2005年9月15日(木)「しんぶん赤旗」

CS放送「各党はいま」

志位委員長が語る

総選挙結果をどう見る


 日本共産党の志位和夫委員長は十四日放送のCS番組・朝日ニュースターに出演し、総選挙の結果をどうみるかなどについて朝日新聞・本田優編集委員のインタビューに答えました。

■争点を隠し、真実を語らなかった

 ――自民党圧勝という結果をどう見ておられますか。

 志位 国民に政治の現状への深い閉塞(へいそく)感があるなか、「改革」の訴えに漠然とした期待感が集まったことがあげられると思います。

 ただ、小泉首相は非常にフェアではないやり方をとったと思います。

 一つは、争点を郵政民営化一本にしぼって、憲法改悪や大増税などの大事な問題をなにも語らなかった―争点隠しをはかったことです。

 もう一つは、郵政民営化についても、郵政事業に税金が一円も使われていないことや、公社のままでも利益の五割を国庫に納めるという事実を隠しました。

 国民にありのままの事実を伝えて審判を求めた結果ではありません。一時的に議席増をはたしても、早晩、国民との矛盾は深刻に噴き出してこざるをえません。

 こういう選挙で共産党が「たしかな野党」を訴え、善戦・健闘した意味は大きいと思います。

■「小選挙区効果」が働いたゆがんだ結果

 ――自民党の得票の中身をどう見ますか。

 志位 「小選挙区効果」が大きく働いたことをよく見ることが必要です。

 自民・公明両党の得票数は、比例代表で51%、小選挙区で49%。議席では68%という空前の圧倒的多数を占めたけれども、得票は半分なんです。ここには、大政党本位に民意をゆがめる効果が働いているわけです。

 郵政民営化法案についても、国民の信任を得たからあとは国会で一気に通すだけという姿勢ですが、賛否相半ばしたというのが実態です。圧倒的な信任を得たというが事実ではない。ここをよく見ることが大切です。

■歴史的ゆきづまりを綱渡りでのりきるやり方は、長つづきしない

 ――大きな歴史の流れの中で今度の選挙のもつ意味をどう見ておられますか。

 志位 歴史的流れでいいますと、自民党政治が内政・外交ともにこんなにゆきづまっているときはありません。

 小泉「改革」は、“財界直結の政治”をよりはっきりとつくっていくという点では、たしかにある種の「改革」といえます。しかしこの道は国民には、郵政民営化によるサービス切り捨て、庶民大増税、社会保障改悪による負担増など、かつてなくつらい道を押しつける方向です。こういう方向しか打開の“活路”がなくなった。これは深刻なゆきづまりなのです。

 外交も、靖国問題でアジア諸国とまともなつきあいができず、異常な対米追従でイラク問題でも身動きがとれないなど“八方ふさがり”です。

 ですから、小泉首相は一見、目のくらむような成果をおさめたように見えるけれども、これはゆきづまりを綱渡り的にのりきろうというものであって、決して長つづきするものではありません。

■本格的な対決の論陣と構えで郵政法案廃案へ

 ――二十一日から特別国会がはじまりますが。

 志位 “自民党圧勝”といわれるが、実体は内外ともに先がない。このなかでたしかな野党・日本共産党の役割は非常に大きいと思います。

 特別国会では郵政民営化法案がでてきますが、ここから本格的な対決の論陣と構えをつくり、小泉・民営化法案反対の一点での国会共闘を呼びかけ、法案を葬るためのとりくみから一歩をはじめたいと決意しています。