2003年1月30日(木)「しんぶん赤旗」

査察を継続し、国連の枠組みの中での
平和解決をあくまでも追求を

イラク問題で志位委員長が談話


 日本共産党の志位和夫委員長は二十九日、国会内で記者会見し、イラク問題をめぐり国連で新しい事態が展開していることを受け、「査察を継続し、国連の枠組みのなかでの平和解決をあくまでも追求を」とする次の談話を発表しました。


記者会見する志位和夫委員長=29日、国会内

 一、一月二十七日に、国連査察団――国際原子力機関(IAEA)と国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)によって査察結果報告がおこなわれた。そこにはイラクによる大量破壊兵器の保有について「決定的証拠」は、しめされていない。同時に、イラクが査察に完全に協力していないことも指摘されている。

 IAEAのエルバラダイ事務局長は、「われわれの仕事は着実に進展しており、査察は継続されるべきだ。適切な検証方法がとられ、イラクが自発的な協力を継続することで、今後数カ月以内に、イラクに核兵器開発計画が存在しないという信用にたる確証を提供できるはずだ。その数カ月は、戦争を避けるための価値ある投資となるだろう」と表明している。UNMOVICのブリクス委員長は、イラクが査察のプロセスについては「予想以上にUNMOVICに協力してきた」とのべつつ、実質的な協力は十分ではないとしていくつかの問題点をあげたうえで、査察の有効性を強調し、それを継続する方針をしめしている。

 一、いま重要なことは、査察という手段を、必要で十分な時間をとって継続し、それを強化して、国連の枠組みのなかでこの問題を平和的に解決するために、ひきつづき国際社会が努力をはかることである。これは、世界の多くの諸国、諸国民が、強く望んでいることである。

 一、そのために、イラクにたいして、国連の査察にたいして無条件に協力を義務づけた決議一四四一を厳格に順守することを、強くもとめる。

 同時に、米国にたいして、国連を無視した一方的な武力行使の計画を放棄することを、強くもとめる。パウエル長官は、二十七日、国連査察団の報告をうけて、「イラクは大量破壊兵器を保有し隠している」とし、「もし国際社会が、国連をつうじ、武力を行使しようとしなければ、米国は主権国家として、同じ考えをもつ国と、武力行使の決断を下す権利がある」と表明した。ブッシュ大統領は、二十八日の一般教書演説のなかで、「イラクが大量破壊兵器を廃棄しないなら、友好国を率いて武装解除する」とのべた。

 国連が、査察によって大量破壊兵器の存在の有無を検証する努力をおこなっている最中に、一方的・独断的に「大量破壊兵器を保有している」ときめつけ、国連を無視した一方的な軍事力行使を公言する米国の態度は、国際社会がとりくんでいる査察による解決への努力を妨害するものであり、国連憲章、国連決議を無視するものとして、絶対に許されないことである。

 一、小泉首相は、「仮定の話」などとして態度表明を回避するのでなく、米国にたいして、国連を無視した一方的な武力行使に反対し、協力を拒否することを言明すべきである。