2004年6月25日(金)「しんぶん赤旗」

日本共産党を大きくのばして
国民が安心と希望のもてる日本を

大阪での 志位委員長の第一声


 日本共産党の志位和夫委員長は二十四日、大阪駅前で参院選の第一声にたちました。その大要を紹介します。


政党の真価が問われる選挙――
事実をみきわめて選択を

 みなさん、おはようございます(「おはようございます」の声)。日本共産党の志位和夫です(拍手)。いよいよ参議院選挙がはじまりました。日本共産党は、比例代表では、市田忠義書記局長をはじめとする五議席の絶対確保、選挙区では、大阪の宮本たけしさんの必勝をはじめとする七現職区の全員当選をめざして力いっぱいたたかいます。どうかよろしくお願いいたします。(大きな拍手)

 この選挙は、暮らしでも平和でも、日本の進路にかかわる重大な問題の行方が左右される、歴史的な選挙であります。

 そして、国政の熱い問題をめぐって、それぞれの政党の真価が問われる選挙であります。

 自民・公明連合、民主党、日本共産党――この三つの流れのなかで、どの流れがのびたら、国民のみなさんの願いがかなう道が開かれるか。このことを事実をみきわめて選んでいただきたいと思うのであります。

安心できる年金制度をどうつくるか

年金への国民の信頼を破壊する自公の暴挙――審判くだし改悪年金法の実施は中止を

 まず、暮らしの問題では、年金をどうするかが最大の争点であります。

 自民・公明連合は、数の力で年金改悪法を強行しました。しかし、法律が通った後も、どの世論調査をみても、国民の七割、八割は、「納得ができない」と反対しています。ですから、私たちは、法律が通されたからといって、その実施をみとめるわけにはまいりません。(拍手)

 政府は、「保険料を毎年あげるけれども、これ以上あげない上限を決めます。給付は毎年下げるけれども、現役世代の50%を保障します。だから一〇〇年安心」とさんざん宣伝してきました。

 しかし、両方とも大うそでした。保険料は際限なくあがってしまう。給付は底無しに下がってしまう。このことが、参議院でのわが党の追及で明らかになりました。

 しかしみなさん、年金の負担と給付がどうなるかというのは、国民のみなさんが一番知りたいと考えている問題ではありませんか。その一番の核心中の核心の問題で、平気でうそをつき、自分たちのうそが明らかになると、野党の審議権まで奪って法律を強行する。みなさん、こんなやり方が許せるでしょうか。

 私は、先日の日本記者クラブの党首討論会で、小泉首相にたいして、こうただしました。「年金というのは国と国民との一種の“契約”です。国民の信頼があってこそ年金制度はなりたちます。ところが、政府のやりかたというのは、年金への国民の信頼をおおもとから破壊するやり方ではないか。国民の七割、八割が『納得できない』としている制度が、今後立ち行くと思いますか」。私は小泉首相にこうたずねました。

 しかし、首相からは自分たちのやったことへの反省も自覚も一言もありませんでした。それならばみなさん、年金改悪法を通した勢力に、この選挙できびしい審判をくだしていこうではありませんか。(大きな拍手、「そうだ」の声)

 新しい国会で改悪年金法の実施を中止させ、国民的な討論で、国民みんなが安心できる年金制度をきずこうではございませんか。(拍手)

民主党案――給付減は同じ、違いは保険料アップか消費税増税かだけ

 それでは日本の年金制度のどこが問題で、どんな改革がもとめられているのでしょうか。

 民主党も政府の年金改悪案に反対しました。しかし、民主党の年金「改革」案というのをみますと、年金の給付を毎年下げるという点では同じなのです。国民に負担増をしいるという点でも違いがありません。

 どこが違うか。負担増をしいるやり方が違う。そこだけなんです。国会の質疑のなかで、自民党の議員がうまいことをいっていました。「自民党は国民の右のポケットからとる。民主党は左のポケットからとる」というんです。つまり自民党は保険料をあげる。民主党は消費税をあげる。それだけの違いだというわけでありますが、これはなかなか、いいえて妙であります。

 じっさいに民主党が出した案というのは、「年金のため」と称して、消費税を3%値上げする内容になっています。

 みなさん、この案で一番喜ぶのは誰でしょうか。実は一番喜ぶのは、財界であります。なぜならば、保険料でしたら半分は企業がもたなければならないでしょう。しかし、消費税ならば、大企業はすべて価格に転嫁できますから、一円も払わなくてすむ。自分の腹はまったく痛まない。負担をまるまる国民にかぶせることができるからであります。

 みなさん、これでは、国民がのぞむ対案とはなりえないのではないでしょうか。(大きな拍手、「そうだ」の声)

日本の年金制度の2つの大問題と、日本共産党の提案

 日本共産党は、日本の年金制度には、改革すべき二つの大問題があると考えております。

 一つは給付水準が低すぎることです。いま、国民年金だけで暮らしをしているお年寄りは九百万人いらっしゃいますが、平均月四万六千円です。これではとうてい生きてゆける水準とはいえません。

 もう一つは、年金制度全体の土台にあたる国民年金で、一千万人以上の方々が保険料が高すぎて払えない。つまり、土台から年金の空洞化という事態が深刻になっているという問題であります。

 低すぎる年金と空洞化――みなさん、改革というのだったら、この大問題にこそ正面からメスを入れる改革が必要でないでしょうか。(拍手)

 そこで私たちは、国民のみなさんすべてに月五万円の年金を保障する「最低保障年金制度」をつくり、これを土台として、そのうえに保険料に応じた給付を二階建て部分として上積みする。そのことで年金制度を土台からしっかりさせ、貧しすぎる年金の底上げをはかって、憲法に明記された国民の「生存権」を保障する本当に安心できる年金制度への第一歩をふみだそうじゃないか。これが日本共産党の提案であります。(拍手)

歳出と歳入を「国民第一」に改革すれば、庶民の新たな負担なしに、給付充実は可能

 財源をどうするのか。私たちは、この面でも責任ある方針を示しております。

 まず第一は、やはり、税金の使い方を改革することです。ヨーロッパにいきますと、社会保障につかっている税金が、公共事業よりはるかに多いのが当たり前です。ところが日本では、公共事業に年間四十兆円、社会保障に二十五兆円。税金の使い方が「逆立ち」しています。全国をまわりましても、無駄な空港、無駄な港、無駄なダムなど、巨大開発の無駄づかいが全国あちこちで続いています。みなさん、巨大開発の無駄づかいを一掃して、公共事業から社会保障に予算の主役を交代させる。これが私たちの提案ですが、こうすればずいぶん明るい展望が開けてくるのではないでしょうか。(拍手)

 第二に、高齢化をささえるためには、新たな負担が必要になります。問題はその負担を誰がするかということです。私たちは、所得の少ない人には少ない負担、多い人には多い負担――これが税金の民主的原則だと考えております。この原則にのっとって、大企業や大資産家に力に応じた負担――世間並みの負担をしてもらおうじゃないか。これが私たちの考えです。

 こういうと、財界からは、“そんなことをやったら大企業がつぶれてしまう”“国際競争ができなくなる”という話がでますが、そんなことはありません。日本の大企業が払っている税金と社会保険料の水準は、ヨーロッパの水準の五割から八割。とっても少ないでしょう。ですから、ヨーロッパ並みの水準にちかづける方向で大企業に徐々に応分の負担責任をもとめていくというのは、当たり前の話ではないでしょうか。

 この前の党首討論会でも、私は、“大もうけしているトヨタは、フランスに子会社を出している。フランスでは、倍の税金と社会保険料を支払っている。でも、ちゃんと商売をやって、利益を上げている。フランスで払っているものが、日本で払えない道理はない”といいました。私たちの主張は、けっして無理筋の主張ではありません。当たり前のことだということをみなさんに訴えたいと思うのであります。(拍手)

 みなさん、こうして財源問題についての二つの改革をやりますと、庶民のみなさんの新たな負担なしで、給付の水準を減らさずに、全体として充実させる道がちゃんと開かれてくる。どうかみなさん、日本共産党への一票で、安心できる年金制度をいっしょにつくろうではございませんか。(大きな拍手)

消費税増税を許していいのか

自民・公明と民主の「三党合意」――2007年度を目途に消費税増税で合流

 消費税の増税問題も、熱い争点となってきました。

 この問題で公然と増税の旗ふりをやっているのは民主党です。先日の党首討論会では、民主党の代表が、「民主党は3%増税の提案をしている。それなのに、与党ははっきりしないじゃないか」と増税をせまる発言を繰り返しました。それにたいして、小泉首相が「私の任期中にはあげません」と繰り返して、あたかも自民党のほうが消費税増税に慎重であるかのような発言に終始しました。

 しかしみなさん、真相はそうではありません。私はその党首討論の場で、自民・民主の“消費税論争”について、こういいました。首相は「任期中にはあげません」といっているけれども、自民党が昨年十二月にきめた「税制改革大綱」では、「二〇〇七年度を目途に消費税を含む抜本的税制改革を実現する」と書いているじゃないですか。これは誰が読んでも二〇〇七年度から消費税をあげるということじゃないですか。民主党はどうかというと、3%の増税を二〇〇七年度からやる方針です。どちらも二〇〇七年度からの増税を公然と掲げているじゃありませんか。あの年金法案をめぐって、自民党・公明党と民主党は、「三党合意」というのをむすびました。あの「三党合意」の一番の中心は、自民・公明と民主が、二〇〇七年度から消費税増税を実現する方向で合流するというところに、一番の核心があります。ここにことの真相がある。ここをぜひ見抜いていただきたいと思うのです。

「福祉のため」――消費税導入から16年、良くなったと言える福祉があるか

 「福祉のため」――これが増税派の最大の口実であります。しかし、みなさん、そもそも福祉というのは立場の弱い方々の暮らしをささえるための制度です。消費税とはそうした立場の弱い方々に重くのしかかる税金じゃありませんか。「福祉のため」ということで、消費税をあげるというのは、絶対にとってはならない選択だということを、訴えたいと思うのであります。(拍手)

 だいたい十六年前に消費税が導入されたときにも、「福祉のため」――これがさんざん言われました。しかし、この十六年間で“消費税のおかげで良くなった”といえる福祉が一つでも思い当たりますか。一つもないでしょう。医療費は値上げにつぐ値上げです。年金は切り下げの連続です。介護保険ができたけれど利用料と保険料が重すぎてたいへんです。この十六年というのは、まさに“福祉受難”の十六年だったのではないでしょうか。(拍手)

「大企業にもっともうけさせるため」――ここに増税計画の正体がある

  そうしますと、国民のみなさんが支払った消費税はどこへ消えたのか。この十六年間で国民が払った消費税は累計でなんと百四十八兆円にのぼります。同じ期間に大企業などが払う法人税は累計で百四十五兆円も減りました。政府が法人税をどんどん引き下げてきた結果であります。つまり、庶民が苦労して納めた消費税は、大企業の減税の穴埋めにつかわれてしまった。これがことの真相だったのです。

 いまやられている消費税増税の大合唱も、「福祉のため」なんかじゃありません。それは消費税増税の大号令をかけている財界の主張をみればよくわかります。日本経団連は「奥田ビジョン」のなかで「企業の社会保険料負担をなくすべきだ」と、公言しています。経済同友会は「法人税をさらに5%下げろ」といっています。「福祉のため」でなくて、「大企業をもっともうけさせるため」――ここに消費税増税の正体がある。このことをみなさんに訴えたいと思うのであります。(「そうだ」の声、拍手)

消費税に頼らなくても安心できる社会保障はきずける――安心して増税反対の声を

 さきほどお話ししたように、税金の使い方と集め方を「国民の暮らし第一」に改革すれば、消費税に頼らなくても安心できる社会保障をきずくことができます。ですから、どうかみなさん、安心して増税反対の声をあげようじゃありませんか。(大きな拍手)

 日本共産党は、今度の選挙で、消費税増税反対を公約で堂々と掲げている唯一の政党であります。消費税増税反対の声を、こぞってどうか日本共産党へおよせください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手、歓声)

イラク多国籍軍への自衛隊の参加をすすめていいのか

憲法を壊す政治でも国民をあざむいて平気――こんな勢力に国政をになう資格なし

 さて平和の問題でも、重大な争点が浮上してまいりました。イラク多国籍軍への自衛隊参加の問題です。みなさんこれは何よりも、憲法では説明のつかないことなのです。

 これまでの政府見解は、「武力行使を伴う多国籍軍への自衛隊の参加は、憲法上許されない」というものでした。ところが今度は小泉首相は、「参加し、一員になる」と、アメリカに行って勝手に約束してきてしまいました。

 私たちはこれは重大問題だと考え、「憲法では説明できない」と、党首会談や党首討論で、くりかえし首相をただしてきました。そうすると政府は苦し紛れに、「多国籍軍に参加はするが、指揮下に入らない。そのことは米英政府も了解してくれている。だから問題はありません」といいだしました。そこで私は、首相に「そんな『了解』があるなら、一体だれとだれが、どんな中身の『了解』をしたのか、文書でだしてください」ということを迫りました。党首討論でも、NHKの討論でも迫りました。最後に首相はしぶしぶ「『了解』について文書を出す」と約束しました。

 ところが国会に出てきた文書は、ひどいものなんですよ。何とかいてあるかというと、「日本側の公使と米国・英国政府の高官が了解した」とあるだけで、だれとだれが「了解」したかもわからない。どんな中身の「了解」をしたのかもわからない。だいたいことは軍隊の指揮権にかかわる問題でしょう。憲法にかかわる問題でしょう。公使レベルの口約束ですむ話ではけっしてありません。ましてや“名無しのごんべえ”同士の「了解」、中身のわからない「了解」など、何の意味ももたないものであります。

 憲法を壊す政治でも国民にまともな説明をしない、国民をあざむいて平気――こういう勢力に国政をになう資格なし、このことをはっきりといわなければなりません。(「そうだ」の声、大きな拍手)

これまでとは大きく違う――米軍の残虐行為の直接の共犯者に

 この問題で説明ができなくなって、小泉首相がもちだすのは、「志位さんはそういうけれど、多国籍軍に参加しても、これまで自衛隊のやってきたことと、かわりはないんです。だから問題ないんです」ということです。しかしこれも国民をあざむくものであります。

 私は、先日の党首討論会で首相にただしました。

 「かわりがないというが大きな違いがある。これまでは政府はイラクに派兵した自衛隊について『連合軍の一員ではない』と説明してきた。ところが、こんどは『多国籍軍に参加し一員になる』という。これは大きな違いです。この違いが何を意味するか。これまでとはまったく違った立場に自衛隊をおくことになる。米軍はファルージャで最近も住宅地への無差別の攻撃をおこない、女性・子ども・お年寄り二十二人を殺害した。そういう軍隊に『参加し一員になる』ということは、米軍の残虐行為、無法行為の共犯者の立場になることを意味する。イラク国民全体を敵にまわすことになる。そのことへの自覚があるのですか」

 それにたいする首相の答えはそういう自覚の片りんすらないものでした。小泉首相の問題点は、悪い政治をやっても心の痛みがない。自覚症状のないまま悪い政治をやる。これが一番の問題ではないでしょうか。(拍手)

イラク国民が主人公の国づくりのためにも、自衛隊のすみやかな撤退を

 国連で新しい安保理決議がつくられ、イラク国民に主権を完全に返還することが決まりました。しかしイラク国民がほんとうに主人公になった国づくりがすすむかどうか。現実をみると難しい問題があります。一番の問題は、あの無法な侵略戦争をおこない、虐殺や拷問をくりかえしてきた米軍が居座りつづけていることです。米軍が撤退にむけた措置をすみやかにとることを強くもとめます(拍手)。多国籍軍への自衛隊参加に反対し、すみやかな自衛隊の撤退を強くもとめるものであります。(大きな拍手

日本を「戦争をする国」につくりかえることが目的――憲法9条改悪を許さない

憲法9条改定にむけ、自民、民主、公明が、具体化を競い合う危険な段階に

 こうしたなかで憲法の条文そのものを変えようという動きがおこっていることが重大です。自民党は、参議院選挙にむけて発表した文書のなかで、「戦力の保持」、「集団的自衛権の行使」、「国防の義務」などを明記する憲法改定をすすめる方針を公然と明らかにしています。民主党も、「国連が決定すれば自衛隊の海外派兵もできる」ことを憲法に書き込む方針を明らかにしました。公明党も、「憲法九条改定も議論の対象にする」といっています。憲法改定問題は、自民、民主、公明が、憲法九条改定にむけて具体化をきそいあうという、たいへん危険なところにきています。

 そのねらいはどこにあるでしょうか。歴代自民党政府は、憲法九条をふみつけにして、自衛隊を海外に派兵するさまざまな法律をつくってきました。しかし、それでも憲法九条というのは偉大な力をもっていて、憲法九条があるために、「海外での戦争はできない」という建前まで崩すことはできませんでした。九条改定は、この歯止めをとりはらい、アメリカといっしょに海外で戦争をする国に日本をつくりかえることに、最大の目的があります。

日本国民の宝であるとともに、世界中の平和を愛する人々の共同の宝を壊すな

 改憲派は「憲法は古くなった」といいます。しかし、私は、日本国憲法の平和、人権、民主主義の原則は、世界でもすすんだ値打ちをもっており、二十一世紀にはこれを生かした国づくりこそもとめられていると、確信をもって訴えたいと思うのであります。(拍手)

 イタリアの下院では、EU(欧州連合)の憲法に、「戦争放棄の条項を入れよ」という決議があがりました。ここに世界の未来ある流れがあります。憲法九条は、あの戦争でのおびただしい犠牲への反省のうえにうちたてられた日本国民の宝物であるとともに、世界中の平和を愛する人々の共同の宝物でもあるのではないでしょうか(拍手)。その値打ちがいよいよ世界で発揮されようとしているまさにその時に、この宝物を壊す時代逆行の動きにたいして、日本共産党は断固として立ちはだかり、それを許さないために力をつくします。(拍手)

党をつくって82年、命がけで平和つらぬいてきた党の前進を

  日本共産党は、憲法改悪に反対する一点での国民的な共同をよびかけます(拍手)。憲法九条をまもり、生かすねがいを、党をつくって八十二年、どんなにきびしい状況のもとでも戦争反対をつらぬいてきた日本共産党に、どうかこぞっておよせください。よろしくお願いします。(大きな拍手、歓声)

道理ある主張と行動で、現実政治を動かしてきた日本共産党の前進を

 みなさん、年金、消費税、イラク、憲法――この選挙で問われるどの熱い争点をとっても、事実にてらしてみれば、日本共産党こそ、国民の多数の声を堂々と代弁する政党ではないでしょうか。(拍手)

悪い政治を競い合う「二大政党」では、日本の政治はよくならない

 そして私は冒頭に、自民・公明連合、民主党、日本共産党という三つの流れの中身をくらべてほしいといいましたが、中身を見てみると“二つの流れの対決”がはっきりと見えるのではないでしょうか。「二大政党」といわれている政党は、年金でも、消費税増税でも、憲法改定でも、同じ政治の流れの中にある。「二大政党」では、日本の政治はよくならない。どちらがのびても、国民の暮らしも、日本の平和もまもれない。このことがはっきりしてきたのではないでしょうか。(拍手

本物の改革の党をのばしてこそ、国民の切実な平和と暮らしの願いが実現できる

 日本共産党が、どの問題でも国民の立場をつらぬける根本には、私たちの日本改革の方針があります。

 年金と消費税の問題の根っこには、「財界が主役」という政治のゆがみがあります。イラクと憲法の問題の根っこには、「アメリカいいなり」という政治のゆがみがあります。

 日本共産党は、日本の政治のこの二つのゆがみに正面からメスを入れ、「国民が主人公」の日本への改革をめざす政党です。みなさん、本物の改革の党がのびてこそ、国民のみなさんの切実な暮らしと平和の願いを実現するたしかな道がひらかれる――私はこのことを心から訴えたいのであります。(大きな拍手)

道理ある主張は、現実政治を動かす力となって働く――年金、イラク、雇用、北朝鮮

 みなさん、道理ある主張と行動は、現実の政治を動かす――これが私たちの確信です。

 年金問題での政府の「一〇〇年安心」のうそをあばいた論戦は、「一〇〇年安心」という言葉を、政府にも、自民党にも、公明党にも使えなくさせ、「年金改革をやり直せ」という国民世論を広げる決定的な力となったのではないでしょうか。(拍手

 多国籍軍への自衛隊参加問題でも、わが党の追及によって、小泉首相が自衛隊の指揮権にかかわる「了解」の文書を出すことを約束せざるをえなくなったことが、いよいよ憲法との矛盾を深め、政府の立場はいよいよ追い詰められている。ここでも平和の論陣の先頭にたっているのが日本共産党ではないでしょうか。(拍手)

 雇用の問題でも「サービス残業」――ただ働きの問題を国会で最初にとりあげたのは、一九七六年、大阪の沓脱(くつぬぎ)タケ子さんの質問でした。それから二十八年間、私たちは追及に追及を重ね、二百四十回の追及をやりました。この国会でのたたかいとみなさんの運動があわさって、二百六十億円の不払い残業代を払わせた(拍手)。みなさん、ここでも政治を動かしてきたのが日本共産党ではないでしょうか。

 いま北朝鮮問題をめぐって、六カ国協議がはじまり、国民が大きな関心をよせています。北朝鮮問題でも日本共産党が、拉致問題など北朝鮮の無法行為を先駆的にとりあげるとともに、両国間のさまざまな懸案を政府間の交渉ルートを開くことで話し合いで解決しようという建設的な提案をおこなってきたことが、日朝首脳会談と「日朝平壌宣言」、国交正常化交渉の再開という、日本の外交を前向きに動かすうえで、大きな力を発揮してきた。このこともみなさんにぜひ知っていただきたいと思うのであります。(拍手

 みなさん。道理にたった主張と行動は、紆余(うよ)曲折はあっても、かならず政治を動かす力となって働きます。道理ある主張を国民のみなさんが支持し、ともに政治をかえるためにたちあがるならば、必ず政治をかえることができます。

 道理ある主張と行動によって内外の政治を動かしてきた日本共産党を、今回の選挙で、どうか大きくのばしてください。そしてこの選挙を、国民のみなさんが、だれもが安心と希望のもてる日本をつくる選挙にしようではありませんか。(大きな拍手)

 このことを訴えて私の第一声といたします。ありがとうございました。(大きな拍手、歓声)