2004年11月3日(水)「しんぶん赤旗」掲載

2中総決定の実践/総選挙方針について

全国都道府県委員長会議 志位委員長が報告

 日本共産党は二日、党本部で全国都道府県委員長会議を開きました。志位和夫委員長が、次期総選挙をたたかう方針を提起するとともに、第二回中央委員会総会(二中総)決定にもとづくとりくみの強化方向について報告し、全国の経験を交流しました。

 志位委員長は冒頭、新潟県中越地震をはじめこの間の震災・台風・豪雨災害で、現地の要望にこたえてとりくんできた党の救援・支援活動を報告。国民の苦難をとりのぞくとりくみを全党あげてすすめることをよびかけると同時に、被災者生活再建支援法の抜本改正、住宅再建のための個人補償の実現を求めていくと強調しました。

 二中総決定にもとづくとりくみの強化方向を、(1)政治的展望を国際的視野と歴史的視野の二つの角度から大局的につかむ政治指導(2)憲法改悪、米軍基地強化、増税問題などで国民の要求にこたえて、広く打ってでる(3)「五つの課題」を「支部が主役」で具体化・実践することを要にすえて党建設のとりくみを前進させる(4)市町村合併後の中間選挙のとりくみ―の四つの点で、今日の情勢を詳しく解き明かしながら報告しました。

 このなかで党の実力をつける問題で、「会議に出る」「党費を納める」「日刊紙を読む」を「党生活確立の三原則」として、すべての党員が実行する気風を党のすみずみに定着させることをよびかけました。

 総選挙のたたかいの方針については、比例代表での得票・議席増を活動の中軸にすえ、この見地で比例候補、選挙区候補も奮闘するのが二中総の基本方針であると確認したうえで、小選挙区の候補者擁立で次の二点を提起しました。

 第一。候補者が、他の任務と兼務であっても、その選挙区で日常的に活動できる条件のあるところで、候補者の擁立を決定する。

 第二。各都道府県とも、候補者を立てる選挙区を早急に増やしてゆき、全選挙区での候補者擁立をめざす。

 ただし、全選挙区での立候補は、すべての県に一律に義務づけることはしない。

 候補者擁立で「日常的に活動できる条件のあるところ」とした意味について志位氏は、小選挙区での活動の発展方向で何よりも重要なのは、系統的な日常活動で有権者と深く結びつき、日本共産党への支持を拡大し、積み上げていくことにあると強調。この点で、都道府県からの報告でも「日常的に活動」したといえるのは、一部の選挙区であり、今後を考えると「日常的な活動」なしに選挙のときだけの候補者活動を繰り返すということを続けては、かえって党の国政にたいする真剣さが問われることになると説明しました。

 さらに、「全選挙区での候補者擁立をめざす」との基本方向を堅持しながら、「全選挙区での立候補は、すべての県に一律に義務づけない」としたのは、「現在の党の力量を考えてのこと」だとして、(1)候補者が「日常的に活動できる条件」をもった選挙区は、現状ではまだ一部にとどまっており、そうした選挙区がどこまで広げられるかは今後の努力にかかっている(2)供託金の募金をとりくむうえでも候補者が「日常的に活動できる条件」をつくることは不可欠であることなどを説明しました。

攻勢的な方針として

 まとめで志位氏は、討論で衆院小選挙区の候補者擁立の方針に「これは退却の方針でなく、攻勢的な方針と受け止めて頑張りたい」との発言が何人かの県委員長から出されたことは非常に大事だ、と強調。「報告で提起した方針を本気でやりきろうと思ったら、これまでのとりくみを大きく前進させることが必要となります。そういう観点で今回の方針を受け止め、全党に徹底することが大事です」とのべ、次期総選挙を攻めに攻めのたたかいでとりくもうとよびかけました。


                2004年11月9日(火)「しんぶん赤旗」掲載

総選挙をたたかう方針について

全国都道府県委員長会議での志位委員長の報告・発言・まとめから

 二日の日本共産党全国都道府県委員長会議への報告で、志位和夫委員長は、一日の幹部会の確認にもとづいて、総選挙のたたかいの方針をあきらかにしました。また、この報告の後、会議参加者から出された一連の質問に答えました。さらに、討論終了後、討論のまとめをのべました。報告(総選挙方針部分)、質問への回答、まとめの要旨を紹介します。

報告から

 きたるべき総選挙をたたかう方針について報告します。

 二中総決定は、つぎの国政選挙をたたかう方針の基本についてのべています。その中心点は、つぎのような諸点であります。

 「衆議院のすべての比例代表ブロックで議席を獲得し、増やすことをはじめ、衆議院選挙でも参議院選挙でも、議席と得票の前進をめざして奮闘する」

 「その基本方針は、比例代表選挙を、選挙戦はもとより、党のあらゆる活動の軸にすえ、比例での日本共産党の支持を増やし、蓄積していく活動に、日常不断に執念をもってとりくむことである」

 「衆参の国会議員・予定候補者は、有権者と日常的に結びつく努力を重ねるとともに、比例代表選挙での前進のけん引車として、積極的な役割をはたすようにする」

 すなわち、衆参ともに比例代表での得票を増やし、議席を増やすことを、活動の中軸にすえ、これに執念をもってとりくむ、比例の候補者も、選挙区の候補者も、この見地にたって力をあわせて奮闘する――これが基本方針であります。

 衆院小選挙区でのたたかいも、「比例を軸に」の見地にたったとりくみを、腹をすえて、割り切ってとりくむことが大切です。

 これらの基本方針をあらためて確認しつつ、衆院小選挙区の候補者の擁立については、つぎの方針でのぞむことにします。

 第一。候補者が、他の任務と兼務であっても、その選挙区で日常的に活動できる条件のあるところで、候補者の擁立を決定する。

 第二。各都道府県とも、候補者を立てる選挙区を早急に増やしてゆき、全選挙区での候補者擁立をめざす。

 ただし、全選挙区での立候補は、すべての県に一律に義務づけることはしない。

 この方針について若干の説明をしておきます。

 (1)まず、候補者を擁立するのは、「日常的に活動できる条件のあるところ」とすることの意味についてです。

 小選挙区での活動の発展方向で、何よりも重要なことは、日常的に有権者の要求にこたえた活動にとりくみ、系統的な日常活動で有権者と深くむすびつき、日本共産党への支持を拡大し、積みあげていくことにあります。

 この点から、これまでの実情をみますと、「日常的に活動」したといえるのは、都道府県からの報告でも、約二割程度の選挙区でした。選挙直前でも立候補してたたかったことの積極的意義はありましたが、同時に、今後を考えると、「日常的な活動」なしに、選挙の時だけの候補者活動を繰り返すということを続けては、かえってわが党の国政にたいする真剣さが問われることにもなりかねない、という問題もあります。つまり、候補者を擁立するからには、本腰を入れた「日常的な活動」が必要であります。

 そこで、候補者を擁立するのは、「日常的に活動できる条件のあるところ」とします。この条件のあるところでは、すみやかに候補者を決め、活動を開始するようにしたいと思います。

 (2)同時に、各都道府県とも、党の主体的な実力を強める活動のなかで、「日常的に活動」できる条件をもった選挙区を増やし、「全選挙区での候補者擁立をめざす」ことが重要であります。

 ただし、「全選挙区での立候補は、すべての県に一律に義務づけない」ことにしました。こういう方針としたのは、現在の党の力量を考えてのことです。すなわち、(1)候補者が「日常的に活動できる条件」をもった選挙区は、現状ではまだ一部にとどまっており、そうした選挙区がどこまで広げられるかは、今後の努力にかかっています。(2)供託金が没収された選挙区は、新たにその募金をおこなうことが必要になりますが、この募金にとりくむうえでも、候補者が「日常的に活動できる条件」をつくることは不可欠です。

 次期衆院選挙については、すでに比例ブロックごとに比例議席獲得の政治目標が明確にされ、比例代表予定候補も第一次分が発表されています。都道府県、地区、支部が、総選挙の得票目標を明確にして、とりくみを本格化することが必要です。このとりくみのなかで、小選挙区についても以上の方針にもとづいて候補者擁立ととりくみを急速に強め、新たな前進のために力をつくすことを訴えるものです。

質問にこたえて/「日常的な活動」とはどういうものか

 総選挙闘争の方針について、出された質問にお答えします。

 まず報告では、「候補者が、他の任務と兼務であっても、その選挙区で日常的に活動できる条件のあるところで、候補者の擁立を決定する」ことを方針としてのべたわけですが、「ここでいう日常的というのはどの程度の活動を意味するのか」という質問がありました。

 「日常的な活動」といった場合に、もちろん、そこにはそれぞれの条件にそくした幅があるわけで、何か一律の基準があるわけでなく、それは、みなさんが自主的に判断してゆくべき性格のものです。

 ただ「日常的な活動」といった場合の基本的な活動としては、党の宣伝活動という要素と、その地域の有権者の要求を実現していく活動という要素――宣伝と要求実現ということは、一番の基本的な活動としてあります。そこはふまえつつ、それを候補者がどの程度の量と質でおこなうかは、それぞれの条件にそくしてさまざまであってよいと思います。要は有権者からみて、日常的にとりくんでいると評価していただけるようなとりくみをということではないでしょうか。

地区委員長との兼任をどう考えるか

 「地区委員長などとの兼任はだめなのか」という質問もありましたが、そんなことは決してありません。たとえば要求にもとづくシンポジウムにとりくむとか、対政府の交渉にとりくむとか、それぞれの地域で国政の候補者としてさまざまな活動をおこなうことは、地区委員長の活動として当然できるし、本来、地区委員長というのはその地域における党の顔ですから、裏方の仕事だけでなく公然と党を代表する仕事もどんどんやっていくのが本来的な活動のありかたでもあるわけです。

補者の年齢の問題について

 それから「候補者には若い人がのぞましいか」という質問がありました。今後のことを展望しますと、小選挙区で実際に議席を争うまでになるには何回かのたたかいが必要になる、そのことをリアルに見てとりくむことが大切になるわけで、そういう角度から将来にわたって系統的な活動を保障するうえでは、若い候補者をおおいに立てることが重要であることはいうまでもありません。

 しかしこれも、何も年齢制限があるなどというものではありません。これもそれぞれの条件があると思います。たとえば六十歳で定年になっても元気で、日常活動にもとりくめる条件もある、今後を考えても何回かの選挙をたたかえるという人もいると思いますし、条件はそれぞれですから、これも何か制限をもうけるというものではありません。

参議院選挙――比例を軸にしつつ、全区立候補でのぞむ

 参院選をどうするのかという質問もありました。

 参院選は、もちろん比例を軸にしたたたかいをおこなうわけですが、選挙区は都道府県単位の選挙ですから、これは四十七都道府県の全区で擁立するという方針で臨みます。これは従来の方針と変わりはありません。

討論のまとめから/攻めの立場で方針をつかんで具体化しよう

 報告では、次期総選挙での候補者擁立の方針を提起したわけですが、この方針のとらえかたについて何人かの県委員長から、「これは退却の方針ではなくて、攻勢的方針だと受けとめて、がんばりたい」という発言がありました。これはひじょうに大切な点であります。

 つまり、報告で提起した方針を、本気で実践しようすれば、これまでのとりくみを大きく前進させる必要があるわけです。これまでは、「日常的な活動」にとりくんでいる候補者はまだ少数でした。それを文字通り全党の大勢にしていこうではないか――「日常的な活動」にとりくむ候補者をしっかり擁立して、それを支える体制をつくり、募金も集めながら、全党の大勢にしようではないかというのが、今回の方針ですから、これは「退却」どころか、これをやりきろうとすれば、これまでの到達点を大きく前進させる本腰をいれたとりくみが必要となる、文字どおりの攻勢的方針なのです。ここをしっかりとつかんでいただいて、徹底・具体化していただきたいと思います。

 報告でのべた「ただし、全選挙区での立候補は、すべての県に一律に義務づけることはしない」という部分も、候補者を擁立するからには、「日常的に活動」できる候補者をたてて本腰を入れてとりくむ、それを全体に広げていく、この方針を本気でやりきろうという立場にたてば、現在の党の力からみて、この「ただし書き」が必要になるわけです。

 これまでのとりくみを大きく前進させる方針だというところを、しっかりとつかんで、次期総選挙のたたかいは、おおいに攻勢的なたたかいを展開する必要があります。多くの県委員長のみなさんから、その中心点をつかんだ発言が相次いだのは、心強いかぎりでしたが、この点を最後に強調しておきたいと思います。