2003年10月16日(木)「しんぶん赤旗」

イラク資金に1,650億円 政府発表


 政府は十五日、「イラク復興」のための費用負担の名目で、二○○四年分として十五億ドル(約千六百五十億円)を無償資金として拠出することを決めました。福田康夫官房長官が午後の記者会見で発表しました。○七年までの四年間では、総額五十億ドル(約五千五百億円)を支援する方向で最終調整しています。

 支援分野の「重点」として電力、水などのほか「治安の改善」をあげています。

 十五億ドル供出の方針は、十七日の日米首脳会談で小泉純一郎首相が自衛隊派兵などと合わせてブッシュ大統領に伝えます。十五億ドルの財源は、○三年度の政府開発援助(ODA)予算や予備費などから捻出(ねんしゅつ)するほか、○四年度予算でも手当てする方向です。○五年以降三年間の支援は、原油輸出による収入がイラクに見込まれるため、有償の円借款を中心に拠出する予定です。

額提示は英国のみ

 これまでに国として拠出額を具体的数字で示しているのは、英国だけです。


軍事占領を支援し、固定化する資金拠出に反対する

国連中心の復興支援の枠組みをつくり、そのもとでの支援こそ

志位委員長が会見

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記者会見する志位和夫委員長=15日、国会内

 日本共産党の志位和夫委員長は十五日、政府が「イラク復興支援」の資金拠出の方針を決めたことについて国会内で記者会見し、次の談話を発表しました。

 一、政府は十五日、「イラク復興支援」の二〇〇四年分として十五億ドル(千六百五十億円)を拠出する方針を決定した。

 しかし、現在の枠組みでは、「復興支援」として拠出された資金の用途の決定権は、米英の占領当局がもっており、そのもとでの資金拠出は、不法な米英軍による占領行政を支援し、固定化することになる。わが党は、こうした形での資金拠出に反対である。

 一、いまもとめられているのは、米英軍主導の軍事占領から、国連中心のイラク復興支援へと、軌道をうつしかえることである。世界の多数の国々もそのことを要求している。国連中心の復興支援の枠組みをつくってこそ、各国がおこなう援助も、真にイラク国民の意思を尊重した国の再建に生かすことができる。

 日本政府も、国連中心の復興支援の枠組みづくりのために努力すべきであり、その枠組みのなかで非軍事の人道支援をおこなうべきである。

 一、だいたい世界の国々が、どういう枠組みでイラクへの復興支援をおこなうべきかを真剣に協議しているときに、その問題で何の道理ある態度もしめさず、ブッシュ大統領が来日するからといって、やみくもに巨額の資金拠出を決めるという姿勢そのものが、恥ずべきアメリカいいなりといわなければならない。