2007年7月25日付「しんぶん赤旗」

ストップ貧困・9条守れこの願いをこぞって日本共産党へ

志位委員長の訴え

東京・新宿


 日本共産党の志位和夫委員長が二十三日、東京・新宿駅西口でおこなった演説(大要)は次のとおりです。


大激戦・大接戦――比例5氏と田村さんの勝利をなんとしても

 みなさん、こんばんは(「こんばんは」の声)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます。(拍手)

 参議院選挙は、比例代表選挙でも、選挙区選挙でも、大激戦、大接戦の状況で、いよいよ終盤戦に入りました。比例代表選挙で「日本共産党」と書いていただく方を増やしに増やして、谷川智行さんをはじめ五名の全員勝利をなんとしても勝ちとりたい(拍手)。そして、首都・東京の選挙区選挙――いま田村智子さんがお話しいたしました。私は、となりで聞いておりまして、聞きほれました(歓声、拍手)。この話、ぜひ国会の演壇でやらせたいですね(「そうだ」の声、大きな拍手)。東京選挙区のたたかいは、横一線で議席を争う大接戦まで持ち込んできました。ここまできたからには、なにがなんでも負けるわけにはいきません(「そうだ」の声、拍手)。どうかみなさんの力で、田村智子さんを必ず国会に押し上げてください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

 私は、公示の日(十二日)にここで第一声をおこなってから、九州から北海道まで全国をめぐって訴えてまいりましたが、どこでも安倍・自公政治にたいする国民の怒りが、年金問題、増税問題、政治とカネの問題、憲法問題、ありとあらゆる問題で沸騰し、国民のみなさんが政治に新しい変化を求めているということを痛いほど感じています。どの党を伸ばせば、安倍・自公政権の間違った政治の暴走を食い止め、政治を変える一番たしかな力になるか、ここをよく見極めて選んでいただきたいと思うのであります。

年金問題――「消えた年金」の解決へ国政を動かし、低年金・無年金をなくす道開く

 論戦を通じて、四つの争点がはっきり見えてまいりました。

 第一は、年金問題です。この問題には、「消えた年金」の問題をどう解決するのかという問題と、年金制度そのものをどう改革するのかという二つの問題があります。

 最初の「消えた年金」の問題の解決にあたっては、党利党略はいけません。政治路線以前の問題ですから、国民の利益第一で、与野党が知恵を出し合い、協力して解決すべきだという立場で、日本共産党はさまざまな建設的な提案をおこなってきました。

 とくに、いま政府が持っている国民のみなさんお一人お一人の年金納付記録を、ただちに一億人の国民に通知すべきだと、「一億人レター作戦」というのを、私たちは提案してまいりました。道理がありますから、政府も新方針のなかにこれを書き込みました。実施の時期が、来年度と遅いのが問題ですが、一歩前進です。この前、NHKテレビで党首討論があった際に、安倍首相がこういいました。「共産党の主張にも一理あるので、政府の方針にとりいれました」。首相が殊勝なことをいいました(笑い、拍手)。道理ある提案が、一歩政治を前へ動かしたということを、まずご報告しておきたいと思います。(大きな拍手)

 ただ、みなさん。年金制度の問題については、自民・公明と日本共産党の立場は、真っ向から対決しています。

 日本の年金制度、どこが一番問題でしょうか。給付の水準が貧しすぎる。ここに問題があると私たちは考えております。国民年金の場合、毎月毎月保険料を払っても、四十年間払い続けてもらえるのは月六万六千円。平均は月四万七千円です。四万七千円でどうやって暮らしていけというんでしょうか。この問題を、安倍さんが問われまして、何とこたえたか。私は驚きました。「貯金があるでしょう」というんです(どよめき)。それは安倍さんの家には貯金がたくさんあるでしょう(笑い)。しかし、いま貯蓄ゼロのご家庭が増えているという現実を、まったく知らない発言ですね。そして、こういう低年金に加えて、年金を一円も受けとっていない、無年金といわれる方々が、六十万人とも、百万人ともいわれて広がっています。低年金と無年金、これこそ解決すべき一番の問題だということを訴えたいと思うのであります。(拍手)

 この点では、自民・公明が三年前に強行した年金改悪は最悪です。毎年のように負担を上げる、毎年のように給付は下がる。「百年安心」といって強行しましたが、こんなことを信じる国民は、いまや誰もいないでしょう。(拍手)

 日本共産党は、年金制度の問題について、三つの提案をおこなっています。

 第一は、緊急策です。日本の年金制度というのは、二十五年間掛け金を払いませんと、一円ももらえない仕かけになっています。二十四年と十一カ月だったら掛け捨てになってしまうんです。こんな過酷な条件を、年金受給条件に課している国というのは、世界にありません。だいたい十年、五年、短い国は三カ月、保険料を払ったら給付が返ってくる。これが世界の常識です。ですからみなさん、共産党は緊急策として、二十五年をせめて十年に引き下げて、保険料を払ったらどなたにも給付が保障されるという信頼を、緊急に取り戻そうじゃないかということを提案しております。(拍手)

 第二の提案は、抜本策です。やっぱり最低保障年金制度を導入する必要があります。お一人月五万円を税金で保障する。そのうえに保険料に応じた給付を上乗せする。そうしますと、国民全体のみなさんの年金がぐーっと底上げになります。たとえば国民年金で月六万六千円の方の場合は、五万円がまず保障されたうえに、六万六千円の半分の三万三千円が上乗せされて、八万三千円になります。「志位さん、五万円はちょっと少ないんじゃないの」という方もおられるかもしれないけれども、私ども責任野党ですから、財源のことも考えまして、まず五万円からスタートして、だんだん引き上げていって、無年金と低年金をなくしていこうというのが、共産党の抜本的な改革の提案です。(拍手)

 そして第三に、財源は、消費税には絶対に頼らない。この立場を堅持してまいります(拍手)。ムダ遣いをなくします。道路特定財源といいまして、車やガソリンの税金は道路をつくるために使わなきゃならない、ムダな道路をつくり続ける仕かけがあります。これを直して福祉にも使えるようにしようじゃないか。そうすれば国と地方で六兆円もの財源が使えるようになります。それから軍事費を削減する。とりわけ米軍への「思いやり」予算は、条約上出す義務のないものですから、年間で二千数百億円ものバラマキはきっぱりやめさせようじゃありませんか(拍手)。それから、とびきり腹が立つのがありますね。政党助成金、年間三百億円。この政党の税金山分けはきっぱり撤廃させようではありませんか。(拍手、「そうだ」の声)

 もちろん、取るべきところから税金を取らなければなりません。それは、空前のもうけを上げている大企業と大資産家です。バブルのときの一番のもうけと比べても、いまの企業利益は一・五倍になっています。額にして二十兆円も増えています。ところが法人税は四兆円も減っている。法人税の税率を引き下げ、大企業への優遇税制をやってきた結果です。これは、いくらなんでも下げすぎですね(「そうだ」の声、拍手)。もうけ相応に税金を払ってもらおうじゃありませんか。(大きな拍手)

 この三つをしっかりやって、老後に本当に安心できる年金制度をつくろうというのが共産党の提案です。どうかこの願い、日本共産党と田村智子さんにお寄せください。よろしくお願いします。(大きな拍手)

ストップ貧困――住民税の大増税を中止し、消費税増税を食い止める

 第二の争点は、「ストップ貧困」という問題です。

 「経済大国」といわれるこの日本で、「難民」と呼ばれる方が広がっております。「ネットカフェ難民」、「介護難民」、「医療難民」、胸が痛みます。そして餓死で亡くなった方が、この十一年間で八百六十七人です。私は、先日、北九州に行ってまいりました。北九州では、生活保護を打ち切られたために、餓死で亡くなってしまうという事件がまたもやおこって、大問題になっていました。亡くなった男性が、最後に残した言葉が「おにぎりが食べたい」だったのです。世界で「経済力第二位」といわれる日本で、こんな言葉を書かせるというのは、自公政治の責任は極めて重いと言わなければなりません。(拍手)

 日本共産党は、今度の選挙で、「ストップ貧困」というスローガンを掲げております。この前、テレビ朝日の「報道ステーション」という番組に出席しましたら、司会の古舘伊知郎さんが「ストップ貧困」という言葉について、「はっきり分かりやすい言葉ですね」と言ってくださいました。そして、「どういう意味がここに込められているんですか」と私に聞かれました。それで私は、こう答えたんですよ。「私たちが『ストップ貧困』と言っているのは、この日本からまず、貧困で苦しむ方々をなくしたい。ただ、同時にそれだけじゃありません。多くの方々が、いまは貧困ではないけれども、いつ貧困に落ち込むか分からないという不安を抱えて暮らしておられます。これもなくしたい。日本から貧困をなくしたいし、日本を貧困に落ち込む不安のない社会にしたい」。この願いを込めて「ストップ貧困」という言葉を使っているということを、どうかご理解をいただきますと幸いです。(拍手)

 この問題については、貧困に追い打ちをかける大問題が、選挙中の大争点に持ち上がってまいりました。庶民への大増税の問題です。

 六月初め、住民税の大増税の通知がお年寄りの世帯を襲いました。去年の二倍、三倍、四倍です。二十五日の給料日になったら、サラリーマンのみなさんが、給与明細を見て驚きました。住民税が二倍になっている。怒りが沸騰しました。定率減税を廃止し、お年寄りへの年金課税を強化した結果であります。

 この問題、選挙中に国民の怒りが沸騰し、政府・与党は大慌てでこんなものをまき始めました。みなさんのお宅にも、新聞折り込みで入っているのではないでしょうか。「あしたのニッポン」という政府広報紙です。この最後の面を見ますと、今度の住民税増税についての言い訳が書いてあります。

 “景気がよくなったんだから(増税しても)いいでしょう”。こんなことも書いてあります。しかし、大企業や大金持ちの「景気」はいいかもしれないけれど、庶民のみなさんの所得は下がりっぱなしじゃありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 それから“今度の住民税で増えた三兆四千億円、そのうち定率減税廃止の分は四千億円で、ほかの三兆円は国から地方へ税源移譲した結果で増税ではありません。増税分は一割です”。こういうごまかしの数字を出しています。しかしみなさん、今度の増税というのは、一月におこなわれた所得税の増税が、税源移譲のために住民税の増税という形であらわれているわけで、三兆四千億円のうち一兆七千億円、つまり半分はまるまる増税のせいであります(「そうだ」の声、拍手)。半分がまるまる増税のくせに、一割だというウソをつく。

 みなさん、三億円も税金をかけて、こんなウソをばらまいている。みなさんから吸い上げた税金をつかって、ウソの広報紙をまく。いったいどこまで反省がないのか。この大増税の“言いだしっぺ”は公明党です。「増税戦犯」は公明党です(拍手)。公明党と一緒に増税をすすめたのは自民党です。日本共産党への一票、田村智子さんへの一票で、自民・公明増税連合に厳しい審判をくだそうではありませんか。(大きな拍手)

 さらにみなさん、消費税の増税問題が熱い争点になりました。安倍首相は「消費税を上げないなんて一言もいってない」とつい本音をいいました。人間というものは、心にあることは口を突いてでてくるものです。私は、それを聞いて、これは大変だと思い、連続的に党首討論でただしてまいりました。共産党は消費税の増税に絶対に反対です。しかし、かりに政府が秋の税制改革で消費税の値上げを考えているのだったら、事前に国民のみなさんに、上げてもいいですかと、相談すべきじゃないですか(「そうだ」の声)。この参院選挙で審判をあおぐべきではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。それをやらないで、上げるとも上げないともいわないで選挙をやりすごして、(選挙が)終わった後に増税ということは、絶対に認めるわけにまいりません。(拍手)

 消費税というのは、うらみのこもった税金ですよ。思い出していただきたい。一九八九年にこの税金をつくったときも、九七年に値上げしたときも、事前に、“国民のみなさん、上げてもいいですか”と相談を受けた覚えのある方いらっしゃいますか(「いない」の声)。「いない」という声が上がりましたが、相談なしに公約違反でやったんですね。生まれも育ちも公約違反という、天下の悪税が消費税だということを絶対に忘れちゃいけません(拍手、「そうだ」の声)。「仏の顔も三度」というじゃありませんか。こんなことを三回も繰り返させるわけにはいかないということを、私は訴えたいと思います。(拍手)

 どうか、住民税の増税は今からでも中止せよ、すでに実施された増税分は戻し税の形で国民にお返しせよ、消費税増税は絶対に反対、この願いをこめた一票は、日本共産党と田村智子さんに、こぞってお寄せください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

政治とカネ――スネに傷のない党への一票で汚れた政治の大掃除を

 第三の争点は「政治とカネ」の問題です。まあ、ともかく次から次へと、安倍内閣の閣僚は、スキャンダルまみれです。佐田前大臣から始まって、痛ましい結果に終わった松岡前大臣、赤城農林水産大臣、そして塩崎官房長官。相次ぐ事務所費問題が、これだけたくさんの閣僚で問題になっているのに、誰一人として、領収書を明らかにして真相を語った者はいません。誰一人にたいしても、首相は真相を明らかにせよという指示を出しません。かばい続けています。

 そしてみなさん、ますます奇怪な話ばかりが、出てくるんですよ。赤城問題というのは、茨城県にある実家を、架空の事務所にしていた疑惑です。この問題は、発覚した直後の最初の党首討論で問題になって、私は、いくらなんでも安倍さんは謝るだろうと思っていましたら、謝るどころか、「光熱水費月八百円で、大臣を辞めさせるんですか」、この繰り返しです。八百円、八百円、何度も聞かされた(笑い)。「ウソ八百」ということを言いますが(笑い)、私は、あまり言うものですから、調べてみたんですよ。そうしましたら、赤城さんの実家のある茨城県の筑西市という自治体の水道料金と電気料金は、基本料金だけで月二千六百五十五円かかるんです(どよめき)。八百円では基本料金も払えないではありませんか。やっぱり架空だったということの疑惑が、ますます深まったのではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 もう一つ、内閣中枢の塩崎官房長官の問題を、「しんぶん赤旗」の日曜版がスクープし、いま大問題になっております。これは、事務所費のうち、年間千三百三十万円が使途不明だという大問題です。しかも、ここでも奇怪なことがあるんです。塩崎後援会は、年間千五百万円も事務所費を使っているのに、光熱水費は年間四百五十円なんです(笑い)。これはもっと怪しいですね。年間四百五十円といったら、月四十円でしょう。となると、この事務所は、水も飲まず、電気もつけない真っ暗な中で仕事をしていたとでもいうのでしょうか(笑い)。こんな数字は、誰がみてもおかしいですね。領収書を出すしか疑惑を晴らす道はない。それができないのならば、閣僚を辞めるべきだということをはっきり言いたいと思います。(「そうだ」の声、拍手)

 私は、自公政権の政治モラルは最低だと思います(「そうだ」の声、拍手)。「政治とカネ」への完全な感覚まひですよ。企業献金をもらい、政党助成金をもらっているから、カネの感覚がもうまひしちゃっている。みなさん、こんな内閣が、子どもたちに、「規範意識」だの「道徳」だの語る資格はまったくない(「そうだ」の声)、こう言いたいと思います。(拍手)

 日本共産党は抜群の働きをしてまいりました。この事務所費の問題、一番最初にスクープしたのは、一月三日付の「しんぶん赤旗」です。それが政界を揺るがす大問題になった。『ダカーポ』という雑誌は、今年の上半期の「スクープ大賞」第一位に「しんぶん赤旗」を選びました(拍手)。スネに傷がない政党だから、何もこわいものなく追及できます。企業献金を受け取らず、政党助成金を受け取らない、清潔な党、日本共産党への一票で、汚れた政治の大掃除をしようじゃありませんか。(大きな拍手)

憲法9条守れ――この願いは命がけで反戦平和を貫いた党に

 第四に、憲法問題は、この選挙の大争点です。何のための憲法改定なのか。私は公示の日の夜、大阪で訴えまして、その後、大阪からの中継参加だったんですが、夜のTBS「ニュース23」という番組の党首討論に参加しました。この党首討論で大阪から安倍さんに「何のための憲法改定なのか」と迫りました。私が読み上げたのは、安倍さんが総理になる前の、去年の秋の総裁選挙のときに言った次のような言葉です。「アメリカと肩を並べて武力を行使する。そのためには、憲法の解釈を変えるだけではできない。憲法改定をしなければできない」、繰り返し言ったんです。私はそれを読み上げました。安倍さん、困ったような顔をしている。私は、大阪から聞きました。“安倍さんの改憲の狙いは、裏を返して言えば、イラクのような無法な戦争にアメリカと肩を並べて参戦する日本をつくる、ここに狙いがあるんじゃないですか。そうじゃないですか”、こう聞きましたけれども、東京から反応は返ってきません(笑い)。反論できないんですね。「海外で戦争する国をつくる」――ここに憲法を変える狙いがあることがはっきりしたというのが、今度の選挙の到達点だということ、こんな道は絶対に許せないということを、私は訴えたいと思います。(拍手)

 みなさん、日本国民が憲法九条を手にするには、大変な犠牲があったことを、私たちは忘れてはならないと思います。

 今月十八日、戦前、戦後の日本共産党のリーダーをつとめられた宮本顕治さんが、亡くなりました。宮本さんの歴史的な業績は数多くありますが、中でも戦前、苛烈(かれつ)な弾圧に屈せず、平和を唱え続けたために、十二年間投獄されましたが、それにも耐え抜き、文字通り命がけで反戦平和を貫いた、それが戦後の平和と民主主義の土台になった。私は、こういう大先輩を持っていることを誇りに思っております。(拍手)

 評論家の加藤周一さんが、訃報(ふほう)に接して心のこもった談話を寄せてくださいました。宮本さんが十五年戦争に反対を貫いたことについて、「それができた人は、日本では例外中の例外だった。…宮本顕治さんは反戦によって日本人の名誉を救った」。宮本さんのようながんばりぬいた日本人がもしいなかったとしたら、日本人の名誉は保たれなかった。それを救ったのが日本共産党のがんばりだったというこの評価は、本当にうれしいものであります。(拍手)

 私は、宮本さんが亡くなったその日の夜に、夜中にうちに帰りまして、宮本さんが終戦直後に書いた『網走の覚書』という回想記を読み返してみました。心を揺さぶる一節があるのです。

 宮本顕治さんの弟の達治さんは、召集されて、広島にいて原爆で亡くなった。お母さんが嘆き悲しみます。それを顕治さんがなぐさめる手紙を書くんですね。こういう手紙だったそうです。

 「今度の大戦の一般人民の莫大な犠牲は、こんな犠牲をふたたび反復しない生活と世界の建設に向かって人びとの心をゆりおこさずにはおかないでしょう」。

 そして顕治さんは、回想記のなかに、こう弟さんの死について書き残しています。

 「若い妻と幼児を残して混乱と苦痛の中に、おそらく誰にも十分みとられず、行方も分からず死んだだろう弟のことを壁にもたれて静かに考えていると、まぶたに涙を感じた。専制的天皇制は、われわれから何と多数のものを奪い去っただろう。しかし、歴史は審判する。審判しなければならない」。

 宮本さんがいった通り、歴史の審判ははっきり下りました。しかし同時に、宮本さんの弟さんもその一人でしたが、日本軍国主義による侵略戦争は、何と多数のものを奪い去ったことでしょうか。何というむごい別れを多数の人に強いたことでしょうか。日本国民三百十万人が犠牲になりました。アジアの二千万人が命を落としました。その犠牲と反省の上に、私たちは憲法九条という世界に誇る宝を手にしたということを、けっして忘れてはならないのではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 私は、この偉大な大先輩の訃報に接し、この誇るべき宝を、無傷で私たちの子や孫に引き渡していくのは、私たちの世代の責任だと強く肝に銘じたしだいであります。(拍手)

 どうかみなさん、「憲法九条を守れ」、この願いは、党をつくって八十五年、文字通り命がけで反戦平和を貫いた日本共産党にお寄せください。田村智子さんにお寄せください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

有権者は2票もつ――比例と選挙区、2つの勝利をこの首都から

 四つの争点ということを申しました。年金問題、「ストップ貧困」、「政治とカネ」、憲法問題。どの問題でも、日本共産党こそが、自公政治への国民の怒りの代弁者として、自公政治と正面から対決するたしかな立場、信念、勇気を持つ政党であります。

 相手の自公政権はどうでしょう。私は、公示の第一声で「欠陥車の暴走」と名付けまして、ご本人の目の前でいわないのは悪いと思いまして(笑い)、その夜の党首討論で、大阪から面と向かって「あなたの内閣は欠陥内閣」、こういいましたけれども、反論はありませんでした。反論はできないけれども、反省もありません。反省をせずに、数の暴力で庶民大増税を押し付け、憲法大改悪の暴走をやろうとしている。これを止められるのは、「たしかな野党」、日本共産党だということを訴えたいと思うのであります。(「そうだ」の声、拍手)

 みなさん、民主党には、自公の暴走に対抗する旗印が見えてまいりません(「そうだ」の声、拍手)。一番の大問題の憲法問題で、この党は、選挙で何も語るべきものがありません。憲法改定では、同じ旗を握っている。この党では暴走は止められない。このことを私は、ぜひ見抜いて投票していただきたいと思うのであります。(拍手)

 みなさん、「ストップ貧困、憲法九条を守れ」――この願いをこぞって、「たしかな野党」、日本共産党にお寄せください。(拍手)

 日本共産党が伸びれば、確実に政治は変わってまいります。一つ伸びて十議席になりましたら、私が国会の党首討論にふたたび登場できます(「いいぞ」の声、拍手)。いまの国会の党首討論はつまらないですね。自民と民主だけでやったら、眠くなって、みなさん、みんなチャンネルを変えてしまいますよ(笑い)。私にふたたび発言権が与えられましたら、必ずやスリル満点で、おもしろくて、エキサイティングな場面(笑い、拍手)をみなさんに提供することを、ここにお約束したいと思います。(「いいぞ」の声、拍手)

 二つ増えて十一議席になりましたら、議案提案権と申しまして、みなさんがたの要望を法案で出せるようになる。三つ増え四つ増えたら、それだけ大きな仕事ができるようになります。

 今度の選挙、有権者のみなさんは二票持っておられます。二つの票があります。一つは比例代表の票ですが、「日本共産党」と書いて投票してください。もう一つは選挙区ですが、「田村智子」と書いて投票してください。この首都から、二つの素晴らしい勝利を必ずみなさんの力で勝ちとらせていただきたいということを最後に重ねてお願いしまして、私の訴えを終わらせていただきます。ありがとうございました。(歓声、大きな拍手)