2005年9月30日(金)「しんぶん赤旗」

CS放送「各党はいま」

志位委員長が語る

特別国会の対応について


 日本共産党の志位和夫委員長は二十八日放送のCS番組・朝日ニュースターに出演し、特別国会の対応などについて、朝日新聞・梶本章論説委員のインタビューに答えました。


 ―自民党が圧倒的多数をとった、民意は郵政民営化をしてほしいというものだ、という受けとめがあるが。

 志位 民意をしっかり、冷静にみておく必要があります。与党は小選挙区では49%しか支持を得ていない。最近、朝日新聞の「天声人語」でも同じような主張がありましたね。数えてみたら自公の方が得票が少なかったと。ですから圧倒的多数の民意が小泉首相のやっている方向に“ゴー”を与えたという結果ではないということをよくみる必要があると思っています。

■郵政民営化は日米財界要求

 ―論戦で郵政民営化は必要ないと主張していくのですか。

 志位 そうです。郵政民営化の問題は日本の財界がかねてから求めてきたのに加えて、二〇〇四年ぐらいから米の大手保険会社筋、米政府自身の対日要求という形で繰り返し出されています。日米首脳会談でもアメリカ側から提起される。そういう問題も含めてきちんとただしてゆきたい。

 小泉首相は郵政民営化は「既得権益を打ち破るものだ」というけれど、日米の財界という最大・最悪の既得権益の支配の下で、この要求によってやっているのがことの真相であって、国民の要求じゃない。

■自立阻害する「支援」法案

 ―障害者「自立支援」法案についてはどうか。

 志位 一番の問題は一割の自己負担を持ちこむということです。障害者福祉のサービスをたくさん使う重度の障害者の方ほど負担が重いということになる。たとえば授産施設などで働くことによって利用料がかかってくる。働くことに利用料をかけるとはいったいどういうことか。工賃は一生懸命働いてもわずかなものです。工賃を上回るような利用料をかけてくる。「自立支援」どころか自立を阻害するものです。この悪法は廃案においこみ、障害者の方々へのほんとうの支援を充実させたい。

■くらし関連の公務員削るな

 ―首相は「三位一体改革」、政府系金融機関の整理、公務員の数を減らす―これが「小さな政府」なんだとしきりに強調しましたが。

 志位 いまの三つの問題は、それぞれ国民に大きな痛みを強いる内容になる危険が大きい。

 公務員の問題では減らすべきところはあると思います。たとえば国家公務員で大きな比率を占めているのは防衛庁関係で、さすがに去年財務省も四万人削減案を出したけれど、実現されなかった。結局福祉、教育、防災など国民のくらしにかかわる部分が切り捨てられようとしている。国民のくらしに必要な部分を切っていくのは本末転倒だと思います。

■公約違反の定率減税廃止

 ―共産党はどういうことを訴えていくのか。

 志位 これからの四年間を考えると増税と憲法が大きな問題です。どちらも“巨大与党”の宿願の課題です。

 増税でみると、政府税調の「論点整理」(六月)に出たように定率減税の廃止、消費税の税率引き上げ、所得税の諸控除の「見直し」という三点セットの増税を、〇六年から〇八年にかけてやろうというのが政府・与党のプログラムです。この庶民増税を許していいのかというのが大問題だと思います。

 この点で、私は代表質問(二十八日)で、自民党は「政権公約」で「政府税調のいうサラリーマン増税はやらない」といっていたのに、定率減税を廃止しようとしているじゃないかとただしたら、小泉首相は驚くべきことに、「定率減税の廃止はサラリーマン増税ではないんだ」といいました。サラリーマンだけではなく自営業者の増税にもなるからサラリーマン増税にならないんだと。こんなことを選挙のあとになっていうのは、とんでもない国民だましの許されないやり方です。