2005年9月29日付「しんぶん赤旗」に掲載

「自立支援」法案

首相は障害者の実情見て

志位質問に作業所の人たち


 「実情をちゃんと見て、慎重に審議してほしい」――。二十八日、東京・練馬区にある精神障害者が通う共同作業所「やまびこ第二作業所」の斎藤恵久子所長は、障害者「自立支援」法案をとりあげた日本共産党の志位和夫委員長への首相答弁を聞いて、こう語りました。(藤川良太)

 「働く場と生きがいを奪うことが、どうして自立支援なのか」と迫る志位さん。「利用者も含め、みなで支えあっていくことが必要」と答弁するだけの首相―。斎藤所長は「障害を持っている人たちの所得など補っていかないといけない部分をちゃんと補って、そこから、みんなで支えるというなら分かるけど、そうなっていない」と話します。

 同作業所は、三十一人の精神障害者が通い、公園の清掃やダイレクトメールのあて名シールはりの仕事、筆入れや小銭入れを制作しています。障害者の一カ月の平均工賃は約九千円。「自立支援」法案が成立すれば、これを超える利用料を障害者が払う可能性が出てきます。

 通う障害者の収入は、障害者年金や生活保護、工賃など。同作業所の指導員、池田潤さん(37)は、障害者から「葬式で香典代を払って生活費がなくなった」と相談を受けたことがあるといいます。「みんな生活はギリギリなんです。首相はみんなで支えるというが、利用料を取ればみんなこなくなってしまう」

 作業所では、利用料自体について、疑問の声があがっています。

 障害者が利用するすべてのサービスに一割の自己負担を導入する同法案。「障害者の自立を妨げ、生きる権利を奪う法案は、きっぱりと断念すべきだ」と迫る志位さん。斎藤所長は「障害者は、作業所に来て悩んでいるのは自分だけではないと分かり、次のステップに行ける。首相は、みんなの声を聞いてほしい」と語りました。