2007年6月22日(金)「しんぶん赤旗」

青年会議所

靖国DVD 契約辞退

文科省の委託事業 世論の批判受け


 日本の侵略戦争を肯定・美化する“靖国DVD”を使った教育事業が、文部科学省の研究委託事業に採択され、全国の学校などに持ち込まれようとしていた問題で、DVDを作製した日本青年会議所は二十日、世論の批判を受け、文科省との委託契約を辞退しました。同会議所の奥原祥司会頭は同日、「諸事情により、この度はご辞退させて頂きたく」と委託契約を辞退する内容の文書を文科省の銭谷真美初等中等教育局長あてに提出しました。


石井副委員長の質問きっかけ

 同教育事業については、日本共産党の石井郁子副委員長が国会で、DVDの内容を示して、「委託を撤回し、上映活動を中止すべきだ」と繰り返し追及。父母や教職員、市民らが各地の教育委員会に対し、学校で上映しないよう申し入れるなど、“靖国DVD”を使わせない運動が全国に広がっていました。

 青年会議所は、辞退の理由について、「教育委員会からの質問や学校からの問い合わせなど、地方の青年会議所が個別に対応しなければいけないような混乱を招いたので、文科省の委託事業ではなく自分たちの独自の運動として推進したほうがいいと判断した」と述べています。

 石井氏は「文科省の委託事業から撤退せざるを得なくなったことは運動の大きな成果です。侵略戦争に反省のない“靖国”派から子どもたちを守るために、引き続き青年会議所独自の上映活動ができないような世論づくりと運動を強めたい」と話しています。

国会・地方議会・草の根の力

志位委員長「たたかいの成果」

 日本共産党の志位和夫委員長は二十一日、国会内で記者会見し、“靖国DVD”問題で、日本青年会議所が文部科学省との「新教育システム開発プログラム事業」の委託契約を辞退したことについて、「この問題を追及してきた国会、地方議会、草の根の力の重要な成果だ」と強調しました。

 志位氏は、「“靖国DVD”は、日本の侵略戦争を賛美し、歴史をわい曲するという靖国神社が宣伝している遊就館などの展示物と同一の内容だ。これが学校で上映、計画されていることを、わが党の石井郁子衆院議員が国会でとりあげたのをはじめ、地方議会でも追及し、父母の運動も広がって、今回の契約辞退となった」と指摘。「過去の侵略戦争を正当化する“靖国”派にとって打撃となる。“靖国”派の動きをあらゆる面で許さないたたかいをさらに強めていきたい」とのべました。


 “靖国DVD” 日本青年会議所が作製した「誇り」と題するアニメーションDVD。戦死した青年が現代に現れ、女子高生を靖国神社に誘う内容で、かつての日本の侵略戦争を「大東亜戦争」と呼び、「愛する自分の国を守りたい、自衛のためだった」と教えています。