2003年10月27日(月)「しんぶん赤旗」

六党首テレビ討論から


 二十六日放映された六党首テレビ討論のうち、道路公団・藤井総裁解任、道路公団民営化、郵政民営化問題の部分を紹介します。


道路公団・総裁解任問題

「報道2001」

疑惑明言しながら調査しないのが問題

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「報道2001」に出演する志位和夫委員長=フジテレビから

 黒岩祐治キャスター この問題(藤井治芳総裁解任)の本質はどこにありますか。

 日本共産党の志位和夫委員長 藤井さんは道路族のドンといわれ、長年にわたって、政財官の癒着の構造を知り抜いている。その方が石原さん(国交相)との会談のなかで、“さまざまな疑惑がある。死人が出るような深刻な問題なんだ”“国有地の払い下げの問題もある”、などさまざまな問題をいった。それを石原さん自身が、口に出して世間に明らかになったわけですよ。ところが、その石原さんが調査をしないといってるわけでしょう。そして藤井さんの側が守秘義務を解除してくれたらなんでもいうといったのに、“守秘義務はあるんだ”と。つまり、ものをいうなと(いった)。調査をしない、ものをいうなと、そういっているところがいまの一番問題なんですよ。

 石原大臣が調査しないといってるんだったら、総理として指示をして、調査しなさいと指示すべきだ。それをいうこと聞かない大臣だったら、これは代えるぐらいのつもりで癒着と腐敗の構造に切り込まなかったら、道路公団の改革なんて絶対できやしませんよ。どうですか。

 小泉純一郎首相 来年の国会に法案ができるような体制をつくっていくのが、小泉内閣の責務だ。

 黒岩 いま志位さんが聞かれたことはその話じゃないですね。石原大臣に(疑惑)解明する姿勢がみえないことについてはどうですか。

 首相 そういう具体的な話があったと聞いていません。週刊誌に出ているような話があったと私は聞いていない。

 志位 これはテレビで石原大臣自身がおのべになったことなんですよ。石原大臣自身が記者会見で疑惑があると私も思うと、おっしゃっているんですね。疑惑があると思うと言いながら、調査はしないと、これ矛盾していると思いませんか。

 首相 疑惑は解明していけばいい。

 (公明党の神崎武法代表も「静かな環境の時に国会でしっかり議論をすべきだ。選挙の最中にガタガタやるんじゃなくて」などと先送りの姿勢を表明。民主党・菅直人代表は「脱官僚、脱集権でしっかりやる」などというだけ。藤井氏がからむ疑惑で、次のようなやりとりになりました)

道路行政のウミ出す真相究明を

 志位 私は、ぜひ徹底的に究明したいと思っている問題が、この問題を通じてあるんです。それは私たちが九三年、九四年と十年前に取り上げた問題なんですが、東京湾横断道路(アクアライン)をめぐる談合疑惑です。このアクアラインというのは六つの工区があるんですけれど、これはジョイントベンチャーで、ゼネコンが動いている。この六つの工区の落札価格が、予定価格の99・7%で全部一致した。こういうことは談合がなければありえない。

 黒岩 藤井総裁問題と絡んでの話ですか。

 志位 藤井総裁が(建設省で)、道路行政の中心にいた時期です。アクアラインを決めたのは、自分の功績だと藤井さんがいっている、その問題です。この問題で談合があった。そしてこの時は金丸さんが介在して飛島建設をその中に入れたことを追及しました。しかし残念ながらその時は闇に葬られてしまったんですね。

 あの時は、「非自民」の政権で、私たちずいぶん追及しましたけれど、問題なしということを建設大臣がいって、それで終わりにされました。

 黒岩 そういった問題について、ちゃんと明らかにしようという気持ちがありますか?

 首相 問題があれば選挙が終われば、国会が始まるわけですから、国会の場でいろいろ議論していけばいい。

 志位 いま参議院があるんですから。参議院の委員会で藤井さんをお呼びして証人喚問をして、いまいったような問題をすべて、洗いざらい道路行政のうみを全部出す、そういう真相の究明がいると思うんですよ。

 これは政官の癒着だけではない、大手ゼネコンの「財」が絡んで、まさに政官財の癒着の構造を全部知っている人物ですから。本人がしゃべるといっているわけですから、国会へ出てきていただいて、参議院でいまやるべきだと思います。

 黒岩 藤井さんご自身がしゃべりたいといっているということを含めて、小泉総理も原理原則に基づいて守秘義務で抑えるべきだと?

 首相 いやいや、藤井さんの自由ですから、法律に則って。

 志位 じゃあ、国会やりましょうよ。

 首相 選挙が終われば当然国会ができるようになるんだから。現実的にできる訳がないじゃないの、選挙中に。

 (小泉首相は最後まで証人喚問に応じる姿勢をみせず、逃げに終始しました)

 NHK「日曜討論」でも、小泉首相は「政争の具にすべきではない」とのべ、志位氏の追及に逃げるばかりでした。


道路公団民営化

NHK「日曜討論」

 (道路公団「改革」で、民主党の高速道路無料化案が議論となり、菅氏は「私が政権取ったら、三年以内に必ず無料にします」「(道路財源を)効率良く使えば、十分に維持管理、一般道の建設、さらには高速道路の建設も可能です」などと発言。これにたいし、志位氏はつぎのようにのべました)

 志位 この問題についての国民の要望というのは三つあると思うんです。一つは、ムダな高速道路をつくりつづけるのはやめてくれ、ということだと思います。これは、九千三百四十二キロの(高速道路建設)計画について、ともかく政府は残りの二千百キロを二十兆円かけてともかくつくりつづけるという方針でしょう。これをやはりいったん廃止して、そして、見直すべきだというのが、第一の問題です。

 二つめに、四十兆円の借金をどうするのかという問題があるわけです。これは、国民が望んでいるのは税金へのツケまわしはやめてくれということだと思います。民営化ということになりますと、十年後に株式を上場するというんだけれども、四十兆円もの借金をもった上場企業というのはないですね。ですから、国鉄と同じように、(借金は)国民負担になるということです。(一方)菅さんの方はすぐ無料化する。そうすると(維持管理に)二兆円ずつお金がいることになる。私は税金の使い道としてそのお金があるんだったら、社会保障、年金にまわすべきだと思いますね。

 次に、ファミリー企業、この癒着と利権の構造を全部洗い出して、そしてもうけを吐き出させるという、この三つの改革が公団問題では必要だと思っています。

“借金のツケ国民へ”は自民も民主も共通

 (今後の高速道路建設について小泉首相が「必要な道路はつくっていかなければならない」と表明。高速道路無料化という民主党案をめぐり、道路四公団の借金四十兆円の償還について「可能だ」という菅氏と「無理だ」という小泉氏の堂々巡りの議論となりました。そこで、志位氏がつぎのようにのべました)

 志位 この問題は、自民党と民主党、それぞれの立場があるんですが、はっきりいいまして、四十兆円の借金を国民の負担にしてしまうという点では共通していると思います。民営化すれば必ず国鉄と同じように借金のツケまわしがされます。それから、菅さんの場合は、二兆円の税金をすぐ入れていくという話ですから。やはり、これは計画的に通行料が二・五兆円あるんです。これを、新しいムダな道路を作らないで、返していくということが大事です。


郵政事業民営化

NHK「日曜討論」

 (小泉「改革」の柱である郵政民営化後の経営形態をめぐって、小泉首相と菅民主党代表、志位委員長とのあいだでつぎのような議論がありました)

 首相 二〇〇七年四月に民営化するという方針を決めました。これから一年間かけて、どのような民営化案がいいかということを、国民的議論を踏まえ案をつくります。そして二〇〇五年に国会に法案を提出します。二十八万人も、国家公務員じゃなきゃ郵便局、運営できないと、私は思いません。

 菅直人民主党代表 私たちの党の方針は郵貯・簡保をそれ以上肥大化させない、どちらかというと縮小させながら、その資金を中小企業にも振り向けられるように資金供給をやったらどうかというのを改革案を求めています。…中身の議論については総理は何も言わない。これが玉虫色でなくてなんですか。

国民にとって「百害あって一利なし」

 (このあと、小泉氏が「(民主案では)第二の特殊法人をつくることになる」と指摘。菅氏が「総理がいう郵貯・簡保の民営化というのは、郵貯・簡保から撤退するということか」などと経営形態をめぐり応酬がつづき、志位氏が次のように指摘しました)

 志位 これはもともと大銀行の要求ではじまったことで、国民そっちのけの議論だと思うんです。小泉さんがあれだけ民営化、民営化と声を大にして叫んでも、最近の世論調査で58%の国民の方は“国営のままがいい”と答えているわけです。

 民営化が国民にとってどんなメリットがあるのか。私は「百害あって一利なし」だと思います。

 一つは虎の子の郵便貯金。これが危なくなってくる。たとえば大銀行などは口座手数料などをとりますね。こういう形で、ただでさえ利子が少ないうえに手数料がとられる。

 二つめに、身近な金融窓口がなくなるんじゃないか。地方、あるいは都市部でも銀行なんかは支店を閉鎖していますからね。

 三つめに、全国一律の郵便サービスが危なくなるんじゃないか。小口、個人。こういうところが危なくなるんじゃないか。この三つの問題がありますね。

 もともとこれをいってきたのは全国銀行協会をはじめ大銀行ですよ。大銀行が自分たちの商売に具合が悪いからということで、なくしてしまえといっているわけで、私は一番の銀行の代理人といいますか、一番の銀行族議員のいいぶんだと私は思っています。