2003年11月15日(土)「しんぶん赤旗」

戴中国外務次官が党本部を訪問

不破議長、志位委員長と会談


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戴秉国中国外務次官(中央右へ2人目)と会談する不破哲三議長(中央左へ2人目)、志位和夫委員長(その左)ら=14日、党本部

 日本共産党の不破哲三議長、志位和夫委員長は十四日午前、党本部で中国の戴秉国外務次官の訪問を受け、約一時間にわたって会談しました。

 戴次官は、日本共産党と中国共産党が関係正常化に至る前の一九九八年四月、不破氏が当時の胡錦濤国家副主席と東京で歴史的な握手をしたとき、また不破氏が同年と昨年の二度にわたって江沢民総書記(当時)と北京で会談をしたさい、中国共産党中央対外連絡部部長として、みずから立ち会ったことを振り返りました。また、党総書記・国家主席に就任した胡氏ら中国側首脳から日本共産党へのあいさつを伝えました。

 さらに戴次官は、胡氏の指導のもとで、中国共産党が党内民主主義の発展や小康社会(一定のゆとりある社会)の実現のために努力していることについて説明。新型肺炎(SARS)の影響を克服し、今年は8%前後の経済成長を達成する見込みであるとのべました。

 不破議長は、胡主席の就任以来の活躍に注目しており、日本の世論も中国の新たな変化を歓迎しているとのべました。

 さらに不破議長は、戴次官の質問にも答えつつ、総選挙に前後して財界主導でおこなわれた日本の政党関係の変動について説明。今後、自民・民主の“保守二大政党”と、これに対抗する革新の「軸」の形成・発展が、日本の政治の大きな焦点となってくることを指摘しました。

 戴次官は、北京での六カ国協議の実現など、対話を通じて北朝鮮の核問題を解決する努力をつらぬく中国外交の立場を説明しました。

 不破議長は、北朝鮮問題での外交活動を地球的規模で推進している戴次官ら中国側当局者の努力を高く評価。核問題の平和的・外交的解決を望む点で、日本共産党と中国側の立場は完全に一致している、と表明しました。

 このなかで不破議長は、核問題の平和的解決と同時に、日本人拉致事件など、北朝鮮と各国とのあいだの「個別の問題」の解決も、北東アジアの平和と安定にとって不可欠な、北朝鮮の国際社会への復帰を考えるうえでは避けられない国際的な問題だと強調。

 そして、昨年八月の両党首脳会談でも、このことを指摘したとのべ、その直後の九月、小泉首相の訪朝のさいの日朝首脳会談と、そこで合意された「平壌宣言」は、北朝鮮の金正日総書記が同国による拉致事件の事実をみずから認めたという点で、国際的に問題となっている無法行為について北朝鮮がみずから清算への意思を初めて示した重要な一歩という意義をもったことを力説しました。

 その意味でも、この一歩を、拉致問題の全面的な解決に発展させることは大きな国際的意味をもつとのべ、中国側の理解および適切な方法での協力を要望しました。

 戴次官は、不破氏の提起に感謝しつつ、日中関係にも言及。前日の日本政府代表との会談でも、歴史問題、とくに日本の首相による靖国神社参拝が中国の人々の感情を損なっていると指摘したことを明らかにしました。この問題を含め、日中関係の諸問題についても、率直な意見交換がおこなわれました。

 会談には、日本共産党から、緒方靖夫・西口光両国際局長、赤嶺政賢衆院議員、森原公敏国際局次長らが、また中国側からは武大偉駐日大使、崔天凱外務省政策研究室主任、孔鉉佑同省アジア局副局長、廖力強・戴次官秘書、呉江浩・在日大使館政治部参事官、劉少賓・同省アジア局参事官(処長)、ケイ海明・同省アジア局処長らが、それぞれ同席しました。