2007年7月19日付「しんぶん赤旗」

参院選比例代表 日本共産党の政見放送

志位委員長が語る

聞き手 浦吉ゆかさん


 日本共産党の政見放送が好評です。前半は志位和夫委員長と俳優の浦吉ゆかさんの対談。後半は市田忠義書記局長が司会し、五人の比例代表候補が決意をのべています。大要を紹介します。


 浦吉 志位さん、こんにちは。

 志位 こんにちは。

「消えた年金」――「1億人レター作戦」をただちに実施せよ

 浦吉 まず年金の問題をうかがいます(志位「はい」)。納めた年金の記録が、「宙に浮いている」とか、「消えてしまった」とか、国民の間に大きな不安がひろがっています。日本共産党の対策をお話しください。

 志位 この問題は、国民にはなんの責任もありません。責任は、あげて年金を管理している国にあります。ですからその解決は、「一人の被害者も残さない」、「一日も早く」という二つの原則にたって、国の責任でおこなわれるべきです。

 浦吉 具体的には、どんなことが解決のカギになってきますか。

 志位 私たちは、いくつかの緊急対策を提案しておりますが、その中でもいまただちにとりくむべきことは、政府がいま把握している年金保険料の納付記録をすべての受給者、加入者、一億人の国民のみなさんにお伝えすることです。「不安がある人は問い合わせに来い」というのではなくて、国がミスをしたんですから、国の責任ですべての国民に情報を開示する、「一億人レター作戦」が必要です。

 浦吉 「一億人レター作戦」ですね(志位「はい」)。実現しそうですか。

 志位 私たちが、安倍首相に申し入れをおこない、国会でも繰り返し提案してきた結果、安倍首相もとうとう実施を約束しました。一歩ですが、前に動かしました。

 浦吉 共産党の提案に道理があることを認めたんですね。

 志位 はい。ただし実施の時期が問題なんです。政府は「実施は来年度」といっておりますが、それでは遅すぎますね。いますぐ実施すべきです。これを実施しますと、納付記録がちゃんとつながった方は安心できますし、問題があると感じた方は是正をもとめることができます。今問題になっている「宙に浮いた」年金、「消えた年金」、この問題を解決する上でも大いに役立つはずです。

 浦吉 一石二鳥というわけですね。

 志位 はい。この問題は、党利党略ではなくて、国民の利益第一で、与野党が知恵を合わせ、協力して解決するべきです。日本共産党は、すべての国民の年金受給権を守りぬくために、ひきつづきがんばります。

「庶民に増税、大企業に減税」という「逆立ち」した税金のあり方をただせ

 浦吉 志位さん。私、税金でも腹が立っているんです(志位「はい」)。納税通知を見たら、住民税が二万円もあがっているんです。

 志位 実は、六月の最初に、私の母から朝早くとつぜん電話がかかってきましてね、「住民税が何倍にもなった」「いったいどういうことなの」というたいへんな怒りでした。いま庶民の家計を襲っている住民税の増税は、お年寄り世帯でだいたい二倍から四倍、サラリーマン世帯で二倍というたいへんな大増税です。定率減税を廃止してしまった結果、一兆七千億円もの増税がかぶさってきてるんですね。いま、お給料が減ってますでしょ。それから年金も毎年減る、この中での増税ですから許せませんね。

 浦吉 年金もまともに払えない政府が、税金をとりたてることにだけ熱心というのには腹が立ちます。

 志位 そのとおりです。住民税の大増税は今からでも中止する。すでに増税をした分は「戻し税」のかたちで国民にお返しする。そして消費税の増税は絶対に許さない。この国民の意思を、今度の選挙でしっかり示すことが大切です。

 浦吉 政府は「財政がたいへんだから仕方ない」といいますが…。

 志位 そういいながら、政府は、今年度だけで、大企業と大資産家むけには、一兆七千億円もの減税のばらまきをやっているんですよ。庶民から一兆七千億円吸い上げておいて、大企業と大資産家にばらまくというのは、逆立ちしているのではないでしょうか。税金はとるべきところから、とるべきです。史上空前のもうけをあげている大企業に、もうけ相応の負担をもとめるべきだと思います。

 浦吉 なるほど。

 志位 日本共産党は、「庶民に増税、大企業に減税」という「逆立ち」した税金のあり方をただすために力をつくします。

ストップ貧困――人間らしい労働のルール、「緊急福祉1兆円プラン」

 浦吉 ところで、貧困の広がりが大きな問題になっています(志位「はい」)。私の友達にも、シングルマザーで二人の子どもを育ててがんばっているお母さんがいるんですが、生活が苦しくなるばかりと嘆いています。

 志位 「経済大国」といわれるこの日本で、「難民」と呼ばれてる方が広がっていることは大問題だと思います。「医療難民」――国民健康保険料が払えない方から保険証をとりあげたり、お年寄りを病院から追い出す、こういう事態がすすんでいます。「介護難民」――車いすや介護ベッドをとりあげたり、特別養護老人ホームの利用料の値上げで、施設から追い出すという、ひどいことがすすんでいます。それから「ネットカフェ難民」――働いても働いても、アパート代を払うことができないで、ネットカフェで一年、二年も寝泊まりしている若者が急増して、社会問題になっています。

 浦吉 胸が痛みますね。

 志位 はい。ただこれらの問題は自然現象じゃありませんね。社会的に立場の弱い方々を見捨て、切り捨ててきた政治の責任が問われています。

 「ストップ貧困」――貧困をなくすことは、いま政治が最優先でとりくむべき仕事です。

 浦吉 「ストップ貧困」ですね(志位「はい」)。具体的にはどんなことが大切ですか。

 志位 貧困の大もとの一つに、人間らしい雇用の破壊があります。正社員をどんどん減らして、派遣やパートにおきかえて、多くの人たちがモノのように使い捨てにされている。これは許すことができません。

 私たち日本共産党は、職場から「サービス残業」と「偽装請負」という無法を一掃する、最低賃金は全国どこでも時給千円以上に引き上げる、それから家賃補助をきちんとやって、「ネットカフェ難民」をなくすなど、働くみなさんの生活と権利を守るためにがんばります。

 浦吉 福祉の問題では、どんな提案をされているんですか。

 志位 私たちは、今度の「日本共産党宣言」という政策の中で、「ストップ貧困、いのちを守る、緊急福祉1兆円プラン」というのを提案してるんですよ。高すぎる国保料は一人一万円値下げをする。介護保険の利用料・保険料は、減免制度を国の制度としてつくる。子どもさんの医療費は、国の責任で小学校にあがるまで、無料にする。障害者自立支援法による負担増は撤回させる。生活保護の老齢加算、母子加算を復活し、児童扶養手当の削減計画は中止する。この五項目なんですけどね、全部やって一兆円あればできるんです。

 浦吉 どれも国民の切実な願いばかりですね(志位「はい」)。ただ、一兆円となると財源も気になります。

 志位 一兆円というと、ちょっと大きい額のように見えますけれども、国の歳出は年間五十兆円ですから、わずか2%にすぎません。だいたい政府は、アメリカから言われたら、グアムに米軍基地などをつくるっていうんで、三兆円も出そうとしてますでしょう。財界から言われたら、さらに五兆円、六兆円という減税を、大企業にばらまこうとしていますでしょ。それと比べれば、一兆円というのは安いものだと思います。「福祉の心」があればできるんじゃないでしょうか。

 浦吉 要は政治の姿勢いかんということですね。

 志位 そのとおりです。国政に「福祉の心」をとりもどし、「緊急福祉1兆円プラン」、なんとしても実行させたい。お力をお貸しください。

憲法九条を守ろうという願いは、こぞって日本共産党に

 浦吉 ところで、安倍首相は「憲法改定を争点にする」といっています(志位「はい」)。平和の問題もとても心配です。やはり九条を変えることが焦点ですか。

 志位 そうです。安倍首相は「アメリカと肩を並べて武力の行使をする、そのためには憲法改定が必要だ」とくりかえしいっています。アメリカが引き起こしたイラク戦争のような無法な戦争に「肩を並べて」参戦する国をつくろう、そのためには、九条が邪魔だから、すててしまおうというんですね。

 しかし、今の世界では、もめごとがおこったら、軍事ではなくて、平和的な話し合いで解決するのがあたりまえになっています。そのときに憲法九条は世界でも模範にされ、注目されています。これをなげすててしまうなんていうのは、本当にまちがったやりかただと思います。

 浦吉 世界とのかかわりでは「従軍慰安婦」問題について(志位「はい」)、「強制連行はなかった」という安倍首相の発言は厳しく批判されていますね。

 志位 はい。アメリカの下院の外交委員会では、日本政府に公式の謝罪を求める決議が採択されました。いま、憲法改定をすすめようとしている勢力の中心に、過去、日本がおこなったアジアに対する侵略戦争を「正しい戦争だった」と信じ込んでいる勢力がすわっているというのは、大問題です。戦争の反省のない勢力が、憲法九条をなげすてて、武力で海外に打って出る、こんな危険なことはありません。

 浦吉 自民党、公明党、民主党も憲法を変えるといっています。九条を守りぬくことはできるんでしょうか。

 志位 国民の多数が「ノー」といえば、憲法を変えることはできません。

 私は、最近、経済同友会の終身幹事の品川正治さんから、経済界の中でも「九条を守ろう」という声が広がっている話をうかがったんですよ。品川さんは、敗戦のあと戦地から復員する船の中で、九条をはじめて読んで、感激して抱き合って泣いたというんですね。そういうご自身の体験をまじえながら、経済界のみなさんの前で、「九条を守ろうじゃないか」という話をしますと、共感の声がたくさん返ってくるっていうんです。大変うれしく聞きました。

 浦吉 立場の違いをこえて、共同の輪が広げられますね。

 志位 そうですね。「九条を守ろう」という一点での、国民の多数派をつくることは、大いに可能だと思います。そのためにも今度の選挙で、九条を守りぬく「たしかな政党」――党をつくって八十五年、反戦平和をつらぬいた日本共産党の議席をのばすことが、戦争への道にストップをかける一番たしかな力になります。

日本共産党がのびれば、必ず政治は変わる

 浦吉 どの問題でも共産党のがんばりどころですね。

 志位 はい。私たちは、「ストップ貧困、憲法九条を守れ」―この声をこぞって「たしかな野党」・日本共産党にと訴えて、この選挙をたたかっております。

 いま、安倍自公政権が、くらしを壊し、平和を壊す暴走をはじめている。その暴走に正面から立ちはだかる、「たしかな」立場、勇気、信念をもった政党――日本共産党のがんばりどころです。

 浦吉 日本共産党の議席がふえれば、国会は変わりますか。

 志位 確実に変わります。一議席増えて、十議席になりましたら、私も党首討論で発言できるようになります。二議席ふえて十一議席になりましたら、議案提案権といって、国民のみなさんの要望を、法案のかたちで国会にだすことができるようになります。もっとふえれば、もちろんもっと大きな仕事ができます。どうかみなさんの絶大なご支持を日本共産党にお寄せください。よろしくお願いいたします。