2005年4月20日付「しんぶん赤旗」南関東版に掲載

米軍司令部移転で訪問、懇談

相模原、座間両市長

基地の強化は街づくりの障害

志位委員長

自治体ぐるみの運動心強い

 日米両政府が米陸軍・第一軍団の司令部をアメリカ本土から神奈川県の米陸軍・キャンプ座間(相模原市、座間市)に移す計画を阻止するため、日本共産党の志位和夫委員長は十八日、相模原市の小川勇夫市長、座間市の星野勝司市長を市役所に訪ね、意見を交わしました。時折、米軍機の爆音が部屋に響くなか、小川、星野両市長は「移転計画は基地の強化・恒久化につながるものだ」と訴え、計画阻止に向けた思いを率直に語りました。 (神奈川・岡田政彦、佐藤研二)


 最初に訪れたのは相模原市。米陸軍のキャンプ座間、相模総合補給廠(しょう)、相模原住宅地区という三つの米軍基地を抱え、キャンプ座間のヘリコプターの騒音や隣接する米海軍・厚木基地(大和市、綾瀬市)での空母艦載機の飛行訓練の爆音に、市民は日々苦しめられています。

自治会へも協力を依頼し

地図を広げ小川相模原市長(左手前)と懇談する志位委員長(右手前)ら=18日、相模原市役所

 志位さん「市長を先頭に超党派で司令部の移設反対、基地返還を求めて運動され、横断幕やポスターも張り出されていて、大変心強く思います。ポスターは私の部屋にも張らせてもらいます」

 小川市長「ポスターは四千五百枚つくり、各自治会にも協力をお願いしています。市と議会代表、自治会連合会、経済団体も入り、まさに超党派で米軍基地返還促進等市民協議会をつくり、返還後の跡地利用構想もつくって国に要請しています」

 小川市長は同市の地図を広げ、相模総合補給廠の存在が小田急多摩線の相模原乗り入れの妨げになるなど、基地がまちづくりの大きな障害になっていることを、詳しく説明。「民間施設なら固定資産税も入るが、基地ではそうならない。それに見合うものとして国の基地交付金がありますが、その額は我々の見積もりの三分の一にすぎません」と訴えました。

 うなずきながら聞いていた志位さんは「これから先も基地を押し付けられてはたまらないという市民のみなさんの気持ちは、どこでも通る道理のある話です。ぜひ力を合わせて頑張りましょう」とエールを送りました。

安全保障への考えは違うが

星野座間市長(左)を激励する志位委員長=18日、座間市役所

 次に訪れたのは座間市役所。玄関を入ると、この日から「キャンプ座間米陸軍第一軍団司令部等移転に伴う基地強化に反対する座間市連絡協議会」が始めた「移転反対署名」が置かれてありました。

 「市の決意を感じますね。市長を先頭に、市ぐるみでのたたたかいは、全国的にも意義深い」と志位さん。

 懇談で、星野市長は「安全保障や国防に対してはいろいろな考えがあるなか、『基地の恒久化と強化には反対』の一点で、超党派やさまざまな団体が一致して署名が取り組まれたことは、本当に重要です。ぜひ、市民の過半数を集めたい」と、意気込みを語りました。

 星野市長は、キャンプ座間への自衛隊移駐に伴い、一九七一年に当時の座間町長と横浜防衛施設局長が交わした覚書の第二条に「キャンプ座間の基地縮小について最大限の努力をする」と明記されていることも指摘。この基本姿勢に照らしても、基地強化につながる今回の司令部移転は問題だと批判しました。

 終始静かな語り口だった星野市長でしたが、懇談の最後に少し語気を強めてこう訴えました。

 「国からは何の情報提供もないが、市の総合計画でも、基地の返還・縮小を市是(市の基本方針)としている」「いまが一番重要な時期だととらえて署名を始めました。『2プラス2』(日米安全保障協議委員会)も第二段階に入るなかで、ベストを尽くしたい」

 じっと市長の訴えに耳を傾けていた志位さん。市長とがっちり握手を交わし、こう応じました。

 「まちづくりに大きな障害となる米軍基地の強化・恒久化を許さないため、全国各地の運動と連携しながら、私たちも国会内外で全力を尽くします」