳩山由紀夫幹事長に代表辞職願を提出しました。鳩山氏は記者会見後、記者団に対し、五日の役員会で小沢氏を慰留する考えを示しました。


 小沢氏は記者会見で、自民党との政権協議を民主党として拒否したのは「代表として不信任を受けたに等しい」と表明。また、福田首相が(1)自衛隊の海外派遣は国連安保理、国連総会の決議によって設立、認められた活動に参加することに限る(2)連立ができるなら新テロ特措法案の成立にこだわらない―の二点を党首会談で確約したことをあげ、「私個人はそれだけでも政策協議を開始すべきだと判断した」と述べました。

 そのうえで「衆院では依然、自民党が圧倒的多数を占めている現状では、民主党提出の法案を成立させることはできない。逆にここで政策協議を行えば国民との約束を実行することが可能になる」と述べ、参院選で厳しく批判した与党と連立しても問題ないと正当化しました。

 次期総選挙について「民主党はいまださまざまな面で力量が不足しており、国民からも政権担当能力はあるのかとの疑問が提起され続け、総選挙での勝利は大変厳しい情勢にある」と述べ、実績を示すために政権入りを考えたことを明らかにしました。

 党首会談をめぐる小沢氏の対応については、小沢氏が連立政権協議に会談で即座に拒否せず、党内に持ち帰ったため、大連立に前向きだったのではないかとの疑念が民主党内に強まり、批判の声がおきていました。

 小沢氏は、二〇〇三年九月に自由党党首として民主党との合併を行い、民主党に合流。〇六年四月、「メール問題」をめぐって辞任した前原誠司前代表のあとを受け、党代表選で菅直人氏を破って代表に就任しました。


密室での連立協議の破たん

志位委員長が会見

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(写真)記者会見する志位和夫委員長=4日、鳥取市

 日本共産党の志位和夫委員長は四日午後五時すぎ、遊説先の鳥取市で民主党の小沢一郎代表が辞意を表明したことについて、緊急の記者会見に応じ、つぎのようにのべました。

 一、(小沢代表の辞意表明をどう受け止めるか)小沢代表は、密室談合で、自民・民主両党の連立政権協議をすすめようとしたが、これが破たんした結果だと思う。

 参院選を「反自公」を掲げてたたかった民主党が、自民党と手をくもうというのは、国民の民意を裏切るものであり、有権者との関係でも小沢氏がとった行動は党首として失格だと思う。

 さらに、連立協議は、密室談合を舞台におこなわれたわけで、福田・小沢両氏による繰り返しの密室談合を容認してきた民主党全体の責任も、きびしく問われてくる。

 民主党は、二度とふたたび、このような国民の審判を裏切る行動をとるべきではない。

 一、(もう一方の当事者である自民党の対応をどう考えるか)自民党に求められているのは、参院選でくだされた国民の厳しい審判を受け止め、これまでの政治を反省し、転換をはかることにある。直面する国政の基本問題について、国民の前で堂々と論議をおこない、解散・総選挙で審判をあおぐことが、当たり前の政権党としてのとるべき態度だ。

 これまでの政治への反省も転換もなく、数集めの大連立にすすめようというのは、これも国民の審判をないがしろにする態度といわなければならない。

 一、(共産党はどう対応するのか)福田政権に正面から対決し、自民党政治を大本から転換する役割をしっかりはたす。わが党のがんばりどころの情勢だ。