2007年1月31日(水)「しんぶん赤旗」

暮らし守る政治の責任果たせ

貧困・格差打開 志位委員長が提起

「逆立ち」予算転換 働くルール確立を

衆院代表質問


 日本共産党の志位和夫委員長は三十日、衆院代表質問で、貧困と格差の問題で切実な国民生活の実態を示し、「国民すべてに『健康で文化的な生活』を保障した憲法二五条の立場にたって、貧困の実態を調査し、それを打開する抜本的な対策をたてるべきだ」と安倍晋三首相に迫りました。


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(写真)代表質問にたつ志位和夫委員長。後方は安倍首相=30日、衆院本会議

 志位氏は冒頭、国民健康保険料が高くて払えず、国保証を取り上げられて受診を控える世帯の急増などを指摘し、「いったん貧困に落ち込んだら、多くの場合、どんなに努力しても、そこから容易には抜け出せない現状だという認識があるか」とただしました。

 安倍首相は、働く貧困層への調査について「一定の把握は可能だ」とのべるだけで、国保証の取り上げについては「公平に保険料を負担していただく」と正当化しました。

 志位氏は、貧困と格差の打開のために、予算案の抜本的な転換を要求。政府予算案は「庶民には大増税と社会保障の切り捨て、財界と大企業には大減税」だと批判し、「増税にくわえ、国保料、介護保険料も引き上げられ、『これ以上は払いきれない』という国民の悲鳴にどう答えるのか」と迫りました。

 安倍首相は「負担が低ければいいというのは単純な考え」などと開き直りました。

 さらに志位氏は、貧困と格差の大本に人間らしく働ける労働のルールの異常な貧しさがあると指摘。この現状を打開するため(1)「サービス残業」と「偽装請負」という「二つの無法」の根絶(2)「残業代取り上げ、過労死促進」の「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入など、労働のルールのこれ以上の破壊を中止すること(3)最低賃金の抜本的引き上げ―の三点を提起しました。

 志位氏は、最低賃金について、国際的にも劣悪な実態を示し、労働団体が求める時給千円以上への引き上げ要求を強く支持すると表明。欧州諸国が最低賃金を当面、労働者の平均所得の五割に引き上げるなど世界の動向を紹介。最低賃金を抜本的に引き上げ、全国一律の制度にすることを強く求めました。

 安倍首相は、「サービス残業」と「偽装請負」問題について、「悪質な違反には厳格な対応を徹底し、解消に最善を尽くしていく」とのべたものの、最低賃金の抜本的引き上げは拒否する姿勢を示しました。

グラフ

事務所費問題

領収書・帳簿の公開を

 志位委員長は、事務所費問題について「政治資金規正法に反する虚偽記載の疑惑が問われている」と指摘。疑惑をかけられた政治家に、領収書、帳簿の公開など事務所費の実態を明らかにするよう求めました。

 伊吹文明文部科学相は詳細の公開について、「統一的な決定があれば、それに従う」と答弁。松岡利勝農水相も、「その扱いにしたがって対応していく」と答弁しただけで、実態を自ら公表することを拒否しました。

 志位氏は、閣僚の任命責任が問われると首相の姿勢を批判。「『政治とカネ』の問題の温床に、財界からの企業献金の野放図な拡大と、政党助成金頼みの政治の堕落がある」と指摘しました。

 安倍首相は、政党助成金制度について「民主主義の発展に重要な意義をもつ」と開き直り。志位氏は「『美しい国』どころか『醜い政治』が国民から指弾されている」と批判し、疑惑の全容究明とともに、企業献金の禁止と政党助成金制度の撤廃を求めました。

人格・尊厳否定の最悪発言

厚労相の罷免求める

 志位委員長は、柳沢伯夫厚生労働相が女性は「産む機械」と発言したことについて、「女性の人間としての人格、尊厳を否定する最低・最悪の発言だ。『厳重注意』ですませられるような問題ではない」と批判し、安倍晋三首相に罷免を要求しました。

 安倍首相は「厚労相の発言は不適切だ。閣僚の発言は重く、国民に誤解を与えたことは大いに反省すべきだ」とのべました。しかし、罷免要求については、「結果を出すことで国民に理解いただくよう努力してほしい」とのべ、拒否しました。