2003年9月6日(土)「しんぶん赤旗」

“激動の世界で多面的な両党交流の発展を”

呉・中国全人代委員長と不破議長が一致して強調


 日本共産党の不破哲三議長は五日、東京・赤坂の迎賓館で、中国人民代表大会(全人代、日本の国会にあたる)の呉邦国常務委員長(中国共産党政治局常務委員)と会談し、日中両党関係の多面的発展などについて話し合いました。呉委員長は衆参両院議長の招きで来日したものです。


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呉邦国全人代常務委員長(中央右)と会談する不破哲三議長(中央左)、志位和夫委員長(その左)、市田忠義書記局長(左端)ら。右から2人目は姜恩柱外事委員会主任、右端は武大偉駐日大使=5日、迎賓館

 「今回の訪日の収穫の一つは不破議長とお会いできたことです」とのべた呉委員長は、日中両党関係が正常化以来、「発展し安定している」ことを歓迎しました。

 不破議長は「呉委員長の日本への訪問を心から歓迎する」とのべるとともに、両党関係について「正常化してから五年の間に形の上だけでなく実のある交流が発展してきたことをうれしく思う」と表明。イラク問題や朝鮮問題など複雑な国際問題でも「緊密な議論を重ねてきた」ことを評価しました。そのうえで、「激動の世界でお互いの活動について研究することは刺激のあることだ」とのべ、両党関係がさらに実りあるものになるよう「努力したい」とのべました。

 呉委員長は、両党関係が「ともに関心をもつ問題について奥の深い議論ができる関係だ」と指摘し、「多極化の世界においてはこうした交流をさらに発展させることが重要だ」とのべました。

 また、呉委員長は日中両国関係が経済・貿易関係、人的交流で活発化していることを指摘。昨年の貿易額が一千億ドルを突破したこと、人的交流も三百六十万人を超えたことをあげつつ、「双方が相手の関心をもつ問題に慎重に対応すれば両国関係はよりよく発展できる」と強調しました。そして、この会談の直前に行われた小泉首相との会談で歴史問題やチチハル市での旧日本軍の毒ガス事件などにふれたことを紹介し、「日本共産党が歴史問題で正しい立場をとっていることを高く評価している」とのべました。

 不破議長は、五年前の訪中の際、当時の江沢民国家主席や胡錦濤副主席と会談した際に「日中関係の五原則」を提唱したことを紹介。その第一に日中関係の発展にとって過去の侵略戦争への反省が不可欠であること、第二に台湾を植民地にした歴史をもつ国として「一つの中国」の立場を貫くことをとくに大事な原則としたとのべ、「とくに歴史問題は、二十一世紀に日本がアジアの一員として生きていくために基本的な問題だ」とのべました。

 呉委員長はつづいて、昨年行われた中国共産党の第十六回党大会の重要な中身を説明。同大会で大幅な指導部の交代が「安定的、メカニズム化されておこなわれた」とのべるとともに、二〇〇〇年時のGDP(国内総生産)を二〇二〇年までに四倍化することをめざしていることなどを紹介し、「物質面、精神面で均衡のとれた発展をめざす」とのべました。

 不破議長は日本共産党も今年の党大会で綱領改定案を議論することを紹介し、「二十一世紀を動かす世界のいろいろな流れのなかに中国の意欲的な活動も位置付けている」とのべました。

 また、不破議長が中国でのSARS(重症急性呼吸器症候群)での中国共産党の指導部から基礎組織まで力を発揮した活動に関心をもったとのべると、呉委員長は胡総書記が広東省、温家宝首相が北京、呉氏自身も内モンゴルへと第一線に視察にでかけたことを紹介するなど、熱心に説明。「政権をつかさどるのは『民(みん)』のためだ」と強調しました。

 不破議長は「『民』のなかで党がどう活動するかという問題で交流が始まったことは、新しい発展として重視している」とのべ、「今後、多面的な交流関係を期待している」とのべました。

 会談には、日本共産党から志位和夫委員長、市田忠義書記局長、石井郁子副委員長、緒方靖夫国際局長、穀田恵二国対委員長が出席。中国側から姜恩柱・全人代外事委員会主任委員、武大偉駐日大使、呂聡敏・全人代外事委員会副主任委員、王毅外務次官らが出席しました。