2003年4月9日付「しんぶん赤旗」北海道版に掲載

〔HP限定〕

オール与党の「三つの病気」日本共産党の躍進でこそ治せる

札幌での街頭演説 志位委員長の訴えから(大要)(2003年4月7日)


 七日に日本共産党の志位和夫委員長が行った札幌市中央区での街頭演説のうち、地方政治について述べた部分(大要)を紹介します。

 志位委員長は、いっせい地方選をめぐる平和、くらし、地方政治の三つの問題で争点が鮮明になっていることを強調しました。平和、くらしの問題で日本共産党が果たしてきた役割を示した志位委員長は続いて地方政治の問題で次のようにのべました。

 さて、第三は、地方政治の問題です。地方政治というのは、暮らしを守る、福祉を守る、これが命です。この仕事をちゃんとやっている政党はどの党で、これを放り投げている政党はどの党か。よくみきわめて選んでいただきたい。
 全国の多くでも、北海道でも、札幌市でもそうですが、自民党、公明党、民主党なども加わって、共産党以外はみんな与党、「オール与党」です。


開発熱中、福祉、くらし放り投げる「オール与党」

 その「オール与党」によって、いちばん大事な福祉の仕事、暮らしの仕事が放り投げられて、巨大開発に熱中する。私たちはこれを「逆立ち」政治とよんでおりますが、これがやられています。
 北海道政も札幌市政も、予算の使われ方が間違っている。公共事業にだいたい年間七千億円、福祉と保健には三千億円。これはまさに「逆立ち」であります。これをただそうといっているのが共産党だということを、まずみなさんに訴えたいと思うのであります。(拍手)

第一の病気――“国いいなり病”

 そしてこの「オール与党」は、自治体にいろんな病気を持ち込んでいます。私は三つの病気を北海道政、札幌市政に持ち込んでいると思うんです。第一の病気は、“国いいなり病”です。国が右を向けといったら右を向く“いいなり病”です。

介護保険のこの実態をただそう

 たとえば、特養ホームの待機者の方が、どんどん増えています。介護保険が始まってからの三年間で、六千人から一万五千人(〇二年六月一日調査)に、二・五倍になりました。なぜ待機者の方が増えるのか。理由は二つあります。一つは施設が足らないことです。もう一つ理由があります。それは在宅のお世話が支えきれないという実態があるのではないでしょうか。介護保険は始まったけれども、保険料が高すぎる。利用料も高すぎる。
 だからやむなく夜間の巡回ヘルパーさんをお断りしなきゃならない。訪問看護さんをお断りしなきゃならない。在宅で支えきれない。やむなく施設を申し込む。ところが施設もいっぱいで入れない。
 みなさん、これは話が違うじゃありませんか。介護保険が始まったときには、政府は公約しました。「この保険は、在宅でも施設でも、サービスが自由に選べる」といったのは、政府の公約だったではありませんか。この公約をやらないでおいて、保険料だけ上げるというのは、詐欺同然のやり方ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
 みなさん、ですから、ここで自治体が保険料、利用料の減免制度をつくることは大事です。共産党は北海道中で、その努力を道民のみなさんとともにやってきました。道内二百十二市町村のうち、保険料で八十四、40%、利用料で百十三、53%、これだけの市町村が独自の減免制度をつくりました。
 札幌市でも保険料の独自の減免制度をつくりました。これはみなさんのたたかいの成果です。みなさんのたたかいと共産党が力をあわせて、公明党や自民党や民主党などが妨害したけれども、とうとう札幌市では実現させた。北海道ではここまで市町村で広がっている。市町村がここまでやるんだったら、北海道、道政が、この応援をすべきではないでしょうか。(拍手)
 ところが、道独自の減免制度をつくるどころか、市町村に圧力をかけて、国いいなりに、「減免制度をつくるときは市町村の一般会計からお金を入れちゃいけない」、こういう圧力をかけて妨害しているのが道政です。こんな国いいなりに、介護保険の改善を求める市町村の努力さえ押しつぶそうというんだったら、こんな道政はいらないということをいわなければなりません。(拍手)

“命を捨てろ”に等しい国保証取り上げ 

 それから、“国いいなり”という点では、国保証の取り上げ、これもひどい実態があります。国保料が高くて払い切れない。やむなく滞納になる。そうしますと保険証を取り上げる。短期保険証におきかえられた世帯が四万三千世帯。世帯数比で全国平均の一・三倍です。
 資格証明書におきかえられた世帯が一万六千世帯。これは世帯数比で全国平均の一・六倍です。とくに、取り上げは、札幌市に集中しています。
 みなさん、このおかげで、ある男性が末期がんで命を落とすという痛ましい事件も伝えられました。
 資格証明書というのはどういう制度か、ご存じでしょうか。お医者さんに行ったときに窓口で全額自己負担なんですね。三割じゃないですよ。全額負担なんです。
 しかし全額払うお金を持っているぐらいだったら保険料を払ってますよ。保険料を払えないから、こういう事態になっている。それなのに全額払えなかったら医者に行くなというのは、医者にもうかかるな、命を捨てろといっているのにひとしい、むごいやり方ではないでしょうか。(拍手)
 私は絶対にこのような保険証の取り上げなどというのは、自治体はやってはならないと思います(拍手)。このおおもとは国が法改悪をやったのに原因があります。しかし改悪された法にも、「特別の事情があるときは保険証を取り上げなくてもいい」と書いてある。いまは「特別の事情」じゃないですか。こんな不景気、こんな失業、こんな倒産。「特別の事情」じゃないですか。この条項をしっかり使えば、取り上げなくてもすむのです。
 これはいまの法律でも、自治体の姿勢ひとつでやることができます。現に旭川市など、そういう立場で頑張っているところもある。埼玉の和光市では一枚も資格証明書を出していない。やっぱり自治体の姿勢を変えれば、これは可能になってくる。
 共産党を伸ばし、若山さんに知事になっていただき、佐藤さんに市長になっていただき、みなさんのお力で命を守る自治体にしていこうではございませんか。(拍手)

第二の病気――“福祉切り捨て病”

 みなさん、二つ目の病気として私が告発したいのは、“福祉切り捨て病”です。これも私、調べて驚いたのは、北海道と札幌市が競い合って、福祉のための独自の仕事を次から次に切り捨てていることです。
 北海道は、二〇〇一年から乳幼児の医療費助成、母子世帯の医療費助成、重度障害者のみなさんへの医療費助成、この三つの福祉・医療制度に所得制限を持ち込んで、一万四千人の方を制度から排除しました。わずか数億円のために、こういう切り捨てがやられた。
 札幌市は、それに続けとばかり、昨年五月に「財政再建」の名で、福祉のための独自の施策を根こそぎにする、とんでもない計画を発表しました。
 「すこやか健診」という、四十歳以上の市民のみなさんが受けている健診制度、これを見直していく。敬老パスを見直していく。老人医療費の独自の市の助成制度を見直していく。ずらりと並んでおります。独自の施策を全部切り捨てていこうという方向であります。道と市と、まさに一体で、共犯で、福祉のための、みなさんがつくった大事な制度を切り捨てようとしている。
 しかしみなさん、自治体は何のためにあるか。存在意義がそもそも問われるじゃありませんか。自治体というのは、国がやらなくても、福祉の独自の仕事をやってこそ自治体じゃありませんか(拍手)。それを切り捨ててしまっては、自治体が自治体でなくなる。これを許すなという一票を、どうか共産党にお寄せください。よろしくお願いいたします。(拍手)

第三の病気――“巨大開発病”

 そしてみなさん、三つ目の病気は、“巨大開発病”です。こちらにまいりますと、やっぱり苫小牧の東部開発の問題が最大の問題です。これは旧開発会社が破たんし、大変な税金の負担になりました。ところが九九年に新会社をつくり、道は百七十億円の出資金を出した。しかし分譲は全然すすみません。どこの会社も来ません。一昨年夏から進出ゼロです。
 ところがですね、ともかくも苫小牧東部、やったからにはもう行くところまで行こうというのが道の姿勢です。
 しかしみなさん、浪費というのは、一つ浪費をやりますと、つぎの浪費が生まれるんです。浪費が浪費を生む。
 たとえば、この苫東の開発でも、平取ダムを含む沙流川開発事業に九百二十億円注ぎ込むという計画がすすめられていますね。平取ダムというのはもともと「苫東に水を送るために」といって始めた計画です。しかしもう利水はいらない。これがはっきりしたのにダムだけはつくる。
 そこで今度は治水だといっている。ダムというのは、最初の目的が変わったところで、もういらないんです。最後は「多目的」と言い出しますよ。「多目的」になったときは“無目的”になるのがダムであります。これはもう、きっぱり中止させようじゃありませんか。(拍手)

ムダがムダを呼ぶ苫小牧東港計画

 それからみなさん、ムダがムダを呼ぶという点で驚いたのは、苫小牧東港計画です。苫小牧の西港というのが、すでにつくられました。水深十四メートルの巨大バースです。ところが港をつくったって、苫東に会社が来ないんですから、もちろん船は来ません。
 昨年一年間で大型船がこの苫小牧の西港に何隻入ったかと数えてみたら、一年間で六隻です。ということは二カ月で一隻。忘れたころに次が来る。これが苫小牧西港ですよ。
 ところが、この西港を四百八億円かけてつくったのに、もう一つ港を掘るという。苫小牧東港を三百六十億円かけてつくるというんですね。いまある港も二カ月に一回。もう一つ港をつくっても、四カ月に一回になるだけの話じゃありませんか。みなさん、この無謀な計画をやめさせようじゃありませんか。(拍手)

公共事業改革3つの提案

 私は、北海道の公共事業の改革が必要だと思います。第一に七千億円という総額は大きすぎます。総額をまず削って福祉に回せ。これが第一の提案です。
 第二の提案は、中身を変えよう。こういうダムとか、大きな港とか、こんなところにお金を使うんじゃなくて、福祉や環境や森林の整備のために、みなさんの暮らしに役立つ公共事業に中身を変えよう。
 そして三つ目、二千七百五十七億円、道が農業予算を使っていますけれども、この農業予算の61%は公共事業です。ループ橋とか広域農道とか、本当にムダな事業に農業予算も使われています。農業予算も「逆立ち」している。これをあらためて、道としても農産物の価格保障、所得保障のためにこそお金を使えということを、私は提案したいと思うのであります。(拍手)

日本共産党道議団のかけがえない値打ち

 みなさん、この三つの病気――。“国いいなり病”、“福祉切り捨て病”、“巨大開発病”、治せるのは日本共産党だけであります。
 「オール与党」の議会のひどいありさまを、最近の北海道新聞三月二十八日付が報道しました。こんなふうに書いてあります。
 「道議会では事前の『答弁調整』が常識になっている。一部議員を除けば、議場はセレモニー。シナリオからせりふまで密室の根回しで決まっている。道と議会のなれあいが論戦を阻み、議会の活力をそいできた。道民不在の象徴である」
 最初から、質問も答弁も決まっていて、お芝居をやっている。このお芝居に参加していないのは共産党だけです。
 みなさん、こういう「オール与党」のなれあい議会で、日本共産党は六議席に増やしていただき、みなさんの運動と力をあわせて、ずいぶん道政を動かしてきた。このことも最後に訴えたいと思います。
 私は、なかでも四年前、ここで訴えたのを思い出しますが、日高横断道路、あの日高山脈に二本も道路があるのに、もう一本つくるという無謀な計画に、千五百二十億円使うという計画がありましたが、ついに「見直し」といわせました。事実上の中止に追い込みました。これは事実上の中止ですが、共産党を伸ばして、若山さんに知事になっていただいて、とどめを刺そうではありませんか。(拍手)
 それから、乳幼児の医療費の助成制度、これは三歳未満までの制度ですが、「もっと引き上げてほしい」、これはみなさんの要求です。この問題を共産党の大橋道議が議会で取り上げました。
 実は国の制度が三割負担から二割負担に子どもの場合は下がる。下がった分、道の負担が八億円以上減る。その軽減分を回せば、三歳未満から四歳未満に年齢の引き上げができるじゃないか。これはやらなかったら流用になりますよと、大橋さんが追及しましたら、さすがに道のほうも、「検討します」ということをいわざるを得なくなりました。
 しかしまだ、これは「検討」ですから、共産党を伸ばして、実現しようではございませんか。(拍手)
 みなさん、日本共産党は、清潔な党です。道の農業土木にかかわる官製談合の摘発、これでも徹底追及をやって、異常な高値落札を改めさせて、税金を三年間で二百七十億円節約させる。ここでも大きな仕事をやってきた。
 みなさん、こういう党を伸ばしてこそ、自治体らしい自治体を取り戻せるんではないでしょうか。よろしくお願いいたします。(拍手)
 みなさん、世界を見ますと、無法な戦争がやられています。しかし同時に、空前の平和の声もわき起こっている。日本の政治を見ますと、さっきいったように、医療費の値上げなど、国民いじめがやられている。しかし共産党と医師会のみなさんや、商工会のみなさんや、農協のみなさんや、保守のみなさんも含めて共同する流れが広がっている。

地方自治体の希望ある流れを大きく

 そして地方自治体では、「オール与党」の政治が崩れつつあります。長野でも、徳島でも、高知でも、尼崎でも、希望ある、共産党もいっしょになって「住民が主人公」の流れをつくるような変化が、地方自治体に生まれているではありませんか。
 今度の選挙を、まさに春を呼ぶ選挙にしていこうじゃありませんか。暮らしに花を咲かせる、福祉の花を咲かせる選挙にしていこうではありませんか。絶大なご支持を日本共産党にお寄せください。ありがとうございました。(大きな拍手)