2006年9月8日(金)「しんぶん赤旗」

志位委員長 韓国与野党代表と会談


ウリ党・金槿泰議長

 【ソウル=中村圭吾】訪韓中の志位和夫委員長は七日午後、韓国国会で、与党・開かれたウリ党の金槿泰(キム・グンテ)議長と会談しました。ウリ党の崔圭成(チェ・ギュソン)議長特別補佐官、李啓安(イ・ゲアン)議長秘書室長、李泳鎬(イ・ヨンホ)議員が同席しました。

 金議長は志位氏ら一行の訪問に歓迎の意を表明し、「韓国の国会で歓迎することができて感無量です。国民が大統領を直接選ぶようになった八七年より前だったら、(軍事独裁政権時代に民主化運動弾圧に使われた)国家保安法違反で裁判所に立たされていたでしょう」と述べました。

 金議長は、北朝鮮のミサイル問題について「日本での憂慮は承知していますが、先制攻撃の可能性まで取りざたされていることはたいへん難しい事態です」と指摘。「ウリ党は国連決議を通じて朝鮮半島と東アジアで平和を守るのに積極的な立場ですが、最近の日本を見ていると非常に心配です」と語りました。

 金議長は小泉首相の靖国参拝について「過去の不幸な侵略戦争と植民地支配を正当化しようとしていることは、日本だけでなく東アジアにとって危険です」と強調。「憂慮を伝えるのは、侵略の犠牲になった国民だからではなく、正しい認識を持たないと東アジアと日本にとって明るい未来が開けないからです」と語り、「日本共産党の役割に期待しています」と述べました。

 志位氏は、「訪韓を長い間、願ってきましたが、実現し、このような形で迎えていただき、私も感無量です」と発言。金議長の憂慮は「よく理解できます」と前置きしたうえで、創立以来、侵略戦争と植民地支配に抗してたたかった日本共産党の歴史を説明し、「私たちは日本で、靖国問題や教科書問題など歴史の逆流を許さないたたかいをしています。私たちの党の存在意義をかけて歴史問題の解決に力を尽くしたい」と述べました。

 会談ではウリ党側から日韓FTA(自由貿易協定)についての要望が出され、志位氏は両国国民がともに繁栄できる方向が必要だとの見解を説明。同時に両国間のどんな難しい問題でも歴史問題での共通の認識を基盤にすれば、冷静に話し合って前に進めることができるとの考えを述べました。

 志位氏は、東アジアでの平和の共同体づくりを進めるうえで、▽北朝鮮核問題をめぐる六カ国協議の成功、▽南北共同宣言に基づく朝鮮半島の平和的統一、▽日朝平壌宣言に基づく拉致問題、核問題、過去の清算の包括的解決―の三つの枠組みが重要だと指摘。金議長は「全面的に賛成です。私たちは議論しなくても感覚は似てますね」と応じました。

 会談ではウリ党側から、日本共産党はいつまで弾圧されていたのか、地方議員で第一党となっている秘訣(ひけつ)を教えてほしいなどの質問も出され、志位氏はひとつひとつ丁寧に答えました。金議長からは日本共産党の地方議員、首長との交流を進めたいとの提案もあり、志位氏は「ぜひ交流を進めましょう」と賛意を述べました。


ハンナラ党

金ヒョンオ院内代表

 【ソウル=中村圭吾】訪韓中の志位和夫委員長は七日午前、国会で、最大野党ハンナラ党の金ヒョンオ(キム・ヒョンオ)院内代表、李秉錫(イ・ビョンソク)院内首席副代表と会談しました。

 金代表は、志位氏の訪問に歓迎と謝意を表明。「日本共産党とは特別な関係がなかったのでハンナラ党の立場について説明したい」と前置きし、日韓関係について「植民地解放後、六十年間に韓日の人的、経済的交流は深まり、世界的にも重要な関係となったが、小泉首相の靖国参拝や、独島(日本名・竹島)について日本が文句をつけることは、韓国国民として遺憾です」と自党の立場を説明しました。

 「韓日関係の未来のために、こうした問題の解決に協力してほしい」という金代表に、志位氏は、日本共産党が党創立以来、朝鮮の独立運動に連帯してたたかい弾圧された歴史を紹介。「あの時代に侵略戦争と植民地支配にあらがい迫害された共通の歴史が、韓国とわが党との交流を広げる歴史的基盤になっていると考えています」と述べました。

 志位氏はさらに「次期首相に誰がなろうとも靖国神社への参拝を繰り返してはならない」と表明。「歴史を歪曲(わいきょく)するあらゆる逆行に反対です。同時に竹島問題については冷静な検討が必要です。両国国民の友好的未来のために協力しましょう」と述べました。

 志位氏の発言を何度もうなずきながら聞いていた金代表は「貴党とは理念や支持基盤は違うが、韓日の未来のために協力すべきです」と語りました。

 日韓双方が領有権を主張している竹島問題について、金代表が「韓国の領土であることを把握してほしい」と述べたのに対し、志位氏は、日本共産党が日本側の領有権の主張には歴史的根拠があるとする見解を発表していること、同時に竹島の編入は朝鮮半島を植民地化するさなかの一九〇五年に行われ、韓国側が異議を主張できる状況になかったことも事実だと指摘。「日本が植民地支配への反省を行うことを前提にしてこそ、冷静な話しあいができます。反省を土台にして両国が事実を付き合わせる共同研究が必要です」と見解を述べました。

 志位氏の発言に金代表は「いいお話を伺いました。私は植民地時代にあったことは話しませんでしたが、志位委員長が言及されたことは非常に意味があります」と応じ、「韓国国民全体が過去の傷を忘れられないでいる。日本政府が徹底的に反省すれば未来志向で進むが、日本政府の態度は、そこが不足している。それがあればどうして靖国参拝ができるのか」と述べました。

 志位氏が靖国問題について「侵略戦争に命がけでたたかった私たちの存在意義にかけて許せません。これは私たち自身の問題です」と説明したのに対し、金代表は「日本共産党が出発した歴史的意義、侵略戦争に反対した精神がよくわかりました。歴史問題で協力ができます」と語りました。

 東アジアの共同体をつくるためにも歴史認識の共有が必要だという志位氏に、金代表は「全面的に共感します」と表明。三十分余にわたる会談を終えました。