2004年11月21日(日)「しんぶん赤旗」

日本改革の方針と展望を語る

神戸での志位委員長の講演


 日本共産党の志位和夫委員長は二十日、神戸市内で「日本改革の方針と展望を語る」と題して講演しました。日本の現状と展望を、歴史的視野、世界的視野の二つの角度から解き明かし、日本共産党の新しい綱領が示す改革を実現する条件が大いにあることを力説しました。


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日本共産党講演会で日本改革の方針と展望を語る志位和夫委員長=20日、神戸市・県立文化体育館

歴史的視野でみる

 一九六〇年代、七〇年代までは、自民党政権なりに国民に「希望」「展望」を語ったものだった。ところがいまは「痛みに耐えよ」というだけ。その「痛み」の先に「どういう日本をつくるのか」も語れない――自民党政治の歴史的ゆきづまりをこう総括した志位氏は、小泉内閣のもとでアメリカいいなり政治、大企業・財界中心の政治がいかにひどくなっているかを告発しました。

 ともかくも「専守防衛」を建前にしてきた自衛隊は、「海外派兵」を「主たる任務」にする方向に変質し、イラク派兵で先のない泥沼に落ち込んでいます。自民党は一九五五年の結党で「駐留軍の撤退」をかかげましたが、いまや「基地永久論」の立場。他の国が駐留米軍を大幅削減しているのに、日本だけは基地強化という異常ぶりです。志位氏は日米安保条約を廃棄し、本当の独立・平和の日本を目標とする党綱領の意義が大きくなっていると強調しました。

 経済をみれば「ルールなき資本主義」がむきだしです。志位氏は、長時間・過密労働、不安定雇用の急増、予算で「最優先」にすべき社会保障は切り捨ての目標となり、税金が「所得の少ない人からより多く、多い人からより少なく」と変えられようとしている実態を最新の統計を交え、歴史的角度から告発。「国民生活、日本の社会と経済の将来を考えるならば、大企業・財界の横暴な支配を抑え、暮らしと社会保障を最優先する経済・財政の大改革が避けて通れない」との訴えに大きな拍手がわきおこりました。

 さらに、憲法制定以来の歴史的経過を振り返りながら、二十一世紀に「戦争のない世界」のうねりが世界でもアジアでも広がるなかで、憲法九条の改悪をすすめることがいかに時代逆行で先のない道かを指摘。

 自民党政治の歴史的ゆきづまりを、目先の担い手をかえることで乗りきろうとするのが「二大政党制づくり」の動きだが、この動きのなかから現状打開の展望も希望も生まれないとのべ、日本共産党が国民中心の新しい希望ある政治を担い得る、唯一の政党になっていることを強調しました。

世界的視野でみる

 志位氏は、新しい党綱領で展開されている二十一世紀の世界論にてらして、日本政治の現状と展望を三点にわたって語りました。

 その第一は、「国連憲章にもとづく平和秩序」で世界の圧倒的多数が団結できることです。イラク戦争に反対する国際的共同が広がるもとで、当初三十七カ国だった派兵国はその後、撤退・撤退表明国が続き、いまだに駐留に固執している国は二十二カ国七億人。世界人口六十二億人のわずか九分の一です。アジア政党国際会議で確認された内容は、かつて分裂と敵対の大陸だったアジアに平和の激流がおこっていることを示しており、自民党がかりに憲法改悪を強行し、アジアにのりだそうとしても、ゆき先はありません。

 第二は、「各国の経済主権の尊重にたった民主的経済秩序」をもとめる大きなうねりが広がっていることです。志位氏は、東アジア、ラテンアメリカで、アメリカ主導の「IMF(国際通貨基金)路線」と新自由主義政策の押し付けのひどさの体験をへて、自主的な国づくりの動きが力強く広がっていることを生き生きと紹介し、小泉政権がアメリカいいなりですすめている「構造改革」路線が、地球的規模で大破たんしている代物であることを示しました。

 第三に、いま世界で力をもつ動き・流れは、どれも自主的な運動・流れであり、それぞれの国、それぞれの文明には独自の発展の論理があり、それを尊重しあうことが大事だ、ということです。覇権主義とたたかいぬいた自主独立の日本共産党の伝統がいまに生きていることをのべつつ、他国の「いいなり国家」「いいなりの政党」には未来がないと強調すると大きな拍手がおきました。

理想の旗を高くかかげ、国民の苦難をとりのぞく党として

 「歴史的視野、世界的視野――二つの角度からみると、自民党政治と『二大政党制』の動きと、日本共産党のどちらに展望があるかは明りょうです」とのべた志位氏は、日本共産党が、資本主義を乗り越えた「未来社会の展望を示す理想の旗」を高くかかげる政党であり、同時に直面する国民の苦難をとりのぞくために献身する政党であることを強調。「地道な毎日の一歩一歩の蓄積が、やがては理想を実現する力になります。次の国政選挙では必ず前進をかちとる決意です。どうか日本共産党を大きくしてください」と結びました。