2007年4月13日(金)「しんぶん赤旗」

「STOP!改憲手続き法案 4・12大集会」での志位委員長の国会報告

(大要)


 東京・日比谷野外音楽堂で十二日夜に開かれた「STOP!改憲手続き法案 4・12大集会」(5・3憲法集会実行委員会主催)での日本共産党の志位和夫委員長の国会報告(大要)を紹介します。


写真

(写真)国会報告する志位和夫委員長=12日、東京・日比谷野外音楽堂

 お集まりのみなさん、こんばんは。私は、日本共産党を代表して心からの連帯のあいさつをおくります。(拍手)

 自民・公明両党は、本日夕刻、衆院憲法調査特別委員会で、改憲手続き法案の採決を強行しました。多くの国民の批判の声を無視した、この民主主義破壊の暴走は絶対に許せません。私は、みなさんとともに怒りを込めて糾弾の声をあげるものです。(拍手)

「拙速を避けて徹底審議を」――国民多数の声をふみにじった罪は重い

 改憲手続き法案をめぐる世論・民意はどこにあるでしょうか。「拙速を避けて徹底審議をすべきだ」。これが法案の賛否をこえた圧倒的多数の意見ではないでしょうか。(そうだの声、拍手)

 この間の二回にわたる中央公聴会、地方公聴会では、与党推薦の公述人もふくめて二十一人の公述人のなかで十七人が「拙速を避け徹底審議をすべきだ」と求めています。

 四月九日にNHKが発表した世論調査では、与党提出の法案に「賛成」はわずかに29%、「賛成」と答えた人のなかでも「今の国会で成立させるべき」は28%。つまり国民のわずかに8%しかこの国会での成立などのぞんでいないことになります。

 地方紙も、「国民置き去りでいいのか」、「慌てる必要はまったくない」、「期限を切らずに慎重な審議を」などの社説をつぎつぎと掲げました。(拍手)

 四月五日の中央公聴会にむけて一般公募をつのったところ、応募者数は百二十四人にもおよび、自公案、民主案の両案に反対する人が百八人だったといいます。公募した以上、応募した人すべての意見を聞くべきではありませんか。(拍手)

 安倍首相の「今国会中に何が何でも成立を」との党利党略の号令にしたがって、「徹底審議」という国民の最小限の声を踏みにじり、採決を強行した自民・公明の罪は重い。この暴挙を絶対に許すわけにはいきません。(拍手)

改憲派が有利になる不公正・非民主的な仕組みが

 なぜ国民の声に耳を傾けず、こんな乱暴きわまるやり方で強行しようとしているのか。改憲手続き法案には、憲法改定派が有利になるような不公正・非民主的な仕組みが、「これでもか、これでもか」と盛り込まれているからです。徹底審議によって国民にその正体が知られないうちに、強行してしまおう――これが改憲派のもくろみにほかなりません。

 私たちは審議のなかで、法案のもつ重大な問題点を明らかにしてきました。

 第一に、この法案には、最低投票率の定めがありません。白票は有効票とみなされません。国民が判断に迷って投票率が下がった場合、あるいは白票が多数だった場合、国民の一割台、二割台という少数の賛成でも、憲法を変えることができる仕組みとなっています。憲法という国の根本法を、国民の少数の賛成で変えることは、憲法が定めた国民主権の大原則に真っ向から反するものではないでしょうか。(大きな拍手)

 第二に、全国で約五百万人にのぼる教育者・公務員から自由に意見表明をおこなう権利を奪うものとなっています。刑事罰は適用外になりましたが、行政処分の対象にはされます。東京都の「日の丸・君が代」強制にみられるように、教育者・公務員は、自分の職をなげうつ覚悟がなければ、その良心にしたがった意見が表明できなくなります。

 第三に、憲法改定に有利な情報を垂れ流し、世論を誘導する危険です。自公案では、投票日の十五日前までは、有料の意見広告は何の歯止めもありません。日本経団連は、九条改定を主張していますが、財界が財力にまかせて有力企業にCM宣伝を割り振ったらどうなるか。まさに「財界が憲法を金で買う」ことになってしまうではありませんか。

 主権者である国民の自由な活動をできるだけ押さえこみ、改憲派に有利な主張を一方的に垂れ流しにし、国民の少数の賛成でも憲法を変えることができる――これが改憲手続き法の正体です。民主党案もこの基本においては全く同じです。この正体を広く国民に知らせきり、参議院で必ず廃案に追い込むために力をつくそうではありませんか。(そうだの声、拍手)

憲法9条を守れという国民の多数派をつくる努力と一体に

 なぜ自民・公明は、こんなひどい改憲手続き法に執念を燃やすのか。それは憲法九条を変えて、日本を「海外で戦争をする国」にするくわだてが、まともな国民投票の制度では、とうてい国民の支持を得られないことを、改憲派が知っているからです。「これでもか、これでもか」と改憲派が有利になる仕組みを持ち込むのは、改憲派がいかに国民の民意を恐れているかを告白するものではないでしょうか。(拍手)

 読売新聞がおこなっている毎年の世論調査で、「憲法を改正するほうがよい」は、三年連続で減少し、二〇〇七年は46・2%と過半数を割り込みました。逆に、「憲法九条は変えないほうがよい」は、二年連続で増え、56%と国民の多数となりました。この平和の流れこそ、改憲派がもっとも恐れている流れにほかなりません。

 憲法九条を守るという一点で、国民の共同を広げ、国民の多数派をつくるための努力と一体に、改憲手続き法を廃案に追い込むためのたたかいを急速に強め、参議院でこの悪法をほうむるために力をつくそうではありませんか。(よーしの声、大きな拍手)