2005年11月20日(日)「しんぶん赤旗」

11・19 国民大集会での

志位委員長のあいさつ(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長の11・19国民大集会でのあいさつ(大要)は次の通りです。

 国民大集会にお集まりのみなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。私は、日本共産党を代表して心からの連帯のあいさつをおくります。(拍手)

 いま日本の情勢は、自民党政治が、外交・内政ともに深刻なゆきづまりにおちいるもとで、新しい政治への胎動をはらんだ、歴史的転機をむかえています。

■歴史問題での自らの誤りをたなあげした、とんでもない考え違い

 日本外交は、文字通りの八方ふさがりであります。

 京都で日米首脳会談がおこなわれましたが、ここでの小泉首相の発言は、異様なまでの「日米同盟」礼賛論に終始するものでした。私が、“とうとうここまで来たか”と感じた発言が二つあります。

 一つは、「日米同盟が良ければ良いほど、中国、韓国、アジア諸国をはじめ世界各国との良好な関係を築ける」という発言です。

 しかし、日本とアジア諸国との関係を、ここまで悪化させている原因は、靖国神社への連続参拝など、侵略戦争を正当化する小泉首相自身の行動にあることは、誰の目にも明らかではありませんか(拍手)。それをあらためてこそ、友好の道が開けます。自分の誤りをたなにあげたまま、「日米同盟」さえ強化すれば問題が解決するなどというのは、とんでもない考え違いといわなければなりません。(拍手)

■基地強化、憲法改定――国を売る政治には未来はない

 いま一つは、小泉首相が、在日米軍基地の強化について、「平和と安全という恩恵を受けるためには、代価を支払わないといけない」と発言したことです。

 沖縄の美ら海(ちゅらうみ)を埋め立てての新基地建設、神奈川・キャンプ座間への米陸軍司令部移設、横須賀への原子力空母配備、山口・岩国への空母艦載機の移転――たえがたい基地強化にたいして、自治体がいっせいに反対の声をあげています。それを「代価を払え」の一言でおしつぶそうとする。「いったいどこの国の首相か」――これは基地に苦しめられているすべての人々の共通の気持ちではないでしょうか。(拍手)

 基地強化に続いて、「代価」としてアメリカにさしだそうとしているのが、憲法九条です。いま、「日米同盟の変革と再編」の名ですすめられていることは、アメリカが、イラク戦争のような無法な戦争をはじめたときに、米軍と自衛隊が一体になって、世界各地の紛争に介入する態勢をつくるということです。そのためには憲法九条は邪魔物だ、憲法九条を変えて日本を「海外で戦争する国」につくりかえろ――アメリカのこの号令にそって、日本が世界に誇る宝――憲法九条までアメリカにさしだす。こんな国を売る政治には、けっして未来はありません。(拍手)

 みなさん、基地強化反対の自治体ぐるみの運動を発展させ、全国的連帯を広げましょう。憲法改悪反対の一点での国民的共同をさらに大きく広げるために、力をつくそうではありませんか。(拍手)

■「構造改革」路線から、人間らしく生きる権利をまもろう

 暮らしと経済での小泉首相の立場は、異常なまでの「構造改革」礼賛論です。「構造改革」をすすめれば、日本の国はバラ色になると、首相は叫びつづけました。しかし、これがもたらしたものは何だったでしょうか。

 雇用と所得の破壊がすすむもとで、貧困と社会的格差の新しい広がりが、深刻な社会問題となっています。生活保護世帯が百万世帯を突破しました。就学援助を受けている子どもの割合は12・8%と、この十年間で二倍以上になりました。多くの高齢者が、年金月数万円、貯蓄もないという状態で、苦しい生活をしいられています。

 その一方で、財界・大企業は空前の大もうけを謳歌(おうか)し、大資産家はぬれ手で粟(あわ)の錬金術で大もうけしています。国民を「勝ち組」と「負け組」にわけ、人間がともに支えあう社会のまともなありようを否定し、弱肉強食の寒々とした社会をつくる――これが「構造改革」の名での「新自由主義」の経済路線がもたらしたものではなかったでしょうか。

 このうえさらに、消費税増税をはじめ庶民大増税と、医療改悪をはじめ社会保障大改悪の波が、国民に襲いかかったら、国民の暮らしと日本社会はどうなるでしょうか。憲法で保障された生存権――人間らしく生きる権利が根こそぎ奪われてしまうことになります。みなさん、この攻撃にたいして、暮らしをまもる社会的大反撃をおこそうではありませんか。(拍手)

■国民に「分断」をもちこむ攻撃に、社会的連帯でこたえよう

 財界や政府は、「構造改革」を無理やりおしつけるために、国民のなかに意図的に「対立」をつくり「分断」をはかろうとしています。「公務員労働者と民間労働者」「現役世代と高齢者」「労働者と自営業者」など、意図的に「対立」をつくり、暮らしと権利をまもるまっとうな要求を、あたかも「既得権益」をまもるための「利己」的な行動とえがいて攻撃する。これが常套(じょうとう)手段であります。その生きた見本が、小泉首相であります。(拍手)

 みなさん、これにたいして社会的連帯をもってこたえようではありませんか(拍手)。公務員労働者と民間労働者の連帯、労働者と自営業者との連帯、若い世代と高齢者との連帯、国民各層・各分野の連帯をつよめ、暮らしにかけられた攻撃をはねかえしましょう。(拍手)

 平和と暮らしをまもる国民のたたかいを発展させ、合流させて、古い政治の枠組みを打ち破り、新しい政治の流れをつくるために、がんばりぬこうではありませんか。(拍手、「がんばろう」の声)