2005年8月15日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論・激動の政局 衆議院選挙にどう臨む」志位委員長の発言


 日本共産党の志位和夫委員長は十四日のNHK「日曜討論」で、山本孝・NHK解説委員のインタビューに答えました。大要は次の通りです。

 山本 小泉首相は郵政民営化が国会で成立しなかったんだから、直接国民にその必要がないかどうか聞いてみたいといっていますが、この理屈をどう思いますか。

■郵政民営化堂々と迎え撃つ議論を

 志位 私は国会で、衆参の審議を通じて、郵政民営化法案というのは国民のサービスがどんどん切り捨てられる、身近な金融窓口がなくなる、高い手数料で口座も置けなくなる。こういう問題が明らかになって否決、廃案になったものですから、本来は断念すべきものだったと思います。

 ただ、首相が衆院を解散してまで国民の審判を仰ぐという以上は、重要な争点の一つとして位置付けて、堂々と迎え撃つ議論をやって、とどめの審判を下そうじゃないかということを訴えていきたいと思っています。

 山本 民営化法案は断念すべきだという話でしたが、自民党は選挙が終わればその後の国会にもう一度提出して成立を図りたい構えですが、どう対抗しますか。

 志位 今度の選挙のなかで、民営化に道理なしということを大いに訴えていく。そして国民の審判によってそういうことができないような審判を下していくということが大事だと思います。

 山本 そうすると郵政民営化法案も大きな争点であるという認識ですか。

 志位 争点の一つです。

■「改革」の名での弱肉強食、庶民大増税、改憲に審判を

 山本 共産党としては国内の問題では、増税、憲法の問題を争点の柱にするんですか。

 志位 主に三ついいたいんですけれど、一つは、郵政問題とあわせて、首相は「改革を止めるな」ということをキャッチフレーズにしています。じゃあ小泉内閣で行われた「改革」というのは何だったのか、この四年間やられたのは何だったのか。結局社会保障の連続切り捨て、雇用の不安定化、庶民への増税、痛みにつぐ痛みだったじゃないか。こういういわば“強きを助け弱きをくじく”“弱肉強食”のやり方に審判を下そうじゃないかと(訴えたい)。これが一つです。

 二つ目は、いまいわれた増税の問題です。とくに政府税調がサラリーマンの大増税を出してきた。消費税の増税も出しています。先ほど与党の方は「関係ないんだ」ということをおっしゃったが、与党税調(税制調査会)の方針に即して政府税調が出してきたわけですから。これに民主党も「控除の廃止」という点では一緒ですから。この増税に審判を下す。

 それから三つ目は、憲法を変えて、とくに九条二項を変えて、「自衛軍」を書きこんで、日本を「海外で戦争できる国」につくりかえる―これも、自民も民主も同じ流れになっていますけれど、平和を守る選挙にしていきたいと思っています。

■靖国参拝やめアジアと心通う友好を

 山本 外交面では野党外交を積極的に展開していくということですが、具体的に日中、日韓を中心としたアジア外交を共産党としてはどう進めていくべきだと。

 志位 さまざまな問題がありますが、やはり一番アジア諸国との関係を悪化させているのは(首相の)靖国参拝問題です。この問題というのは、靖国神社がたっている歴史観、戦争観が問われています。(靖国神社には)「遊就館」という軍事博物館がありますけれど、あそこへ行きますと、結局過去の日本の戦争は、「自存自衛」の戦争だった、「アジア解放」の戦争だった、「正しい戦争を日本はした」ということが、いわれているわけですね。ですから、(首相が)ここに参拝するという問題は、結局それにお墨付きを政府として与えることになる。だからこれだけの大問題になっているわけです。

 これは他国からいわれたからどうこうというのではなく、日本政府の主体的な判断としてきっぱりやめるべきだ。アジアと心の通う友好をつくるうえでは避けて通れないということを訴えていきたいと思っています。

■自民党政治と対決する「たしかな野党」が評判に

 山本 共産党は「たしかな野党」ということをキャッチフレーズにしていますが、有権者への広がりは見えますか。

 志位 これはいまの状況のなかでの共産党の役割を示すものとして、たいへん評判が広がっております。

 とくにいまの政治状況のなかで、先ほどいった「構造改革」の名での弱いものいじめ、大増税、改憲。この問題でいわゆる「二大政党」と呼ばれる自民、民主が同じ道を競い合っているという状況があるなかで、そういう流れと正面から立ち向かって、どんな問題でも悪い政治にきっぱり対決する、国民の立場で頑張る「たしかな野党」が必要だと、この役割を担うのは共産党だという訴えが広がっています。

 ただ私たちは野党で終わるつもりはありません。いずれは私たちも参加する民主的な政権をつくるという構想も持っています。ですから、今度の選挙はそういう点での前進の一歩も刻みたいと思っています。

■地方選での押し返しの流れを、国政選挙でも

 山本 ただ、ここ何年かの国政選挙をみますと、どうみても共産党は退潮傾向ですね。この背景は「二大政党」化の流れというところが大きいと判断されていますか。

 志位 この二回の国政選挙でたしかに「二大政党」という動きがつくられて、押しこまれたというのは事実です。ただこの間の一連の地方選では、押し返している動きをつくっています。とくに東京都議選では、二人区の文京区や日野市で勝利するということがありました。それからこの間の一連の地方選挙ではずっと連続的な勝利が勝ち取られています。

 とくに「二大政党」というけど、実態は「オール与党」じゃないか、それに対する、本当の意味で国民の立場にたって頑張る日本共産党という対決の構図がはっきりつくられれば、前進がつくられるというのがこの間の経験ですから、この流れをぜひ国政選挙でもつなげていきたいと思っています。

 山本 議席はいま一ケタ台ですが、目標は何議席ですか。

 志位 私たちは比例代表を中心に選挙をたたかう。そしてすべての比例代表のブロックで議席を獲得し増やすということを目標にしています。

 同時に、小選挙区にもいま積極的に擁立しておりますが、小選挙区でも大いに前進、勝利をめざして意気高くたたかっていきたいと思います。