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外交、経済、地方政治、政党のあり方
“政党らしい政党”――日本共産党の躍進を

大阪・なんば府立体育館での志位委員長の演説(大要)(2002年12月4日)


 みなさん、こんばんは。日本共産党の志位和夫でございます。(拍手)
 きょうは、広い会場いっぱいに多くのみなさんが、ようこそお運びくださいました。いっせい地方選挙まで、あと四カ月余り、総選挙も解散ぶくみの情勢です。どうかみなさん、この大阪から世直しの大きなうねりを、日本共産党の躍進で、つくり上げるためにお力をお貸しください。よろしくお願いします。(拍手)
 今度の選挙で日本共産党を大きくすることは、国民にとってどういう意味をもっているでしょうか。私はこのことを、きょうは外交、経済、地方政治、政党のあり方、この四つの角度からお話をさせていただきたいと思います。


外交――“理性と道理の力”にたった日本共産党の野党外交

 第一は、外交の問題です。世界を見ますと、アメリカがずいぶんと横暴な姿をむきだしにしています。二十一世紀はアメリカの軍事の横暴が、圧倒的な力で世界に君臨する、そういう恐しい世界になるのか。私たちは、そう考えておりません。危機や複雑な曲折はあっても、二十一世紀の世界は、“軍事の脅迫の力”ではなく、“理性と道理の力”が世界の外交を動かす世紀になる。これが日本共産党の確信であります。(拍手)

国連安保理決議一四四一――平和願う世論を反映したもの

 いま、世界中が心配しているのが、アメリカによるイラク攻撃の問題です。この問題では、十一月八日、国連安全保障理事会で、決議一四四一が、全会一致で採択されました。これはイラクに大量破壊兵器の査察の無条件受け入れを求めるものですが、イラクはこの決議を受け入れて、いま国連による査察が始まっています。新しい局面となりました。  この決議のいちばん重要な点は、その査察の過程で、かりにイラクが義務違反をやったとしても、アメリカの自動的な武力行使は許さない。そういう場合でも、国連安保理に報告され、国連安保理が協議をし、国連安保理として次の措置を決める。つまり、国連の枠組みのなかでイラク問題の解決をはかることを決めたのが、この決議のいちばんの要(かなめ)なのです。それは常任理事国のフランス、ロシア、中国が、「共同声明」を発表して、「この決議は自動的な武力行使を排除した」とはっきり明言していることでも明らかです。 アメリカは、当初の思惑として、国連に自分たちの戦争のお墨付きになるような決議をあげさせようとしましたが、これが国際社会の中で孤立し、失敗したというのが安保理決議一四四一だということを、まずみなさんにご報告したいと思うのです。(拍手)  ここには、世界の平和を願う、“理性と道理の力”が働いています。全世界で、いま、戦争反対の何十万人という集会やデモがおこっています。そして、国連加盟国の過半数を占める非同盟諸国が、その平和の流れの先頭にたっています。実は、先ほどの国連安保理決議が採択されたのも、非同盟諸国が、安保理で公開討論をやろうじゃないか、オープンに開かれた討論をやって、各国の意見を出し合おうじゃないかという提案をして、十月に二日間にわたって公開討論をやった。そうしましたら、世界の九割以上の国がイラクに対する戦争反対で声がそろった。この圧力のもとで、アメリカも決議を受け入れざるをえなくなったわけです。理性の力は、やっぱり世界の政治の中で働いています。

「国連憲章を守れ」の旗印をかかげた日本共産党の平和外交

 私がご報告したいのは、日本共産党が、野党ではありますが、そういう“理性と道理の力”に合流し、その流れを前に進める野党外交に、イラクの問題でもとりくんできたということです。  とくに十月に、緒方靖夫国際局長を団長として、わが党の代表団が中東六カ国を歴訪しました。これはヨルダンにまず訪問し、陸路を千キロ走ってイラクに入り、エジプト、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、まさに中東の心臓部の六カ国を訪問しました。このうち、イラク以外の五つの国は、アメリカとの関係は親米の国なんです。共産党が合法的に認められていない国がほとんどなのです。そういう国の政府とでも、私たちが話し合ってみますと、完全に意見が一致する。「イラク攻撃は絶対反対」「日本共産党はアラブの心をよく分かってくれる」。こうした強い一致がえられました。
 イラクに入った時には、ハマディ氏という国会議長と会談した。私たちは、イラクに対しては、国連の査察を無条件で受け入れるべきだということを説きました。そのなかで、「たしかにアメリカの側も査察を妨害することがあるかもしれない。しかしイラクも査察の問題で、真実を隠したり、ほかの国をあざむいたり、政治的取り引きに使ったり、いろんな妨害をやってきて国際社会に疑念を与えている。そんな態度をとったら、戦争の口実になる。こんな重大な問題をもてあそんじゃいけない。国際社会に真実を明らかにする真剣な態度で臨むべきだ」ということを緒方さんは、堂々と説きました。そうしましたら、ハマディ議長も、「全面的に同意する」とこたえた。そしてわが党との一連の会談のなかで、イラク政府は、大統領宮殿も含めて、あらゆる個所の査察に応ずるということを、初めて公に言明したのです。
 私たちは、アメリカの無法な戦争に絶対に反対するとともに、相手がフセイン政権でも言うべきことはきちんという。まさにそこに自主独立の党の値打ちが発揮されているのではないでしょうか。(拍手)
 戦争の危険はたいへん深刻です。アメリカは戦争準備の態勢を強めています。戦争になれば結果はだれにもわからない。私たちの代表団が行ったときに、アラブの国がみんないったことがあるんです。アラブの世界がいちばん脅威に感じているのは、イスラエルだというのですね。イスラエルのシャロン政権は、パレスチナ自治政府を破壊するようなひどい無法を働いている。それこそいちばんの脅威だと、みんな腹にすえかねるほど、怒りが沸騰している。そのときにイラク攻撃をやったら、中東全体を巻き込む大戦争になる危険がある。いちばん心配しているのはそういう問題でした。アラブ連盟の事務局長は、イラク攻撃は、「中東の地獄の門を開ける」と言いました。何十万という人が犠牲になるかわからない。みなさん、この無法な戦争を絶対に許すなというたたかいを、いまこそ大きく日本でも広げようではありませんか。(拍手)

日本政府の姿勢――無法なイラク攻撃への協力・支援を許すな

 そのなかで日本政府の立場が問われます。私は、先日、党首討論で、小泉首相にイラクに対する戦争反対を言明をしなさいということを迫りました。首相は、「戦争によらない解決を」と、とりあえずいいました。もう一問、私は聞きました。米国は国連を無視しても勝手に武力攻撃をやるといっている。国連無視は許さないということもこの場でいいなさい。そう小泉首相に詰め寄ったところ、首相の答えは、「アメリカはそんな無法をやるわけがない」というのです(笑い)。やるとブッシュ大統領本人がいっているのに、日本政府が「やるわけがない」といっても(笑い)、通用しない話です。「ノー」といえない情けない追従姿勢があります。
 私たち、昨日、第五回中央委員会総会を開きまして、次の四つの要求を日本政府に対しておこなうことを確認しました。
 第一は、国連決議に従って、日本政府はアメリカの一方的軍事攻撃の計画に反対することを言明するべきであるということ(拍手)。
 第二は、日本は無法な米国の戦争には、一切の協力を拒否する立場にたつべきであるということ(拍手)。
第三は、いまインド洋に派遣している自衛隊は、ただちに撤退すべきであるということであります(拍手)。きょう政府は、イージス艦の派遣を決定しましたが、これが対イラク戦争支援のための兵力増強であることは、明瞭です。絶対に許されないことです。
第四に、米軍の無法な戦争に日本が参戦する有事三法案は、きっぱり廃案にすべきであるということであります。(拍手)
 日本の国というのは、憲法九条を持つ国です。その国の政府こそ日本共産党がやったような平和外交で、世界に貢献すべきではないでしょうか(拍手)。みなさん、この日本から、世界平和を守る大きな流れを、わきおこしていこうではありませんか。八〇年の歴史で平和をつらぬいてきた日本共産党を、今度の選挙でも大きくのばしていただきたい。心からお願いいたします。(拍手)

日朝正常化交渉――日本共産党がはたした役割は何だったか

 外交の問題では、日朝問題がこの間、劇的な進展をみせました。九月十七日の日朝首脳会談で、国交正常化交渉再開の合意がなされました。次の日に党首会談がおこなわれまして、私は、首相のこの判断を強く支持すると言明いたしました。後にも先にも私が小泉さんを支持するといったのは(笑い)、珍しいことですが、それにはわけがあります。
さきほども橋本(敦前参院議員)さんがお話をしておられましたように、日本共産党は、日朝間の外交の悪循環を打開するために、また日朝間のさまざまな解決するために、まず政府の間での話し合いのルート、交渉のルートを開こうじゃないかという提案を一貫してやってきました。とくに九九年の二回にわたる当時の不破委員長の国会質問で、この問題を提案しました。
そうしましたら、その直後の反応があったのです。村山元首相が私を訪ねてきまして、「不破さんの演説はよかった」「共産党も入ってもらって、全部の党が参加して、北朝鮮へ訪問団をだしたい」というのです。私が、「目的はなんですか」と聞きましたら、政府間の交渉ルートを開く環境をつくりたいというのです。そこで私は、「交渉ルートを開くのは大賛成だけど、そのさいに大事なことは、話し合いのルートは無条件に開くことが大切だ、何々問題が解決しなかったら話し合わないことになると、永久に話し合いははじまらない、無条件に交渉ルートを開くべきじゃないか」といいましたら、村山さんは「その通りだ」と応じました。
 そしてわが党の、緒方さんと穀田さんが、この訪朝団に参加することになりました。そこで問題になったことの一つは、拉致問題をどうするかということでした。穀田さんは、「これは重大な主権侵害の疑いがある問題だ。堂々といおうじゃないか」と提起した。それが団全体の確認にもなりました。「無条件にルートを開く」ということは、北朝鮮との合意となりました。拉致問題については、このときには相手は拉致を認めませんでしたが、ともかく交渉のルートはつくられました。
こういう経過があり、その後、いろいろな曲折はあったけど、今度の首脳会談につながりました。私たちの提案が、そういうプロセスをへて、日本の政治を現実に動かした。これが経過でした。
同時に私たちは、北朝鮮の無法に対しては、いちばんきびしく反対してきた党です。とくに七〇年代に入りまして、北朝鮮が金日成の個人崇拝を、日本にもおしつけてくるということをやったのです。六十歳の還暦の誕生日を祝うというので、贈り物運動というのを、日本の国民にも押しつけた。私たちは断固として拒否しました。八〇年代に入りまして、ラングーン事件とか、大韓航空機爆破とか、いろんな無法をやりはじめた。いちばんきびしく批判したのは日本共産党です。それで断絶しました。ここの態度にも、私は相手がどの国であれ、無法なことは許さないということを、国際社会の道理に立って、堂々とつらぬく自主独立の立場がしめされていると思います。(拍手)
 同時に、相手が無法な国であっても、隣の国なのです。引っ越しはできないのです。ですから、どういう国であったって、交渉のルートは必要でしょう。拉致の問題を解決するのだって、交渉しなかったら始まらないでしょう。ですから、そういうことも含めて「交渉による解決を」といってきた。
 これが第一歩をふみだしたのが、九月十七日でしたから、私が「強く支持」するといったのは、そういうわけがあるんだということを、ぜひご理解いただけますと幸いでございます。(拍手)

今後の交渉で何が大切か――三つの堅持すべき大局的立場

 ところで、交渉は開始されたのですが、困難と障害がずいぶん出てきました。いま交渉は、なかなか難しい局面にあります。先日、私は、朝日新聞のインタビューを受けまして、インタビュアーから、「日本政府が五人の拉致被害者を帰さないと決めたことにたいしても、支持するんですか」と聞かれました。
 私は、それに対して、「私たちが支持するといっているのは、正常化交渉を再開すること、『日朝平壌宣言』に基づいて交渉をすすめることです。その交渉の過程で政府がとる個々の決定については、その是非についてうんぬんすることは、自制する立場をとりたい」とのべました。私たちは、交渉当事者ではありません。得られる情報にも制約があります。不確かな情報をもとに、公党として責任ある態度は、交渉の途中ではとらない。個々の問題については自制するというのが、私たちの考えです。
ただし、私たちは、大局的な立場としては、日本政府がつぎの三つの立場を堅持して交渉にのぞむべきだと主張しています。
第一は、北東アジアの地域の平和と安定をたしかなものにしてこそ、日本の平和と安全がはかられる。北東アジア全体の平和ということをよくみて交渉すべきだということです。そのことを考えたら、日朝間に国交がない、戦争状態が解消されていない、これは異常なことであって、これを打開することは、当然の歴史的な責任ではないでしょうか。
 国交正常化というのは、相手にたいする「施(ほどこ)し」ではありません。日朝の双方の利益になることではないでしょうか(拍手)。それは、アジアと世界の平和にとっても利益になる。このことを強く自覚して交渉にあたるべきだというのが第一であります。
 第二は、日朝両国間には、いろいろな問題がある。諸懸案がたくさんある。その諸懸案を包括的に、つまり全部をテーブルの上にのせて、包括的にすべてを解決する。こういう立場で交渉というのをやらなければ、前に進みません。いま、日本の国民が心を痛めている拉致問題の解決がしっかりはかられなければならないのは、当然であります。重要な問題です。
 同時に核兵器の問題、平和の問題も、唯一の被爆国として、大いに筋を通した交渉が必要です。また同時に、かつて朝鮮半島の植民地支配をしたという過去の清算も、必要であります。その全体をしっかり解決をはかるという立場で交渉にのぞんでこそ、前にすすむ道が開かれるというのが、堅持すべき二つ目の内容だと考えます。
 第三に、北朝鮮はこれまで無法を犯してきた国です。しかし、相手が無法な国であればこそ、日本の側は理性と道理ある対応をつらぬくべきではないでしょうか。(拍手)
 くわえて、日本人拉致という問題についてはともかく事実を認め、ともかく謝罪した。一つの転換です。不十分だけれども、一歩、転換がおこった。そのときに、この転換をさらに前向きにすすめるようにうながす。無法行為を全体として清算して、国際社会の仲間入りをするように働きかける。そういう冷静な態度の交渉が日本政府には求められているのではないでしょうか。(拍手)
 私は小泉首相にいいたい。「ここから先が、あなたの正念場ですよ」と。「ここから先が“理性と道理の力”が求められるところですよ」と。交渉の扉は決して閉ざしてはいけません。あらゆる問題をちゃんと理性と道理にもとづいて解決して、両国間の関係が、敵対から友好に変わり、本当に北東アジアが安心して暮らせる地域になるようにするために、私たち日本共産党は、今後とも奮闘する決意を申し上げたいと思うのであります。(拍手)

暮らしと経済――「四つの緊急要求」と日本の経済主権を守るたたかい

 第二に、お話したいのは、暮らしと経済の問題です。いま、不景気が本当に深刻です。大阪にうかがいましたら、失業率八・四%と聞きました。大阪では全国のなかでも、とりわけ中小企業が重要な役割をしめている地域ですが、ここがいたんでいる。これが大きな不景気の一番の原因だと思います。いま、景気をよくしようと思ったら、てこ入れするところは二つです。個人消費と中小企業です。この二つを応援する政治をやってこそ、景気は立ち直る道が開かれる。

 

暮らしを痛めつける“二つの暴走”を許すな

 ところが、小泉政権は、暮らしをいためつける“暴走”をやっています。私は二つの“暴走”を食い止めようと、この間いっております。この“二つの暴走”とは、七月と十一月の党首討論で取り上げた問題です。そのとき使ったパネルを二枚“空輸”してきましたので、ちょっとごらんくだされば幸いです。
“第一の暴走”がこれなんです。七月の党首討論でとりあげたんですが、社会保障分野だけで三兆円の負担をしいろうとしている。医療、介護、年金、雇用保険。あわせて三・二兆円です。
 「こんな不景気なときに、暮らしをささえている社会保障の負担増三兆円を押しつけたら、経済にどんな影響がでると、首相は考えているのですか」とききますと、首相は経済への影響について答えがない。何も考えていない。いい返したのは「財源どうするのですか」ということでした。「ムダづかいを削りなさい」と私がいったときに、時間切れになったんですが。(笑い)
 そのとおりに、また無駄づかいをやろうとしてるじゃないですか。いま補正予算案を編成するといっています。五兆円です。五兆円のうち三兆円は、またもや公共事業の積み増しなどをやるといっている。中身をみたら、関空二期工事とか中部国際空港とかそんなものばかりですよ。「都市再生」とかいって、またムダな公共事業にお金をつぎ込もうとしているのです。
 そんなところにつぎ込むお金が三兆円あるのだったら、社会保障にこそ税金をあてるべきではないでしょうか。(拍手)
 もう一つの“暴走”は、これなんですね。十一月の党首討論でとりあげたのですが、「不良債権処理の加速」という方針にのりだしているでしょ。これが、どういう結果をもたらしているのか。そのグラフです。中小企業向けの銀行の貸し出しが、一九九七年から二〇〇二年までにいくら減ったか。なんと六十兆円。しかも、見てください。小泉政権になってから、がくんと減っている。この一年間で六十兆円のうち三十兆円の、貸しはがしをやったのです。この裏にどれだけの業者のみなさんのくやし涙があったかわかりません。
私はこのグラフをみせて、小泉さんがやっている「不良債権の早期最終処理」という方針は、ものすごい中小企業からの貸しはがしをつくっているじゃないか。しかもこれは、「不良」とされた企業をつぶすだけではない。いま銀行がやっていることは、貸出金利を引き上げる、二%を三%にしてくれ四%にしてくれと一方的にいってくる、それがいやだったら融資を打ち切りますよという。「健全」とされている企業もふくめて、すべての中小企業を対象に、猛然と貸しはがしをやっている。
 私は、小泉さんにいいました。「あなたが首相になってから三十兆円を貸しはがしている。責任を感じませんか」。なんと答えたかというと「銀行が悪いんです」というんです(笑い)。「銀行は晴れになったら傘をさしだし、雨になったらひったくる。そういう不届きなことをやっている」と。
 私は、「そのとおりだ、しかし銀行をそうさせたのはあなたじゃないですか、その自覚はないのですか」といいました。
これを「加速」しようというのが“竹中プラン”なのです。いま竹中さんがつくっている「金融再生プラン」なるものをやったら、日本総合研究所の試算では大手銀行だけで、なんと九十三兆円の貸し出しが減るというんですよ。まさに日本の産業を土台からたたきこわすものです。

なぜこんな自殺行為を――根本にアメリカの圧力へのいいなり政治が

 なんでこんな“暴挙”を自民党がやろうとしているのか。自殺行為ですよ。なんでこんなことをやろうとするのか。アメリカいいなりの経済政策があるのです。竹中さんは、ともかくアメリカにウケがいいでしょ。アメリカ政府が、あげて“竹中プラン”を支持するというのは異常なことです。しかしアメリカはちゃんと考えていることがある。日本の金融と産業を、アメリカの大手投資銀行、投資ファンドの支配下において、食い物にしようとしている。
 どういう問題がおこるか。新生銀行です。長期信用銀行が破たんしたでしょ。破たんしたあと国民の税金を、三兆七千億円もつぎ込んだ。そしてそのお金で不良債権をきれいにした。そして生まれ変わらせて、アメリカのリップルウッドという大手の投資会社に売りました。ただ同然で売りました。なんと、大手銀行一行が十億円というものです。そして、大もうけをさせてやった。いま新生銀行はひどいありさまです。貸ししぶりの先頭に立っている。さすがに金融庁も業務改善命令を出さざるを得ないほど、ひどい貸しはがしをやっている。
 業者のみなさんが新生銀行にいっても、「長銀はなくなりました。看板を見てください。新生と書いてあるでしょ。関係ないですよ」といって、どんどん融資を切っている。ひどいありさまです。まともな銀行といえない。投資銀行に変身したのですね。ああいう銀行をいっぱいつくろうということです。
 貸しはがしをもっともっとやり、「不良債権処理の加速」をすすめたら、大手の銀行でももたなくなるところがでるかもしれない。そうしたらまた長銀のように税金を入れて、それで外資に売り飛ばそうというのです。もうかるのはアメリカです。これをやろうというのが小泉・竹中ラインです。まさに国を売る所業じゃないでしょうか。(「そうだ」のかけ声、拍手)
 私は、竹中さんの発言をきいていると、はっきりいってアメリカ投資銀行の代理人ではないかと思う。この人には大臣の資格などありません。(拍手)

日本共産党の経済問題での二つの大きな立場

 私たち日本共産党は、経済問題では、つぎの二つの大きな立場を対置して、たたかっていきたい。
第一は、国民のくらしを守る「四つの緊急要求」です。(1)社会保障の負担増計画をやめる、(2)所得税の増税や外形標準課税など庶民・中小企業増税をやめる、(3)「不良債権処理の加速」の名での中小企業つぶしの政策は転換し、地域金融に責任をもつルールをつくる、(4)雇用を守り、失業者の生活保障をはかる。
 この四つでありますけれども、ようするに国民のくらしを応援し、家計から消費を活発にして、日本経済の再建をはかろうというのが、私たちの方策の第一の柱です。
 第二の柱は、日本の経済主権を守ろうじゃないかという呼びかけであります。先ほどいったような、アメリカの外資による日本の産業と金融の買収を許していいのか、という問題です。アメリカ型システムは万能のようなことをいう人がいるけれども、どこだって破たんしているじゃないですか。
IMF(国際通貨基金)を使って、アメリカ型システムをアジアの経済危機に押しつけた。失敗しました。ロシアの経済危機に押しつけた。失敗した。そういうやり方ではうまくいかない。だいたい本家のアメリカで、エンロンだのワールドコムだの大手会社がみんな腐っていて、このシステムというのは、“詐欺(さぎ)とペテンのシステム”だということが、世界中に知れわたっているではありませんか。そんなものを日本に輸入して、日本の経済をまさにアメリカに蹂躪(じゅうりん)されるがままにするなどという、こういうやり方から、日本の経済主権を守ろうじゃないかということを、心から私は訴えたいのであります。(拍手)
 いま、経済の問題でも、全国を歩きますと、深い変化がおこっていることを感じます。共同の輪がひろがっています。やはり、いまの景気をよくしようと思ったら、家計消費と中小企業と、この二つを大事にしなくてはいけない。ここでは多くのみなさんと、意見が一致するのではないでしょうか。そして、日本の経済主権を守るということが大事だということも、だれしも意見が一致するのではないでしょうか。「くらしを守れ」「経済主権を守れ」、この二つの大きな旗印を掲げて、私たちは、広く対話と共同をすすめたいと思います。そして、この願いをどうか日本共産党に託してください。よろしくお願いいたします。(拍手)

 

地方政治――いよいよ自民党政治はたちゆかなくなり、新しい流れが

 第三は、地方政治の問題です。地方政治をみますと、自民党政治はいよいよ立ち行かなくなったなと、ほんとうに痛感します。そして、そのなかで希望ある新しい地方政治の流れがわきおこっております。私は、この間、全国を歩いてまいりましたけれども、その変化はどこでも感じます。
 長野県に八月に応援に行った際には、私たち田中康夫さんを知事選挙で支援してたたかったわけですが、「脱ダム」に象徴される、ひじょうに深い変化がおきていると感じました。やはりその通りの圧勝という結果が出ました。
それから、私は、この前、四国を行脚してきました。海をはさんだ徳島県では、日本共産党が与党の大田民主県政が半年前に誕生しました。ここではいま、野党勢力の妨害が激しいんです。前の円藤知事の利権政治を一掃する市民のたたかいが始まって、第三者機関で真相究明をということを知事が提案したら、野党勢力がその一千万円の予算を削ってしまった。そうしたら市民が怒って、自発的なカンパをはじめている。ある保守系の議員さんは、自分の株を売って、一千万円つくって、私がカンパしますとだした。しかし、あなた一人でださないでとみんなで話あって、一口百円の募金がはじまっている。そういう運動なのです。みんなでつくる民主県政が前進しています。
 その後、高知県へ行きました。高知県は橋本県政でしょう。共産党は「是々非々」でやってきたのですが、同和行政が、とうとう大転換して、「解同」の利権にメスが入ってきた。これもたいへんな変化です。
 その後、福島県にも行ってきました。ここでは、日本共産党が与党の自治体がどんどんできている。きっかけは去年、福島市で共産党が与党の自治体が誕生したことです。そうしたら伊達(だて)郡というところに、広がっていった。今年の七月に霊山(りょうぜん)町という町で、共産党員が町長さんになったんです。保守の人たちは、「利権政治と手を切って新しい町長をつくりたい、ひとつ共産党さん、出てくれ」というんです。この町は一人しか共産党の議員がいないのです。でも一人の議員より一人の町長のほうが大事だということになったそうで、立候補したら当選してしまったのです。そうしましたら、九月にお隣の桑折(こおり)町で、また保守の人がいっしょに町政つくろうと。これも当選しました。そうしましたら、十一月に川俣町というところで、共産党と保守のみなさんとの共同で、またも民主町政が誕生した。つぎからつぎへと変化がおきました。そこまで自民党の政治が通用しなくなっているのであります。
十一月に入って、熊本市長選で自公連合相手のたたかいで、共産党が支援した幸山さんが当選する。おとなりの尼崎市長選でも自公連合相手のたたかいで、共産党が支持した白井文さんが勝利をおさめた。みなさん、だいぶん大阪も“攻め”られてきましたよ。海をはさんで、徳島、尼崎まで来ましたから。(笑い)

 

大阪府政――「自治体が自治体でなくなる」二つの大問題

 では、大阪はどうでしょうか。大阪では、自民、公明中心の「オール与党」がまだはびこっている。この政治は、巨大開発に熱中し、福祉とくらしは切り捨てる。自治体としてあるまじき「逆立ち」政治をやっています。しかし、大阪の資料をずっと拝見させていただいたら、矛盾は極限まできているという感を、私は強くもちました。
 つまり大阪は、変わる前夜にあるのです。クリスマスでいえば、イブにあるというのが、いまの状況です(笑い、拍手)。ただイブをクリスマスにもっていくためには、自然にはいきません。共産党の躍進が、どうしても必要です。どうかお力ぞえを、よろしくお願いします。(拍手)
 大阪府政の問題をみてみますと、「自治体が自治体ではなくなる」というような二つの大きな問題を感じました。

福祉とくらし――福祉医療切り捨て、エアコン利用料のとりたて

 第一は、福祉とくらしの徹底切り捨てです。横山ノック知事の「財政再建プログラム案」で、お年寄りの医療費の助成制度――黒田革新府政時代にみなさんが全国に先駆けてうちたてた誇るべき制度を非課税世帯に限定するというひどいことをした。全国に誇る福祉の財産がずいぶんこわされました。
 ところが、いま太田知事と「オール与党」がすすめている「行財政計画(案)」というのはさらにひどい。横山ノック知事がやり残した、まだ残っている部分まで、福祉の施策をすべて削りとるという冷酷無情なものです。
 わけても三つの福祉医療制度を切り捨てようとしていることは、大問題だと思います。三つの福祉医療制度の切り捨てというのは、一つは老人医療費助成制度――非課税世帯に切りちぢめられたわけですが、まだたくさんの方が使っている、この制度そのものをすべて廃止しようというのですね。
二つ目に、障害者医療制度の切り捨てです。これまで医療費が無料だったものを、所得制限の強化と本人に一部負担を導入しようというのです
三つ目に、母子家庭の方々への医療費も、これまで無料だったものを、本人一部負担を導入するというのです。
 これらがすべて強行されますと、三つの福祉医療で現行制度の適用をうけている約四十五万人の方々のうち大半が被害にあう。切り捨ての被害にあう。こういう大改悪をやろうとしています。
 それでは、この三つの福祉医療制度が、大阪以外の四十六都道府県でどういう状態になっているでしょうか。調べてみました。そうしましたら、かなりのところが自治体独自の施策をやっています。
 まず、お年寄りの医療費助成制度は、二十二の都道府県で独自の助成制度をやっています。制度なしは二十四県です。半分は独自の制度やっています。障害者医療については、三十六の都府県が自己負担なしの無料です。一部負担をとっているのはたった十都道県にすぎません。母子家庭医療については三十府県が自己負担なしの無料です。一部負担をとっているのは十六都道県にすぎません。
 この三つの福祉医療制度のすべてで、今度、大阪の太田府政と「オール与党」がやろうとしているような、つまり老人医療制度は制度そのものを廃止してしまう、障害者医療は一部負担、母子家庭も一部負担――これが全部がやられている県が全国にいくつあるか調べてみました。全国で五つしかありません。青森、千葉、福岡、長崎、宮崎。全国に先駆けてお年寄りの医療費無料化を実現し、日本中に希望をあたえた大阪府の福祉医療の水準を、全国最低レベルまで切り下げる。こんなひどい計画は絶対に許すわけにはいかないではありませんか。(拍手)
 それともう一つ驚いたのは、府立高校でエアコン料金を徴収するという話です。府議会で強行された。すでに「財政再建プログラム案」のおしつけで、府立高校の授業料が全国最高額に引き上げられて、十万八千円から十四万四千円、一気に33%も値上げがされました。全国平均より三万円も高い。そのうえエアコン使用料として最高六千円とりたてる。この条例を、この前の議会で、自民、公明、民主などの賛成で強行した。来年度からやるというんでしょう。
 大阪では不況のもとで授業料減免を受ける生徒が急増し、全体の十九%です。そこに六千円の負担増が追い打ち。エアコン使用料の方は、減免制度がないそうです。滞納すれば退学処分もありうるという、本当に無慈悲な制度を子どもたちにおしつけようとしている。こんなひどいことを考えている県は、全国のどこを探してもありませんよ。
 私は、府議会の議事録をみて、この条例に賛成討論をした自民代表がこういうふうにいっているのをみて驚きました。「今後、全国の高等学校へクーラー設置がすすんでも、おそらく他府県では受益者負担を求めないと思われる」(笑い)。自分でいっているんですよ。だったら、なんでこの大阪だけ、そんなひどい制度をやるのか、まったく理由がたたないではありませんか。(拍手)
 私は、福祉と教育というのは、自治体が何をさておいても財政支出をやらないといけないと思います。自治体というのは、みなさんの税金でやっている仕事なんですから、まず福祉に使い、教育に使う。残ったお金があったらいろんなことに使う。こう使ってあたりまえなんですよ。それを真っ先に切り捨てようなんていう、まさに「逆立ち」した政治は、日本共産党の躍進で切りかえさせようではありませんか。力を合わせようではありませんか。(大きな拍手)

巨大開発へのこの熱中ぶり――関空2期工事は「根拠」がくずれてもつづける

 府政の第二の問題として、財政が大破たんになっているのに、巨大開発だけは熱心なのですね。その象徴が関西空港二期工事です。自民党の中からさえ、アクアラインと本四架橋と関空二期は日本の「三大バカ事業」だという声があるくらい、壮大なムダづかいの事業です。一兆四千二百億円の事業費。府の負担は千百七十三億円。これを国、府、府議会の自民、公明などが推進しています。
 大阪府は、どうして二本滑走路が必要なのかの「根拠」として、三つのことをいってきました。一つは、「一本の滑走路では年間十六万回までしか離着陸に対応できない」。二つは、「二〇〇七年度には関空の利用が十六万回をこえる」。三つは、「府民も二本目を求めている」。
 しかし、共産党府議団の追及で、三つとも「根拠」が完全に崩れました。
第一に、「滑走路一本では十六万回」というのは「根拠」がなかった。党の府議団は、今年の三月、旧運輸省の空港処理容量検討委員会で、限界とされる十六万回を大きくこえる二十二万回までの離発着が、一本の滑走路で安全を配慮したうえで可能だ、という試算をだしていたことを、独自に入手した内部文書で追及しました。「十六万回でいっぱいじゃない。二十二万回までできる」といっているではないか。そしたら知事は困って、答弁不能になった。でも「あらためて調査はしない」といいました。なにがなんでも工事はやるというのです。
 第二に、「二〇〇七年度までに十六万回をこえる」も「根拠」がなくなってしまいました。これは六月に国土交通省が、関空の年間発着回数は二〇〇七年度でも十六万回にいかない、十三・六万回にとどまる、という航空需要予測を新たに提出しました。これを受けてさすがに読売新聞も、「根拠は崩れた」「凍結だ」と書きました。朝日新聞も「旗を降ろせ」「施設をつくれば、需要が生まれるというのは、もはや夢物語だ」と書きました。夢物語になっても、むなしい夢を追いつづけようというのが、いまの府政の姿勢です。
 第三に、「府民も求めている」というのは、これはみなさんのお気持の通り「根拠」がありません(笑い)。「朝日」が今年二月に近畿圏の有権者を対象にした調査をしましたが、「関空二期は延期・中止」が67%。こんなものにお金を使うよりも、福祉や教育に大事な税金は使いなさい、ということを求めているという数字が、はっきりあらわれているではありませんか。(拍手)
 日本共産党は、いま、二つの請願署名を大阪でとりくんでいます。一つは、「府立高校のエアコン使用料徴収の撤回と、現行の府医療費助成制度の堅持」を求める署名です。もう一つは、「関西空港二期工事の中止」を求める署名です。
 これは、府民のみなさんの共通の願いじゃないでしょうか。日本共産党を、府議でも市議でも大きくのばしていただいて、この二つの請願署名を堂々と可決させて、「逆立ち」府政からの転換の大きな一歩をふみだそうではありませんか。「大阪が変われば、日本が変わる」、その第一歩をしるそうではありませんか。(大きな拍手)

政党本来の活動を堂々と展開する日本共産党の値打ちが光っている

 さて、第四に、世界の問題、経済の問題、地方の問題ときまして、政党のあり方について締めくくり的にお話をさせていただきたい。
 国政補欠選挙や、自治体での選挙結果を見て、「政党の衰退」ということが、ずいぶんマスコミでいわれます。あるマスコミの論者は、「自民の衰退、民主の非力」と書きました。他の政党が訴えるべきものを持っていない。よるべき組織ももう崩れている。その中で、“政党らしい政党”として、政党本来の活動を堂々と展開しているのは、日本共産党だけになっている。ここに、いまの新しい政党状況の特徴があります。

「政権党の衰弱は、確実にすすんでいる」

 与党の風景をみてください。まず自民党はどうでしょうか。あるマスコミは、「小泉人気のかげでこの政権党の衰弱は、確実に進んでいる」と書きました。私は、全国を歩いていますが、自民党の支持基盤は、どこでも土台から崩れつつある。建設業界、商工会、医師会、農協、これまでの、組織的ささえになってきたところも、もう自民党にあいそをつかして、無党派となり、あるいは私たちと共同する流れがつくられはじめています。ほんとうに崩れています。
 そういうなかで、いま、自民党の組織のささえになっているのは、公明党・創価学会です。しかし、これは、自民党にとっても墓穴を掘ることになります。ある自民党議員からこういう声が伝わってきました。「もう麻薬なしでは選挙ができない政党になってしまった」(笑い、拍手)。ある議員は、「麻薬中毒は前からだが、体全体が完全にむしばまれていることを痛感した」ともいいました。これは、自民党にとっても墓穴を掘る道となることをいわなければなりません。

反日本共産党だけが「存在意義」の公明党――こんな政党が国民に必要か

 では、公明党はどうか。公明党は与党入りしました。与党入りしたことで、これまでこの党がまがりなりにも掲げてきた「看板」が次々とはがれ落ちました。「福祉の党」、むなしく響きます(笑い)。医療費の負担増を押しつけている張本人ですから。「清潔の党」、これもムネオ疑惑の解明を妨害しました。「平和の党」、この党が有事法制を通そうというのは、どういう理屈でしょうか(笑い)。「公約を守る」、ぜんぜん守ったことない(笑い、拍手)。この前の参議院選挙で、「医療費の負担増反対」といったじゃありませんか。
 みなさん、「四枚看板」がすべてはがれ落ちた。そのもとで、この党の「存在意義」はどこにあるでしょうか。反日本共産党の先兵であるということだけが、「存在意義」の党になってるんじゃないでしょうか。(拍手)
 しかし、みなさん、反共だけが存在意義の政党が、果たして国民にとって必要な政党といえるでありましょうか(拍手)。この党は、そういう深刻なところにみずからの身をおいているのであります。
公明党は、拉致問題を利用して、共産党攻撃をはじめました。「北朝鮮と親密な関係を続けた」だの、「拉致問題を棚上げした」だの、まったく事実をゆがめる中傷をくりかえしました。
 この党があさはかなのは、人の党の悪口をいうときに、自分の党の歴史を調べていないということであります。(笑い、拍手)
 わが党は、事実無根の攻撃に徹底的に反撃するとともに、七〇年代、八〇年代、北朝鮮が異常、無法な行動をとったときに、公明党が北朝鮮とどういう関係にあったかを、事実をもって詳細に明らかにしました。
私は国会の演壇で、一九七二年に竹入委員長を団長とする訪朝団がにぎにぎしく北朝鮮に行き、朝鮮労働党と「共同声明」を発表し、金日成の個人崇拝の体制を天までもちあげた。この事実を指摘しました。それから、「読売」のインタビューのなかで、これは最近もずっと続いている。九七年に金正日総書記が誕生したときには、藤井代表が祝電を送って、「金正日総書記の指導体制の下でのご繁栄」というようなことをいっている。北朝鮮の個人崇拝の体制に迎合することでは、終始一貫変わらないのが、公明党です。反省すべきは公明党ではありませんか。(拍手)
 拉致の問題で、国民がみんな心を痛めているわけです。それを党略の道具に使うような政党は、日本の政治にたずさわる資格がない。こういう党は、日本国民にとって必要のない党ではないでしょうか。(大きな拍手)

他の野党――自民党政治にかわるどういう日本をつくるかの旗印がみえない

野党の風景はどうでしょうか。私たちは、野党共闘を大事にしています。一致点での国会共闘は今後もやっていきます。さっきの三兆円の負担増についても、野党一致して反対が確認されました。これは大事なことです。
しかし、なかなか混迷も深刻です。民主党の代表が、辞任表明した。私は、この党について、代表選、代表おろし、「野党結集」という動き、ずっと見ておりましたが、見えてこないものがあります。自民党にかわって一体どういう日本をつくるかの旗印が、見えてこないのです。
この混迷の根本には、自民党政治の古い枠から、大枠で抜け出せない。この弱点があるのではないでしょうか。「不良債権処理の加速」という方針も、残念ながら、他の野党からは反対の声がおこらない。ここにも弱点があらわれていると思います。

日本共産党の躍進で、21世紀の新しい日本をつくろう

私たち日本共産党は、そういう与野党の状況の中で、まさに“政党らしい政党”として、政党本来の活動を堂々と展開している唯一の党であります。私たちは、自民党政治を変える大きな政治戦略をもっています。大企業中心の政治、日米安保中心の政治から脱却して、「国民が主人公」の日本をつくるという大きな戦略目標をもっています。
戦略目標をもっているだけではありません。きょうお話ししたように、イラク問題でも、日朝問題でも、経済問題でも、地方政治でも、どの問題でも、生きた政治と切り結んで建設的打開策を具体化し、行動し、現実の政治を動かしています。
 こうした日本共産党について、宣伝・世論調査にたずさわるある社長さんがこういう感想をいっています。
「いま、どの与党も、野党も、有権者の新たな期待をつなぐ政党たりえない。その点、共産党は十月末の衆参七補選すべて候補者をたてた。その後の熊本、尼崎の市長選で、無党派の候補者を応援する側にまわってよい結果につなげている。党公認候補をたてて、しっかりたたかう一方で、無党派の質の良い候補者をたてる柔軟な対応をしている
共産党に対して、有権者の意識の中に『ブレない政党』という、共産党への見方が出てきているように思う。他の政党が、付和雷同、右往左往、軽佻(けいちょう)浮薄、しっかり、腰を落としてとり組んでいるように見えないなかで、こつこつ地域活動を積み上げ、有権者に今の政治を告発する姿勢を崩さない。小泉内閣に対しては、成立から今日まで、基本的立場をかえていない。政党不信のなかで、『ブレない政党』、共産党は、有権者の受け皿になりうるし、そのチャンスがあるように思える。このチャンスを共産党がうまく生かさない手はない」。(拍手)
 第三者からのなかなか興味深い見方ですね。
そしてわが党は、路線や政策のうえでの値打ちだけではなくて、自前の草の根の組織をもっている党です。四十万人をこえる党員のみなさん、二百万人ちかい「しんぶん赤旗」の読者のみなさんなど、草の根で国民とむすびついたネットワークをもっています。
そして、自前のメディアをもっています。「しんぶん赤旗」というメディアがあります。「赤旗まつり」に参加したあるジャーナリストが「カルチャーショックを受けた」といってこういう感想を寄せたのです。
 「赤旗記者が体験記を語り、党の歴史が掲示され、他方、酒を酌み交わしながら、語らっている姿があった。ここは共産党、ここからは党とかかわりがない遊びの部分、という区別がなく、両方がこん然一体となって大衆政党・共産党を醸(かも)し出していた。こういう集いに三日間に二十万人以上も参加する。いま、これだけの催しをできる政党が、集団が、日本にあるだろうか。共産党以外には、こうしたイベントができる政党はない。……私は、強いカルチャーショックを受けた。政党とは何かを、いやおうなしに考えさせられ、政治の世界にふれて短かくない私だが、私の知らなかった共産党の実像にふれた思いだった」。
 「ここは共産党、ここからは遊びの部分という区別がない」というところも、なかなかいいですよね。この草の根の力こそ、わが党の生命力です。この党をぜひ大きくして今度の選挙では必ず勝利者となりたいと思います。みなさんのお力を、どうか日本共産党の勝利のためにお貸しください。ありがとうございました。(大きな拍手)