2006年10月19日(木)「しんぶん赤旗」

暮らし・北朝鮮・教育基本法

ラジオ生出演 志位委員長 縦横に語る


 日本共産党の志位和夫委員長は十八日早朝、文化放送のラジオ番組「吉田たかよしプラス」に生出演し、衆院補選(二十二日投票)の争点や北朝鮮の核実験問題、安倍内閣が最重要課題に挙げる教育基本法改定などについてインタビューにこたえました。


“庶民に増税、大企業に減税”でいいのか

 選挙で最も訴えたいことを問われた志位氏は、「やはり暮らしの問題ですね」と答え、格差拡大や貧困の広がりの根本に大企業中心で国民の暮らし軽視の「逆立ち」があると指摘しました。

 司会・吉田 暮らしの問題でいまの政権で一番悪い点は何ですか。

 志位 たとえば税金の問題です。今年六月からお年寄りの世帯で住民税、所得税、介護保険料、国民健康保険料も上がる。大変な悲鳴が全国で起こっています。こういうことを押し付けながら、一方で空前のバブル期以上の大もうけをあげている大企業には減税をずっと続けて、これをもっと減税しようという。

 吉田 そうですね。もっと減税を拡充させる動きもある。

 志位 庶民に増税、大企業に減税、これでいいのかということを問いたいですね。

北朝鮮問題――「周辺事態法」発動の動きに反対

 北朝鮮問題の見解を問われた志位氏は、非軍事の措置と外交的・平和的解決を盛り込んだ国連安保理決議を「歓迎している」と評価する一方、政府・与党の一部で「周辺事態法」の発動を狙う動きがあることに「これは軍事的対応であり、国際社会の総意にそむくことになる」と強く反対しました。

 また「日本の国民世論がこの問題で軍事にいってはダメだと、平和的・外交的な解決を粘り強く一致して要求するようになることも大切です」とのべました。

教育基本法改定の問題点「愛国心」強制と競争主義

 コメンテーターの「伊藤塾」塾長・伊藤真氏が、安倍政権の評価について「国内でどういう政策を実施しようとしているかに目を向けないと判断を誤る危険性がある」とのべて改憲や教育基本法改定をとりあげ、教育基本法改定案の問題点を尋ねました。

 志位氏は「愛国心」の強制と、学校や子ども間の競争を激化させる教育の二つの問題点をあげました。

 志位 私たちは、いじめ、学校の荒れの問題などさまざまな問題が起きていることに心を痛めています。ただ、この原因が教育基本法にあるということはまったく根拠も道理もない。教基法を変えようとする動きに二つの大きな問題があります。

 一つは、「愛国心」を国家が強制するという問題です。「愛国心」というのは個人の、人間の一番自由な領域に属するもので、国に強制されるものではありません。

 伊藤 法律に書くことじゃないですね。

 志位 そうです。もう一つは、国が上から国家的に制限なしに介入して強制できるようなしかけになっている。いま安倍首相が盛んにいっているのは全国いっせい学力テストをやり、その内容を公表すると。子どもにランキングをつけるやり方は、本当の意味での教育になりません。

 伊藤 子どもへの評価は学力だけではないですね。

 また、教育をどう改革するかの問いに志位氏は「元凶は子どもを競争においたて、『勝ち組』『負け組』に振り分けるやり方だ」として、教育から競争主義を一掃したフィンランドが国際学力テストで世界一になった例を紹介しました。

 吉田 競争しないと怠けてしまって学力も上がらないというイメージがあったが…。

 志位 逆なんですね。進んだ子もちょっと遅れた子も同じグループにして教えあい学びあう。競争をてこにして子どものしりをたたくのではなく、子どもの分かる喜び、好奇心、探求心に働きかける、本当の意味での教育をやっていく。

 伊藤 本当の意味での教育とはまさに自主的精神です。いまの教育基本法一条の目的に「個人の価値をたつとび…自主的精神に充ちた」というフレーズがありますね。

 志位 そのとおりです。

 伊藤 (改定案は)一人ひとりを大切にして自主性を尊重する教育というのを外してしまい、どちらかといえば、一条の「国家及び社会の形成者」として必要な資質を備えた子どもたち、要するに国を支えるのにふさわしい子どもたちを育成するんだと。

 志位 いまいわれたことは問題の核心部分です。教育の目的は個人の「人格の完成」にあるのに、安倍さんがやろうとしているのは、安倍さん流の「美しい国家」づくりに役立つ、国策に役立つ人づくりです。

 最後に志位氏は、神奈川16区補選の争点の一つとして、米陸軍司令部機能のキャンプ座間への移転問題について、「イラク戦争で活躍したストライカー旅団というぶっそうな部隊の戦闘司令部が座間に入ってきて、座間を根拠地にしながら司令部自体が全世界に展開する。そういう危険な戦争の根拠地にされるということに対してもノーの審判をあげていく必要があります」と結びました。


インターネットで聴取できます

 志位委員長のインタビューは、文化放送の「インターネットラジオ」で二十日午後から聴取できます。文化放送のホームページを開き、左側のサイト案内にある「BBQR」をクリックして、「RECOMMEND」の中からインタビューのコーナーを選び、再生「▼」をクリックします。