2002年12月19日(木)「しんぶん赤旗」

イラク攻撃反対で一致

インド訪問の志位委員長

国防相、外務担当相らと会談


 【ニューデリー17日小玉純一】南アジア三カ国の歴訪を開始した志位和夫委員長を代表とする日本共産党代表団は十七日、最初の訪問国インドで、ジョージ・フェルナンデス国防大臣、ディグヴィジャイ・シン外務担当国務大臣、マノーハル・ジョシ下院議長らインド政府閣僚・議会指導者と相次いで会談しました。イラク問題など国際の平和、経済の「グローバル化」と公正で民主的な経済秩序の問題、核兵器問題、両国間関係をはじめ、双方が関心を持つさまざまな広範な問題で率直な意見交換をおこないました。


 

南アジアでの野党外交の扉開く

会談後、談笑するフェルナンデス国防相(左)と志位委員長=17日、ニューデリーの国防相公邸(小玉純一撮影)

 インド政府の主要閣僚ジョージ・フェルナンデス国防相は十七日夕、大臣公邸に志位委員長を招き、イラク問題、核問題など国際平和をめぐる焦眉(しょうび)の課題とともに、「グローバル化」から両国関係の歴史と今後の協力などについてお互いの立場と政策について意見交換を行い、今回の日本共産党の訪問を大いに歓迎し、今後の交流の発展への希望を表明しました。

 国際の平和秩序の問題をめぐっては、志位委員長が「イラク攻撃に反対し、イラク問題をあくまでも国連の枠組みの中で平和的に解決する」ことの重要性を強調したのに対し、フェルナンデス国防相は「完全な同意」を表明。米政府は、イラクが国連決議にどのような態度をとるかにかかわりなく軍事攻撃をおこなうことを決めているようだとのべ、こうした態度を許すことは国連を米国の意のままになる道具にすることにつながると批判しました。

 志位氏は、米国による「自動的な軍事力行使を排除」した国連安保理決議一四四一にいたる経過のなかで明らかになった平和を求める国際世論と非同盟諸国などの力を指摘。ことし十月に中東六カ国を訪問した日本共産党代表団の経験を紹介し、フランス、ロシア、中国の国連安保理常任理事三カ国の共同声明、さらにイラク問題の外交的解決と国連の役割を強調した今月八日のインド・ロシア首脳共同宣言の積極的意義にふれつつ、決議一四四一にもとづく平和的解決の可能性をつくすために全力をあげる必要性を強調しました。

 志位氏のこの表明に対して、フェルナンデス氏は「その通りで、同意できる」とこたえました。

 フェルナンデス氏が両国間関係とインドの核兵器保有の経過についてふれたことに対し、志位氏は日本共産党がインド・パキスタンの一九九八年の核実験を厳しく抗議したことと同時に、「この問題は両国に抗議をしただけで解決するものではない」として、核保有五カ国首脳に対し、核不拡散条約体制の矛盾と破たんを指摘して、核兵器廃絶を緊急の課題とする国際的交渉を始めるよう求める書簡を送ったことを説明。唯一の被爆国の共産党として、核兵器保有国の中から核兵器廃絶のイニシアチブをとる国が現れることを希望すると表明しました。

 フェルナンデス氏は志位氏の言葉に、インド歴代政府が国連で核兵器廃絶についての取り組みを行っていること、自分自身も政治活動を始めた当初から反核運動にかかわり投獄もされたこと、執務室にはマハトマ・ガンジーの写真と広島の原爆ドームの写真を掲げていることなどを説明しました。

核兵器、「グローバル化」、印パ関係などでも意見交換

 インドのジョージ・フェルナンデス国防相との会談で志位氏が、日本で毎年行われる原水爆禁止世界大会には各国政府の代表の参加や元首のメッセージが寄せられるようになってきていることを紹介し、主催者とも協議して、「国防相はじめ政府代表の大会参加について検討していただきたい」と促すと、フェルナンデス氏は「大会に参加できるならいいし、楽しみだ」と応じました。

 同氏はまた、この間のインドと日本との間のさまざまな分野での協力の発展を指摘しつつ、とくに経済関係の発展の必要性を強調。これに対し志位氏は、平等互恵の立場での経済関係の発展に野党として力をつくしたいと応じました。

 志位氏は、バジパイ・インド首相が今年の国連総会演説で公正で民主的な国際経済秩序を求めていることに触れつつ、「グローバル化」に単純に反対するのではなく、国際金融資本の投機的な行動に対する規制など公正で民主的な新しい国際経済秩序の確立を求める日本共産党の立場を説明。フェルナンデス氏は、その考え方が重要であると同意しつつ、困難ではあってもアジア規模で、各国の経済主権を守りながらの経済協力の発展が求められていると強調。この点で日本が果たす役割は大きいと、期待を表明しました。

 志位氏はインド・パキスタン間の緊張の原因となっているカシミール問題についても意見を交換。六月に不破哲三議長と志位氏が連名で送った両国への書簡の内容に触れつつ、非同盟運動の創設メンバーであるインドが、非同盟運動の精神でこの問題に取り組み、平和的な解決をはかることを要請しました。フェルナンデス氏は「日本共産党がこの問題に関心をもち、憂慮していることに感謝しています」とのべつつ、インド政府の立場を詳しく説明しました。このなかで「核戦争は絶対に起こさない」との立場を表明しました。

 フェルナンデス国防相は一時間半近くに及んだ会談の終わりに、会談した応接間に飾ってある日本の人形やガンジーの肖像画の由来などについて志位氏に説明。会談が有意義であったこと、今後とも交流の発展を希望していることなどを改めて表明しました。