2003年4月8日付「しんぶん赤旗」京都・滋賀のページに掲載

〔HP限定〕

「共産党」か「オール与党」かどちらを伸ばすかが争点

四条大宮での 志位委員長の訴えから(大要)(2003年4月5日)


 日本共産党の志位和夫委員長が五日、京都市の四条大宮で行った演説のうち、京都の地方政治にかかわる部分の大要を紹介します。

 地方政治の魂とは何か。蜷川さんがすばらしい言葉を残しています。「住民の暮らしを守る」。これが地方政治なんだと。住民の暮らしを守り、福祉を守る。そして住民自身が自ら守っていく。これが「地方自治体の本旨」だと言いました。これは、今も昔も変わらない真理だと私は思います。(拍手)
 みなさん、地方政治をめぐる焦点は、地方自治の魂を守る党なのか、壊す党なのか、これが問われています。
 京都は、私は、二つの流れの激しい対決が問われていると思います。一つの流れは、この地方自治の魂を破壊する流れです。府と市と、自民・公明・民主など「オール与党」によって行われている住民いじめの政治です。そのひどさは、全国でも際立っていると思います。
 しかし、もう一つ京都には力強い流れがある。府民、市民のみなさんの運動と、それと共同した日本共産党の流れです。京都の日本共産党は、全国一強い力を持っています。府議会で見ましても、六十五の議席のうち十五の議席、23%を占めているのは、全国で一番です。市議会で見ても、七十二の議席のうち二十の議席を占め、28%を占めているのは、全国の政令市で一番です。ここにはみなさん、蜷川民主府政いらいの京都のみなさんのつくりあげてきた伝統の力が脈打っているのではないでしょうか。「オール与党」の住民いじめの力を伸ばすか、共産党を伸ばすか、これが対決軸です。(拍手)


暮らし切り捨て、地方自治の魂投げ捨てる「オール与党」

 私は、自民・公明・民主などの「オール与党」による政治の実態というのは、本当に、「暮らしを守る」という地方自治の魂を投げ捨てたひどいものだと思います。私は、三つの点を告発したい。

国保証取り上げをやめさせよう

 一つは、国民健康保険の問題です。国保料が高すぎる、高すぎてやむを得ず払えない。そうしますと、国保証を取り上げる。資格証明書に置き換える。短期保険証に置き換える。調べてみましたら、六年間で府内の資格証明書の発行は十一倍になりました。三百七十七世帯から四千三百八世帯です。全国でも、法の改悪でいっせいにやられていますが、全国の平均が四倍ですから、京都の十一倍の保険証の取り上げというのは、全国最悪の状況だと言わなければなりません。
 府は、市町村に向けて保険証取り上げの「要綱」をつくって、つまり「取り上げマニュアル」をつくって取り上げろという通達も出すひどいことをやった。
 この問題で、この前、京都にうかがって、これは重大だとみんなで議論しまして、共産党は国保の問題の緊急の政策を出しました。この政策は、自治体は今の法律のもとでも国保証を取り上げないできちんと役割を果たすべきだということを訴えています。今の悪くなった法律でも、「特別の事情」があった場合には、国保証の取り上げをしてはならないとなっています。
 みなさん、いろんな経済状況があります。災害もあります。「特別の事情」の場合は、取り上げてはならないと書いてある。しかし今、みなさん、「特別の事情」ではありませんか。こんな不景気が続き、こんな倒産がひどくなり、こんな失業がひどくなっている。まさに「特別の事情」が生まれているわけではありませんか。だったらば、「特別の事情」という条項をつかって、「保険証の取り上げはすぐやめろ」、この声をあげていこうではありませんか。(拍手)
 自治体の姿勢一つで、たとえば埼玉県の和光市は一枚も取り上げていません。やればできる。共産党を伸ばして、保険証の取り上げなんていうこんな無慈悲なことは、もう金輪際、京都ではやめさせようではありませんか。(拍手)

介護保険料値上げストップ、減免制度の拡充を

 二つ目に、告発したいのは、介護保険の問題です。京都の特養ホームの待機者の方が、どんどん増え続け、三千六百四十人とうかがいました。理由は二つです。
 一つは、施設が足らないからです。足らなかったらつくるのが責任です。ところが、府は、一月に発表した計画で、中部圏域では今後三年間つくらない、南山城圏域では二年間つくらない、つくる計画ではなくて、つくらない計画を決めているというんですから、あきれたものであります。
 そしてみなさん、もう一つ特養ホームの待機者が増えるには理由があります。それは、在宅の介護が支えきれなくなっているからではないでしょうか。保険料が高すぎる、そのうえ利用料も高すぎる。そこで、泣く泣くこれまで頼んでいた夜間の巡回ヘルパーさんをお断りしなくてはならない。訪問看護をあきらめなくてはならない。訪問入浴もがまんしなくてはならない。これではもう、在宅では支えきれない。そこで施設に申し込む。こんなことが起こっているんです。施設の方は待機者がいっぱいで入れない、在宅もだめ、施設もだめ。こんなことになったら、みなさん、何のために保険を導入したか。まさに詐欺行為に等しいやり方ではないでしょうか。
 私は、いま強く求めたい。まず国にたいしては、国庫負担を5%増やしただけで保険料値上げは中止できます。これを要求しようではありませんか(拍手)。そして府、市にたいしては、減免の制度をしっかりしたものをつくれ、施設を必要なだけつくりなさいということを、きびしく要求していこうではありませんか。この願いは、どうか日本共産党にお寄せください。よろしくお願いいたします。(拍手)

431億円の京都市内高速道路計画―20分の1で国保料1万円引き下げ

 そして三つ目に、そうやって、医療も介護もほったらかし、何をやっているのかといえば、巨大開発です。私は、京都に来るたびに、乱開発によって京都の大事な歴史的景観が損なわれてきたことに、本当に胸の痛む思いがします。あのバブルのさいの住専のまちこわし、あのモヒカン刈り、いろんなところに乱開発がすすんで、京都のまちこわしがすすみました。京都駅を降りますと、あの航空母艦みたいな、みなさん墓石と呼んでいるそうですが、巨大な駅ビルをつくって、地元の商店街を壊すだけでなく、京都に降り立った観光客が、何も見えなくしてしまいました。
 そして今やられようとしているのが、京都市内への高速道路の引き入れ計画です。府と市だけで、現在工事中の二路線だけで、四百三十一億円の税金をつぎ込んで、まちこわしやって、排ガスだらけにして、渋滞をひどくする。こんな仕事に、お金を使うべきではありません。
 みなさん。先ほど、国保料の話をしました。市内で、国保料を一万円引き下げるために必要なお金は、たったの二十五億円です。この高速道路の四百三十一億円の二十分の一あてれば、国保の一万円引き下げができる。どっちに税金を使うべきか、あまりに明りょうではないでしょうか。(拍手)

日本共産党―「オール与党」の妨害はねのけ、住民とともに要求実現

 みなさん。地方自治に問われている、暮らしを守るという地方自治の魂を取り戻すため、府民のみなさんと共同で、まさにその立場に立って政治を動かす実績をあげてきたのが、日本共産党の府議団、市議団です。(拍手)
 日本共産党は、強い力を持っています。ですから相手も、これを封じ込めるために必死です。激しいたたかいになる。ですから、府民、市民のみなさんのどんな要求も、たたかいがなければ勝ち取れません。そして共産党を伸ばさないと勝ち取れない。こういう特徴があります。
 この間、政令市で初めての三十五人学級、中小企業のあんしん借換融資制度の実現、南丹ダムの建設の中止、いろんな実績が勝ち取られましたけれども、どれも、「オール与党」の妨害をはねのけて、みなさん方の力が勝ち取った実績だということを、私はみなさんに訴えたいと思うのであります。(拍手)
 それで、この激しいたたかいでこそ実績が勝ち取れるということの、たたかいのさなかにある問題が、乳幼児医療費の助成制度の問題だと私は思います。入院について、三歳未満から就学前まで引き上がった。通院もですね、三歳未満から就学前まで引き上がった。かつて、五年前の知事選で、「オール与党」は「絵に描いたモチは食べられない」と言っていたわけですけれども、実現したわけですから、ほんまもんのモチだったということがはっきりした。みなさんのたたかいの成果だと思います。(拍手)
 ただみなさん、これ、使いづらい制度なんですね。通院が就学前まで引き上がったというけど、自己負担八千円までは払ってくださいというんです。八千円を超えた場合だけ、助成しましょうという。ところが、月八千円を超えるという条件を調べてみましたら、子どもさん千人のうち七人しか使えない。99.3%は使えない。こういう制度なんですね。ですからみなさん、これは無条件で就学前まで無料にする、これは、みなさん当然の要求だと思います。

「オール与党」にきびしい審判を下し、日本共産党を伸ばして願い実現を

 府議会に、就学前まで無料化を求める署名は十一万人にも及びました。そして二月の議会にも提案がされました。自民・公明・民主の反対で葬られました。公明党がここでも、切り捨て政治の先兵に立ちまして、この請願のことをこう言いました。「この程度ではだめだだめだと騒ぎ立て、府民を扇動するやり方は許し難い。共産党の大衆蔑視(べっし)と身勝手な党派性しか感じることができない」(公明党・南区選出・角替府議)。こう言ったんですよ、みなさん。
 子どもさんの医療費の八千円の限度額を取っ払って、無料にしろというのは当たり前です。東京だってどこだってやっています。これをですね、「大衆蔑視」だとか「身勝手」だとか「党派性」だとか言って、みなさんの要求を足げにする。許せないではありませんか。やっぱりこういう勢力に、きびしい審判をくだして共産党を伸ばしてこそ、みなさんの要求を一つ一つ実現することができる。これが京都のたたかいです。激しいたたかいですが、必ず、勝ち抜こうじゃありませんか。(拍手)
 みなさん、世界を見ますと、大変な激動ですが、私は、未来に希望があると思います。世界では無法な戦争がやられているけど、史上空前の平和の運動が起こっているではありませんか。日本でも、国民いじめの医療費の値上げなど、ひどいことがやられています。
 しかし、医師会や商工会やさまざまな方々と共産党のスクラムが広がっているではありませんか。地方政治も、長野、徳島、高知、尼崎、全国各地で新しい、「自治体らしい自治体」を取り戻す流れが広がっているではありませんか。
 二十一世紀の未来は決して暗いものではないんです。希望あるものに必ずなる。これが私たちの確信ですが、その一歩を、京都の勝利で示していこうではありませんか。「日本の夜明けは京都から」――みなさんのすばらしいスローガンを、どうか、現実のものにするために、ご支持の輪を最後の最後まで広げていただきますことを、重ねて申し上げ、この場での訴えを終わらせていただきます。(長い拍手)