2007年6月3日(日)「しんぶん赤旗」

消えた年金 解決へ何が必要か

歴代厚労相に共同責任

志位委員長が訴え

東京・新宿


 いま国会で大きな焦点になっている「政治とカネ」「消えた年金」問題について、日本共産党の志位和夫委員長は二日、東京・JR新宿駅東口で、緊急に国会報告をおこないました。田村智子参院東京選挙区候補も訴えました。

「政治とカネ」疑惑の究明も

 志位氏は、松岡利勝前農水相の自殺など深刻な様相となっている「政治とカネ」問題について、「松岡氏は、真実を国民に語ることこそ必要でした。しかし、いま何よりもきびしく問われているのは、任命責任、罷免しなかった責任という安倍晋三首相の二重の責任です」と強調しました。

 その上で、事務所費問題でも緑資源機構の官製談合問題でも、自民、民主双方の議員がかかわっていると指摘し、「安倍首相と自民、民主両党に、真相を究明することを強く求めます。それをせずに制度いじりの議論にすりかえるのは疑惑隠しそのものです」と批判すると、拍手がおこりました。

 「消えた年金」問題に話をすすめた志位氏は、「保険料を払っても給付がない。これは国が詐欺をやっているのと同然です。国の責任で対策をおこなうのは当たり前です」と強調。自民党が、基礎年金番号の導入を決めた当時の厚相・菅直人民主党代表代行を批判していることを挙げ、「菅氏に責任があることは明らかです。同時にその後の前首相・小泉純一郎、公明党・坂口力、現在の柳沢伯夫の各氏など歴代厚生労働大臣が共同責任を負っています。見苦しい責任のなすりあいはやめ、そろって国民にあやまり、まじめに対策を講じるべきです」とのべました。

 その上で志位氏は、解決のために、政府は三つの点で方針を見直すべきだと主張しました。

 第一は、「宙に浮いた」五千万件の年金記録を本来の持ち主に統合する責任を政府がきちんと果たすことです。

 志位氏は、「氏名、性別、生年月日」の三条件がすべて一致しなくても、同一人物の可能性がある場合は、国の責任で本人への問い合わせなど解決をはかるべきだと主張しました。

 第二は、保険料を支払ったという立証責任を国民に押し付けている政府・厚生労働省の姿勢を転換することです。志位氏は、「記録をなくしたのは国の責任ではありませんか。国が責任をもって調査し、手がかり、状況証拠があれば、給付するようにすべきです」と訴えました。

 第三は、解決に直接責任を負っている社会保険庁を解体し、つぶそうとしている政府のやり方は、国の責任放棄そのものだという問題です。志位氏は、「社会保険庁の改革は必要ですが、年金の運用という公的責任を民間まかせにはできません」と訴えました。

 志位氏は、「消えた年金」問題で国民の怒りが広がる根底には、給付減・負担増という年金大改悪を押し付けながら、さらに「年金財源のため」として定率減税の廃止など庶民増税を押し付ける自民、公明の悪政があると指摘。七月の参院選で、たしかな野党・日本共産党を前進させるために力を貸してほしいと訴えると聴衆から拍手がおきました。

 志位氏の演説を最後まで聞いていた都内の会社員の男性(28)は、「きちんと年金を納めてきた人の記録が消えるのは大問題。いまの与党の姿勢では、年金制度への不信感がますます強まると思う」と話していました。