2006年4月7日(金)「しんぶん赤旗」

野党のあり方、後半国会の課題について

CS放送 志位委員長が語る


 日本共産党の志位和夫委員長は、五日放映(収録は四日)のCS放送・朝日ニュースターの番組「各党はいま」で、政局や後半国会の課題などについて質問に答えました。聞き手は、朝日新聞の星浩編集委員。


 ―政局は民主党の混乱となっていますが、「メール」事件から政治が学ぶべき教訓は。

二つの問題が問われた

 志位 二つ大事な問題が問われたと思います。

 一つは野党のあり方です。野党が政権与党の問題点を追及する際に、確かな事実と根拠にもとづいて行うのか、不確かな足場をもとにやるかが深刻な形で問われました。私たちの党は、事実を徹底的に調べ、足場を踏み固めたうえで問題提起をしてきました。そうあってこそ、相手にとって一番痛いところをつく議論になります。

 もう一つ、深いところには路線の問題があります。民主党は任期半ばでの代表交代が四回繰り返されていますが、こうした不安定性、不確かさの根っこには、日米同盟最優先でも「新自由主義」路線でも、自民党と基本的に違いがないことがある。違いがないから、常に“両極”にゆれるのです。「対案路線」と称して同じ道を競い合う方向にいったり、「追及」の方向にいくと本当の意味で政策論争する足場がないから、今回のような事態が起こる。

 今度の事件から教訓を導き出すとすれば、まさに自民党政治を根本から変革する立場をしっかりもった、確かな野党が必要だということです。私たちの責任は大きいと思っています。

4つの悪法ストップ

 ―後半国会にどういうスタンスでのぞむか。

 志位 四つの悪法ストップと、暮らしと平和の二つの大問題を正面から追及する取り組みを大いにやっていきたい。

 四つの悪法とは、医療大改悪法案、「行政改革推進」法案という国民サービス切り捨て法案、改憲に向けた条件づくりをすすめる国民投票法案、そして教育基本法改定の動きです。どれも平和と暮らしにかかわる重大な内容ですから、ストップに力をつくしたいと思います。

 加えて、社会的格差と貧困が広がるなかで、とくにこの四月以降、介護、国保、障害者施策、庶民増税と国民に痛みが次々と襲ってくる状況のもとで、国民が安心して暮らせる社会をめざして、経済政策の転換を求める論戦をすすめたい。

 「米軍再編」では、四月初旬に審議官級の日米協議が予定され、問答無用に自治体に結論をおしつけようとやってくるでしょう。巨額な経費おしつけも出てきます。この流れを許していいのかを追及したい。

格差問題をめぐって

 ―格差論議をどうみているか。

 志位 格差があるかないかの一般論でなく、格差が拡大していること、それも小泉政治のもとでいっそう加速していることが問題なのです。小泉首相は自らの政治によって格差が拡大したことを認めていない。小泉政治のもとでの格差拡大はあらゆるデータが物語っているが、首相はその自覚もなければ、変える気もありません。その転換を求めていきたい。

 ―“格差は社会の活力”という首相の論理に反論は。

 志位 多くの庶民から吸い上げて、ごくひとにぎりの大資産家や大企業が大もうけする。貧困の増大を基礎に一部が栄える経済の仕組みをつくったのが「小泉改革」です。“一部の人が富を得たら社会全体に広がる”というが、逆の事態が起きているのが真実です。

社会的連帯で反撃を

 ―行革法案はどんな風にみているか。

 志位 まず公務員の削減ありきでは、国民の暮らしがどうなるかが大問題です。教員、保育士、消防士といった、暮らしと安全のために頑張っている公務員を減らすことになる。

 住民からみたら、身近な病院、保育園がなくなる、少人数学級が遠のいていく。あるいは(消防士不足で)救急車が出たら消防車が出ない矛盾がいっそうひどくなってくる。それを政府主導で加速するのが「行革」法案です。国会論戦とむすんで、社会的連帯でこれを打ち破るために力をつくします。