2003年5月10日(土)「しんぶん赤旗」

「区民が主人公」「暮らし第一」

─吉田万三さん、日本共産党の全員勝利を

足立区長・区議選 志位委員長の演説(要旨)


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訴える志位和夫委員長=9日、東京・ 足立区

 日本共産党の志位和夫委員長が九日、東京・足立区で行った街頭演説(要旨)は次のとおりです。

 きょうは、駅前いっぱいの多くのみなさんが足をとめ、聞いてくださいまして、ありがとうございます。まず最初に心からお礼を申し上げます。いよいよ選挙戦ですが、区長には吉田万三さんを必ずふたたび押し上げていただき、区議会議員選挙では日本共産党の十一人の全員必勝のためにどうかお力をお貸しください。心からお願いします。(拍手)

「住民が主人公」「暮らし第一」の目覚ましい実績をあげた吉田区政

 志位氏は、「足立のみなさんは、九六年九月から九九年五月までの二年八カ月にわたって、吉田民主区政という、『区民が主人公』、『暮らし第一』の区政をつくった素晴らしい体験をもっておられます」とのべ、吉田民主区政がそれまでの区民いじめと区庁舎跡地へのホテル建設計画で悪名をはせた古性区政の大改革にとりくみ、「二年八カ月の短い期間にも驚くような実績をあげた」と強調。介護、教育、子育て、中小企業と四つの分野にわたって、吉田区政が築いた「目覚ましい実績」を具体的にあげ、「任期途中で、無理無体な不信任の暴挙で断ち切られましたが、私はここには『住民福祉の増進』を第一の仕事とする地方自治の本来の姿が輝いていたと思います。自治体というのは読んで字のごとく、住民が自ら治め、自らの力で暮らしを守るためにあります。これを支えたのはみなさんの運動です。私は、この業績は、みなさんの大きな誇りだと思います」と訴えて、大きな拍手に包まれました。

 志位氏は「それでは鈴木区政と自民、公明、民主、ネットの『オール与党』になって、区政がどうなったでしょうか」と問いかけ、「私は、二つの点が大切だと思います」として、つぎのようにのべました。

悪い区政にかわっても、吉田区政の業績は簡単には崩されていない

 第一は、吉田区政がつくった区民の暮らしを守る施策は、悪い区政にかわっても、簡単には崩されていない。その多くがいまも生きて働いている。このことです。

 吉田区政が養成にとりくんだヘルパーさんは、介護保険が始まったいまも、在宅介護を支える貴重なマンパワーとして力を発揮しています。「万三融資」と呼ばれた借りやすい融資制度は、いまも業者のみなさんの命綱としての役割を果たしています。悪い区政になっても簡単には崩せない。これはいかに吉田区政がとりくんだ政治が、区民のみなさんの要求から見て道理のあるものであったかを証明するものではないか。そして、これを守ってきたのが、四年前に吉田万三さんが得た十一万票の力、区民の運動の力、そして日本共産党区議団の力だったということを訴えたいのであります。(拍手)

区民には負担増とケチケチ、大型開発にはけた違いの税金

 志位氏は、「同時に、鈴木区政と『オール与党』によって区民いじめの冷たい政治が横行しはじめたことも事実です」として、(1)吉田区政が三年間据え置いた保育料を、鈴木区政になって一気に36%引き上げた(2)老人クラブの運営費補助を一律40%もカットし、二十三区で最低にするなど、区民泣かせの「けちけち区政」になった(3)旧区役所跡地の開発計画と五つの再開発事業を同時にすすすめる「大型開発病」で、今年度予算の投資的経費95%増という異常事態になっていること─と三つの角度から区政の現状を告発。「区民には負担増とケチケチ、大型開発にはけた違いの税金を流し込む。この『逆立ち』区政の復活は絶対に許すわけにいきません。吉田万三さんと、日本共産党の全員当選で『区民が主人公』の区政をとりもどしましょう」と呼びかけ、聴衆から「そうだ」の声と大きな拍手がわきおこりました。

 志位氏は、「日本共産党区議団の働きは、この四年間、野党になっても、区民の運動と力をあわせて、区政を動かしてきたかけがえのないものだということをあわせて訴えたい」とのべ、日本共産党区議団が果たしてきた役割を(1)「『オール与党』の逆流と対決して、吉田区政の到達点を守る」(2)「『オール与党』の妨害をはねのけて、悪い区政のもとでも区民の暮らしを守る新しい前進を切り開いた」という二つの角度から明らかにしました。

かけがえのない日本共産党区議団の役割

第一──「オール与党」の逆流と対決して、吉田区政の到達点を守る

 志位氏は、(1)他の区が生きがい奨励金を削減・廃止するなかで吉田区政が維持してきた同制度を鈴木区政が「廃止もふくめて検討」したとき、この策動と徹底してたたかい、二十三区で文字どおりトップ水準の制度として守りぬいたこと(2)吉田区政時代に、大きく前進させた学校改修の問題では、鈴木区政が予算を十三億円まで削ったとき(〇一年度)に議会で窮状をとりあげ、自民、公明、民主、ネットが質問削除と問責決議などで激しく妨害するなかで、翌年二十億円まで予算を復活させたこと─を紹介。「まさに到達点を守るための必死のとりくみを、区民と力をあわせてやってきたのが日本共産党の区議団です」と強調。「『オール与党』はまだあきらめていません。生きがい奨励金の切り捨てなどを狙っています。日本共産党の全員当選で、みんなで築いた誇るべき到達点を、逆流から守りぬきましょう」と訴えて、「そうだ」の声援と大きな拍手に包まれました。

第二──「オール与党」の妨害をはねのけて、悪い区政のもとでも区民の暮らしを守る新しい前進を切り開いた

 志位氏は、(1)中小企業への融資制度では、「万三融資」を守るだけではなく、融資対象の拡大、利子負担の軽減など、いっそう借りやすい融資制度への前進をかちとったこと(2)乳幼児医療費無料化の四歳以上の所得制限の撤廃を、自民、公明の妨害をはねのけ、財源の裏付けもしめした区議団の提案と、区民の運動の広がりのなかで実現したこと(3)介護保険料の減免制度では、鈴木区政が「最後の一区になっても頑張る」と拒否し、自民、公明、民主は、「保険制度の根幹をゆるがしかねない」などと妨害するなか、区議団の粘り強い提案と四万人近い署名を集めた区民の運動で実現、保険料見なおしについても「二十億円の基金を使えば、値上げは必要ない」と提案し、据え置かせたこと─を紹介。

 こうした豊かな実績をもつ日本共産党区議団に「実績がない」という攻撃をおこない、選挙では介護保険の減免制度などを自分たちの「実績」だと宣伝している自民、公明などの勢力にたいして、「日本共産党の条例案、予算修正案にことごとく反対し、選挙が近づいたときに、最後になって百八十度態度を変えて、みなさんの運動におされて賛成したとしても、普通の人間なら恥ずかしくて『実績』とはいえないのではないでしょうか。ましてや区民とともに区政を動かした共産党にたいして、『実績がない』と悪口をいうというのは、私はおよそ人の道を外れた許しがたい態度だと言いたいのであります。日本共産党の全員当選で、暮らしを守る施策の後退を許さず、さらに前進をかちとろうではありませんか」と痛快に批判。大きな拍手と「そうだ」の声に包まれました。

自民、公明、もっぱら共産党攻撃。悪口には「法則」──自分に返ってくる

 志位氏は、自民党、公明党が選挙で区民に政策を語れず、もっぱら日本共産党をデマにもとづく悪口で攻撃することに終始していることをあげて、次のようにのべました。

 この悪口には「法則」があります。自分に返ってくる、天につばするものだという共通性があるのではないでしょうか。(笑い、拍手)

 たとえば「共産党区政で財政破たんになった」とさかんにやっています。相手のビラでは、「吉田区政は赤字転落」。こんなことをいっています。

 しかし、相手陣営が、その「証拠」なるものとして、持ち出してきたのは「実質単年度収支」という数字です。この数字は、区の積立金を暮らしのためにつかったら「赤字」になるという数字で、財政の健全化のものさしにはまったくならない数字であります。こんなことは地方自治体の財政を少しでも知っている人であれば当たり前のことです。

 財政の健全さをはかる一番のものさしは、その年に新たにどれだけ借金をし、どれだけの借金を返したか、その差し引きでどれだけ借金が増えたのかにあることは明らかです。

 古性区政は毎年二百二十八億円の新たな借金をつくりました。返済は百億円です。そんなことをやっているから、四年間で借金を六百十八億円から千三百十三億円にまで倍にしてしまった。これが古性区政ではありませんか。これを事実としてはっきりとのべておきたい。

 吉田区政は、その区政をひきつぎ、区民の暮らしを守りながら、毎年の新たな借金を百億円に減らし、返済は百五十億円に増やしました。財政再建の道をひらいたのが吉田区政だったのは、まぎれもない事実です。「オール与党」は感謝状をだすべきです(笑い)。反省すべきは、自民、公明など「オール与党」ではありませんか。

北朝鮮問題と日本共産党の値打ち─反省すべきはやっぱり公明党

 志位氏はさらに、公明党が、「日本共産党は北朝鮮と親密な関係をつづけた」などという攻撃をしている問題で、「この党の浅はかなのは、人の党の悪口をいうときに自分の党の歴史も調べていないことです」として、七〇年代に北朝鮮が金日成の個人崇拝の押しつけをしてきたときにきっぱり拒否する態度をとったのが日本共産党であり、八〇年代に北朝鮮がおこなった国際的な無法に「社会主義と縁もゆかりもない」と厳しく批判した自主独立の党が日本共産党であった事実を指摘。「いま北朝鮮の核兵器開発計画が大問題になっていますが、被爆国の党として、『危険きわまりない計画は放棄しなさい』と、理を尽くしながら強くもとめているのが日本共産党です」として、平和的・外交的な解決のみちすじを訴えていることを紹介すると、大きな拍手がわきました。

 「公明党は、金日成の時は『共同声明』で、金正日の時には『祝電』で、北朝鮮の個人崇拝体制に迎合を続けてきた、外国迎合の党です。反省すべきはやっぱり公明党・創価学会ではありませんか」とのべ、聴衆から「そうだ」の声と拍手がわきおこりました。

 志位氏が、「悪口だけの政党は、足立区民にとってはたして必要でしょうか」と問いかけると、聴衆からは「いらない」という大きなかけ声。志位氏は次のようにのべました。

 この攻撃は日本共産党だけの問題ではありません。万三さんへの攻撃も万三さんへだけの攻撃でない。みなさんの暮らしへの攻撃です。民主主義への攻撃です。どうか、足立のみなさんの良識でこの攻撃を粉々にうちやぶっていただきたい。最後までがんばりぬいて、日本共産党十一人全員当選、吉田万三さんの勝利をつかみたい。どうか激戦をせりかたせてください。ご支持を広げ必ずかたせてください。(拍手、「よーし」の声)