2005年9月29日(木)「しんぶん赤旗」

衆院代表質問にみる

新しい国会の新しい政党地図


図

 二十八日の衆院本会議代表質問で、三分の二以上の議席を与党がしめるもとでの国会論戦が本格化しました。郵政民営化、庶民大増税、憲法九条改悪へと進む小泉政権とこれをあおりたてる自民・公明与党。不祥事と総選挙敗北のおわびから始まり、郵政・増税や外交課題でまったく対決軸を示せない民主党。短い質問時間のなかでも国民の立場にしっかり立った追及をした日本共産党。新しい国会での新しい政党地図がくっきり浮かびあがりました。

■郵政民営化

■自公 選挙結果を「信任」と

■民主 民営化を前提の議論

■共産 民意の真実明らかに

写真

(写真)所信表明演説にたいして代表質問する志位和夫委員長。後方は小泉首相=28日、衆院本会議

 自民、公明与党は先の総選挙結果をあげて「国民が望んでいることはあくまで(郵政)民営化だということがはっきりした」(自民・武部勤幹事長)、「自公政権は圧倒的な信任を得ることができた」(公明・神崎武法代表)と法案を成立させる姿勢を示しました。

 しかし与党が「圧勝」したのは第一党に極端に有利な小選挙区制の弊害によるもの。得票率でみると、自民、公明両党は小選挙区で49・1%。多くの国民の信任を得たとは到底いえません。

 「民営化法案反対」をともかくも唱えてきた民主党は、選挙結果を受け“脱力状態”で、「反対」の立場を失いました。「完全民営化の移行期間の短縮」を求めるなど、民営化を前提にした議論に終始しました。

 日本共産党の志位委員長は、郵政民営化は国民の要求でなく、日米の大銀行と大手保険会社、アメリカ政府によって始まったものであることなどを指摘。与党が、真相を隠して得た得票が半数にも満たなかった事実を突きつけ、徹底審議のうえで廃案にすることを求めました。

■庶民大増税

■自公 公約投げ捨て公然化

■民主 増税の主張 表に出さず

■共産 財源示し真っ向批判

 自公は、総選挙で徹底した増税隠しを行い、「『サラリーマン増税』を行うとの政府税調の考え方はとらない」ことを「政権公約」としました。

 ところが、総選挙翌々日の十三日に、谷垣禎一財務相が定率減税の全廃をのべたのを口火に、消費税増税の検討まで明言。公約など投げ捨てた大増税の合唱が始まっています。

 代表質問で公明党は、増税に一言も触れられず、引き続き選挙中と同じ国民だましで乗り切ろうという態度。一方、自民党は、「税負担増をお願いすることは避けられない」とはのべたものの、その増税の具体的な姿を語ることは回避しました。

 一方、年金の財源として「消費税率3%の引き上げ」を選挙中の売り物にした民主党は、まったくの混迷状態。増税の主張は表に出さず、年金改革案も「新たに練り直して出す」といいだしました。「定率減税廃止は公約違反」というものの、庶民増税そのものに反対の主張は見当たりません。

 それに対し、日本共産党の志位委員長は、定率減税の廃止は「大企業・大金持ちへの行きすぎた減税はそのままにし、庶民を狙い撃ちする大増税だ」と真正面から批判。

 対案として、少なくとも年間一・二兆円にものぼる大企業向けの研究開発減税などの終了を求めるなど、国民の立場からの解決の道すじを具体的に示しました。

■憲法・イラク

■首相 民主と議論進めたい

■民主 「改憲に賛成」と明言

■共産 9条の価値を鮮明に

 十二月で期限が切れる自衛隊のイラク派兵延長、憲法九条の改悪は日本の進路を左右する重大問題です。ところが、武部幹事長、神崎代表ともに、これらの問題に一言もふれませんでした。自公両党は総選挙につづいて、国会の場でも「だんまり」を貫き、国民の追及を逃れようとしているのです。

 一方、民主党はどうか。鳩山幹事長は「憲法改正には賛成」と明言。小泉首相から「民主とも国民的議論を進めたい」と、改憲の仲間入りを求められる状況です。

 「戦後、日本は一人の外国人も殺さず、戦死者も出さなかったのは憲法九条の存在のおかげ。その歴史は世界に誇るべきものだ」――。志位委員長はこう訴え、九条改悪による「戦争する国」づくりに真っ向から反対。その具体化の一つであるイラク派兵についても「すみやかに撤退すべきだ」と主張しました。